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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201220162 | 審決 | 商標 |
不服201119200 | 審決 | 商標 |
不服201212066 | 審決 | 商標 |
無効2012890099 | 審決 | 商標 |
不服20138237 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X06 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X06 |
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管理番号 | 1280114 |
審判番号 | 不服2011-22244 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-10-14 |
確定日 | 2013-09-25 |
事件の表示 | 商願2009-86722拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ソリッドパイプ」の文字を標準文字で表してなり、第6類「木造建築用接合金物,その他の建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製金具」を指定商品として、平成21年11月16日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『ソリッドパイプ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ソリッド』の文字は、『(建物・基礎などが)しっかりした、堅固な』といった意味を有する語であり、また、『パイプ』の文字は『管、導管、筒、パイプ』の意味を表す親しまれた外来語であり、これらの語を結合させてなる本願商標は、『しっかりとしたパイプ』、『堅固なパイプ』程の意味合いを容易に想起させるものであるから、これをその指定商品中、『金属製パイプ』について使用した場合には、これに接する者をして、その商品が堅固な金属製パイプであることを理解させるにとどまり、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審においてした証拠調べ 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲記載の事実を発見したので、平成24年10月19日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、それを請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。 4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点 (1)「証拠調べ通知書」において示された事実には、「ソリッド」及び「solid」並びに「パイプ」及び「pipe」を一連に並記してなる「ソリッドパイプ」及び「solid pipe」の各文字についての記載は認められない。 (2)上記通知書の記載によれば、「ソリッド」の文字は、「かたいこと」等様々な語意を有するものであって、その用いられ方も多岐であり、特定の品質を意味する共通の語として用いられていないから、該文字は、商品の品質表示ではない。 5 当審の判断 本願商標は、前記1のとおり、「ソリッドパイプ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その文字構成に照らせば、容易に「ソリッド」の文字と「パイプ」の文字とを結合してなるものと看取され得るものである。 ところで、「ソリッド」の文字は、「固体状であるさま。堅固なさま。硬質であるさま。うつろでなく中まで密であるさま。」といった意味を有する語として、一般に知られているものであり、本願の指定商品を含む建築材料を取り扱う業界においても同様に、「固体の。むくの。中実の。中空でなく、どっしりと中身が詰まった状態。」といった意味を有するものとして知られ、かつ、例えば、「ソリッドワイヤー」や「ソリッド管」のように、ほかの語と結合した上で、上記意味に照応する商品の品質を表すものとして広く用いられているものである(別掲1及び2参照)。 また、「パイプ」の文字は、「流体を送るための管。構造体の部材。」といった意味を有する語として、本願の指定商品を含む建築材料を取り扱う業界においてはもとより、一般においても広く慣れ親しまれているものである。 