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審決分類 審判 査定不服 商4条1項10号一般周知商標 登録しない X20
管理番号 1280099 
審判番号 不服2012-7131 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-19 
確定日 2013-10-10 
事件の表示 商願2011- 39588拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「オルトリリー」の片仮名を標準文字で表してなり、第20類「クッション,座布団,まくら,まくらカバー,マットレス,羽毛布団,掛け布団,敷き布団,布団カバー」を指定商品として、平成23年6月8日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年11月25日付けの手続補正書により、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、イタリア国所在のファベ社(Fabe.S.r.l)が商品『まくら』について使用し、本願商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されている商標『Ortolily』及び『オルトリリー』と同一又は類似であり、かつ、前記商品と同一又は類似の商品に使用するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知の要旨
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知し、意見を求めた。

4 証拠調べ通知に対する意見書の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、平成24年8月15日受付けの意見書において、以下のように意見を述べている。
(1)証拠調べ通知に記載された事例は、一つの事例を除き、請求人の販売先が運営するサイトへ誘導するためのものであり、また、請求人の別会社による販売サイトであり、請求人と何らかの関係があるものである。
(2)請求人は、ファベ社から、当該商標登録出願に係る商標を登録することに関して、直接承諾を得ていない。また、ファベ社に関しては、日本国内における専用代理店は存しない。
(3)まくら等は、外国から国内に大量に輸入され、多くの量販店で販売されており、その中においては、イタリアのファベ社が、寝具等のメーカーとして我が国消費者に対し、必ずしも周知であるとはいえない。ネット上に掲載されているからといって、必ずしも、ファベ社製まくらの商品名「Ortolily」を表示するものであるとして周知であるとはいえない。
(4)請求人は、真正商品であるファベ社のまくらについてのみ、商標「オルトリリー」を使用する予定であり、たとえ、ファベ社が直接国内において商品名「Ortolily」のまくらを販売しても、出所の混同が生ずることはないと考える。また、本願が商標登録された場合、ファベ社や請求人の卸し先に対して、権利行使はしない。
(5)イタリア語表記である「Ortolily」を日本語読みで「オルトリリー」としたのは請求人であり、インターネット上の検索で、これまでヒットすることとなったのは、請求人が輸入販売を仕掛けた結果である。

5 当審の判断
商標法第4条第1項第10号において、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」は、商標登録を受けることができない旨、規定されている。
以下、本願商標について、本号の該当性について検討する。
(1)ファベ社(Fabe.S.r.l)の使用する「Ortolily」及び「オルトリリー」の周知性について
「ファベ社(Fabe.S.r.l)」(以下「ファベ社」という。)は、そのホームページにおける会社概要(http://www.fabesrl.it/azienda/)によれば、1980年より、イタリア国において、まくらや寝具類の製造販売事業を開始し、まくらに「Ortolily」の商標(以下「引用商標1」という。)を使用しているものである(http://www.fabesrl.it/prodotti/ortolily/)。
そして、我が国においては、別掲2の証拠調べ通知のとおり、引用商標1の読みを表したものと認識し得る「オルトリリー」の商標(以下「引用商標2」という。)について、例えば「・・・販売するたび絶大な人気を誇る、ファベ社製の枕が登場!・・・」(同通知書中2.(1)及び(3))、「グレードアップしたイタリアファベ社製オルトリリー枕/大人気のファベ社製の枕がリニューアルして登場です!」(同通知書中2.(4))及び「販売するたび絶大な人気を誇る、イタリアファベ社から『オルトリリー枕』が新登場!・・・」(同通知書中2.(8))等の記載があり、その掲載時期は、2009年(平成21年)及び2010年(平成22年)であることが認められる。
