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審決分類 審判 全部取消 商53条使用権者の不正使用による取消し 無効としない Z31
管理番号 1280079 
審判番号 取消2012-300729 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-09-13 
確定日 2013-09-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第4323578号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 請求の趣旨中,「商標法第53条第1項の規定により,登録第4323578号商標について登録を取り消す。」については,その請求は,成り立たない。 請求の趣旨中,「被請求人は商標法第74条第1項第1号に違反したとの違法の確認を行う。」との請求は,却下する。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の取消しの審判
1 本件商標
本件商標登録の取消しの審判に係る,登録第4323578号商標(以下「本件商標」という。)は,商標の構成を,別掲(1)に示すものとし,平成10年4月10日に登録出願され,第31類「いちご」を指定商品として,平成11年8月20日に登録査定,同年10月8日に設定登録され,その後,同21年9月15日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。
2 本件商標登録の取消しの審判
本件商標登録の取消しの審判は,以下の二点を求めるものであり,その予告登録が,平成24年10月1日になされているものである。
(1)商標法第53条第1項の規定に基づく商標登録の取消し
(2)被請求人は商標法第74条第1項第1号に違反したとの違法確認請求
3 審理事項通知書
審判長は,本件審判請求人(以下「請求人」という。)による,本件審判請求の理由が商標法第53条第1項の要件に照らして明確とはいえないので,請求人に対して,以下の(1)ないし(3)の要件について,平成25年3月14日の口頭審理期日において,口頭審理陳述要領書により明確にするよう,平成25年1月25日付審理事項通知書により指示をした。
(1)使用者(通常使用権者)の特定
(2)使用者(通常使用権者)が使用する商標の特定と当該商標と登録商標の類否について
(3)商品の品質の誤認を生ずるものをしたとする具体的な理由
他方,審判長は,被請求人対して,請求人から口頭審理陳述要領書が提出された場合,それに対応した主張を整理して,上記の口頭審理期日において口頭審理陳述要領書により主張するよう,平成25年1月25日付審理事項通知書により指示をした。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は,1.商標法第53条第1項の規定により,登録第4323578号商標について登録を取り消す。2.被請求人は商標法第74条第1項第1号に違反したとの違法の確認を行う。3.審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び口頭審理期日における陳述を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
2 請求の理由及び口頭審理期日(平成25年2月19日付及び同年3月14日付の口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)使用者(通常使用権者)の特定
使用者は,JA徳島市の組合人であるところの被審判請求人(以下「被請求人」という。)及びももいちご部会の会員であるイチゴ品種「あかねっ娘」の生産者達。加えて,先の審判及び裁判(取消2010-300840,平成23年(行ケ)第10243号,以下「先の審判及び裁判」と表す。)で被請求人が通常使用権者であると主張するアイスクリーム屋の「ともだ」及び「フルーツキング ミズノ」。
これら全員が本件取消審判に関与する使用者である。個人を特定するのは無意味と思うが,あえて特定するなら被請求人及びももいちご部会の生産者番号21番と43番の生産者(本件甲第6号証及び甲第10号証)の3名である。
(2)使用者(通常使用権者)が使用する商標の特定と当該商標と登録商標の類否について
ア 使用者(通常使用権者)が使用する商標の特定
本件商標は,商標登録第4323578号であるところ,使用者(通常使用権者)が使用する商標は,甲第1号証の写真(別掲(2)に示すもの。)及び甲第10号証の写真(別掲(3)に示すもの。)に示す,赤筆文字「ももいちご」の商標である。
イ 商標の使用年月日の特定