そうとすると、「ソリッド」と「パイプ」の各文字を結合してなる本願商標をその指定商品中、「金属製パイプ」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その文字構成全体から容易に「むくで、中実のパイプ」ひいては「堅固なパイプ」程の意味合いを看取、理解し、商品の品質を表したものとして認識するにとどまるというのが相当である。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、「金属製パイプ」について使用するときは、単に商品の品質を表示するものと認識されるにすぎず、自他商品の出所識別標識として機能し得ないものであり、また、上記意味合いに照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。 なお、請求人は、「ソリッドパイプ」及び「solid pipe」の各文字が使用されている事実はなく、また、「ソリッド」の文字が、特定の品質を意味する共通の語として用いられている事実もないから、該文字を商品の品質を表示するものということはできない旨主張する。 しかしながら、本願商標を構成する「ソリッドパイプ」の文字又は該文字の欧文字表記「solid pipe」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、実際に使用されている事実が存しないとしても、本願の指定商品を含む建築材料を取り扱う業界における取引の実情に鑑みて、取引者、需要者が、本願商標から容易に「むくで、中実のパイプ」、「堅固なパイプ」程の意味合いを看取、理解し、これを商品の品質を表示したものとして認識するにとどまること、上述のとおりであるから、上記請求人の主張は、採用することができない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 辞書及び書籍における記載 (1)「ソリッド」及び「パイプ」の各文字の語義について ア 「ソリッド」の文字の語義 (ア)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)の「ソリッド[solid]」の見出し語の下、「1 かたいこと。堅固なこと。2 固体状であること。固形の。『-タイプ』」の記載がある。 (イ)「大辞泉 増補・新装版」(株式会社小学館発行)の「ソリッド[solid]」の見出し語の下、「1 固体。また、固体状であるさま。2 堅固なさま。硬質であるさま。また、うつろでなく中まで密であるさま。」の記載がある。 (ウ)「大辞林第三版」(株式会社三省堂発行)の「ソリッド[solid]」の見出し語の下、「1 かたいこと。堅実なこと。2 固体状であること。」の記載がある。 (エ)「コンサイスカタカナ語辞典第4版」(株式会社三省堂発行)の「ソリッド[solid]」の見出し語の下、「1 堅固なさま.しっかりしているさま.2 固体状であるさま.密度が大きいさま.」の記載がある。 (オ)「英和・和英機械用語図解辞典第2版」(株式会社日刊工業新聞社発行)の「solid ソリッド」の見出し語の下、「1 固体,固体の.2 むく,むくの,1体になった,中実のという意.例:ソリッドシャフト(solid shaft)=むく軸.」の記載がある。 (カ)「図解建築用語辞典(第2版)」(株式会社理工学社発行)の「ソリッド solid」の見出し語の下、「1 中空でなく,どっしりと中身が詰まった状態.」の記載がある。 (キ)「6000のワードで学ぶ 世界で一番やさしい 建築用語」(株式会社エクスナレッジ発行)の「乾式外装工事」の見出しの下、「【押出し形材】(省略)断面に中空部をもつ押出形材をホロー材(hollow)と呼び、中空部のないものをソリッド材という。」の記載がある。 イ 「パイプ」の文字の語義 (ア)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)の「パイプ[pipe]」の見出し語の下、「くだ。特に、水・ガスなどの輸送に使う管。導管。」の記載がある。 (イ)「コンサイスカタカナ語辞典第4版」(株式会社三省堂発行)の「パイプ[pipe]」の見出し語の下、「管.」の記載がある。 (ウ)「建築大辞典第2版<普及版>」(株式会社彰国社発行)の「パイプ pipe」の見出し語の下、「1 流体を送るための管.金属管,木管,陶管,プラスチック管,コンクリート管,エタニット管などがある.搬送する流体の内容や工法,配管の条件によってそれぞれ選択する.2 構造体の部材,建築現場の足場,飾り,手摺などに使用される鋼管.」の記載がある。 (エ)「6000のワードで学ぶ 世界で一番やさしい 建築用語」(株式会社エクスナレッジ発行)の「【パイプ】」の見出し語の下、「鋼管のこと。」