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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20133712 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W072024
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W072024
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 W072024
管理番号 1280090 
審判番号 不服2013-589 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-15 
確定日 2013-10-15 
事件の表示 商願2012- 26923拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「TACHIKAWA」の欧文字を書してなり、第7類、第20類、第24類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年4月5日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における平成25年3月21日付け手続補正書により、第20類「屋内窓用ブラインド」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、東京都西部の市の名称である『立川』に通ずる『TACHIKAWA』の文字を横書きしてなり、商品の産地・販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標は、ありふれた氏の一つと認められる『立川』に通じる『TACHIKAWA』の文字を横書きしてなるものであり、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。」 と認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記1のとおり、「TACHIKAWA」の欧文字を普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」によれば、東京都西部の市である「立川」が存在することが認められ、日常の商取引において地名を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字等で表示する場合も決して少なくないものであるから、本願商標を構成する「TACHIKAWA」の文字は、地名の「立川」を欧文字で表記したものと認識するとみるのが相当である。
また、東京都立川市役所は、自身のホームページ(英語版)にて、市の名称である「立川」を欧文字で表記している実情が認められる。
してみれば、本願商標は、「TACHIKAWA」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるに過ぎず、東京都立川市を表示するものと容易に需要者に認識させるものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その商品が東京都立川市で製造、販売されたものであること、すなわち、商品の産地、販売地を表示したものと認識させるにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、東京都立川市以外にも「立川」の地名をもつ地域が存在することから、本願商標は、特定の地域・地名を想起させるというよりは、商品の出所を示すものとして認識される旨主張している。
しかしながら、「立川」の地名を表す地域が複数あるとしても、そのことを理由に、本願商標に接する需要者が、本願商標が商品の産地、販売地を表示するものと認識しないということはできない。
(2)商標法第3条第1項第4号について
本願商標は、前記1のとおり、「TACHIKAWA」の欧文字を普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、「立川」は、我が国において、約25,000人程度の者がいる(「日本の苗字七千傑」を表題とするウェブサイトhttp://www.myj7000.jp-biz.net/2000/1100f.htm等参照。)ことから、ありふれた氏と認められ、また、日常の商取引において氏を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字等で表示する場合も決して少なくないものであるから、本願商標を構成する「TACHIKAWA」の文字は、ありふれた氏である「立川」を欧文字で表記したものと認識するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第4号に該当するものである。
なお、請求人は、「TACHIKAWA」が「立川」以外にも「太刀川」「刀川」「立河」などの多くの氏の欧文字表記として使用されるものであるから、本願商標は特定の氏を想起させるというよりは、商品の出所を示すものとして認識される旨主張している。
しかしながら、「立川」は、氏の一つとして一般に広く知られているといえるものであり、「TACHIKAWA」から「立川」の氏を認識する場合も少なくないから、「太刀川」「刀川」「立河」などの氏を認識することがあることを理由に、本願商標がありふれた氏を表示するものと認識しないということはできない。
(3)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により、商標登録を受けることができる旨主張し、証拠方法として、甲第13号証ないし甲第41号証(枝番号を含む。)を提出しているので、以下、検討する。
ア 事実認定
(ア)請求人は、その前身である有限会社立川工業所を1938年5月に設立し、創業当初より、布製・木製ブラインド、ロールブラインド等のブラインド(以下「使用商品」という。)を製造し、1947年に株式会社に改組すると共に、現在の社名である「立川ブラインド工業株式会社」に社名を変更した。
そして、請求人は、グループ各社を含め、使用商品を中心に取り扱い、グループ全体の売上高は、1989年には400億円を超え、2011年も約372億円となっている。また、1957年には、全国10都市に営業所を開設し、2012年には、全国をエリアとして15の支店を有しているほか、多数の営業所を設置している(甲13、甲15、甲20ほか)。
(イ)請求人は、遅くとも昭和40年には、「TACHIKAWA」の商標(以下「使用商標」という。)を使用商品に係る商品カタログに使用したことが認められ、そのほか、サンプル帳、TVコマーシャル、展示会看板にも使用したことが認められる。特にカタログは、平成20年からの4年間に約170万部が発行されていることが認められる(甲23、24、30、31、32)。
また、使用商標は、使用商品やその梱包箱に付され(甲36、37)、使用商品はインテリア用品を取り扱う大手量販店のほか、1000店を超える全国各地の家具店やインテリア店で取り扱われていることが認められ、更に、大手住宅メーカーや工務店においても取り扱われていることが認められる。
イ 上記によれば、請求人は、遅くとも昭和40年には、使用商標を使用商品に使っており、相当程度のカタログを発行するなどの広告宣伝を行ってきたことが認められる。また、使用商標を付した使用商品が、インテリア用品を取り扱う大手量販店を含む小売店や大手住宅メーカーを含む建築業者により、全国で販売されてきたことが認められる。
そして、使用商標は、本件商標と実質的に同一視でき、本願商標の指定商品「屋内窓用ブラインド」も使用商品に係るものである。
そうとすれば、本願商標は、これが、その指定商品「屋内窓用ブラインド」について使用された結果、請求人を出所とする識別標識として、需要者が認識するに至ったものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものというべきである。
(4)結語
以上のとおりであるから、本願商標を商標法第3条第1項第3号、同第4号に該当するとして本願の登録を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2013-09-30 
出願番号 商願2012-26923(T2012-26923) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W072024)
T 1 8・ 14- WY (W072024)
T 1 8・ 13- WY (W072024)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 内藤 順子
小川 きみえ
商標の称呼 タチカワ 
代理人 佐藤 勝 
代理人 石黒 智晴 

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