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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201313089 審決 商標
不服201220726 審決 商標
不服201315639 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X293043
管理番号 1282322 
審判番号 不服2013-12550 
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-02 
確定日 2013-11-14 
事件の表示 商願2011- 42305拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年6月17日に登録出願、その後指定商品及び指定役務については、平成24年1月20日付け手続補正書により、第29類「熊本産の豚骨を使用した肉製品,熊本産の豚骨を使用したカレー・シチュー又はスープのもと,熊本産の豚骨を使用したお茶漬けのり,熊本産の豚骨を使用したふりかけ」、第30類「熊本産の豚骨を使用した調味料,熊本産の豚骨を用いた香辛料,熊本産の豚骨を用いた穀物の加工品,熊本産の豚骨を用いたぎょうざ,熊本産の豚骨を用いたサンドイッチ,熊本産の豚骨を用いたしゅうまい,熊本産の豚骨を用いたすし,熊本産の豚骨を用いたたこ焼き,熊本産の豚骨を用いた肉まんじゅう,熊本産の豚骨を用いたハンバーガー,熊本産の豚骨を用いたピザ,熊本産の豚骨を用いたべんとう,熊本産の豚骨を用いたホットドッグ,熊本産の豚骨を用いたミートパイ,熊本産の豚骨を用いたラビオリ」及び第43類「熊本産の豚骨を使用した飲食物の提供 」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『熊本』及び『豚骨』の太文字を朱書きし、これら『熊本豚骨』の4文字を赤い正方形の図形で囲んだ構成よりなるところ、全体として、多少デザイン化されてはいるものの、『熊本豚骨』の文字をいまだ普通に用いられる方法の範囲内で書してなるものである。そして、本願商標の構成中の『熊本』の文字は、『九州地方中央部の県』を表す地名であり、また、『豚骨』の文字は、『豚の骨』を意味するだけでなく、一般に、豚の骨を長時間煮込むことで出る骨髄の旨味成分で、主に、スープのだしとして使用される食材として知られている実情にある。そうとすると、本願商標をその指定商品・指定役務中、例えば、『熊本産の豚骨スープのもと,熊本産の豚骨を使用した調味料,熊本産の豚骨を使用した香辛料,熊本産の豚骨を使用した飲食物の提供』等に使用した場合には、これに接する需要者は、前記商品・役務であることを認識するにとどまるものであり、本願商標は、単に商品の品質・役務の質を表したものであって、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、四隅の角部分をやや丸くした四角形輪郭内に右から縦書きに「熊本」及び「豚骨」の文字を、赤色で全体を印影風に表してなるものであるが、文字の書体も特徴的といえるものではなく、全体として普通に用いられる方法で表してなるものといえる。
そして、「熊本」の文字は県名として、また、「豚骨」の文字は料理の食材として、いずれも広く知られているものである。
ところで、本願指定商品及び指定役務に係る食品分野、特に「ラーメン」については、例えば、そのスープについて「豚骨」「魚介類」「鶏ガラ」などのだし材料や「塩」「味噌」「醤油」などの味付けが様々であり、また、地域ごとに特色があって、需要者は、その地域名や材料名についての関心が極めて高いところである。
このことは以下の事実からも窺えるところである。
ア 飲食物(ラーメン)の提供に関して
(ア)「ITmedia PCUSER」のウェブサイトに、2003年10月7日に更新した記事として、ソースネクストがラーメン店検索のための地図ソフト「ラーメン全国地図」を10月24日に発売することが記載され、また、写真として掲載されている当該商品の包装箱には、「博多系」「横浜系」「熊本系」などと表示が記載され、さらに、記事中には、当該商品について「『とんこつ』『味噌』『塩』といった味や、『札幌系』『喜多方系』『博多系』といった系統別でも検索可能」などと記載されている(http://www.itmedia.co.jp/products/0310/07/sourcenext.html)。