の記載がある。 (2)「ソリッド」及び「solid」の文字を含む語の記載 ア 「[図解]建築施工用語辞典[改訂版]」(株式会社井上書院発行)の「ソリッドワイヤー<solid wire>」の見出し語の下、「溶接ワイヤーのうち、フラックスを内蔵しない中実のワイヤーをいう。」の記載がある。 イ 「インタープレス版 学術用語・JIS用語に基づく英和・和英 建築・土木5万語中辞典」(株式会社アルファベータ発行)に、以下の記載がある。 (ア)「solid beam」の見出し語の下、「単一梁」 (イ)「solid panel」の見出し語の下、「単一材パネル」 (ウ)「solid pier」の見出し語の下、「中実橋脚 ウ 「最新建築英和辞典」(日本ビジネスレポート株式会社発行)に、以下の記載がある。 (ア)「solid frame〔単材枠〕」の見出し語の下、「一材から作られた,ドアまたは窓の枠.部材を組み立てて作った物と区別される.」 (イ)「solid plasterwork」の見出し語の下、「中空でない芯を持ち,施行されたプラスター」 (ウ)「solid wall」の見出し語の下、「1.solid masonry wall.2.コンクリート壁.堅固なコンクリートの壁.」 エ 「建築術語事典(改訂第2版)」(株式会社オーム社発行)に、以下の記載がある。 (ア)「ソリッドキャスト・ドア solid cast door」の見出し語の下、「銀行などの金庫室の扉に用いられるもので,外郭をほとんど溶融点近くまで熱し,これを耐錆的で不燃焼の合金の溶解したものを注入し,これを漸次冷却したもので,これは一種の鋳鋼となる(省略)この合金は今日のところ何物にも破壊されない強力なものと見られている.」 (イ)「ソリッドスチール・ドア solid steel door」の見出し語の下、「銀行などの金庫室の扉として用いられ、扉全部が鋼材をもって造られたもので撃破力に耐えうる普通の鋼と、さん孔に耐えるCr鋼、酸素アセチレンガスに耐える不燃焼金属を重ね合わせたもの(省略)」の記載がある。 2 「ソリッド」の文字の使用例 (1)新聞記事データベースにおける使用例 ア 1979年(昭和54年)5月14日付け「日経産業新聞」(3頁)に、「モリ工業、クラッド管など成長商品の生産設備増強??装飾・応用分野への軌道に乗る。」の見出しの下、「小径ステンレス管のトップメーカー、モリ工業は産業界の景気回復基調を反映して同社のクラッド管(普通鋼管にステンレスを被覆した複合パイプ)やステンレス管への需要が増えているため、生産設備を増強することになった。モリ工業のクラッド管やステンレス・ソリッド管に対する需要が大きく伸び始めたのは手すり、飾りだななどの装飾管分野(クラッド管)や、クリーンヒーティング用の吸排気筒など新しい応用分野。」の記載がある。 イ 1994年(平成6年)9月30日付け日刊工業新聞(18頁)に、「アマダ、バンドソー用の多目的ブレードを発売。形鋼と丸棒の切断可能」の見出しの下、「これまでのブレードはH形鋼などの形鋼用と、丸棒などのソリッド材用に分かれていたが、新製品は両方の素材に使える。アマダでは『バンドソーのユーザーで形鋼だけ、ソリッド材だけというのではなく、一台の機械でいろいろな素材の切断を行うところが増えると見ており、そうした場合にこの製品が出ていく』(上田社長)と予想。」の記載がある。 ウ 1995年(平成7年)8月9日付け日刊工業新聞(14頁)に、「蝶理、独社と大口径プラスチック管で総代理店契約。下水管向け販売」の見出しの下、「この製品は内側がソリッド(固形)層、外側に中空層を巻き付けて、この二層を完全に接着させている。大口径の市場を狙って下水管、マンホール、ケミカルタンク向けに売り込んでいく。」の記載がある。 エ 1997年(平成9年)6月9日付け日刊工業新聞(9頁)に、「フランス、PVC分野のリサイクル技術開発が活発化」の見出しの下、「再生PVCの主用途は下水管とか排水管。アルファカン社(ラ・セル・サン・クル)は、再生原料を基に、独特の構造のパイプを実用化した。これは『Bipeau』プロセスという同時押し出し法で成形したもの。下水管、排水管に使用するもので、ソリッドタイプPVCパイプより二五-四○%軽量なのが利点の一つ。」の記載がある。 オ 2005年(平成17年)4月7日付け化学工業日報(2頁)に「デュポン、都内の高校に寄付、メタクリル人工大理石製ピペット台」の見出しの下、「デュポン コーリアンは天然の鉱物質を主体に、透明性、耐候性に優れるメチルメタクリレート(MMA)樹脂を融合したメタクリル樹脂強化無機材で、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れている。