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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900360 審決 商標
不服201220726 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1281587 
異議申立番号 異議2013-900137 
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-05-13 
確定日 2013-11-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5555945号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5555945号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5555945号商標(以下「本件商標」という。)は、「PATAGONIA RED」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年8月24日に登録出願、第29類「チリ共和国パタゴニア産のさけ,チリ共和国パタゴニア産の冷凍さけ,チリ共和国パタゴニア産のさけの切身,チリ共和国パタゴニア産のその他の食用魚介類(生きているものを除く。),チリ共和国パタゴニア産のさけの加工水産物,チリ共和国パタゴニア産のさけを主材料とした加工水産物,チリ共和国パタゴニア産のさけのみりん漬,チリ共和国パタゴニア産のさけの佃煮,チリ共和国パタゴニア産のさけの粕漬,チリ共和国パタゴニア産のさけの味噌漬,チリ共和国パタゴニア産のさけの燻製,チリ共和国パタゴニア産のさけのフレーク,塩干しのチリ共和国パタゴニア産のさけ,チリ共和国パタゴニア産の塩漬のさけ筋子のびん詰,チリ共和国パタゴニア産のさけの瓶詰,チリ共和国パタゴニア産のさけの缶詰,チリ共和国パタゴニア産のさけとさけの筋子の粕漬,チリ共和国パタゴニア産のさけの切身とさけの筋子よりなる漬物,チリ共和国パタゴニア産のさけの糀漬,チリ共和国パタゴニア産の素干しあるいは味付け干しのさけのひれ,チリ共和国パタゴニア産のさけのいくら,チリ共和国パタゴニア産のさけのいくらを使用した加工水産物,チリ共和国パタゴニア産のさけのいくらを主材料とする加工水産物,チリ共和国パタゴニア産のさけの味付いくら,チリ共和国パタゴニア産のその他の加工水産物」を指定商品として、平成25年1月4日に登録査定、同年2月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5577377号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PATAGONIA」の文字を標準文字で表してなり、平成23年8月26日に登録出願、第29類「サーモンジャーキー,スモークサーモン」を指定商品として、同25年4月26日に設定登録されたものである。
イ 登録第4025558号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成7年12月4日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同9年7月11日に設定登録されたものである。
以下、上記ア及びイを、まとめて「引用商標」という場合がある。
(2)具体的理由
ア 商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、「PATAGONIA RED」の文字を標準文字で表してなるところ、「PATAGONIA」と「RED」の語の間に1文字分の空白があることから、視覚上、「PATAGONIA」と「RED」の2語からなるものと容易に理解できるものであり、その構成中前半の「PATAGONIA」の文字部分は、「アルゼンチン南部の台地地方、Andes山脈から大西洋に延び、アルゼンチン・チリ両国にまたがる南米大陸の南端地方」の意味を、また、後半の「RED」の文字部分は、「赤い、赤色の、<肉が>赤身の、赤毛の動物」等の意味をそれぞれ有するものである(甲4及び甲5)。
ところで、本件商標を構成する前半の「PATAGONIA」の文字部分は、上記のとおり南米大陸の地方の名称を表す一方、引用商標1の指定商品に使用する場合、自他商品の識別標識として機能を果たすものであると不服審判2012-17005の審決において判断されたものである(甲3)。
一方、後半の「RED」の文字部分は、上記の通り「<肉が>赤身の」等の意味を表すことから、本件商標の指定商品に使用する場合は、「さけの赤身」を連想し、単に商品の品質を表していると理解することは容易に想像できるものである。
このことから、本件商標に接する需要者は、当該指定商品との関係において、後半の「RED」の文字部分が単に商品の品質等を表す語として理解し、自他商品の識別機能を有しない部分であるか極めて弱い部分であると認識するから、本件商標を構成する前半の「PATAGONIA」の文字部分が自他商品の識別機能を果たす要部であると認識することは明らかである。