また、「楽天ランキング 履歴 データベース」のウェブサイトによれば、「イタリア Fabeファベ社製オルトリリー枕」の2010年(平成22年)11月24日時点における楽天ランキングは、第7位であり(同通知書中2.(10))、引用商標2を使用したファベ社製のまくらが、我が国で高い人気を得たことを窺い知ることができる。
さらに、原査定において掲載したインターネット情報について、過去のウェブサイトの状態が確認できる「Internet Archive Wayback Machine」(http://archive.org/web/web.php)により検索したところ、「【参考】1.」は、2010年(平成22年)10月19日より、また、「同2.」は、同年6月30日より、それぞれ掲載されている事実が認められるものであり、その内容は、以下ア及びイのとおりである(なお、以下のアドレスは同サイトにより検索した結果のアドレスを記載した。)。
ア 「楽天」のサイト内「ブランド枕・寝具インテリアセレクトショップ ヌーン」の項に、「楽天ランキング急上昇!/第2位/オススメ度★★★★★/オルトペディコ枕のグレードアップ版/fabe社/オルトリリー枕」、「=オルトリリー【Ortolily】/売れ筋NO.1枕に高性能ウレタンを+プラスし進化したオルトペディコ枕。」の記載がある(http://web.archive.org/web/20101019062227/http://item.rakuten.co.jp/noone/ortolily)。
イ 「楽天」のサイト内「こだわり安眠館」の項に、「上記がイタリアファベ社製であることを表しています。/更に環境に優しいエコテックス100取得!/Ortolilyオルトリリーピロー」等の記載がある(http://web.archive.org/web/20100630230911/http://item.rakuten.co.jp/futon/m133-17wh)。
しかして、上記インターネットによる各情報が、たとえ、ファベ社以外のネット通販業者等によるものであるとしても、「Ortolily」及び「オルトリリー」の語が、ファベ社製の商品を表すものとして、写真付きで紹介されるなど、その広告宣伝等の内容及びその使用例等に照らせば、これに接する取引者・需要者は、ファベ社の取扱いに係る商標として認識し、取引に当たるとみるべきものである。
してみると、引用商標1及び2は、上記インターネットによる各情報によれば、遅くとも本願商標の出願日前である2010年(平成22年)には、ファベ社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認められるものであり、かつ、その周知性は査定時においても継続しているものとみるのが相当である。
(以下、引用商標1及び2を単に「引用商標」という場合がある。)
(2)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、「オルトリリー」の片仮名を標準文字で表してなるところ、該文字は、特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであり、その構成文字に相応して「オルトリリー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
一方、引用商標1は、「Ortolily」の欧文字を書してなり、また、引用商標2は、「オルトリリー」の片仮名よりなるところ、それぞれ特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであり、その構成文字に相応して「オルトリリー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
そこで、本願商標と引用商標を比較すると、本願商標と引用商標1とは、外観において相違し、観念においては比較できないとしても、「オルトリリー」の称呼を共通にするものであり、また、本願商標と引用商標2とは、観念においては比較できないとしても、外観及び「オルトリリー」の称呼を共通にするものであり、本願商標と引用商標とは、互いに紛らわしい類似の商標というべきである。
(3)本願指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品は、前記1のとおり、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」である。
そうすると、本願の指定商品「クッション,座布団,まくら,マットレス」と、引用商標に係る商品「まくら」とは、同一又は類似する商品である。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標「オルトリリー」は、ファベ社製のまくらを表示するものとして、遅くとも、本願商標の登録出願時に、需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であって、その商品「まくら」又はこれらに類似する商品について使用をするものであると判断するのが相当である。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、「証拠調べ通知に記載された事例は、請求人の別会社による販売サイトであり、請求人と何らかの関係があるものである。」旨主張し、また、「イタリアのファベ社が、寝具等のメーカーとして我が国消費者に対し、必ずしも周知であるとはいえず、ネット上に掲載されているからといって、必ずしも、ファベ社製まくらの商品名『Ortolily』を表示するものであるとして周知であるとはいえない。」旨主張する。