(イ)「ぐるなび熊本版」のウェブサイトのラーメン店「香味拉麺」のページに、当該店舗の紹介として「伝統の熊本豚骨ラーメンのお店です。マイルド豚骨スープに自家製マー油の絶妙スープに自信あり。」と記載されている(http://r.gnavi.co.jp/a21jv0xt0000/)。
(ウ)2013年2月10?11日に開催された「第5回くまもとラーメン祭」(熊本日日新聞社主催)に係るウェブサイトに、出典ラーメン店「黒亭」の紹介に「豚骨」と共に「熊本豚骨の王道が再び参戦!」と記載されている(http://www.kumamoto-ramen.jp/shop/05.html#shop)。
(エ)「HOT PEPPER グルメ」のウェブサイトの紹介ラーメン店に、「熊本とんこつらーめん あそ路」が記載されている(http://www.hotpepper.jp/strJ001026757/)。
(オ)株式会社アールズカンパニーのウェブサイトに、同社の運営店舗「熊本豚骨中華そば せからしか」が記載されている(http://www.ichi-ya.com/shop.html)。
イ 即席ラーメンに関して
(ア)「マイライフ手帳@ニュース」のウェブサイトの2012年9月28日付け記事に、「サンヨー食品は、10月29日に『サッポロ一番 旅麺 熊本豚骨ラーメン』を発売する。『全国の人気のご当地ラーメンを手軽に家庭で味わってもらうこと』をコンセプトにした『旅麺』シリーズから、熊本の『豚骨ラーメン』をイメージした新製品『サッポロ一番 旅麺 熊本豚骨ラーメン』を全国のラーメンファンに届けるという。」と記載されている(http://www.mylifenote.net/001/120928_8.html)。
(イ)「日の出製粉オンラインショップ」のウェブサイトに、「ロン龍ラーメン 15食入り」の紹介として「本格的な 熊本とんこつ をご家庭で気軽に楽しめるロン龍ラーメン」「・・特性マー油のニンニクの香り豊かな熊本とんこつスープが自慢のラーメンです。」と記載されている(http://www.ronryu.com/ronryu_ramen1.php)。
(ウ)「ほっとえむ」のウェブサイトの「九州新幹線ラーメンセット 3食入り」の商品紹介に、ラーメン店「福重屋」「山水亭」「麺’S ら.ぱしゃ」の各商品について、それぞれ「博多長浜ラーメン」「熊本とんこつラーメン」「鹿児島塩らーめん」と記載されている(http://item.rakuten.co.jp/hot-emu/01-shinkansen-set1m/)。
(エ)株式会社マルタイのウェブサイトの「カップめん」のページに、「九州発・博多とんこつラーメン」「九州発・熊本とんこつラーメン」「九州発・鹿児島とんこつラーメン」「九州発・久留米とんこつラーメン」と記載されている(http://www.marutai.co.jp/products/cup/)。
(オ)「楽天ICHIBA」のウェブサイトの「生活便利創庫スーパー・キッド」のページに、「五木食品 火の国熊本とんこつラーメン」が掲載され、その商品説明に、「本格熊本とんこつラーメン」と記載されている(http://item.rakuten.co.jp/superkid/sh0100011/)。
そうとすると、本願商標は、前述のとおり、印影風に表されているものの、「熊本豚骨」の文字を略四角形の輪郭内に表されているものであり、普通に用いられる方法の範囲で表示されたものといえるから、これをその指定商品に使用したときは、「豚骨を使用した熊本風のもの」であることを認識させるものであり、また、その指定役務に使用するときは、その提供に係る料理が「豚骨を使用した熊本風のもの」であることを認識させるものであり、その商品の品質及び役務の質を表示する商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は印鑑形状にすることにより、印鑑のように出所を示す機能がより強く発揮され、商標として十分に、自他商品識別力を発揮すると主張している。
しかしながら、商品や役務の特徴を需要者に伝えるために特徴的な言葉を単に用いるだけではなく、視覚上も認識されやすくするために、その文字が直ちに判読できるようにしつつ、文字の書体や輪郭に工夫を凝らすことは一般に行われているところである。