甲第1号証及び甲第10号証の写真に示された商品は,請求人がインターネット経由で注文したものであり,その後10日程経過した平成22年2月13日に当該商品が届けられ,これを同日,請求人が撮影したものである。
ウ 当該商標と登録商標の類否について
赤筆文字「ももいちご」の部分が商標法第53条にある「これに類似する商標の使用」にあたることは,読みが同じこと及び,本件二段併記商標の上段部分を字体を変更する形で表記したものであることから明らかである。
また,類似する商標の使用であることは,「登録第4323578号/平成10年商標登録願第30450号」の二段併記表示(甲第1号証)が赤筆文字「ももいちご」のすぐ右下に書かれていることからもそういえる。被請求人もこれが本件商標のこと(類似)である旨を先の審判及び裁判で主張しており,そうではないなどと今更被請求人が主張することは,禁反言則に反し許されない。
(3)商品の品質の誤認を生ずるものをしたとする具体的な理由
ア イチゴ品種「あかねっ娘」を「ももいちご」として販売していたこと
本件商標の通常使用権者らは,本件商標と類似の商標(赤筆文字「ももいちご」)を使用して,普通の一般的なイチゴ品種であるところの「あかねっ娘」を,佐那河内村の36軒の農家でしか栽培されていない希少価値のあるイチゴ品種「ももいちご」として販売していた。一般的なイチゴ品種である「あかねっ娘」を被請求人が品種改良して作り出したイチゴ品種で,36軒の農家でしか栽培されていない希少価値のあるイチゴ品種「ももいちご」として販売していたのであるから,これは「商品の品質の誤認を生ずるもの」にあたる。
イ 商品の箱に「登録第4323578号」と表示したこと
甲第1号証の商品の箱には,「登録第4323578号/平成10年商標登録願第30450号」と二段併記があり,下段が商標登録に関連した番号であれば,上段をなにか品種登録に関係した番号と,需要者が誤認するのは無理からぬことである。
実際には,上段の「登録第4323578号」は本件商標の登録番号を表しているわけであるが,「商標登録第4323578号」となっておらず,被請求人らは意図的に「商標」の文字を表示していないので,需要者に品質の誤認を引き起こしたものである。
(4)商標法第74条第1項第1号違反の事実
本件商標の通常使用権者らは種苗法上の品種登録番号と紛らわしい「登録第4323578号」なる表示を「ももいちご」商品に付し販売し,これが商標(ブランド名)と品種の誤認を需要者にもたらしたのは明らかである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁及び口頭審理期日における陳述において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 答弁書における主張
(1)商標の不正使用は存在し得ない
請求人の主張は論旨が不明瞭で,本来主張できない事項も含まれている上,理解が困難な箇所も多々存在するが,善解すると,審判請求書3頁に「(c)被請求人らの贈答用化粧箱の使用における商標法第53条違反」とあることから,甲第1号証に示す贈答用化粧箱に付した「ももいちご商標」の使用が,本件商標「ももいちご/百壱五」の不正使用に該当するというものと思われる。
しかしながら,甲第1号証に係る「ももいちご商標」の使用は,本件商標の使用とは認められていない以上(乙第2号証及び乙第3号証),該商標の使用を前提として生じ得る不正使用も起こり得ないことは当然であり,よって請求人の主張は成立し得ない。
(2)商品の品質の誤認は存在し得ない
仮に,甲第1号証に係るももいちご商標が本件商標に類似すると善解した上で,商品の品質の誤認について検討しても,該使用によって需要者ないし取引者が現実に品質の誤認という不利益を被ったとの事実が主張,立証されていないばかりか,どのような理由で品質の誤認を生じ得るのかという理論すらも成立しておらず,いずれにしても失当である。
2 口頭審理期日(平成25年3月7日付口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)使用者の特定
請求人は単に通常使用権者全員を挙げているだけで,具体的に特定していない。
また,「あえて特定するなら被請求人及びももいちご部会の生産者番号21番と43番の生産者(本件甲第6号証及び甲第10号証)の3名である。」とのことである。まず被請求人は商標権者であるので,本件の審理の対象となり得ず,請求人は審判請求の趣旨を誤っている。
また,「ももいちご部会の生産者番号21番」について,「一般用4パック詰め箱」で販売された「ももいちご商品」の生産者は,本件では書証自体が提出されておらず,立証されていない。
さらに「ももいちご部会の生産者番号43番」について,「贈答用化粧箱」に係る生産者と甲第1号証との関係が曖昧である上,ももいちご商品も示されていない。
加えて,これらの入手時期について「平成22年2月中旬頃本件審判請求人らがインターネットで購入したものである。」とあるだけで,具体的な日付や購入の事実も立証されていない。これでは品質誤認行為自体が特定できていないと考える。