以上のとおり、本件商標は、自他商品の識別機能を有する部分である「PATAGONIA」の文字部分に相応して、単に「パタゴニア」の称呼及び観念を生ずるものである。
(イ)引用商標1は、「PATAGONIA」の文字を標準文字で表してなるものであり、「パタゴニア」の称呼及び観念を生ずるものである。
(ウ)まとめ
本件商標と引用商標1とは、「パタゴニア」の称呼、観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標と引用商標1は、上記アで述べたとおりであり、その称呼及び観念は共通するものである。
(イ)本件商標と引用商標1の指定商品は、その元となる商品が「魚介類」であることを共通にし、その多くが「さけ」に関する商品である以上、本件商標を指定商品に使用した場合、引用商標の権利者の業務に係る商品と混同が生じることは明らかである。
(ウ)申立人は1965年アメリカ合衆国で設立以来(甲10)、その企業名称である「PATAGONIA」の文字及び該文字と図形との結合商標を継続使用している。現在ではアメリカ合衆国のほか、日本を含み76か国においても商品の販売を展開している(甲11)。
日本においては1988年に日本支社を設立しており、現在では北海道から福岡まで、直営店を展開している(甲12)。
また、申立人は「PATAGONIA」の文字又は文字を含む商標登録を13件保有している(甲2及び甲13ないし甲24)。その商標登録中,引用商標2については、日本国周知・著名商標として認められている(甲25)。
申立人は、長年その企業名称でもある「PATAGONIA」ブランドに化体した信用の維持を図り、あわせて需要者の利益を保護することを目的として、商標権侵害に対して厳しく対処してきている(甲26)。その結果、「PATAGONIA」の文字は申立人の企業名及びブランド名として辞書にも掲載されるほどに認識されている事実がある(甲27及び甲28)。
(エ)申立人は引用商標1の指定商品に関し、現に当該商標を付した商品を販売している(甲29)。また、「PATAGONIA SALMON」及び「パタゴニア サーモン」の文字をインターネット画像検索をした結果、その多数が申立人の商標を付した商品又はそのウェブサイトが表示される事実がある(甲30及び甲31)。
したがって、「魚介類」、殊に「さけ」に関する商品に本件商標を使用した場合、これに接する需要者は、上記した実情よりして、容易に申立人を想起させるものであるといえる。
(オ)次に、引用商標2は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中、一般的な山と空を表したものと認められる図形部分からは特定の称呼が生じるとはいえないから、その構成中の「patagonia」の文字部分から「パタゴニア」の称呼及び観念を生ずるものである。
してみると、本件商標と引用商標2を対比した場合、その称呼、観念は共通するものである。
引用商標2は、上記(ウ)で述べたとおり、日本国周知・著名商標として認められている(甲25)。このことは、「パタゴニア」の称呼及び観念を生ずる引用商標が日本国内において広く需要者の間に申立人のブランドであることを証明しているものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用した場合、申立人の業務に係る商品、又は、申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
その証左として、本件商標の「PATAGONIA RED」の文字をインターネット画像検索をした結果、その殆どが申立人の商標を付した商品又はそのウェブサイトが表示される事実がある(甲32)。
(カ)まとめ
本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品、又は、申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「PATAGONIA RED」の欧文字を標準文字でまとまりよく表してなるところ、これより生じる「パタゴニアレッド」の称呼はよどみなく一連に称呼できるものであり、全体が一体の語として辞書等に掲載されているものではなく、特定の観念を生じるとはいえないものである。
そして、本件商標の構成中、前半の「PATAGONIA」の文字部分は、その指定商品との関係においては、商品の産地表示と容易に認識されるものであり、後半の「RED」の文字部分は、商品の色彩を表す語として使用されることがあるものであるから、これらの文字部分は、いずれもそれ自体単独では自他商品識別力がないか、あるいは弱いものと認識されると判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、「PATAGONIA」と「RED」のいずれかの文字部分のみが着目され記憶されることなく、全体が不可分一体のものとして取引者・需要者に認識されるというのが自然であり、「パタゴニアレッド」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
