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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2012890002 審決 商標
無効200135424 審決 商標
無効200135265 審決 商標
無効2010890099 審決 商標
無効2012890100 審決 商標

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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1280027 
審判番号 無効2012-890001 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-01-06 
確定日 2013-09-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5402359号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5402359号の指定商品中,第30類「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」についての登録を無効とする。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5402359号商標(以下「本件商標」という。)は,「ベビーモンシュシュ」の片仮名を書してなり,平成21年8月10日に登録出願,同23年3月4日に審決,第30類「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子,茶,紅茶,コーヒー及びココア」を指定商品として,同年4月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第1474596号商標(以下「引用商標」という。)は,「MONCHOUCHOU」の欧文字と「モンシュシュ」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり,昭和52年6月29日に登録出願,第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同56年8月31日に設定登録,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ,また,平成13年11月21日に,指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第114号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」(以下「本件商品」という。)について甲各号証から明らかなように,引用商標に類似する商標であって,引用商標に係る指定商品「菓子,パン」と同一又はこれに含まれる商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものであり,同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
(1)本件審判の請求に至る背景
被請求人による本件商標の出願及び本件審判請求に至る背景は,以下の事情に基づく。
被請求人は,引用商標との間の問題認識後に「ベビーモンシュシュ」の使用開始したこと,「ベビーモンシュシュ」に関する出願取下げ後に本件商標を出願したこと(甲19),被請求人による「モンシュシュ」関連商標が多数出願されたこと(甲22),商標権侵害であることを認め,謝罪や商標の使用中止を約束しておきながら,突然,引用商標権の違反には該当しないと主張(甲23),及び,侵害訴訟の係属中に「ベビーモンシュシュ」の使用を拡大したこと(甲7における証拠資料(20)及び(21))等である。
本件審判の請求は,被請求人が洋菓子に現に使用する「baby/Mon chouchou」(別掲)及び「ベビーモンシュシュ」は,引用商標と類似するとの侵害判決(甲6)における裁判所の判断に反し,これらを容易に印象,記憶,連想させる本件商標について,被請求人は本件商標を一切使用していないにも拘わらず,本件商標と引用商標とは類似しないと拒絶査定不服審判及び異議申立において特許庁が判断したことをその背景としている。
後述する商標法第4条第1項第11号の判断基準に照らすと,上記の事情には,同号の適用において直接関係すると言い得ないものもあるが,このような悪意による違法行為により本件商標に獲得された知名度は,商標法が保護する「業務上の信用」ではない。
ア 引用商標権侵害訴訟について
被請求人は商標権侵害であることを認め,謝罪や商標の使用中止を約束しておきながら,平成21年11月30日になって突然,引用商標権の違反には該当しないと主張し(甲23),さらに「モンシュシュ」及び「ベビーモンシュシュ」を使用し続けてきたことから,請求人は,平成22年1月20日に引用商標権侵害訴訟を提起した(大阪地裁平成22年(ワ)第4461号,甲6)。
訴訟において,被請求人は平成23年3月4日に本件商標に対する登録審決が出されたことを主張し(甲24),それから約2ヶ月後の同年5月12日に口頭弁論が終結され,同年6月20日,本件商標「ベビーモンシュシュ」から容易に印象,記憶,連想される「baby/Mon chouchou」や「ベビーモンシュシュ」を含め,被請求人がこれら標章を商品(洋菓子)に使用する行為は,引用商標と同一又は類似する商標の使用であり,侵害に該当する旨の判決が言渡された(甲6)。
イ 本件商標に対する異議申立について
訴訟中に本件商標が登録されたことから,請求人は,本件審判の請求に先立ち,本件商標に対して商標法第4条第1項第11号を理由とする登録異議申立を行い(異議2011-900168),その後,「baby/Mon chouchou」及び「ベビーモンシュシュ」と引用商標とは類似するとの侵害判決(甲6)を提出して理由補充を行ったところ,平成23年11月16日付けの異議決定において,本件商標の登録を維持する旨の決定が下された(以下「原決定」という。甲26)。
(2)本件商標登録を無効とすべき具体的理由
ア 利害関係
請求人は,本件商標の登録査定前より有効に存続する引用商標権の権利者であるから,本件無効審判請求について利害関係を有する。
除斥期間
本件無効審判の請求は,本件商標の設定登録日(平成23年4月1日)から5年を経過していないから,本件無効審判請求について除斥期間は適用されない。
ウ 商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第11号は,先願に係る他人の登録商標と同一又は類似の商標であって,その商標登録に係る指定商品(役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものは商標登録できない旨を規定しているところ,かかる商標の類否は,査定時において(商標法第4条第3項),「商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し,需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならず」(特許庁商標課編「商標審査基準」(甲3),また,「商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察し,その商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり,その具体的な取引状況に基づいて判断する(最高裁昭和39年(行ツ)第110号,甲4)。