(2)使用する商標の特定と類否
請求人の特定は不十分且つ不適切である。
甲第1号証の「赤筆文字『ももいちご』」については,該商標の使用が商標法第50条でいう本件商標の使用に当たらないことは,知財高裁判決(平成23年(行ケ)第10243号:乙第3号証)及び特許庁の審決(取消2010-300840:乙第2号証)からも明らかである。また,請求人は商標法第53条でいう本件商標の使用に該当するという根拠を何ら立証していない。
(3)商品の品質の誤認を生ずるものをしたとする具体的な理由
請求人の述べる理由は不十分且つ不適切である。請求人は「商品の品質の誤認」を誤解していると思われる。
いうまでもなく本審判制度は,商標権の自由な使用許諾を認めたことの弊害を防止するために設けられた規定であって,「商品の品質の誤認」とは,通常,使用権者の使用によって,商標権者の商品よりも劣悪な商品を提供して需要者の期待を裏切った場合に該当するとされている。本件において商標権者は,JA徳島市佐那河内支所の「ももいちご部会」のメンバーであり,また使用権者であるJA徳島市佐那河内支所では「ももいちご商品」の出荷前に厳重な品質管理を行っていることから,商標権者のももいちご商品よりも劣悪な使用権者のももいちご商品が,市場に出回ることはあり得ないと考える。
(4)虚偽表示に対する反論
また請求人は併せて,商標法第74条第1項第1号違反にも言及しているが,本審判請求が商標法第53条第1項に基づいて行われている以上,該主張は本件の審理において認められるものでない。よって,このような不適法な主張を含む審判請求は,不適法な請求として却下されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第53条第1項(以下「本条項」という場合がある。)に基づく取消審判請求について
請求人が特定した登録商標と類似する商標の使用行為は,平成22年2月13日頃,生産者番号43が,あかねっ娘という品種のいちごに,別掲(2)ないし別掲(3)の写真に示す贈答用化粧箱上面に表示されている,赤筆文字「ももいちご」の商標(以下「本件使用商標」という。)を付して販売したというものであると解される。このほか,請求人は,被請求人,ももいちご部会の会員であるイチゴ品種「あかねっ娘」の生産者達,アイスクリーム屋の「ともだ」,「フルーツキング ミズノ」,ももいちご部会の生産者番号21番等を使用権者として主張するが,これらの者については,商標使用行為の特定がなく,主張自体失当である。
そこで,請求人の主張する上記の使用行為が本条項の規定に該当するものであるか否かについて,以下,検討する。
(1)使用権者について
甲第10号証の贈答用化粧箱には,「本件使用商標」とともに,生産者番号と推認される「43」の数字がいちごのシルエット図形内に表示されており,これによれば,生産者番号43番の生産者が本件商標の通常使用権者であると判断することができる。
この点に関して,被請求人も,生産者番号43番の生産者が本件使用商標の通常使用権者であるとの請求人の主張を争ってはいない(口頭審理期日における陳述の趣旨)。
(2)通常使用権者が使用する商標の特定と当該商標と本件商標の類否について
ア 請求人による使用商標の特定と本件商標との類否
請求人は,通常使用権者が使用する商標は,甲第1号証の写真及び甲第10号証の写真に示す贈答用化粧箱上面に表示されている本件使用商標「ももいちご」であると主張し,この写真は,請求人がインターネット経由で注文した商品を,平成22年2月13日に撮影したものであると主張している。
そして,請求人は,本件使用商標が商標法第53条にある「これに類似する商標の使用」にあたると主張している。
イ 甲第1号証と甲第10号証の関係について
審判長は,甲第1号証によっては,これが商標法第53条の要件である,「専用使用権者又は通常使用権者」,及び「商品の品質・・・の誤認・・・を生ずるものをしたとき」,すなわち,誰がいつ本条項に規定する行為をしたのかが特定できないことから,請求人に対して,前記したように審理事項通知書をもって,この点ほかを明確にすることを求めたところである。
これに対して,請求人は,平成25年3月14日の口頭審理期日において,同年2月19日付及び同年3月14日付の陳述要領書をもって,使用権者を特定する主張,及び本件使用商標の使用時期を特定する主張について陳述をした。
甲第10号証は,その主張を立証するものとして提出されたものである。そして,甲第1号証及び甲第10号証に示された,商品「いちご」の贈答用化粧箱は,その上面に表示された文字や図柄,側面の色彩等が同じであることから,同じものを角度を変えて撮影したものと判断され,また,甲第10号証に示された「iフォト」のフォルダー(2010_02_13と自動記載)の日付に不自然なところはないと判断されるから,以下,本件使用商標,通常使用権者及び使用の時期は,甲第10号証により特定されたものと判断して,審理をする。
