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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X07
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X07
管理番号 1280051 
審判番号 不服2012-10238 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-01 
確定日 2013-09-11 
事件の表示 商願2010-93218拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成22年12月1日に立体商標として登録出願されたものである。そして、本願に係る指定商品については、原審における同23年8月9日付け手続補正書によって、第7類「プラスチック製止め輪(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、半円の開口部を有する薄い板状の形状からなるところ、本形状は、本願に係る指定商品との関係においては、『止め輪(軸又は穴に付けた溝にはめて、軸方向の移動を防ぐ輪状のばね)』の一形態を表したものと容易に認識されるというのが相当である。してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者等は、単にその商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、『本願商標に係る商品は、多数メーカーに長年にわたり納入してきたものであることから、同種の商品等の形状から区別し得る程度に周知となっており、需要者が出願人の業務に係る商品等であることを認識することができるに至った立体商標であり、識別力を有する。』旨主張し、主な納入先と、納入個数が記載された書類を提出しているが、当該書類からは、実際に使用している商標並びに商品、使用開始時期、使用期間、営業の規模等を把握することができず、また、納入先と納入個数についても、注文伝票等の客観的な証拠が提出されていないから、本願商標が使用による識別力を有するに至ったものと認めることはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした審尋(要旨)
当審において、請求人は、長年にわたり本願商標の形状からなるプラスチック製の止め輪を大量に製造販売してきたことから、本願商標は、同種の商品の形状から区別し得る程度に周知となっており、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った立体商標である旨主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(参考資料1ないし4を含む。)を提出しているが、その提出に係る甲各号証をみても、請求人の上記主張を認めるに足りないことから、当審判合議体は、請求人に対し、本願商標は、商品「プラスチック製止め輪(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」について使用した結果、商標法第3条第2項の要件を具備するとの主張を明示するとともに、その証左を提出されたい旨審尋した。

第4 審尋に対する請求人の回答の要点
1 請求人は、本願商標の形状からなるプラスチック製止め輪が、特別顕著性を有することを証明する証拠方法として、「使用により出所表示機能を持つに至り特別顕著性を有するに至った商標と認むべき証明書」(甲第3号証の1ないし28)を提出した。
2 提出済みの甲各号証によれば、本願商標の形状からなるプラスチック製止め輪は、本願出願日前の1990年(平成2年)11月以降に、その代理店又は特約店を介して各ユーザへの納品が開始されたものである。また、甲第3号証の21によれば、本願商標の形状からなるプラスチック製止め輪は、遅くとも本願出願日前の平成4年1月18日から、代理店又は特約店を介して、大手メーカーを含むユーザーに、プリンター、複写機等に組み付ける部品として長年にわたり使用されてきた結果、請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなった。
3 甲第2号証の1ないし15及び参考資料2によれば、甲第3号証の1ないし23の証明者を含む代理店又は特約店への平成23年8月分と9月分の総個数は、約2,000万個となる。また、参考資料3によれば、平成21年10月1日ないし平成23年9月30日の2年間で約2億5千万個が製造販売されている。以上のことからすると、発売開始から現在まで大量に使用されていることも、紛れもない事実である。
4 よって、本願商標の形状からなるプラスチック製止め輪は、大手メーカーを含む多数のメーカーに対し長年にわたり納入されてきたもので、同種の商品等の形状から区別し得る程度に周知となっており、需要者が出願人の業務に係る商品等であることを認識することができるに至った立体商標である。したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備していることは、明らかである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