このため,本件商標に対する同号の適用においては,本件商標の登録審決時を判断時期とし,通常の注意力を有する本件商品の需要者を判断主体として,外観,称呼,観念,さらには具体的な本件商品の取引状況を総合的に考察する判断手法により,引用商標と本件商標との類否が判断されて然るべきである。
さらに,「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである」(最高裁平成19年(行ヒ)第223号,甲5)。
本件商標は,「ベビー」の語と「モンシュシュ」の語とを組み合わせた結合商標と解されることから,以下の(a)又は(b)いずれかの場合には,最高裁判決に基づき,分離抽出される「モンシュシュ」の文字部分(要部)をもって,引用商標との類否が判断されて然るべきである。
(a)本件商標は,その構成中「モンシュシュ」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,又は,
(b)「ベビー」の文字部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合
エ 本件商標について
本件商標は,普通の明朝体で横書きにした「ベビー」の語と「モンシュシュ」の語を組み合わせた構成からなる結合商標であり,第30類「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」他を指定商品として,平成21年8月10日出願,平成22年7月30日付けで拒絶査定不服審判を請求(不服2010-17092),その後,平成23年4月1日に登録,同年5月10日発行の商標公報に掲載されたものである(甲1の1ないし3)。
オ 引用商標について
引用商標は,請求人が所有しており,欧文字で書された「MONCHOUCHOU」とその読み方「モンシュシュ」を上下二段に併記した構成からなり,第30類「菓子,パン」を指定商品として,昭和52年6月29日出願,昭和56年8月31日登録,その後,存続期間の更新登録が平成3年12月24日,平成13年4月24日,平成23年4月5日になされ,本件商標の登録審決時において有効に存続している(甲2の1及び2)。
したがって,引用商標は,本件商標との関係において商標法第4条第1項第11号所定の先願に係る他人の登録商標である。
カ 「ベビー」の文字部分の識別力について
本件商標の構成中の「baby」の文字部分は,商品の品質等を表示するものとして直ちに認識され得ないと認定した原決定は,その根拠として,「baby」の文字が既存の商標に付加する形で,本件商品の大きさや形が通常よりも小さなものであることを表すものとして取引上普通に使用されている実状が見いだせなかったことを挙げている。
しかしながら,商標構成中の文字が特定の商品との関係で識別力を有するか否かは,既存の商標を付した通常の商品よりも大きさや形が小さなものに「baby」を付加して取引上普通に使用している実状,といった極めて特殊且つ限定的な事情のみをもって判断されるのではなく,商標が使用される商品の主たる需要者層を判断主体とし,当該需要者の通常有する注意力を基準として判断されるのである。
本件商品と同一の分野において,「ベビー」及び「Baby」の文字が既存の商標に付加する形で,当該商品が通常の大きさや形よりも小さなものであることを表すものとして取引上普通に使用されている実状は,存在する(甲27ないし甲73)。
被請求人も,大丸百貨店東京店内の洋菓子店舗「ベビーモンシュシュ」の1周年記念として販売した洋菓子詰め合わせ商品において,通常より小さいサイズの「堂島ロール」の名称として「ベビー堂島ロール」を使用している(甲74)。
「ベビー」及び「Baby」の文字を付加することでブランドのバリエーションを図りつつ,「ベビー」又は「Baby」以外の文字部分の出所識別力によって両商標が同一の出所表示として現に取引されている事情が存在すること,また,本件商品には乳幼児や子ども向けのものも多数存在すること,さらには,赤ちゃん関連の商品(おもちゃ,ベビーカー,哺乳瓶,おしゃぶり,被服等)は,本件商品の需要者(一般消費者)に包含される乳幼児の子を持つ家族が主な需要者であることを考慮すると,「ベビー」及び「Baby」の意味する内容や商品の分野が異なるとしても,通常の注意力を有する本件商品の需要者(一般消費者)における認識を裏付けるものと評価されて然るべきである。
以上の取引の実情を考慮すると,通常の注意力を有する本件商標の需要者(一般消費者)であれば,既存の商標に付加されているか否かを問わず,本件商品における「ベビー」及び「Baby」の文字から辞書掲載の意味合いを認識することは明らかであり,他の語と結合して表示された場合においても,当該文字部分を小さい形状や可愛らしいデコレーション等を指称する語と認識することが容易に推測される。
本件商標の場合,「ベビー」及び「Baby」の語と同程度に,一般によく知られた外国語の片仮名「カステラ」,「シュークリーム」を結合した「ベビーカステラ」(甲41)や「ベビーシュークリーム」(甲42)とは異なり,「ベビー」に結合する語「モンシュシュ」は,我が国において殆ど知られていない『私のお気に入り』を意味する仏語の読みであり,一種の造語と認識されるものである。
このため,本件商標を目にした一般消費者であれば,後半の「モンシュシュ」の文字部分から特定の意味合いを容易に想起できず,馴染み深い前半の「ベビー」の文字部分との結合による一体的な観念を認識することができないため,「ベビー」の文字部分と「モンシュシュ」の文字部分を分離して本件商標を認識する蓋然性はより高いものといえる。
現に,「ベビーモンシュシュ」と引用商標との類否が争われた訴訟の侵害判決(甲6)において,裁判所は,請求人の上記主張及び最高裁判決を踏まえ,「ベビー」の部分は,『その意味内容が広く知られ,日常的に使用されている英単語であるところ,形容詞として使用される場合は,「ミニ」や「プチ」などと同じく,小さいものを表す修飾語として,他の言葉と組み合わせて使用されており,単独で出所識別標識としての称呼や観念を生じないと認められる。』(判決文24頁ないし27頁)と判示している。
以上により,本件商品の分野において,「ベビー」の文字が,既存の商標に付加する形でその商品が通常の大きさや形よりも小さなものであるといった商品の品質等を表すものとして,取引上普通に使用されているという実情と,通常の注意力を有する本件商標の需要者(一般消費者)を基準として判断すべきである。
キ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,「ベビー」と「モンシュシュ」を組み合わせた結合商標と解されるところ,前記カのとおり,「ベビー」の部分から出所識別標識としての称呼,観念は生じないものと認められる。
したがって,本件商標の要部は,後半の「モンシュシュ」の文字部分といえ,同号の該当性の判断においては,当該部分と引用商標とを比較して両商標の類否が判断されるべきである。
(ア)外観
本件商標の要部「モンシュシュ」は,引用商標の下段「モンシュシュ」と同一であり,外観において,引用商標と類似する。
(イ)称呼
本件商標の要部「モンシュシュ」と引用商標からは,いずれも「モンシュシュ」との称呼が生じるから,両者の称呼は同一である。
(ウ)観念
本件商標の要部「モンシュシュ」と引用商標からは,いずれも「私のお気に入り」との観念が生じる(又は,一種の造語と認識される)から,両者の観念は同一である。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼,観念の三点いずれもが非常に似通っていることから,最高裁が判示した「他の二点において著しく相違する」ものではない。