しかしながら、たとえ、証拠調べ通知に記載された事例が、請求人の販売先が運営するサイトへ誘導するためのサイトや請求人の別会社による販売サイトで、請求人と何らかの関係があるものだとしても、「Ortolily」及び「オルトリリー」の語が、ファベ社製の商品を表すものとして、写真付きで紹介されるなど、その広告宣伝等の内容及びその使用例等に照らせば、これに接する取引者・需要者は、ファベ社の取扱いに係る商標として認識し、取引に当たるとみるべきものであり、また、引用商標は、遅くとも本願商標の出願日前である2010年(平成22年)には、ファベ社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されており、かつ、その周知性は査定時においても継続していること前記(1)のとおりである。
よって、請求人の前記主張は採用することができない。
イ 請求人は、「請求人は、真正商品であるファベ社のまくらについてのみ、商標『オルトリリー』を使用する予定であり、たとえ、ファベ社が直接国内において商品名『Ortolily』のまくらを販売しても、出所の混同が生ずることはないと考える。また、本願が商標登録された場合、ファベ社や請求人の卸し先に対して、権利行使はしない。」旨述べている。
しかしながら、たとえ、請求人が真正商品のみに、商標「オルトリリー」を使用する予定であったとしても、上記したとおり、引用商標は、ファベ社の業務に係る商品「まくら」を表示するものとして、我が国においても広く認識されている商標といえるから、請求人が本願商標を、その指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、ファベ社の使用に係る周知な引用商標と、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
また、商標法第4条第1項第10号の趣旨は、主に商品又は役務の出所の混同を防止するための規定であって、仮に、請求人がファベ社や卸し先である会社や店舗に対し、権利行使をしないとしても、それによって、本願商標に接する取引者・需要者が、商品又は役務の出所の混同を生じるおそれがないとすることはできないから、係る請求人の主張も採用することはできない。
(6)結論
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして、拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知書の内容)
1.商標法第4条第1項第10号について
商標法第4条第1項第10号において、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」は、商標登録を受けることができない旨、規定されている。
そして、本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含み、また、全国的に認識されている商標のみならず、ある一地方で広く認識されている商標をも含むとされ、さらに、本号の規定を適用するために引用される商標は、商標登録出願の時に、我が国内の需要者の間に広く認識されていなければならない、と解されている(特許庁商標課編「商標審査基準」、「第3 第4条第1項及び第3項(不登録事由)」中、「八 第4条第1項第10号(他人の周知商標)」中、「1.2.」参照)。 そこで、以上を踏まえて、本願について証拠調べを実施したところ、下記2のように、「オルトリリー」又は「ORTOLILY」の文字が、本願の指定商品「まくら」について、本願商標の登録出願以前に、インターネット上において多数使用されていた事実が存するものである。
また、本願の指定商品「クッション,座布団,まくら,マットレス」は、ファベ社の商品「まくら」と同一又は類似するものである。

2.「まくら」について、本願商標の登録出願(平成23年(2011年)6月8日)以前に、「オルトリリー」「ORTOLILY」の文字が使用されていた事例について
(1)「??快眠サポート寝具専門店??らくらくショッピング」のウェブサイトにおいて、「イタリア ファベ社製 オルトリリー枕」の見出しの下、「イタリア ファベ社製 オルトリリー枕 のご紹介♪・・・販売するたび絶大な人気を誇る、ファべ社の枕が登場!・・・」の記載がある(掲載日:2009年06月16日)
(http://kaiminsupport.seesaa.net/article/121585514.html)。
