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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900060 審決 商標
異議2013900179 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1281581 
異議申立番号 異議2013-900106 
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-04-19 
確定日 2013-10-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第5550942号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5550942号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5550942号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLEXY」の文字を標準文字で表してなるものであり、平成24年7月25日に登録出願、同年12月21日に登録査定され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品として、同25年1月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して、商標登録をされたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べている。
(1)引用商標
ア 登録第5515167号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成22年12月16日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同24年8月17日に設定登録されたものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。
イ メキシコ商標登録第674758号(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2000年3月24日に登録出願、第25類「男性用履物、一般的な履物」などを指定商品として、設定登録されたものである(甲3)。
(2)申立人について
申立人は、メキシコにおいてフレクシの名称で1935年から営業しており、現法人としては1983年に登記された。申立人は、メキシコにおいて引用商標1及び2や「flexi」の文字のみ又は図形と組み合わせた商標(以下、これらの商標を総称して「引用商標」という。)を長年に亘り自己の商品に使用しており、引用商標2は、1984年6月14日に使用が開始され、申立人はメキシコ産業財産権庁に周知・著名商標の宣言の申請を行い、2010年12月7日に周知・著名の認定を得ている(甲5)。
また、引用商標2のほかに、申立人は、メキシコにおいて「flexi」の文字又はロゴごとに第25類の商品に限らず第5、10、16、28、35類の商品・役務について多くの商標権を取得しており、アメリカ合衆国、日本、ニカラグア、グァテマラ、バミューダ、カナダ、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラスにおいても商標権を取得している(甲7?甲16)。
申立人の商標の使用の状況として、現在、申立人の商品「履物」は3大陸10カ国において販売されており、アメリカ合衆国においては、直営店も展開されている(甲17)。甲第18号証ないし甲第29号証は、2008年から2012年までの間に申立人がわが国に商品を出荷した送り状等の写しを示すものであり、申立人はわが国に対しては代理店を通じて商品の販売を行っている。
メキシコ、アメリカ合衆国において30年近く商品に使用されてきた申立人の商標は、メキシコにおいては周知・著名商標に認定されるほど広く知られているものであり、わが国においても少なくとも5年にわたって商品が輸入・販売されていることを鑑みれば、わが国においても履物の需要者層において広く知られるものになっているものといえる。
(3)本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、「FLEXY」のアルファベットを同一の書体、大きさで等間隔に書してなり、辞書に掲載のない造語であるものの、本件商標からは「フレクシ」の称呼が生ずる。
引用商標1は、やや右に傾斜した「flexi」の文字と該文字の下の赤い波状の図形より構成されており、引用商標2は、赤色の略四角形の中に白抜きの「flexi」の文字を書してなる。該図形部分は、装飾的に表されているにすぎないため、主に引用商標の出所識別標識として機能する部分は「flexi」の文字部分といえるから、「フレクシ」の称呼が生ずる。また、「flexi」の文字は辞書に掲載がなく、特定の観念を生じない造語である。
本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の文字部分は大文字と小文字の違いはあるものの、語頭の4文字の「flex」を共通にし、末尾の文字「y」又は「i」が異なるにすぎず、両商標からは「フレクシ」の同一の称呼が生ずる。両商標とも造語のため特定の観念は生じないから観念において比較することはできないとしても、両商標は外観が近似するものであり、称呼を同一にするものであるから、両商標は類似する。
(4)本件商標と引用商標の指定商品の関連性
本件商標は、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品とするところ、引用商標1及び2の指定商品は、第25類「履物」等である。本件商標と引用商標1及び2の指定商品は、すべてファッション関連の商品であり、実際の取引の場において同じ売り場やショッピングサイトで並べて販売されていることも多い。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品とは、商品の関連性が非常に高いものであり、履物の需要者層と被服の需要者層とは一致する。