(エ)指定商品の類否について
本件商標の指定商品中の「菓子及びパン」は,引用商標の指定商品「菓子,パン」と同一の商品であり,「氷菓子,ゼリー菓子」は,「菓子」中の「洋菓子」に含まれる商品である。
したがって,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは明らかに同一の商品である。
(3)取引の実情について
商標法第4条第1項第11号の商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情が,原決定のとおり,「単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的な実情を指すものではなく,指定商品全般についての一般的,恒常的な実情を指すものと解すべきである(最高裁判決・昭和47年(行ツ)第33号)」とした場合,訴訟で争われた商品「洋菓子」とその他の本件商品(主に,和菓子,パン)とは,いずれも我が国の日常の食生活と密接に関係しており,主食に準じるものとしてだけでなく,デザートやおやつ等としても頻繁に食されており,その消費形式は似通っている。さらに,生産者が一部共通しその傾向が高まりつつあるだけでなく(甲82及び甲83),需要者はいずれも広く一般消費者であり,専門店(洋菓子店,和菓子屋,パン屋)だけでなく,食料品を取り扱う全国の各種小売店(コンビニエンスストア,食品スーパー,デパート,百貨店,駄菓子屋 他)において洋菓子,和菓子,パンは通常販売され,日用食料品の代表的な販売経路である食品スーパーにおいては近接する位置に陳列して販売されている。
このように,洋菓子,和菓子,パンともに日常の食生活に欠かせない食材として頻繁に一般消費者が購入する商品であり,決して高価なものではないことから,一般消費者がこれら商品の購入時に払う注意力は総じて高くないものといえる。
また,百貨店等においては高価な洋菓子も売買されているが,贈答用の洋菓子が販売されている百貨店の同じフロアには贈答用の和菓子も同様に販売されており(甲14),当該事情は洋菓子のみの特殊的,限定的なものにとどまるものではない。
さらに,本件商標と引用商標との差異は,「ベビー」の語の有無に過ぎず,洋菓子業界の実情として,「ベビー」又は「Baby」の文字が他の語と結合して洋菓子,和菓子,パンに付された場合,小さい形状や可愛らしいデコレーション等を指称する表示として一般に使用されていることから(和菓子の例として「ベビーどら焼き」(甲69),「ベビーたい焼き」(甲51)。パンの例として「ベビーあんぱん」(甲53),「ベビーメロンパン」(甲54)),通常の注意力を有する本件商標の需要者(一般消費者)であれば,洋菓子,和菓子,パンを問わず,本件商標から,小さい形状や可愛らしいデコレーションの「モンシュシュ」ブランド商品であることを印象,記憶,連想することが容易に推測される。
また,被請求人の「モンシュシュ」は,訴訟において判示されたとおり,洋菓子に比較的関心が高いといえる需要者層においてすら,被請求人の店舗名として一律に被請求人を想起させるほどに知名度を有しておらず,必ずしも洋菓子への関心が高くない,一般消費者という広範囲な需要者における,出所混同のおそれは否定されない(判決文28頁,甲6)。
したがって,本件商品全般における一般的,恒常的な取引の実情を参酌するに,洋菓子における「ベビー」の文字に対する一般消費者の認識と,その他の本件商品における「ベビー」の文字に対する一般消費者の認識との間に何ら差異が認められないことから,本件商品全般として,出所混同のおそれを否定するような取引の実情は存在しないものといえる。
なお,本件商標が現在使用されている商品についての限定的な実情を考慮するとした場合,裁判所が侵害判決において認定したとおり,請求人が引用商標を付して長年に亘り製造販売するバレンタインチョコレートと被請求人が本件商標を付して製造販売するケーキ類や焼き菓子は,同一の営業主体が販売することも多く,需要者においても,同じ「洋菓子」のカテゴリになるこれらの商品を区別して,その出所を判断しているとは認め難く,しかも,被請求人は,バレンタイン商品時期にチョコレートを販売しており,必ずしも商品が異なるわけでもない(判決文20頁11行ないし21行)(甲6)。
したがって,この場合においても,出所混同のおそれを否定するような取引の実情は存在しないと判断されて然るべきである。
さらに,本件商標は一切使用されておらず,被告標章8(審決注:別掲)及び9(審決注:「ベビーモンシュシュ」)と異なり,本件商標には何ら「業務上の信用」は化体していない。審判被請求人が現に使用する被告標章8及び9ですら出所混同のおそれを否定するような取引の実情は存在しないと裁判所が認定したことからすると,使用されていない本件商標においては当然,引用商標との間で出所混同のおそれを否定するような取引の実情は存在しない。
(4)結論
以上のとおり,本件商標の要部は後半の「モンシュシュ」の文字部分であり,「モンシュシュ」から生ずる称呼・観念が引用商標と同一であり,外観も引用商標と類似していることから,本件商標は全体として引用商標と類似する。
また,本件商標の指定商品中「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」は,引用商標の指定商品と同一又はこれに含まれる商品である。
このため,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の一体性について
被請求人は,本件商標の一体性の主張の根拠として,「その構成において『ベビー』の文字と『モンシュシュ』の文字を,同書・同大で文字と文字との間は切れ目がなく一連一体に,記載されていること」(答弁書5頁)を挙げているが,本件商標と同様に「モンシュシュ」の文字と同書・同大に,スペースを空けずに,一体的に記載された被請求人の登録第5388174号商標「パティシエリーモンシュシ」(甲99)は,引用商標と相紛らわしい類似の商標との判断が確定していることから,単に同書・同大により各文字を一体的に記載したことのみをもって全体が一体不可分と解されるものではないことは,被請求人も認識しているとおりである。
また,被請求人は,「『モンシュシュ』の文字自体の自他商品識別力は『ベビー』と同様に決して強いものとはいえない。」(答弁書6頁)と述べ,その根拠として乙2及び乙3を提出しているが,乙2において,第三者による洋菓子・パンにおける「monchouchou」又は「モンシュシュ」の使用例は僅か6件しかなく,いずれも地方に点在する個人的経営のお店に過ぎない。我が国の食生活と密接に関連し,全国に洋菓子屋,パン屋が数多く存在する実情からすると,この程度の使用例をもって菓子・パンにおける「monchouchou」又は「モンシュシュ」の文字自体の自他商品識別力の程度が弱いことの具体的根拠とはなり得ない。また,自他商品識別力は商品・役務ごとに評価されるものであり,ある商品・役務で識別力を欠くものであっても,他の商品・役務で識別力を有するのは当然のことである。 さらに,乙2及び乙3の使用例は,特定の商品や役務の用途・品質等を指称する表示としての使用ではなく,むしろ,店名として「モンシュシュ」単独で使用されているものや,特許庁において識別力が否定されなかった商標(甲112及び甲113)の使用も含まれていることから,いずれも出所表示としての使用と認められるものである。
