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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X09
管理番号 1281454 
審判番号 取消2013-300008 
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-01-08 
確定日 2013-10-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5288169号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5288169号商標(以下「本件商標」という。)は、「PROGEAR」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年12月26日に登録出願、第9類「バーコードリーダー,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、同21年12月18日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の予告登録が平成25年1月28日になされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、「電気通信機械器具」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
乙第2号証のカタログに掲載される商品は、片手で持てるハンディサイズのデータ収集端末装置である「ハンディターミナル」と認められる。上記商品は、バーコードスキャナによってデータ収集を行うものであると認められ、仮に、無線通信機能を有するとしても、その商品概念は、「ハンディターミナル」である。
しかし、被請求人は、「ハンディターミナル」を「通信端末」とし、上記商品が「バーコード読み取り機能付き携帯用通信端末」であると主張するが、修飾関係を本来のものとは逆にするこのような主張には無理がある。また、上記主張は、本件商標の審査過程の意見書において上記商品を「バーコードリーダー」であると主張していたことと矛盾する。
さらに、被請求人は、上記商品は、その多機能性から複数の類似群コードに分類される複数の商品に属すると主張するが、上記商品の「無線通信機能」は「ハンディターミナル」の収集したデータをパソコン等に転送する際の転送方法としての一手段にすぎず、商品自体が二面性を有するものではない。
したがって、被請求人の主張は失当である、本件商標が「電気通信機械器具」に使用している事実は存しない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 被請求人は、商標出願の前から現在まで継続して、日本国内において、「電気通信機械器具」に属する「バーコード読み取り機能付き携帯用通信端末」について本件商標を使用している。
以下、この使用の事実について詳細に説明する。
(1)「バーコード読み取り機能付き携帯用通信端末」について
被請求人は、カタログ(乙2)に掲載されているように、本件商標を「ワイヤレスハンディターミナル」に使用している(以下、随時、本件商品という。)。
「ワイヤレスハンディターミナル」は、営業用の商品名称であるが「バーコード読み取り機能付き携帯用通信端末」を意味する。
これは、「ワイヤレス」の言葉が示すとおり、無線を利用した端末であり、被請求人が提供する物流システムを構成する一つのツールである。
すなわち、物流の現場で商品に付されたバーコードを読み取り、これを無線LANシステムによりプリンターやパソコンに転送して商品の流れを管理することを可能にしたシステムである。
(2)「ワイヤレスハンディターミナル」の分類
「ワイヤレスハンディターミナル」は、「無線機械器具」の一種であり、「類似商品・役務審査基準」によれば、第9類「電気通信機械器具」の下位分類「無線機械器具」に例示された「携帯用通信機械器具」の一種である。
これが「無線機械器具」であることは、商品の背面部分に「この機器は、電波法に基づく技術基準連合証明を受けた無線設備を内蔵しています」と書かれていることからも明らかである(乙3)。
(3)「バーコードリーダー」としての機能
商品が複数の機能を持つ場合には、二つ以上の類似群に該当するとの判断は、特許庁における実務においても、しばしば行われている。
特に、ニース協定により認められる指定商品の表示と類似商品審査基準との対応を見れば、一つの表示が複数の類似群に対応すると判断される場合は多い。
例えば、特許庁商標課編「商品・サービス国際分類表」の第9類のリストには、「電気通信機械器具」であると同時に「電子応用機械器具」とされている商品が散見され、類似群の表示には「11B01、11C01」と記載される。
すなわち、「Amplifiers、増幅器(A0269)」、「混線防止装置(A0351)」、「ボイラー用制御装置(B0518)」、「データ処理装置用カプラー(C0958)」、「磁気記録媒体(D0016)」、「光学記録媒体(D0017)」「データ処理装置(D0018)」などがある。
したがって、「ワイヤレスハンディターミナル(バーコード読み取り機能付き無線携帯端末)」も、これらの商品と同様に、その多機能性から、第9類の「電子応用機械器具」に属すると同時に「電通通信機械器具」にも属する商品である。
(4)本件商標の使用時期
本件商標は、被請求人が商標出願の前から本件商品に使用しており、乙第4号証の1は、2009年5月26日に被請求人のウェブサイトからその製品「PROGEAR」が掲載されているページをプリントアウトしたものである。
また、乙第4号証の2は、審判請求を受けた後にプリントアウトしたものである。
さらに、カタログ(乙2)の裏表紙には、バーコードの下に印刷の時期を表す数字として、「WEL TKY 10.1」とあるが、これは、2010年1月に印刷されたことを表している。
また、乙第5号証は、特許庁が被請求人に対して、その著作物の利用許諾を依頼した記録である。
乙第5号証の1は、被請求人に関する特許庁が作成した「著作物利用許諾リスト」であり、この中に最初に挙げられているのが、本件商品「PROGEARワイヤレスハンディターミナル」で、その「公知日/インターネットからの抽出日」は、2010年6月30日と記載されている。
乙第5号証の2は、リスト上の公知資料番号HC2200556200についての資料であり、端末画面右下に商標「PROGEAR」が付されている。
さらに、乙第5号証の3は、この端末の写真である。
これらの証拠から、本件商標は商標出願以前からこれまで継続してその指定商品「電気通信機械器具」について使用されていたことが分かる。
本件取消審判に対する使用の証明要件である、本件取消審判の予告登録日である平成25年(2013年)1月28日以前3年以内の使用については、カタログの印刷時期からも明らかであるが、さらに詳細な日付としては、特許庁の利用許諾リストのインターネットからの抽出日が該当する。