(5)出所の混同のおそれ
本件商標と引用商標とは、商標が類似し、かつ、引用商標は、本件商標の出願日である平成24年7月25日までには、メキシコにおいてのみならず、我が国を含む他の国においても申立人の商品の出所を表示するものとして一定の知名度を獲得していたというのが相当である。加えて、申立人の商品「履物」と本件商標の指定商品「被服」は商品の関連性が非常に高いものであり、需要者層を同じくするものである。
よって、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品との誤認を生じ、出所の混同を生ずる蓋然性が非常に高いものといえる。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当について
ア 引用商標の周知性について
申立人は、「メキシコにおいてフレクシの名称で1935年から営業している。そして、長年に亘り引用商標を自己の商品に使用しており、顧客のニーズに合わせた商品・サービスの提供によって、申立人の商品は、顧客から高い評価を受け、商標『flexi』は広く知られるものとなっている。また、本件商標の登録出願前から、引用商標に関して、メキシコにおいて『flexi』の文字又はロゴごとに、第25類の商品に限らず、多くの商標権を取得し、アメリカ合衆国、日本、ニカラグア、グァテマラなど多くの国においても商標権を取得している(甲7?甲16)。そして、現在、申立人の商品は、3大陸10カ国において販売されており、アメリカ合衆国においては、直営店も展開されている(甲17)。」旨主張しており、2008年から2012年までの我が国への商品出荷の送り状等の写しを提出している。
しかしながら、申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、10カ国において、引用商標を使用し、靴を販売しているが、我が国には、2008年から2012年において12回の輸出が認められるものの、1回の数量も113足から2,400足程度と多くない。その他、我が国における商品の販売数量、売上高などの取引実績の全体を具体的に把握し得る証左はみいだせない。加えて、新聞、雑誌等による広告内容や広告費等についての実情を具体的及び量的に把握し得る証左もほとんど提出されていない。
なお、複数の外国において引用商標が商標登録されている事実は認められるものの、そのことをもって引用商標が周知な商標であることは認めることができない。
そうとすれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、我が国の需要者間に広く認識されるに至っているということはできない。
イ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「FLEXY」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、特定の意味を有する語とはいえず、一種の造語よりなるものであって、特定の観念を生じないというのが相当である。そして、本件商標は、その構成文字に相応して「フレクシー」の称呼を生じるものである。
一方、引用商標は、「flexi」の文字と図形とを組み合わせた商標であるところ、その構成文字に相応して「フレクシ」の称呼を生じるものである。また、該文字は、特定の意味を有する語とはいえず、一種の造語よりなるものであって、特定の観念を生じないというのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標は、その構成及び態様において相違するものの、その構成文字においては、大文字と小文字の違いがあるとしても、「FLEX(flex)」の綴りを同じくし、異なるのは語尾の「Y」と「i」の差異を有するにすぎないものであるから、両商標は外観上近似した印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生ずる「フレクシー」の称呼と、引用商標から生ずる「フレクシ」の称呼とは、語尾における長音「ー」の有無に差異を有するにすぎないものであるから、それぞれを称呼するときは、語調、語感が近似するものであり、両商標は称呼上類似するものといえる。
また、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は観念上類似するということはできない。
以上よりすれば、本件商標と引用商標とは、観念において類似するものではないとしても、外観において近似した印象を与え、称呼においては類似するものであるから、両商標の類似性の程度は、高いというのが相当である。
ウ 出所の誤認混同について
上記イのとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度は高く、また、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている「靴」とは、いずれもファッション関連の商品であるとしても、上記アのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、需要者に広く知られている商標とは認めらないことからすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標1(色彩については原本参照)


別掲2 引用商標2(色彩については原本参照)



異議決定日 2013-10-23 
出願番号 商願2012-59995(T2012-59995) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 井出 英一郎
小川 きみえ
登録日 2013-01-18 
登録番号 商標登録第5550942号(T5550942) 
権利者 株式会社ダイドーリミテッド
商標の称呼 フレキシー、フレクシー 
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所 

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