特許庁における商標出願・登録情報を確認してみても,被請求人以外の者が洋菓子・パン以外の商品・役務において「monchouchou」,「モンシュシュ」の文字を含む商標を出願するも,当該文字は識別力が弱いとの被請求人の主張を裏付けるような拒絶例,拒絶理由は一切出されておらず,洋菓子・パンの小売等役務を指定した商標出願に対しては,請求人の引用商標が引用として拒絶されている(甲109及び甲110)。
したがって,洋菓子・パンにおける「monchouchou」又は「モンシュシュ」の文字は識別力が弱いとの被請求人の主張は,具体的な根拠を欠くものと言わざるを得ず,当該文字の識別力に関する庁の判断にも反する(甲99及び甲103)。
さらに,被請求人は,請求人が提出した「ベビー(baby)」の識別力に関する証拠資料(甲27ないし甲74)を精査しても,本件商標に接した需要者が「ベビー」の文字部分を「小さい形状やかわいらしいデコレーション」と認識するので自他商品識別力を発揮しないとの請求人の主張には全く根拠は見当たらない旨,主張しているが(答弁書26頁及び27頁),甲74において,被請求人も,通常の大きさよりも小さい「堂島ロール」について「ベビー堂島ロール」と称しており,庁も当該事情を踏まえ,上記無効審決(甲103)において,『これに接する取引者,需要者は,そのうちの「Baby」の欧文字部分について,それが該商品の大きさが通常よりも小さなものであること,すなわち,商品の品質,形状を表したものとして認識する場合も少ないないとみるのが相当である。』と判示したのである。したがって,被請求人の主張は自らの認識・行動と明らかに矛盾している。
以上により,被請求人が本件商標の一体性の主張の根拠として挙げた事情はいずれも具体的妥当性を欠くものと言わざるを得ない。
(2)取引の実情等に基づく引用商標との非類似性について
被請求人は,本件商標と引用商標との観念が非類似であることの根拠として,自らの洋菓子店舗「ベビーモンシュシュ」に関する取引の実情を挙げ,「洋菓子店『パティシエリーモンシュシュ』の人気を背景に,姉妹ブランドである『baby Mon chouchou(ベビーモンシュシュ)』の店舗を,平成21年7月に大丸東京店にオープンさせ,本件商標を使用しているものである。かかる取引実績に照らせば,本件商標に接した需要者は,『堂島ロール』を始めとしたロールケーキや洋菓子で有名な被請求人の『モンシュシュ』の姉妹ブランド『ベビーモンシュシュ』であると想起する可能性が高いというべきである」と主張しているが,被請求人が人気の洋菓子店と称する「パティシエリーモンシュシュ」は,引用商標と同一又は類似するとの判断が確定している(甲99)。
さらに,登録第5402361号商標「Baby/Mon chouchou」に対する平成24年7月5日付け無効審決(甲103)において,登録審決時(平成23年3月4日)に,「Baby Mon chouchou(ベビーモンシュシュ)」と称する被請求人の洋菓子店舗は,わずかに「東京大丸店」及び「梅田大丸店」の2店舗が開業しているにすぎず,かつ,開業してからの期間も前者が1年8月,後者が3月と極めて短いものであることからすれば,その登録審決時に被請求人の洋菓子店舗「Baby Mon chouchou(ベビーモンシュシュ)」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとはいえないと判断するのが相当と判断されたことから,被請求人の上記主張は失当である。
また,被請求人は,「Baby(ベビー)」の語の有無による商標の審査例・審決例等を挙げ,本件商標と引用商標とは非類似である旨,主張しているが,審判請求書において述べたとおり,「Baby(ベビー)」の語の有無により両商標は類似すると庁が判断した事例はある(甲86ないし甲94)。また,本件商標と同様に,「Monchouchou」の文字に「Baby」を結合した態様からなる商標は,引用商標との類似を理由に無効審決が下され(甲103),また,拒絶査定が確定(甲96)していることから,被請求人が提出した過去の事案は,本件とは明らかに事案を異にするものである。
以上により,被請求人が引用商標との非類似性の主張の根拠として挙げた事情はいずれも本件事案とは何ら関係なく,具体的根拠を欠くものと言わざるを得ない。
3 むすび
したがって,本件商標は,その指定商品中「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」において,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,その登録は,取り消されるべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証及び乙第209号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
請求人は,「本件商標『ベビーモンシュシュ』の『ベビー』の部分は,その指定商品中『菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子』との関係で明らかに自他商品識別機能を有さず,このため本件商標の要部は後半の『モンシュシュ』の文字部分と認められ,被請求人の『モンシュシュ』又は『monchouchou』が本件商標の登録審決時に被請求人の洋菓子店舗名として一律に同人を想起させるほどの知名度を有していないことから,出所混同のおそれを否定するような取引の実情は存在せず,本件商標が全体として引用商標と類似する」として,商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張する。
しかしながら,本件商標は,以下に述べるとおり,第30類「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」について商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく,無効とされるべきものではない。
(1)本件商標にかかる拒絶査定不服審決及び異議決定
本件商標は,拒絶査定不服審判において引用商標と非類似と判断されて登録を認められ(不服2010-17092,乙133),異議申立ても退けており(異議2011-900167,乙134),2度にわたり特許庁審判部の審理を経て登録を認める(維持する)との判断がされているのであるから,引用商標との非類似性は明らかであり,さらに争う必要はない。特に,「ベビー」の部分が商品の品質表示と理解されうるか,本件商標は周知性を有するかについては,上記不服審決及び異議決定において以下のように判示されているものである。
ア 不服2010-17093号審決(乙133)
「そして,インターネット情報等において,『baby(ベビー)』の語が,菓子及びパンの商品の普通名称等と結合して,『その商品の形が小さい』という商品の品質(形状)を表す語として使用される例が僅かに見受けられるとしても,前記のとおり,造語と認識される『モンシュシュ』の文字と一連にまとまりよく表してなる本願商標の構成態様においては,『ベビー』の文字部分のみを分離し,それが直ちに品質表示語として理解,認識されるものであるとはいえず,本願商標は,構成全体として特定の意味合いを想起させることのない造語として理解されるものである。さらに,当審において,職権をもって調査したところ,『babymonchouchou(ベビーモンシュシュ)』の語は,ロールケーキを販売する請求人の店舗名として,テレビ,新聞,雑誌等の各種メディアにおいて紹介され,インターネットにも同店舗の情報が多数掲載されていることが認められるものである。」
イ 異議2011-900168号異議決定(乙134)