また均質のソリッド(無垢)材であることから、内部まで汚れが染み込みにくい特徴もある。」の記載がある。 (2)インターネットにおける使用例 ア 「モリ工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「クラッド管」の見出しの下、「高価なステンレス鋼を節約するため、普通鋼の鋼管の外周を、極薄のステンレス帯鋼で覆った二重管です。価格が、ステンレスソリッド管に比して20?50%も安いため、装飾用の分野では幅広く使用されています」の記載がある。 (http://www.mory.co.jp/product/stainless/clad.html) イ 「日本軽金属株式会社」のウェブサイトにおいて、「大型押出形材」の見出しの下、「(1)ソリッド材 中空部がない」、「(2)ホロー材 中空部がある」の記載がある。 (http://www.nikkeikin.co.jp/pages/products/products_p3/3d_01.html) ウ 「三協立山株式会社 三協マテリアル社」のウェブサイトにおいて、「技術紹介」の見出しの下、「押出形材製造範囲」の項に「最小形状」及び「最大形状」の見出しの各表があり、その表中の形状区分の項に「ソリッド」及び「ホロー」の記載がある。 (http://material.st-grp.co.jp/t_02_02.html) エ 「株式会社関西金属製作所」のウェブサイトにおいて、「アルミオーダー型材」の見出しの下、「製造範囲」の項に「6インチ?16インチまで可能です。ソリッドタイプとホロータイプがあります。」の記載とともに、各タイプの図が表されている。 (http://www.kankinss.com/syouhin/katazai/index.html) オ 「株式会社SPF」のウェブサイトにおいて、「化学工業向機器」の見出しの下、「SPFの作る化学工業向け機器」の項に「各素材、ソリッド(単一金属製)は勿論、短納期かつ経済性に優れた、異種金属クラッド工法『サンゼットR』(耐食素材を鉄などに接合)を駆使し、各種 塔・槽類、熱交換器、配管など、設計・製作承っております。」の記載がある。 (http://www.spf.co.jp/kagaku/index.html#netsu) カ 「共進金属工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「設備紹介」の見出しの下に、「■曲げ半径」の項に「1 ソリッド管 R=パイプ径の3倍 1 クラッド管 R=パイプ径の8倍」の記載がある。 (http://www.kyosin-kk.co.jp/profile/equipment.html) キ 「ニッカル商工株式会社」のウェブサイトにおいて、「アルミサンドイッチパネル(複合板)の仕様用途」の見出しの下、「ソリッドタイプ」の文字とともに、「ソリッドプラスチック板」の記載があり、該タイプの図が表されている。 (http://www.nikkal.net/archives/2009/04/post-19.html) (3)特許公報における記載 ア 公開特許公報「公開番号:特開09-300424」(【発明の名称】二層樹脂管の外層押出成形装置)の【発明の詳細な説明】の【0002】において、「例えば、内層が緻密・ソリッドな流体輸送管であり、外層が発泡樹脂層である断熱管がその一例である。」の記載があり、また、【0009】において、「図1は本発明に係る外層押出成形を用いて製造される定尺二層樹脂管材を示し、樹脂内層管aが無発泡の緻密な流体輸送に適したソリッド管であり、樹脂外層bが発泡樹脂層である。」の記載がある。 イ 公開特許公報「公開番号:特開2012-076129」(【発明の名称】金属二重管の製造方法)の【発明の詳細な説明】の【0005】において、「一重壁で構成されるソリッド管材は、内外面のいずれか一方面に発生した表面欠陥が他方面に伝播して肉厚方向に貫通した亀裂を発生しやすい。」の記載がある。 |
審理終結日 | 2013-06-11 |
結審通知日 | 2013-07-05 |
審決日 | 2013-07-19 |
出願番号 | 商願2009-86722(T2009-86722) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X06)
T 1 8・ 13- Z (X06) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 原田 信彦、瀬戸 俊晶 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 池田 佐代子 |
商標の称呼 | ソリッドパイプ、ソリッド |
代理人 | 江藤 剛 |
代理人 | 中島 重雄 |