(2)「【買い物上手】厳選商品を紹介!ここだけの話…」のウェブサイトにおいて、「イタリア ファベ社製 オルトリリー枕」の見出しの下、「皆さん、販売するたび絶大な人気を誇るファべ社製の枕ってご存知ですか?・・・」の記載がある(掲載日:2009年06月25日)(http://blog.livedoor.jp/kaimono_joho/archives/794046.html)。
(3)「通販商品人気ランキングショップ」のウェブサイトにおいて、「イタリアファベ社製オルトリリー枕通販」の見出しの下、「・・・●販売するたび絶大な人気を誇る、ファベ社の枕が登場!・・・」の記載がある(作成日:2009年6月30日)(http://ufumaga.at.webry.info/200906/article_12.html)。
(4)「いいもの通販モバイル店 バイヤーブログ」のウェブサイトにおいて、「グレードアップしたイタリア ファベ社製 オルトリリー枕」の見出しの下、「大人気のファベ社製の枕がニューリアルして登場です!・・・」の記載がある(掲載日:2009年09月12日)(http://blog.livedoor.jp/iimonotuuhan/archives/176688.html)。
(5)「drecom_fabeのブログ」のウェブサイトにおいて、「ファベ社 オルトリリーについて」の見出しの下、「ファベ社 オルトリリーは、ファベ社のメディカル(整体)枕が進化した、他では買えないネット限定品です。・・・頭を包みこんでくれるようで 寝心地がいい、という感想も多いんですよ。・・・」の記載がある(掲載日:2009年09月13日)(http://fabe.dreamlog.jp/archives/2463513.html)。
(6)「店長まりこの徒然日記」のウェブサイトにおいて、「イタリア ファベ社製 オルトリリー枕 販売開始」の見出しの下、「・・・当店通販ショップ 素敵への扉で販売するたび絶大な人気を誇る、あのイタリアはファべ社の枕がグレードアップして登場しましたのでご紹介します。・・・」の記載がある(掲載日:2010年06月28日)(http://sutekine.seesaa.net/archives/201006-1.html)。
(7)「寝具の通販情報」のウェブサイトにおいて、「イタリア ファベ社製 オルトリリー枕」の見出しの下、「●あの大人気『オルトペディコ枕』が進化して登場!NEWタイプの枕『オルトリリー枕』・・・」の記載がある(掲載日:2010年08月04日)(http://sleep.torablog.net/archives/day/20100804.html)。
(8)「厳選☆美容・健康オススメ通販情報」のウェブサイトにおいて、「オルトリリー枕(イタリア ファベ社製)ホテル並みリッチサイズ♪」の見出しの下、「販売するたび絶大な人気を誇る、イタリア ファべ社から『オルトリリー枕』が新登場!・・・」の記載がある(掲載日:2010年10月03日)(http://tenbiyoublog.blogspot.jp/2010/10/blog-post_04.html)。
(9)「布団通販 こだわり安眠館メルマガ バックナンバー」のウェブサイトにおいて、「■ホテルに枕がある理由■セカンドピロー(枕)生活」の見出しの下、「・・・イタリア FABEファベ社製▼ オルトリリー枕ORTOLILYまったりソフトな寝心地感・・・」の記載がある(掲載日:2010年11月08日)(http://blog.livedoor.jp/futon_futon/archives/1203129.html)。
(10)「楽天ランキング 履歴 データベース」のウェブサイトにおいて、「2010年11月24日 の『低反発枕』ジャンルの楽天ランキング」の見出しの下、「7位・・・イタリア FABEファベ社製オルトリリー枕 ・・・」の記載がある(http://rakuten.retail-ranking.com/20101124/500270.html)。

3.請求人とファベ社(イタリア国所在)の関係について
本願の請求人(出願人)は、平成23年11月25日付け意見書及び平成24年4月19日付け審判請求書において、請求人と株式会社アマックスコーポレーションによる合意書を提出しているが、請求人が、当該商標登録出願に係る商標を登録することに関して、ファベ社から直接承諾を得ているかどうかが不明である。


審理終結日 2013-04-01 
結審通知日 2013-04-02 
審決日 2013-04-15 
出願番号 商願2011-39588(T2011-39588) 
審決分類 T 1 8・ 25- Z (X20)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 和雄 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 大橋 良成
前山 るり子
商標の称呼 オルトリリー 
代理人 山本 健男 

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