「これに加えて,前記した本件商標の構成態様も考慮すれば,本件商標が指定商品中『菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子』について使用されたとしても,構成中『ベビー』の文字部分が商品の品質等を表示するものとして直ちに理解され得るものとも言い難く,また,他に構成中の『モンシュシュ』の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情も見いだせない。・・なお,仮に,申立人が主張する取引の実情を考慮する余地があったとしても,甲第7号証によれば,その内容は,洋菓子店『ベビーモンシュシュ』について,堂島ロールで有名な本件商標権者(株式会社モンシュシュ)の『パティシェリーモンシュシュ』又は『モンシュシュ』の姉妹店として大丸東京店又は同梅田店にオープンした新ブランド(姉妹ブランド)と紹介している雑誌記事等であって,これに接する需要者もそのように認識しているものと認められるから,結局,具体的な取引の実情においては何ら出所の混同が生じていないということにほかならないものである。」
ウ 上記のように,「ベビー」については「『ベビー』の文字部分のみを分離し,それが直ちに品質表示語として理解,認識されるものであるとはいえない」と,本件商標の周知性については,「洋菓子店『ベビーモンシュシュ』について,堂島ロールで有名な本件商標権者(株式会社モンシュシュ)の『パティシェリーモンシュシュ』又は『モンシュシュ』の姉妹店として大丸東京店又は同梅田店にオープンした新ブランド(姉妹ブランド)・・のように認識しているものと認められる」とそれぞれ判断された結果,特許庁審判部において2度も非類似と判断されている本件商標と引用商標の類似性についてさらに審判で争うことは紛争の蒸し返しに過ぎず,また,特許庁における商標の類否に関する判断の統一という観点からも異なった判断は許されないというべきである。
(2)商標の類否判断の基準について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否については,「つつみのおひなっこや」(平成19年(行ヒ)第233号,甲5)事件で判示された結合商標における要部認定に鑑みれば,本件商標は,後述のとおり,その構成において「ベビー」の文字と「モンシュシュ」の文字を,同書・同大で文字と文字との間は切れ目がなく一連一体に記載されていることから,「ベビーモンシュシュ」全体が一体不可分のものと認識され,その全体が要部と認識されるというべきである。また,本件商標中「ベビー」の文字部分は,「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」との関係で一般的に使用されている表記ではないから,自他商品識別力を発揮するというべきである。
一方,「モンシュシュ」の文字部分は,「私のお気に入り」という意味の一般的な仏語の片仮名表記であり,かつ,洋菓子,パン,カフェ等の店舗名称として比較的広く使用されていることから,文字自体の識別力は弱く,当該部分のみが商品の出所識別標識として強く支配的な影響を与えるものでもない。また,本件商標中「モンシュシュ」の文字部分は,特に強く強調されて表示されているわけではない。
したがって,本件商標は,上記判例で表示された「商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他の商標と比較して商標そのものの類否」の対象とする分離観察を行う事例にはあたらず,原則どおり,全体を要部として他の商標との類否を全体として観察されるべきである。
(3)本件商標の一体性について
本件商標は,英語で「赤ちゃん,赤ちゃんの,(野菜・車などが)小型の」という意味の欧文字の「baby」と,仏語で「私のお気に入り」という意味の欧文字の「monchouhou」の読みを片仮名で「ベビーモンシュシュ」とまとまりよく記載してなる外観を有する。本件商標を構成する文字は,書体も文字の大きさも相互に同一であって,「ベビー」あるいは「モンシュシュ」の部分が特に強調された態様ではないから,本件商標からは,当該構成文字に相応して「ベビーモンシュシュ」という一連の称呼のみが生じる。この「ベビーモンシュシュ」と称呼は長音を含め7音であり,分離しなければならないほど長くもなく,淀みなく一気に称呼されるものといえる。また,「モンシュシュ」の文字は,「私の」という意味の仏語の「mon」の文字と,「お気に入り」の意味を有する仏語の「chouchou」の文字の読みを片仮名表記したものであるから,一般的な言葉に過ぎず,さらに,(4)で後述のとおり,菓子やパンを販売する店舗やカフェの名称として好んで採択されている他,ペット関連商品や各種雑貨といった様々な商品の商品名などですでに幅広く使用されているものである(乙2及び乙3)。よって,「モンシュシュ」の文字自体の自他商品識別力は「ベビー」と同様に決して強いものとはいえない。
したがって,本件商標は,識別力の点では軽重の差のない,2つの「ベビー」と「モンシュシュ」という単語を,同書・同大に,スペースを空けずに一体的に記載しているというべきであるから,本件商標中「モンシュシュ」の部分が直ちに要部となるとの請求人の主張は誤りというべきであり,本件商標はあくまでも,商標全体で一つの出所識別標識として理解されるというべきである。
そして,このような一体的な構成からなる本件商標中「モンシュシュ」の部分のみを殊に抽出して他の商標との類否を判断することは上記判例に照らして,許されない。
(4)引用商標について
引用商標は,「私の」という意味の仏語の「MON」の文字と,「お気に入り」の意味を有する仏語の「CHOUCHOU」の文字と,その発音をカタカナで表記した「モンシュシュ」の文字とを上下2段に表してなる商標であり,その構成文字より「モンシュシュ」という一連の称呼が生じる。
引用商標の識別力については,上述のとおり,既成の仏語を組み合わせたに過ぎないことから,その言葉自体の識別力は菓子業界においても格別高いとはいえない。さらに,一般的取引実情においても,「mon chou chou」あるいは「モンシュシュ」の文字は,洋菓子屋,パン屋,カフェ,レストラン,ヘアーサロン,ペットショップ,ペット美容室,まつげサロン,エステティックサロン,スナック,フラワーショップ,洋服店,セラピスト等,ファッション雑貨店,セレクトショップ,ネイルショップ,家具店,ベビーマッサージ教室の店舗名称,アクセサリー,サプリメント,ウェットテイッシュ,ポストカードブック,バッグ,雑貨などの商品名称に使用されており(乙2及び乙3),このような取引実情に鑑みても,引用商標を構成する文字自体の識別力は強くはないというべきである。
(5)本件商標と引用商標の類否について
上記(2)で述べた基準に基づいて,以下,本件商標と引用商標の類否を検討する。
ア 外観・称呼・観念上の類否について
(ア)外観について
引用商標は,アルファベットで大文字の「MONCHOUCHOU」とカタカナの「モンシュシュ」を上下2段に表してなる。
これに対し,本件商標は,商標全体が不可分一体のものとして取引者,需要者に認識され,「ベビーモンシュシュ」全体の構成をもって1つの出所識別機能を果たしているというべきであるから,引用商標とは外観において顕著に相違している。
特に,本件商標は,その外観において,欧文字の「MONCHOUCHOU」の文字を有しておらず,また「ベビー」という文字を有する点で,引用商標と全体として相違しており,両商標の外観は大きく相違しており,外観上,引用商標とは非類似というべきである。
(イ)称呼について
本件商標は,全体が一体不可分の商標であり「ベビーモンシュシュ」と長音を含め7音で一気一連に淀みなく称呼される。一方,引用商標はその構成より,「モンシュシュ」との4音の称呼が生じるというべきである。よって,全体の称呼において3音の相違があり,両商標が彼此聞き間違えられるおそれはない。