すなわち、2010年6月30日に、被請求人の商品がインターネット上に公開されていたことを示しており、この日付は、2013年1月28日前3年以内に該当する。
したがって、商標法第50条第2項の使用の時期的要件を満足する。
(5)本件商標の使用
本件商標は、標準文字で「PROGEAR」と書して成り、本件商標の使用の証拠である乙第2ないし5号証も、ゴシック体で「PROGEAR」と書されており、これら商標の態様は本件商標の同一の範囲であることは明らかである。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、第9類の指定商品「電気通信機械器具」の下分類として明示されている「無線機械器具」に含まれる「携帯用通信機械器具」の一種である「バーコード読み取り機能付き携帯用通信端末」に、本件取消審判請求の予告登録目前3年以内に、日本国内において、商標権者によって使用されていることが証明された。
したがって、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものではない。
よって、本件取消審判請求は成り立たない、との審決を求める。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証からは、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証は、「物流/運輸の現場で高信頼性を発揮するプロ仕様/PROGEAR/NEW」と題する商品カタログであり、その続葉頁には、「ワイヤレスハンディターミナル/PGR-100-G」と「ワイヤレス二次元ハンディターミナル/PGR-120-G」の両機器の写真が掲載されており、各々機器の画面右下に「PROGEAR」の文字が表示されている。
そして、同カタログの裏表紙には、バーコードの下に「WEL.TKY 10.1マルC3K」の表示があり、また、被請求人の名称及び住所等が表示されている。
(2)乙第3号証の1は、ワイヤレスハンディターミナルの背面部分を写したものであり、そこには、「この機器は電波法に基づく技術基準適合証明を受けた無線設備を内蔵しています」と記載されている。
また、乙第4号証の2には、「物流/運輸の現場で高信頼性を発揮するプロ仕様/製品の特長/高速読み取り/無線通信により現場のIT化をサポート・・・無線LANとBluetoothを標準搭載」の記載がある。
(3)乙第5号証の1は、特許庁において意匠の公知資料をデータベース化した「著作物利用許諾リスト」であり、「公知資料番号」の「HC2200556200」に対応する次文献(乙5の2)には、ワイヤレスハンディターミナルの写真が掲載され、当該機器の画面右下に「PROGEAR」の文字が表示されている。
そして、写真の下部には書誌情報として、「文献名/タイトル:Welcat Over the Wave ワイヤレスハンディターミナル PGR-100-G/PGR-120-G」及び「公知日(インターネットからの抽出日):2010/06/30」の記載がある。
なお、その書誌情報に記載の商品名及び型番は、カタログのものと一致する。
2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標、使用者について
商品カタログ(乙2)に表示された「PROGEAR」の文字(以下「使用商標」という。)は、本件商標とその綴り字を同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
また、同カタログの裏表紙には、被請求人であり、商標権者の名称「株式会社ウェルキャット」が住所、メールアドレスと共に記載されていることから、使用商標の使用者は商標権者と認められる。
(2)使用商品について
被請求人(商標権者)の使用商品は、商品カタログ(乙2)及び「著作物利用許諾リスト」の次文献(乙5の2)に表示されている「ワイヤレスハンディターミナル」(以下「使用商品」という。)と認められるところ、使用商品は、「バーコードリーダー」の機能を有した商品である一方で、電波法に基づく技術基準適合証明を受けた無線設備を内蔵した商品であり、無線通信により商品管理を行うその機能、用途等に照らし、使用商品は、本件指定商品中の「電気通信機械器具」の範ちゅうに含まれる「無線通信機械器具」にも相当する商品ということができる。
この点について請求人は、「『無線通信機能』は、収集したデータをパソコン等に転送する際の転送方法の一手段にすぎず、商品自体が二面性を有するものではない。」旨主張する。
しかしながら、上記認定のとおり、使用商品は、物流における商品管理を行ううえで、無線通信機能により遠隔操作可能とすることが、その商品の本質的な機能として極めて重要な要素といえるものであり、その機能、用途等に照らし、無線通信機械器具にも含まれる商品といえるものである。
よって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(3)使用時期について
本件審判の請求の登録は、平成25年1月28日にされたものであるところ、商品カタログ(乙2)の「WEL.TKY 10.1・・・」の記載及び被請求人の主張から、同カタログは、2010年1月に印刷されたものと推認し得る。
そして、商品カタログに表された使用商品と同型の商品が2010年6月30日インターネット上に公開されていたことが認められ、同カタログが本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されていたことが推認し得る。
(4)小括
以上のとおり、被請求人(商標権者)は、商品カタログ(乙2)に、本件商標と社会通念上同一の商標を付し、これを頒布していたものと推認し得る。
そして、被請求人(商標権者)の上記行為は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」の範ちゅうに含まれると認められる商品について本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、上記請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-08-21 
結審通知日 2013-08-26 
審決日 2013-09-10 
出願番号 商願2008-104401(T2008-104401) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官
大橋 良成
前山 るり子
登録日 2009-12-18 
登録番号 商標登録第5288169号(T5288169) 
商標の称呼 プロギア 
代理人 鳥羽 みさを 
代理人 上野 登 
代理人 長門 侃二 

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