(1)立体商標における商品等の立体的形状
商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。
しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。
ア 商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、同号に該当すると解するのが相当である。
イ また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、同号に該当するものというべきである。
けだし、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から適切でないからである。
ウ さらに、需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。
けだし、商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に、商品等の機能の観点からは発明ないし考案として、商品等の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、商品等の形状について、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反するからである。
エ 他方、商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠とまでは評価されない立体的形状については、それが商品等の機能を効果的に発揮させ、商品等の美感を追求する目的により選択される形状であったとしても、商品等の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられ、又は使用をされた結果、その形状が自他商品識別力を獲得した場合には、商標登録を受けることができるものとされている(商標法第3条第2項)(知財高裁平成18年(行ケ)10555号 平成23年4月21日判決言渡、知財高裁平成19(行ケ)10215号 平成20年5月29日判決言渡、知財高裁平成22年(行ケ)10366号平成23年4月21日判決言渡)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、別掲のとおりの構成からなるものであって、その指定商品を「プラスチック製止め輪(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」とするものであるところ、「止め輪」とは、「スナップリングまたはリテーナと称されることが多く平板状のばね材を利用して軸または穴に設けられた溝にこれらを挿入して軸方向の移動を止めるもので、スラストに対する十分な強度が必要とされる」ものであり、その代表的な形状には、「C型止め輪」、「C型同心止め輪」、「E型止め輪」、「グリップ止め輪」等があり、また、その材料については、例えば、止め輪の種類に応じて、「JISG3311」、「JISG3506」、「JISG3521」、「JISG4313」及び「JISG4401」(鋼材)のように規定されているものがある(「機械設計 第54巻 第9号 2010年9月号」、株式会社日刊工業新聞社発行)。
イ ところで、請求人(出願人)は、原審ないし当審を通じて、本願商標が自他商品識別力を有するものである旨の主張をし、その理由を概ね以下のように説明している。
(ア)原審の拒絶理由通知書において提示された「止め輪」は金属製であることから、「C型」の場合は、全体的に幅の狭いC型板状に形成することで、着脱時の変形容易性を確保しており、「E型」の場合は,外周部の下部中央に外周側へ拡開する開口部を設けたC型状の基材の内周部に両側部に幅広な内側切欠部を形成して、基材における内側切欠部の形成部位の幅を狭くし、この内側切欠部により基材の内周部に形成された3個の突片部の内側縁部を、軸における装着部位の外周面に外接可能とすることで、大半部分が幅狭となって、着脱時の変形容易性を確保している。よって、「軸に付けた溝にはめて、軸方向の移動を防ぐ輪状のばね」を実現する形態としては、変形容易性を確保して着脱作業が容易なものにすることが不可欠であり、よって内外周部間が狭い形状であることが、金属製止め輪の形状の範囲であることに不可欠であると認められる。
これに対し、本願商標はプラスチック製で、通常の金属製止め輪と比較して、厚さを同一にしても変形容易性は極めて優れている反面、スラスト荷重に対する強度を補うために、通常の金属製止め輪ではあり得ない形状、具体的には、上部が凸円周状で中央に円弧状の切欠きを有し、両側部を平行な直線状に形成した概ね逆U字板状の基材の中央内周部を、軸における装着部位の外周面に外接可能とし、基材の幅、すなわち外周部と中央内周部との間の間隔を広く形成し、この中央内周部に連通する開口部を下方側へ拡開するように形成したもので、幅が広く両サイドが真っ直ぐな略馬蹄形板状を呈している。