したがって,本件商標は,「ベビー」の音が相違し,称呼において相違することは明らかで,称呼上も引用商標とは非類似というべきである。
(ウ)観念について
本件商標は,一種の造語商標として理解され,その構成全体から「小さい私のお気に入り」などといった観念が生じる。さらに,後述のとおり,平成15(2003)年に大阪の堂島にオープンした被請求人の洋菓子店「パティシェリーモンシュシュ」は,「『堂島ロール』を始めとしたロールケーキや洋菓子で人気のモンシュシュという洋菓子店」としてテレビ・書籍・雑誌等のマスメディアで大々的に紹介される人気店となっており,被請求人は,かかる洋菓子店「パティシェリーモンシュシュ」の人気を背景に,姉妹ブランドである「Baby Mon chouchou(ベビーモンシュシュ)」の店舗を,平成21年7月に大丸東京店にオープンさせ,本件商標を使用しているものである。かかる取引実情に照らせば,本件商標に接した需要者は,「堂島ロール」を始めとしたロールケーキや洋菓子で有名な被請求人の「モンシュシュ」の姉妹ブランド「ベビーモンシュシュ」であると想起する可能性が高いというべきである。これに対し,引用商標は,その文字に相応して,仏語の「私のお気に入り」という観念が生じる。
したがって,引用商標と本件商標は,「私のお気に入り」と「小さい私のお気に入り」といった観念的な相違があり,さらに,本件商標は,「『堂島ロール』を始めとしたロールケーキや洋菓子で有名な被請求人の『モンシュシュ』の姉妹ブランド」といった観念が生じるものである。したがって,引用商標から生じる観念と本件商標から生じる観念は,明らかに異なり,観念上も引用商標とは非類似というべきである。
イ 過去の審査例・審決例
(ア)特許庁では,第30類「菓子,パン」を指定商品とする商標であって,「Baby(ベビー)」の語で相違する商標が多数併存して登録されているものである(乙4ないし乙31)。
例えば,「ベビーふーちゃん」(乙16),「ベビーパンダ」(乙26),「Babykiss」(乙30)は,それぞれ,「ふーちゃん」(乙17),「Panda」(乙27),「キス」(乙31)と「Baby(ベビー)」の文字の有無のみで相違する商標であるが,特許庁の審査においては,非類似商標と判断され,ともに登録を認められている。このような登録例に鑑みれば,本件商標についても,「ベビーモンシュシュ」という一連一体の造語商標として理解され,引用商標とは類似しないと判断されるべきである。
(イ)さらに,第30類以外でも,「Baby(ベビー)」の語で相違する商標が多数併存して登録されているものもあり(乙32ないし乙121),また,乙122ないし乙124,乙131,乙132,乙135ないし乙142のようの多数の審決例及び異議決定例及び裁判例があり,これらに鑑みれば,同書,同大,同色で,「ベビーモンシュシュ」文字を一体的に表示してなる構成である本件商標についても,全体で一つの商標と認識され,引用商標とは称呼・観念・外観のいずれの点においても類似しないと判断されるべきである。
ウ 小括
上記のとおり,商標の類否は,商標の全体を一体として観察する全体観察が原則であり,商標の構成部分の一部を抽出して類否の判断をする要部観察等は,その構成部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合,それ以外の構成部分からは出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合以外は認められるべきではないところ(「つつみのおひなっこや」事件),本件商標を構成する文字は,同書,同大で外観上まとまりよく,切れ目なく一体的に表されている。 また,本件商標中「モンシュシュ」の文字部分は,「私の」という意味の「mon」と「お気に入り」という意味の「chouchou」の文字の読みを片仮名表記したものであり,全体より「私のお気に入り」という意味が生じる言葉であり,格別強い印象を与える文字ではない。さらに,本件商標より生ずると認められる称呼も格別冗長というべきものではなく,「ベビーモンシュシュ」の称呼を淀みなく生じる。
したがって,本件商標は,構成全体をもって一体不可分の商標として認識し,把握されるとみるのが相当である。
以上のとおり,本件商標と引用商標は,称呼・外観・観念において顕著に相違することから,互いに非類似の商標というべきである。
エ 取引の実情について
(ア)被請求人の店舗「パティシエリーモンシュシュ」及び姉妹店としての「ベビーモンシュシュ」の展開
被請求人は,平成15年(2003年)11月に,ビジネス街の堂島に「パティシエリーモンシュシュ」の名称の洋菓子店を開店し,「パティシエリーモンシュシュ」の文字を店舗名として使用してきたものである(乙125の1ないし7)。被請求人が開店初期の頃から発売したロールケーキ「堂島ロール」は,全国的に著名な人気スイーツとなり,被請求人の洋菓子店「パティシエリーモンシュシュ」も有名となっていった。なお,請求人の出願商標「堂島ロール」は,特許庁の拒絶査定不服審判においても,高い売上高やマスコミでの紹介実績等を有することから,指定商品「ロールケーキ」について,請求人により使用をされた結果,需要者が被請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっていると判断するのが相当であるとして,商標法第3条第2項を適用し,商標登録が認められている(乙126)。
かかる「堂島ロール」の全国的な人気により,被請求人は,各地からの出店依頼を受け,平成18年9月には,神奈川県の大型商業施設ラゾーナ川崎に初の支店「パティシエリーモンシュシュwithトラベルカフェ」のオープンを許諾し,平成19年7月には自ら「パティシエリーモンシュシュ銀座三越店」を出店し,さらに,同年12月に名古屋伏見店をオープンし,その後も,札幌,広島,福岡,さらには中国上海での出店を行ってきている。現在までに,被請求人又はそのライセンシーが運営する「パティシエリーモンシュシュ」の店舗は15店舗(大阪エリア:堂島本店・阪急百貨店うめだ本店など4店舗,関東エリア:ラゾーナ川崎プラザ店・銀座三越など5店舗,名古屋エリア:名古屋伏見店など2店舗,北海道エリア:大丸札幌など2店舗,中国エリア:広島三越,九州エリア:博多阪急店)に及ぶ。
さらに,被請求人は,パティシエリーモンシュシュ店舗の人気を背景に,姉妹ブランドである「Baby Mon chouchou(ベビーモンシュシュ)」の店舗を,平成21年7月に大丸東京店にオープンさせた。「ベビーモンシュシュ」では,オリジナルの小さいカップケーキ等も販売しているが,「堂島ロール」を基本としてアレンジしたロールケーキなども販売しており,「あのモンシュシュの姉妹ブランドとして,オープンと同時に話題沸騰!」と絶賛され,情報誌「東京一週間」(乙151)において特集記事で取り上げられるなど,人気の洋菓子店となっている(乙143ないし乙199)。
被請求人の洋菓子店「ベビーモンシュシュ」は,「パティシエリーモンシュシュ」の店舗と同様に,テレビ,雑誌,新聞等で多数報道されているが,その際には,「モンシュシュ」の姉妹ブランド等として報道されている点を指摘することができる(乙148,乙151,乙152,乙158,乙165,乙167,乙169,乙174ないし乙176)。例えば,テレビ報道においても,大丸東京店を紹介するコーナーのトップに,大丸東京店の「ベビーモンシュシュ」を紹介しているが,その際,「あの堂島ロールで有名な『モンシュシュ』の姉妹ブランド」であって,洋菓子売場の入り口正面に位置する看板店であることを,オープン2ヶ月ですでに行列ができる映像とともに,大々的に紹介している(乙198)。福岡の地域番組においても,デパ地下スイーツを紹介するコーナーのトップに大丸福岡天神店の「ベビーモンシュシュ」を紹介しており,その際,「あの堂島ロールのモンシュシュの姉妹店」,「堂島ロールを作った名店の逸品」等とレポートしている(乙199)。
