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審決分類 |
審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03 審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03 審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03 |
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管理番号 | 1281575 |
審判番号 | 無効2012-680003 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2012-09-28 |
確定日 | 2013-09-20 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際登録第1087552号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 国際登録第1087552号商標の指定商品中、第3類「Perfumery,perfumes,essential oils,cosmetic preparations for skin,creams,lotions,deodorants」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 国際登録第1087552号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2011年(平成23年)7月26日に国際商標登録出願、第3類「Perfumery,perfumes,essential oils,soaps,cosmetic preparations for skin,creams,lotions,deodorants.」を指定商品として、平成24年2月13日に登録査定がされ、同年4月20日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の1ないし8のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第2219231号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LOVE」の欧文字を書してなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同22年4月21日に指定商品を第3類「化粧品,歯磨き,香料類,薫料」とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 登録第2219232号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ラブ」の片仮名を書してなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同22年4月21日に、指定商品を第3類「化粧品,歯磨き,香料類,薫料」とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 登録第2431617号商標(以下「引用商標3」という。)は、筆記体で表してなる「Love」の欧文字を上段に、「ラブ」の片仮名を下段に書してなり、昭和48年5月10日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年7月31日に設定登録され、その後、同16年3月3日に、指定商品を第3類「歯みがき,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。 4 登録第4277280号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成9年12月22日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同11年5月28日に設定登録されたものである。 5 登録第4522976号商標(以下「引用商標5」という。)は、「ラブ」の片仮名を上段に、「LOVE」の欧文字を下段に書してなり、平成13年1月9日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同年11月16日に設定登録されたものである。 6 登録第5095768号商標(以下「引用商標6」という。)は、金色で「LOVE」の欧文字を書してなり、平成18年4月18日に登録出願、第3類「化粧品,歯磨き,香料類」を指定商品として、同19年11月30日に設定登録されたものである。 7 登録第5439655号商標(以下「引用商標7」という。)は、「LOVE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年6月25日に登録出願、第35類「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同23年9月16日に設定登録されたものである。 8 登録第5441415号商標(以下「引用商標8」という。)は、「Love」の欧文字を書してなり、平成20年2月1日に登録出願、第3類「化粧品,香料類,歯磨き」を指定商品として、同23年9月30日に設定登録されたものである。 以下、これらを一括していうときは「引用各商標」という。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。 2 引用各商標と本件商標との類否について (1)引用各商標と本件商標の称呼について 引用各商標は、「ラブ」又は「LOVE」の文字からなり、これらの構成文字に相応して、「ラブ」の称呼が生じることは明らかである。 他方、本件商標は、「LOVE,」と「Chloe」(審決注:「e」で表した文字には、アクサン-テギュ記号が付されている。以下同じ。)の文字からなるところ、「LOVE,」からは「ラブ」の称呼が、「Chloe」からは「クロエ」の称呼がそれぞれ生じることからすれば、その構成文字全体に相応する一連一体の「ラブクロエ」という称呼が生じ得る。 また、本件商標は、(ア)「LOVE」と「Chloe」の文字が二段に書されていること、(イ)「LOVE」と「Chloe」の文字は異なる書体(「LOVE」はゴシック調、「Chloe」はセンチュリー調)で書されていること、(ウ)「LOVE」と「Chloe」は異なる大きさで書されていること、(エ)「LOVE」がすべて大文字で書されているのに対して、「Chloe」は頭文字の「C」のみが大文字で残りの文字は小文字であることからすれば、本件商標を構成する「LOVE」と「Chloe」の文字は、外観上まとまりがないことは明らかであり、各文字に分離して把握、認識され、それぞれの文字から称呼が生じるというべきであるから、該「LOVE」の文字に相応して、「ラブ」の称呼が生じることは明らかである。 (2)「Chloe」がコーポレートブランド、「LOVE」がプロダクトブランドであること 本件商標の商標権者は「CHLOE,Soci(e)t(e) par actions simplifi(e)e」(審決注:「(e)」で表した文字には、アクサン-テギュ記号が付されている。)であるところ、本件商標の構成中の「Chloe」の文字部分は、社名の一部であり、日本においても比較的知られたファッションブランドであるから、本件商標に接した需要者、取引者は、「Chloe」の文字部分をコーポレートブランドと認識するといえる。 ところで、化粧品業界においては、一般に、会社名のみが商品に付される場合のみならず、それぞれのラインナップに応じて、プロダクトブランドが付されていることが多くあるところ、そのような場合には、コーポレートブランドもプロダクトブランドもともに、それぞれが独立して商標の機能を果たしているといえ、2つの商標が付されているといえる。 そうとすれば、本件商標は、「Chloe」の文字部分がコーポレートブランド、「LOVE」の文字部分がプロダクトブランドといえるから、本件商標に接した需要者、取引者は、「Chloe」及び「LOVE」の文字部分のそれぞれを商標と捉え、一方の「LOVE」の文字に相応する「ラブ」の称呼をもって取引に当たることも多々あるというべきである。 (3)「,」の存在 本件商標を構成する文字のすべてを一連で称呼した場合、その構成中の「LOVE」の文字の後には「,」が付されていることから、「ラブ」と「クロエ」との間で、一息おくと考えられる。つまり、本件商標は、「,」があることにより、よどみなく一連に称呼することが難しい商標ということができる。このような商標の場合、簡易迅速を尊ぶ取引業界においては、よどみなくー連に称呼できない読み方をもって取引に当たるとは考えにくく、前半部分の「ラブ」の称呼をもって取引に当たることが相当であるというべきである。 (4)上記(1)ないし(3)の理由により、本件商標からは「ラブ」の称呼が生じるというべきであるから、本件商標と引用各商標は、「ラブ」という称呼を同じくする互いに類似の商標である。 3 むすび 以上のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかであるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人(商標権者)は、本件審判の請求について、何ら答弁するところがない。 第5 当審の判断 1 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、上段に「LOVE」の文字とその後に「,」(コンマ)を書し、下段に上段の文字の約4倍の大きさで「Chloe」の文字を書した構成からなるところ、上段の「LOVE」の文字は、そのすべてを大文字で表してなるのに対し、下段の「Chloe」は、1字目の「C」の文字を大文字で、2字目以降を小文字で表してなることに加え、該「LOVE」と「Chloe」との間には、構成文字の大きさや書体の相違もあることから、本件商標を構成する上下段の文字部分は、それぞれ分離して看取され得るとみるのが相当である。 そして、上段の「LOVE」は「愛、愛情」の意味を有する英語であるのに対し、下段の「Chloe」は辞書等に掲載されていない語であることから、本件商標は、その構成全体としては特定の意味を生じることのない造語と認められるものであり、ほかに本件商標を構成する「LOVE,」と「Chloe」の各文字部分が一体不可分のものとしてのみ認識されるとみるべき特段の事情も見いだせない。 そうとすると、本件商標は、その構成中、分離して看取される得る上下段の各文字が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす場合も少なくないというのが相当である。 したがって、本件商標は、上段の「LOVE」の文字に相応して、「ラブ」の称呼及び「愛、愛情」の観念を生じ、下段の「Chloe」の文字に相応して、「クロエ」の称呼を生じるものである。 2 引用各商標 引用商標1ないし8は、前記第2のとおり、いずれも「LOVE」、「Love」又は「ラブ」の文字を単独又は組み合わせてなるものであるから、いずれも該文字に相応する「ラブ」の称呼、「愛、愛情」の観念を生じるものといえる。 3 本件商標と引用各商標との類否について (1)外観について 本件商標と引用各商標とは、それぞれ前記第1及び第2のとおりの構成からなるものであるから、その構成全体をもって対比する場合は、外観上、両商標が相紛れるおそれはないものといえるものの、本件商標の構成中、独立して自他商品識別標識としてとらえられる「LOVE」の文字部分を引用商標1及び引用商標3ないし8と対比する場合は、「LOVE」の英語(小文字で表されたものを含む。)を用いる点において、近似した印象を与えるものといえる。 (2)称呼及び観念について 本件商標から生じる「ラブ」の称呼と引用各商標から生じる「ラブ」の称呼は、同一であり、また、両者は、「愛、愛情」の観念を生じる点において共通するものである。 (3)上記(1)及び(2)によれば、本件商標と引用各商標とは、外観において、近似した印象を与える場合があり、称呼及び観念を共通にするものであるから、両商標を同一又は類似の商品について使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 してみれば、本件商標と引用各商標は類似する商標であり、また、本件商標の指定商品中、本件審判の請求に係る指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「Perfumery,perfumes,essential oils,cosmetic preparations for skin,creams,lotions,deodorants.」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2013-04-15 |
結審通知日 | 2013-04-17 |
審決日 | 2013-05-15 |
審決分類 |
T
1
12・
261-
Z
(X03)
T 1 12・ 262- Z (X03) T 1 12・ 263- Z (X03) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 冨澤 武志 |
特許庁審判長 |
村上 照美 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 梶原 良子 |
登録日 | 2011-07-26 |
商標の称呼 | ラブクロエ、ラブ、クロエ |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 向口 浩二 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 森田 俊雄 |