(イ)軸や軸受けのような機械要素でプラスチック製の商品が販売されているのは散見されるが、軸に付けた溝にはめて、軸方向の移動を防ぐ止め輪に関しては、プラスチック製の止め輪を製造販売するメーカーは請求人(出願人)だけである。すなわち、軸に付けた溝にはめて、軸方向の移動を防ぐ止め輪に関しては、プラスチック製のものにすること自体が、当業者であっても想定外であったとするのが自然である。
そして、原審の拒絶理由通知書において提示された止め輪を単にプラスチック製にしたものすらないのは、強度低下等の危険性を孕んでいるのであり、これを解消すべく、本願商標の形状は、上部が凸円周状で中央に円弧状の切欠きを有し、両側部を平行な直線状に形成した概ね逆U字板状の基材の中央内周部を、軸における装着部位の外周面に外接可能とし、基材の幅、すなわち外周部と中央内周部との間の間隔を広く形成し、この中央内周部に連通する開口部を下方側へ拡開するように形成したもので、幅が広く両サイドが真っ直ぐな略馬蹄形板状を呈しており、プラスチック製であること故にかかる形状に形成でき、使用に供せるようになったのである。そこには、通常の金属製止め輪では想定し得ない技術的創作性があり、技術的課題を解決した本願商標の形態は、誠に斬新的なものといわざるを得ない。
ウ 上記ア及びイによれば、商品「止め輪」とは、平板形のばね材を利用して軸又は穴に設けられた溝に挿入して軸方向の移動を止めるものであって、その移動(スラスト)に対する十分な強度が要求されるとともに、着脱を容易にするために変形することをも要求されるものといえる。そして、「止め輪」の材料としては、鋼材が多く用いられているものの、本願商標に係る「プラスチック製止め輪」が請求人の製造、販売に係る商品として実際に流通していることに照らせば、上記要求、特に強度に関する要求を充足することができるのであれば、その材料を鋼材からプラスチックへ置き換えることは十分に可能といえる。
また、プラスチック材の剛性は、通常、鋼材のそれに比して低いといえることからすれば、本願商標の構成中、外周部と中央内周部との間の間隔が(鋼材を材料とする止め輪に比して)広いのは、プラスチックを材料とする本願商標に係る商品「止め輪」について、強度に関する要求を充足するためとみるのが相当である。
さらに、当審において職権をもって調査したところ、請求人は、考案の名称を「E型止め輪」とする実用新案登録第2517345号(平成元年7月4日出願、同8年8月20日設定登録、同16年7月4日存続期間満了)を所有していたところ、該実用新案登録の考案に係る実施例として示されている「第1図」には、本願商標とほぼ同一形状からなる図形が表されており、産業上の利用分野には、「本考案は、軸に嵌着されたE型止め輪を取り外す場合に、従来のE型止め輪よりも取り外し力を小さくすることができるE型止め輪に関する。」との記載があり、また、作用には、「本考案のE型止め輪の形状は、外周面のうち開口面側に位置する部分を外周面の直径にほぼ等しい間隔を有する平行な面としたので、従来のE型止め輪よりも剛性は僅かに大きくなり、従って、軸への嵌着力は従来のものより僅かに大きい。」及び「本考案のE型止め輪では、被押動突起(審決注:本願商標の左右下端に位置する突起)の間隔が従来のE型止め輪のものよりも広くなっているので、・・・押圧力が従来よりも小さくてよいので、E型止め輪の取り外し作業が容易になる。」旨の記載がある。
エ 以上を踏まえれば、別掲のとおりの構成からなる本願商標は、その指定商品との関係において、商品の機能上要求される強度及び着脱容易性(変形容易性)を充足するための形状からなるものであって、商品の機能に資することを目的として採択されたものとみるのが相当であり、たとえ、実際に商品「プラスチック製の止め輪」を製造、販売する者が請求人のみであるとしても、取引者、需要者において、機能上の理由による形状の選択として予測し得ないものとはいい難い。
してみれば、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
(3)請求人の主張
請求人は、本願商標の正面形状と同一の形状を表してなる標章が「商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるもの」に該当することなく登録第5269148号商標として登録されていることからすれば、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標は別掲のとおりの構成からなる立体商標であるのに対し、上記登録商標は本願商標を構成する5図のうちの1図(正面図)と形状を同じくし、かつ、黒色で彩色された平面図形からなる商標であるから、両商標は、商標の構成態様を異にするものであって、別異の事案というべきものであり、また、本願商標は、上記(2)のとおり、その構成態様及び指定商品との関係に鑑みれば、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するものであり、これが、上記別異の事案により覆されるとすべき事由も見当たらないから、上記請求人による主張は、採用することができない。