(イ)被請求人の洋菓子の販売数量・売上について
被請求人の洋菓子店(「パティシエリーモンシュシュ」及び姉妹店の「ベビーモンシュシュ」及び「ルシェルモンシュシュ」等)では,「堂島ロール」以外にも,各種ロールケーキ,プリン,シュークリーム,プチケーキ,クッキーなどの洋菓子を販売している。現在,1日あたり約6,000本の「堂島ロール」と約12,000個(本)の「堂島ロール」を除くその他の洋菓子を販売しており,「堂島ロール」以外にも,プリン,シュークリーム,モンブランなどのプチケーキ等様々な人気商品が登場している。
また,このような「堂島ロール」を始め,多数の人気商品の販売により,被請求人は,わずか7年間で年商約60億円にもなる会社に急成長した。このような急成長は洋菓子業界で異例なことである。
(ウ)メディア報道等の実績について
【雑誌・書籍・新聞記事】
被請求人の洋菓子店「パティシエリーモンシュシュ」及び「ベビーモンシュシュ」は,多数のスイーツの専門書籍・雑誌・インターネット情報サイトにおいて紹介されている。また,新聞記事についても,遅くとも平成18年以降,被請求人の洋菓子店「パティシエリーモンシュシュ」,「ベビーモンシュシュ」及び被請求人の「堂島ロール」を始めとした洋菓子についての新聞記事が多数掲載されている(乙200ないし乙209)。
【テレビ】
テレビ番組についても,平成16年10月から現在まで,被請求人が把握しているだけでも,少なくとも230件もの娯楽・情報番組やニュース番組において,被請求人の洋菓子店「ベビーモンシュシュ」や被請求人の「堂島ロール」が「大阪発の人気スイーツ」,「堂島ロールで大人気」として大々的に特集されているものである(乙186ないし乙189)。
(エ)インターネットでのブログ・クチコミサイトでの掲載
被請求人の店舗「ベビーモンシュシュ」については,以前から,多数のインターネット上のブログやロコミサイトにおいて,「ロールケーキの有名な洋菓子店」として紹介されているものである(乙190ないし乙197)。
(オ)小括
上記で述べた外観・称呼・観念における商標の非類似性に加えて,取引実情をも考慮すればなおさら,本件商標が「菓子及びパン」等に使用される場合,需要者によって,被請求人の「堂島ロール」を始めとする洋菓子を販売する店舗「パティシエリーモンシュシュ」の姉妹店の「ベビーモンシュシュ」として理解されるというべきであるから,本件商標が「菓子及びパン」等について使用された場合,引用商標と商品の出所について誤認・混同のおそれはなく,よって,両商標は非類似というべきである。
オ 取引実情を考慮して商標非類似と判断した裁判例・審決例
本件商標に係る取引実情を踏まえ,本件商標を全体として見た場合に,引用商標と非類似であることは,「小僧寿し」事件(平成6年(オ)第1102号,乙130)の裁判例からも明らかである。
この裁判例に照らせば,同書,同大,同色で,「Babymonchochou」(審決注:「ベビーモンシュシュ」の誤記と思料。)の文字を一体的に表示してなる構成である本件商標については,被請求人の堂島ロールで有名な被請求人の「パティシエリーモンシュシュ」又は「モンシュシュ」の新ブランド(姉妹ブランド)のように認識させ,なおさら,引用商標の間で商品の出所について誤認混同が生じないというべきであり,本件商標は引用商標には類似しないと判断されるべきである。
なお,請求人が申立てた別件の異議申立事件では(乙127ないし乙129),登録が維持されているものである。
(6)請求人の主張について
請求人は,被請求人による本件商標その他の関連商標の出願及び使用,請求人と被請求人との間の商標権侵害訴訟の判決(大阪地裁平成22年(ワ)第4461号,甲6)及び,本件商標に対する請求人の異議申立(乙134)での登録維持決定及び拒絶査定不服審判(乙133,甲1の3)での登録審決までの経緯について,結論として,「悪意による違法行為により獲得された『ベビーモンシュシュ』に関する知名度は,商標法が保護する『業務上の信用ではない』」と述べ,本件登録に対する無効審判を請求するに至ったと述べている。
しかしながら,請求人が述べる上記の経緯等は,請求人も認めているように,引用商標との関係で本件商標の登録が「商標法第4条第1項第11号に該当するかどうかという問題とは直接関係がない」ものである。したがって,上記の請求人の主張は本件無効審判の審理との関係で何ら法的根拠のない主張である。
なお,事実認識としても,「商標権侵害であることを熟知した被請求人が,悪意で『モンシュシュ』が広く知られるようにその使用を継続した」とするのは,事実を歪曲した請求人の主張と言わざるを得ない。被請求人は,平成21年1月30日にコンサルタントからの指摘で請求人が有する引用商標に関する商標登録の存在を知った後,従前とおりの態様で「モンシュシュ」標章の使用を継続することには商標権侵害が成立し得るリスクがあることを認識し,請求人からクレームを受ける前に,自発的に請求人に連絡をとり,協議を開始するようになったが,包装箱への使用など商品商標としての使用を中止するといった対応を行うも,請求人との協議が不調に終わったため,新規店舗の開設を含め店舗名としての使用を継続していたところ,被請求人の事業に対するマスコミや消費者の支持を得て,それまでに取得していた周知・著名性が順調に拡大していっただけである。したがって,被請求人は悪意によって「モンシュシュ」標章を使用していたわけではない。
2 まとめ
以上述べたとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「ベビーモンシュシュ」の片仮名を書してなるものであり,第30類「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子,茶,紅茶,コーヒー及びココア」を指定商品とするものである。
しかして,本件商標の語頭に位置する「ベビー」の文字部分は,「赤ん坊,赤ちゃん」等の意味を有する英語である「baby」の読みを片仮名で表したものであり,他の語と結合して「小さい,小型の,子供用の」等の意味をもって複合語を形成するものとしても一般に広く慣れ親しまれた語といえるものである。
そして,請求人の提出に係る証拠によれば,「baby」の欧文字又はその読みである「ベビー」の片仮名は,菓子やパン等の商品分野において,商品が通常の大きさよりも小さなものであることを表すものとして,例えば,「ベビーカステラ」が通常より小さいサイズの商品「カステラ」(甲41)を,「ベビーシュークリーム」が通常より小さいサイズの商品「シュークリーム」(甲42)を表す等のように使用され,また,例えば,「KitKat Baby」が商品名「KitKat」の小さいサイズ(甲27)を,「ベビーポエム/母恵夢」が商品名「ポエム/母恵夢」の小さいサイズを(甲28及び甲29)表す等,日常的に使用されているものと認められるものである(甲32,甲34,甲36及び甲37,甲43ないし甲47,甲49ないし甲74)。
上述のとおり,「baby」の欧文字又は「ベビー」の片仮名は,本件商標の指定商品中の「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」との関係においては,通常より小さいサイズの商品を表すものとして,商品又は個別の商品名とともに使用されている実情が認められるものであるから,本件商標を上記指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成中の「ベビー」の文字部分について,それが該商品の大きさが通常のよりも小さなものであること,すなわち,商品の品質,形状を表したものと認識するものといえる。