イ 引用商標1
引用商標1は、上記2(1)アのとおり、「PATAGONIA」の文字からなるものであるから、これより「パタゴニア」の称呼を生じ、「アルゼンチン南部の台地地方、Andes山脈から大西洋に延び、アルゼンチン・チリ両国にまたがる南米大陸の南端地方」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1との類否を検討するに、本件商標と引用商標1は、その外観において「PATAGONIA」の文字を共通にするが、「RED」の文字の有無という顕著な差異を有するから、十分区別することができるものである。
また、本件商標から生ずる称呼「パタゴニアレッド」と引用商標1から生じる「パタゴニア」の称呼において、両者は、「レッド」の音の有無という顕著な差異を有するから、十分聴別することができるものであり、観念において、本件商標は特定の観念を生じないから、上記観念を生ずる引用商標1とは比較することができないものである。
そうすると、本件商標は、引用商標1とは、観念においては比較することができないとしても、外観及び称呼においては相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人は、1965年にアメリカ合衆国において設立された、登山用品、サーフィン用品、アウトドア用品及び衣料品の製造販売を行う企業であり(甲10)、現在では、アメリカ合衆国のほか、日本を含み76カ国において商品の販売を展開し(甲11)、日本においては、北海道から福岡まで、19の直営店を展開していること(甲12)が認められる。また、英和商品名辞典及びWeblio英和対訳辞書には、「パタゴニア(Patagonia)とは、アメリカの登山用品、サーフィン用品、アウトドア用品、衣料品の製造販売を手がけるメーカー、及びそのブランド名」等と紹介されている(甲27及び甲28)ことからすると、申立人にかかる「Patagonia」標章は、我が国において、上記製品に使用されてある程度知られているといって差し支えない。
イ 本件商標と引用商標について
本件商標と引用商標1とは、上記(1)のとおり、互いに非類似の商標であり、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
次に、引用商標2は、別掲のとおりの構成からなるところ、図形中に表示された「Patagonia」の文字部分から「パタゴニア」の称呼を生じ、「アルゼンチン南部の台地地方、Andes山脈から大西洋に延び、アルゼンチン・チリ両国にまたがる南米大陸の南端地方」の観念が生じるものであるから、本件商標と引用商標2とは、外観においては明らかに相違するものであり、本件商標から生ずる称呼「パタゴニアレッド」と引用商標2から生じる「パタゴニア」の称呼において、両者は、「レッド」の音の有無という顕著な差異を有するから、十分聴別することができるものであり、観念において、本件商標は特定の観念を生じないから、上記観念を生ずる引用商標2とは比較することができないものである。
してみれば、本件商標は、引用商標2とは、観念においては比較することができないとしても、外観及び称呼においては相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
ウ そうとすると、申立人にかかる「Patagonia」標章が申立人の業務に係る商品「登山用品、サーフィン用品、アウトドア用品、衣料品」等を表示するものとして周知であるとしても、引用商標は、上記のとおり、本件商標と非類似の商標であり、上記(1)アのとおり、本件商標中の「PATAGONIA」の文字部分は、商品の産地表示として認識されるにとどまるといえるものであって、当該部分のみが取引に資されるとはいえないことから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する需要者をして引用商標及び「Patagonia」標章又は申立人を想起、連想することはなく、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)



異議決定日 2013-10-30 
出願番号 商願2012-68756(T2012-68756) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W29)
T 1 651・ 271- Y (W29)
T 1 651・ 263- Y (W29)
T 1 651・ 261- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 梶原 良子
守屋 友宏
登録日 2013-02-08 
登録番号 商標登録第5555945号(T5555945) 
権利者 東海澱粉株式会社
商標の称呼 パタゴニアレッド 
代理人 入江 一郎 
代理人 山川 茂樹 
代理人 山川 政樹 

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