(4)小括
以上のとおり、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項の主張について
請求人は、本願商標の形状からなる「プラスチック製止め輪」は、長年にわたり多数のメーカーに納入してきたものであることから、同種の商品等の形状から区別し得る程度に周知となっており、需要者が請求人(出願人)の業務に係る商品であることを認識することができるに至っている旨主張し、甲第1号証ないし甲第3号証(参考資料1ないし4を含む。)を提出している。
そこで、上記証拠方法をみるに、まず、甲第1号証は、OA機器メーカー向けの本願商標に係る商品(以下「本件商品」という。)の発注図面の写しであって、最も古い発注図面には1990年11月13日の日付があるものであり、また、甲第2号証は、主に平成23年7月ないし9月発行の代理店又は特約店から請求人への本件商品注文書の写しであって、甲第2号証の9の注文書においては、商品名の項目に「JUCI E型トメワ」と記載されているものである。そして、参考資料1ないし4についてみるに、参考資料1は、「樹脂製E型止め輪(商品名JUCI(マルR(○の中にRを表したものを「(マルR)」と表記する。以下同様。))Eリング)の沿革及び資料」の見出しの資料であって、本件商品の沿革、品番、OA機器メーカーへの納入実績の概略が記され、「JUCI(マルR)に関する工業所有権等」の見出しの下には、本件商品に関連する国内外の工業所有権の登録番号等の記載があるものであり、参考資料2は、甲第2号証の注文書に係る日付、品番及び個数を、代理店又は特約店ごとに整理した一覧表が記載されたものであり、参考資料3は、平成21年10月1日から同23年9月30日の期間の品番ごとの本件商品の販売総数の一覧表(1年単位と2年単位のもの)であって、「JUCI(マルR)E型止め輪」の上記「2年間の製造発売の総数量」は、約2億5千万個との記載があるものであり、参考資料4は、上記2年間の月及び品番ごとの販売総数、納入先及び最終ユーザーの一覧表が記載されたものである。
さらに、甲第3号証は、代理店又は特約店による「証明書」であって、該証明書には、本願商標を構成する5図の表記とともに、「上記商標は、『請求人』の商品『プラスチック製止め輪』で」あって、当該商品を「継続的に購入し」、OA機器メーカーに「納入していることを証明する」旨があらかじめ印刷されており、代理店又は特約店が、本件商品の購入開始の日付を記入し、記名押印する様式になっているものである。
上記証拠方法の記載内容からすれば、請求人は、1990年(平成2年)11月頃には、OA機器メーカーからの受注により本件商品の製造を開始し、代理店又は特約店を介して本件商品をOA機器メーカーに納入し、2009年(平成21年)10月から2011年(平成23年)9月までの約2年間においては、約2億5千万個を製造、販売していたこと、また、本件商品の商品名として「JUCI」の文字が用いられていたことがうかがえるものであり、さらに、代理店又は特約店が、古くは平成4年(1992年)から同22年(2010年)の間、本件商品を購入し、OA機器メーカーに納入していることがうかがえるものの、そのような事実のみでは、当該代理店又は特約店を含む取引者、需要者が、本件商品の形状を商標として認識していたとまではいうことはできない。
上記のほか、本件商品の形状が、これに接する取引者、需要者において、自他商品の出所識別標識たる商標として認識されていたことを認めるに足る事実は見いだせない。
そうすると、たとえ、商品名を「JUCI」とする本件商品が、長年にわたり、相当数、製造、販売されたとしても、取引者、需要者は、本件商品の形状を商標として認識していたとまではいい難い。
してみれば、本願商標は、使用をされた結果、取引者、需要者において何人かの業務に係る商品であることを表示する商標として広く認識されるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとする請求人の主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでないとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標











審理終結日 2013-06-21 
結審通知日 2013-06-28 
審決日 2013-07-23 
出願番号 商願2010-93218(T2010-93218) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X07)
T 1 8・ 17- Z (X07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 聡一冨澤 美加 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
池田 佐代子
代理人 西山 聞一 

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