したがって,本件商標の構成中の「ベビー」の文字からは,出所識別標識としての称呼,観念を生じることはないとみるのが相当である。
そこで,後半の「モンシュシュ」の文字部分についてみると,「モン」の文字部分は,「私の」等の意味を有する仏語の「mon」の読みを,「シュシュ」の文字部分が「お気に入り」等の意味を有する仏語(アポロ仏和辞典 株式会社角川書店)の「chouchou」の読みであるが,我が国において仏語がまだ広く一般に普及しているとはいえないことから,「モンシュシュ」の片仮名が,直ちに仏語の「mon」及び「chouchou」の読みを表したものと需要者に理解されるとはいい難いものである。
しかし,本件商標の指定商品である菓子を取り扱う業界においては,その商品名や店舗名に仏語の単語が採択されている実情があることからすれば,本件商標に接する需要者の中には,「モンシュシュ」の文字部分を仏語の単語である「mon」及び「chouchou」の読みを片仮名で表したものと理解する者がいるものということもできる。
そうとすると,本件商標は,その構成中の「モンシュシュ」の片仮名部分が独立して出所識別標識としての機能を果たす本件商標の要部であり,該文字部分からは,「モンシュシュ」の称呼が生じ,「私のお気に入り」程の観念も生じるものと認められる。
(2)引用商標について
引用商標は,「MONCHOUCHOU」の欧文字と「モンシュシュ」の片仮名とを,上下2段に表してなるところ,前述(1)の本件商標と同様の実情があることからすれば,引用商標に接する需要者の中には,上段の欧文字部分を,仏語の単語である「MON」及び「CHOUCHOU」からなるものと理解する者がいるものということもできる。
そうとすると,引用商標は,その構成文字に相応して,「モンシュシュ」の称呼が生じ,「私のお気に入り」程の観念も生じるものと認められる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観については,本件商標の構成中の出所識別標識としての要部たる「モンシュシュ」の片仮名部分と,引用商標の片仮名部分とは,同一の文字構成からなるものであるから,両者は,外観上,相紛れるものである。
そして,本件商標の「モンシュシュ」の片仮名部分と引用商標からは,いずれも「モンシュシュ」の称呼を生ずるものであるから,両商標は,「モンシュシュ」の称呼を共通にするものである。
また,観念については,本件商標の「モンシュシュ」の片仮名部分と引用商標からは,いずれも「私のお気に入り」程の観念が生じるものであるから,かかる観念を共通にするものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,類似の商標というべきである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品中「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」は,引用商標の指定商品である「菓子,パン」と同一又は類似する商品である。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,引用商標と類似の商標であって,かつ,その指定商品中,「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 被請求人の主張について
(1)被請求人は,「モンシュシュ」が「堂島ロール」を始めとしたロールケーキや洋菓子で大人気の被請求人の店舗名として著名となった後,その姉妹店として,洋菓子店舗「Baby Mon chouchou(ベビーモンシュシュ)」が開業された取引実情を踏まえ,本件商標に接した取引者・需要者は,原告の著名なロールケーキ「堂島ロール」を販売する被請求人の洋菓子店「パティシエリーモンシュシュ」の姉妹店であると想起すると主張する(乙143ないし乙199)。
しかしながら,被請求人に係る店舗の名称が「Baby Mon chouchou」であることが窺えるとしても,「Mon chouchou」の店名自体の著名性を認めることができず,「ベビーモンシュシュ」の片仮名からなる本件商標が,「Mon chouchou」の姉妹店と理解されるものということはできない。
また,本件商標と同一の構成からなる標章が,被請求人の「商品」に使用された事実を認めるに足る証拠はなく,本件商標が「菓子及びパン」等に使用される場合,需要者によって,被請求人の「堂島ロール」を始めとする洋菓子を販売する店舗「パティシエリーモンシュシュ」の姉妹店の「ベビーモンシュシュ」として理解されるということができない。
(2)被請求人は,本件商標は識別力の点では軽重の差のない,「ベビー」と「モンシュシュ」という単語を,同書・同大に,スペースを空けずに一体的に記載しているものであるから,あくまでも,商標全体で一つの出所識別標識として理解されるというべきである旨,主張するが,本件指定商品を取り扱う業界において,「baby」又は「ベビー」の文字は,前記1(1)に記載のとおり,通常より小さいサイズの商品を表すものとして,商品又は個別の商品名とともに使用されている実情があり,他方,「Mon chouchou」又は「モンシュシュ」の文字は,店舗名として使用されている場合があるとしても,提出に係る証拠からは必ずしも多いものではないことから,これらの文字を,識別力が弱いものということはできない。
そうとすれば,本件指定商品の取引の場において,本件商標に接する者は,これを,「ベビー」と「モンシュシュ」とに分離して理解,認識するものというべきであるから,常に全体で一つの出所識別標識としてのみ理解されるということができない。
(3)なお,被請求人は,請求人の弁駁に対し,何ら新たな答弁をしていない。
3 むすび
以上のとおりであるから,本件商標は,その請求に係る指定商品中「菓子及びパン,氷菓子,ゼリー菓子」について,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されて登録されたものであるから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲




審理終結日 2013-07-09 
結審通知日 2013-07-11 
審決日 2013-07-31 
出願番号 商願2009-60975(T2009-60975) 
審決分類 T 1 12・ 261- Z (X30)
T 1 12・ 262- Z (X30)
T 1 12・ 263- Z (X30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大森 健司薩摩 純一 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 亨子
梶原 良子
登録日 2011-04-01 
登録番号 商標登録第5402359号(T5402359) 
商標の称呼 ベビーモンシュシュ、モンシュシュ 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 中村 勝彦 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 
代理人 田中 克郎 
代理人 田中 景子 
代理人 大河原 遼平 

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