ウ 本件使用商標は商標として使用されているか
甲第10号証には,別掲(3)に示すように,贈答用化粧箱の上面左上部に「佐那河内の」文字が表示され,この下部に,箱の上面全面に,左上から右下にかけて,斜め縦書きで一連に「ももいちご」の文字(本件使用商標)を表してなるものである。このうち「もも」の文字は「いちご」の文字よりやや小さく表示されてはいるものの,「もも」と「いちご」の文字が分離して把握される構成であるとはいえず,本件使用商標は,それ自体,商品「いちご」の商標として使用されているものと判断される。
エ 本件使用商標は本件商標と類似するか
本件商標は,別掲(1)に示すように,ひらがなで「ももいちご」と大書し,この下部に,上部のひらがな文字とほぼ同じ横幅で「百壱五」との漢字を書してなるものである。そして,この「ももいちご」の文字は,下部の文字と同じ幅で大きく表されていることから,下部の漢字の読みを特定するような,ふりがな的表示方法とはいえないと判断され,この文字部分自体も自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
これに対して,本件使用商標は,別掲(3)に示すように,贈答用化粧箱の上面全面に,左上から右下にかけて,斜め縦書きで一連に「ももいちご」の文字を表してなるものである。そして,前記したように,「もも」の文字が「いちご」の文字よりやや小さく表示されてはいるものの,「もも」と「いちご」の文字が分離して把握される構成であるとはいえないと判断され,本件使用商標「ももいちご」は,商品「いちご」の商標として使用されているといえるものである。
そして,本件商標中の「ももいちご」の文字と,本件使用商標とは,表示の方法に横書きと,左上から右下にかけての斜め縦書きとの差異があるとはいえ,文字の構成を同じくするものであり,「モモイチゴ」の称呼を同一にすることから,互いに類似するものといえ,本件商標と本件使用商標とは「ももいちご」の文字部分において類似する商標というべきである。
(3)使用権者による本件使用商標の使用行為
甲第1号証及び甲第10号証並びに請求の理由,答弁及び口頭審理期日における陳述の全趣旨によれば,平成22年2月13日頃,通常使用権者である生産者番号43番の生産者が,本件商標の指定商品である「いちご」に,本件商標と類似する本件使用商標「ももいちご」を付して販売したことが認められる。
(4)本件使用商標の使用は商品の品質の誤認を生ずるものをしたといえるか
ア 使用権者による本件使用商標の使用行為について
商標法第53条第1項の趣旨は,商標権者から使用許諾を受けた専用使用権者又は通常使用権者が,指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標を不当に使用して需要者に商品の品質又は役務の質の誤認や商品又は役務の出所の混同を生じさせた場合における制裁規定であり,現行商標法において自由に使用許諾を認めたことに対する弊害防止の規定というのが相当である。
また,本条項に規定する,「商品の品質若しくは役務の質の誤認・・・を生ずるもの」とは,専用使用権者又は通常使用権者が,登録商標又はこれに類似する商標を使用することにより,例えば,商標権者の商品又は役務より劣悪な商品又は役務を提供して需要者の期待を裏切った場合や,当該登録商標の指定商品又は役務とは異なる商品又は役務について使用することにより商品の品質若しくは役務の質の誤認を生じさせた場合をいうものと解するのが相当である。
これを本件についてみるに,上記(3)のとおり,生産者番号43番の生産者が,本件商標の指定商品である「いちご」について,本件商標と類似する本件使用商標を使用したことは認められる。しかし,当該「いちご」の品質が,商標権者の商品「いちご」より劣悪な品質のものであるとか,生産者番号43番の生産者が,本件使用商標を本件商標の指定商品である「いちご」以外の商品に使用したとの事実を認めることはできない。
そうであれば,通常使用権者である生産者番号43番の生産者が,本件使用商標を使用することにより,本条項でいう商品の品質の誤認を生ずるものをしたということはできないといわなければならない。
イ 請求人の主張について
(ア)イチゴ品種「あかねっ娘」を「ももいちご」として販売したこと
請求人は,一般的なイチゴ品種である「あかねっ娘」を,通常使用権者が,36軒の農家でしか栽培されていない希少価値のあるイチゴ品種「ももいちご」として販売していたのであるから,これは「商品の品質の誤認を生ずるもの」にあたる旨主張している。
しかしながら,本件商標の指定商品は「いちご」であるところ,本件において提出された全証拠によるも,本件において,本件使用商標が使用された商品が「いちご」であることは確認できるものの,これがイチゴ品種「あかねっ娘」であることは確認することができない。