本件商標のデザインも印影風ではあるものの、前記(1)のとおり、4隅をやや丸くした四角形輪郭内に「熊本豚骨」の文字を直ちに把握できる書体で表示しているものであって、極めて特徴的なデザインがなされているものではない。なお、食品や飲食物の提供に係る分野においては、店名や提供する料理の特徴点をアピールするための標章を赤い印影風に表示することは、前記(1)ア(オ)のウェブサイトの「熊本豚骨中華そば せからしか」の店名の近くに赤色四角輪郭内に「熊本中華そば」の文字を記載した印影風の標章が表示され、同じく「若狭海岸 越前食堂」の店名の近くに「越前若狭」の文字を書した上記同様の印影風の標章が表示され、同じく「ひるだけや」の店名の近くに「ミート次郎」の文字を書した上記同様の印影風の標章が表示され、同じく「越前中華そば いちろく」の店名の近くに「一六」の文字を彫り込んだようにした印影風の標章が表示され、同じく「銀座 双芭」の店名の近くに「肉汁つけうどん」の文字を彫り込んだようにした印影風の標章が表示され、(1)イ(ウ)のウェブサイトの「山水亭」の看板及び「麺’S ら.ぱしゃ」の看板には、いずれも店名と共に画面上文字が判読できないものの赤色四角輪郭内に文字を記載した印影風の標章が表示されされているように、一般に広く行われているところである。したがって、本願商標が赤い印影風にして表されているとしてもそのデザインの程度は、そこに記載された文字(品質等)を強調した程度のものとして理解されるのであり、当該デザインにより自他商品の識別標識として機能するとまではいうことができない。
なお、請求人は過去の登録例を挙げているが、その登録例は、商標法第3条第2項に該当するものとして登録されたもの(甲2)、指定役務である「飲食物の提供」との関係で「香港厨房」の文字から「香港の厨房で料理されたもの」等の意味合いまで認識されるものではないと考えられるもの(甲1)、「高尾」の文字から直ちに「高尾山」や「高尾駅」を認識されるものではないと考えられるもの(甲3、甲4)など、その商標のデザインの特徴のみから登録されたとはいえないものである。そして、本願商標に記載されている「熊本」及び「豚骨(とんこつ)」はラーメンの特徴を表すものとして極めて一般的なものであるから、上記登録例とは事案を異にするものである。
イ 請求人は、本願商標(色彩が異なるものを含む。)を国内約100店舗を展開する「味千拉麺」の店舗において看板やメニューに使用しているほか、販売促進用ポスターやチラシに使用し、さらにテイクアウト・通信販売用ラーメンの包装袋、ギフト用包装箱、ふりかけの容器、名刺、パンフレット等の各種の媒体に使用すると共に「ロアッソ熊本」の使用するスタジアムや路線バスのボディの広告も行っており(資料3?資料27、甲6?甲11)、本願商標は、多岐にわたって使用された結果、需要者及び取引者の間において、広く知られるに至っており、商標法第3条第1項第3号には該当しないと主張している。
しかしながら、本願商標に係る請求人の使用例の多くは、請求人の経営する店舗名である「味千拉麺」の名称の表示の近くに表示されているものやラーメンの写真の近くに表示されているものであり、それらの表示は、当該店舗で提供されるラーメンの特徴あるいは写真のラーメンの特徴が「豚骨を使用した熊本風のもの」であることを示す表示として認識されるものであり、しかも、その店舗が全国で100店程度とそれほど多くはなく、本件商標が使用されているポスターや看板等の広告物も当該店舗で使用されるものであることからすると、本願商標について請求人の主張のように使用した事実があるとしても、本願商標については「熊本風の豚骨を使用したもの」の意味合いを認識させるにとどまるものというべきであり、自他商品の識別力を有しているということはできない。
なお、請求人は、請求人に係るラーメンチェーン「味千拉麺」が需要者・取引業者の間で広く知られていると主張しているが、例えばマスコミ等で当該店舗(名)を取り上げられる場合であっても、本願商標が取り上げられるとは限らず、仮に「味千拉麺」が需要者・取引業者の間で広く知られているものであっても、そのことにより本願商標が請求人の業務を表示する商標として需要者の間に広く認識されているとまではいうことができない。
(3)以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標

(色彩は原本参照)

審理終結日 2013-09-10 
結審通知日 2013-09-17 
審決日 2013-09-30 
出願番号 商願2011-42305(T2011-42305) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X293043)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢代 達雄田中 瑠美 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 内藤 順子
小川 きみえ
商標の称呼 クマモトトンコツ、トンコツ 
代理人 日比谷 洋平 
代理人 日比谷 征彦 

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