なお,「ももいちご」を希少価値のあるイチゴ品種であるとする請求人の主張に関し,甲第3号証の「大阪本場青果卸売協同組合HP」に,「●ももいちごの開発/…産地の風土や季候を生かした栽培方法で,共同開発した品種です。」として,「ももいいちご」を「品種」と説明した記載がある。しかし,甲第3号証は,その前段に「…その姿形と,桃のようなジューシーな所から『ももいちご』と命名されました。」とあり,ここにいう「品種」は,種苗法等において登録された「品種」として表示しているのではなく,日常用語として使用しているにすぎず,いちごの名称(ブランド)として理解し,表示しているものとみるのが相当である。
そうすると,たとえ,生産者番号43番の生産者が,イチゴ品種の「あかねっ娘」に,「ももいちご」との商標を付して販売したとしても,それは,通常の商標の使用といえるものであって,本条項でいう「商品の品質の誤認を生ずるもの」ということはできない。
よって,上記の請求人の主張は,採用することはできない。
(イ)商品の箱に「登録第4323578号」と表示したこと
請求人は,甲第1号証の商品の箱には,「登録第4323578号/平成10年商標登録願第30450号」と二段併記があり,下段が商標登録に関連した番号であれば,上段をなにか品種登録に関係した番号と,需要者が誤認するのは無理からぬことである。実際には,上段の「登録第4323578号」は本件商標の登録番号を表しているわけであるが,「商標登録第4323578号」となっておらず,被請求人らは意図的に「商標」の文字を表示していないので,需要者に品質の誤認を引き起こしたものである。本件商標の通常使用権者らは商標法第74条に違反を犯している。その法律違反に伴い種苗法上の品種登録番号と紛らわしい「登録第4323578号」なる表示を「ももいちご」商品に付し販売し,これが商標(ブランド名)と品種の誤認を需要者にもたらしたのは明らかであると主張している。
確かに,甲第1号証の贈答用化粧箱には,「登録第4323578号」との表示がされていることが確認できる。しかし,同時に,その下部には,これと二段併記した表示方法をもって「平成10年商標登録願第30450号」との表示がされていることが認められる。
したがって,このような表示方法に接する需要者は,上段部分は商標の登録番号を表示し,下段部分は商標の出願番号を表示したものと理解することができ,このような表示方法をもって,需要者が,上段部の番号が種苗法上の品種登録番号などと誤認することはないものと判断される。
したがって,請求人が主張する意味における商品の品質の誤認を生じさせることはないものというべきである。
よって,この点についての請求人の主張は,採用することはできない。
(5)通常使用権者による本件使用商標についての商標法第53条第1項の該当性の判断
以上によれば,通常使用権者である生産者番号43番の生産者が,商品「いちご」について,本件商標と類似する本件使用商標「ももいちご」を,平成22年2月13日頃,使用したことは認められるものの,その行為は,同法第53条第1項にいう「商品の品質の誤認を生ずるものをした」と認めることはできないものである。
したがって,商標法第53条第1項の規定に基づく商標登録の取消しを求める請求人の主張は,採用することはできない。
2 被請求人が商標法第74条第1項第1号に違反したとの違法確認請求について
前記したように,商標法は,虚偽表示の禁止を定めた商標法第74条に該当する行為がなされているか否かについて,審判合議体が審理できるとは定めていない。
したがって,請求人による,商標法第74条第1項第1号に違反したとの違法確認請求は,不適法な審判の請求であって,その補正をすることができないものであるから,商標法第56条で準用する特許法第135条の規定により,却下すべきものである。
3 まとめ
以上のとおりであるから,本件請求人の本件審判請求について,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)
本件商標



別掲(2)
甲第1号証

(色彩は原本参照のこと)


別掲(3)
甲第10号証

(色彩は原本参照のこと)



審決日 2013-03-29 
出願番号 商願平10-30450 
審決分類 T 1 31・ 5- Y (Z31)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博内藤 順子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
鈴木 修
登録日 1999-10-08 
登録番号 商標登録第4323578号(T4323578) 
商標の称呼 モモイチゴ、ヒャクイチゴ 
代理人 豊栖 康弘 
代理人 豊栖 康司 
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