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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300291 審決 商標
取消2012300151 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1278962 
審判番号 取消2012-300230 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-03-22 
確定日 2013-09-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第4695627号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4695627号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALL STATE」の欧文字(「ALL」と「STATE」の間に半角程度の空白がある。)を横書きしてなり、平成14年7月5日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成15年8月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、第25類「被服」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第2条第3項第1号(商品に本件商標を付する行為)について
(ア)乙第1号証ないし乙第3号証の革製ジャケットに「ALLSTATE」の下げ札及び襟ネームが付されていることを認める。
被請求人がアメリカンカジュアルの企画・製造をしていることは認めるが、乙第1号証ないし乙第10号証から、被請求人が革製ジャケットに「ALLSTATE」の下げ札及び襟ネームを付したこと及びいつ付されたのかは不明である。
(イ)よって、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、革製ジャケットに「ALLSTATE」の下げ札及び襟ネームを付したとはいえない。
(2)商標法第2条第3項第2号(商品に本件商標を付したものを譲渡又は引き渡す行為及び商品に本件商標を付したものを譲渡又は引き渡しのために展示する行為)について
(ア)乙第1号証ないし乙第3号証は、革製ジャケットに本件標章を付したものを譲渡又は引き渡す行為及び本件標章を付したものを譲渡又は引き渡しのために展示する行為を立証するものではない。
(イ)乙第5号証の2ページ及び3ページの写真に示される革製ジャケットには、何ら下げ札もネームも付されていない。
また、乙第5号証の4ページの写真には、「ALLSTATE」のネームが示されているが、そのネームが革製ジャケットに付されているのか、それとも運動用特殊衣服に付されているのか上記写真からは不明である。
よって、乙第5号証は、革製ジャケットに「ALLSTATE」が付されていることを示していない。
(ウ)乙第5号証の2ページ及び3ページの写真は、衣料品店と思われる店にて男性が革製ジャケットを着用しているところを写したものである。
しかし、その革製ジャケットには、乙第1号証及び乙第3号証に示される下げ札もついておらず、その革製ジャケットが衣料品店と思われる店にて実際に譲渡又は引き渡しされたのか、また、本件標章を付したものを譲渡又は引き渡しのために実際に展示されたのか不明である。
また、当該店舗が被請求人又は株式会社レイラニトレーディング(以下「レイラニトレーディング」という。)が運営する店なのか不明である。
さらに、レイラニトレーディングが被請求人の通常使用権者であるとは認められない。確かに、レイラニトレーディングの代表者と被請求人の代表取締役は同一人物であるが、被請求人とレイラニトレーディングとは別法人であり、レイラニトレーディングは、単に被請求人が企画・製造する商品を小売販売するにすぎないからである。
(エ)乙第5号証は、株式会社サイバーエージェントが運営するアメーバブログの一部である。乙第5号証のヘッダーには、「2012年02月06日のブログ」であると記載されている。
しかし、甲第2号証に示すように、ブログの投稿日時は過去・未来問わず、好きな時間に設定・変更することができる。
なお、乙第4号証によれば、「2012年02月06日のブログ」として乙第5号証のホームページが検索サイトのYahoo!により検索されている。これは、乙第5号証のアメーバブログの日付が「2012年02月06日」と記載されたためであり、このアメーバブログが2012年2月6日に実際に投稿されたことを証明するものではない。
よって、乙第4号証及び乙第5号証は、本審判の請求の登録前3年以内に、ブログが投稿されたことを示すものではない。
(オ)よって、被請求人及びその通常使用権者の少なくとも一方が、本審判の請求の登録前3年以内に、革製ジャケットに本件標章を付したものを譲渡又は引き渡したとはいえず、譲渡又は引き渡しのために展示したともいえない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
答弁の理由
1 本件商標の使用者
商標権者(東洋エンタープライズ株式会社)及び通常使用権者(レイラニトレーディング)
2 商標権者(被請求人)と通常使用権者との関係
通常使用権者であるレイラニトレーディングは、被請求人と本店所在地を同じにし、被請求人会社の代表取締役社長(小林亨一)が100%出資する会社で、実質的に被請求人の子会社に相当する。
被請求人がアメリカンカジュアル(アメカジ)ウェアーの企画、製造及び卸売りを主業務とするのに対し、レイラニトレーディングは、被請求人の提供する商品を中心に各種アメカジ商品を小売販売する店舗経営を主業務とする。本件商標を付した商品(革製ライダースジャケット)についても、被請求人が企画、製造し、レイラニトレーディングが運営する店舗にて販売したものである。
以上より、レイラニトレーディングによる本件商標の使用については、被請求人の承諾があったことは、容易に推認できるところであり、同社が本件商標についての通常使用権者に該当することは明らかである。
3 本件商標の使用に係る商品名
革製ジャケット
4 本件商標の使用時期
2003年8月頃より現在。少なくとも平成24年(2012年)2月6日現在において本件商標を使用していたことは明らかである(乙4、乙5)。
5 本件商標の使用場所
(1)東洋エンタープライズ株式会社(商標権者)の本店所在地
(2)レイラニトレーディング(通常使用権者)の本店所在地及び運営する店舗
6 本件商標の使用態様
(1)商品(商品本体・襟ネーム・下げ札)に本件標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)。
(2)同上商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示する行為(商標法第2条第3項第2号)。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標は、過去3年間以上継続的に使用しているもので、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消し得ないものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る各乙号証をみるに、乙第1号証は、「革製ジャケット」の正面写真であり、乙第2号証は、その襟口部分拡大写真であり、乙第3号証は、2枚の下げ札が取り付けられている部分の拡大写真である。そして、襟口部の襟ネームには、塗りつぶした横長矩形内に白抜きの「ALLSTATE」の文字が横書きされた商標(以下「襟ネーム商標」という。)を表示した襟ネームがある。
また、下げ札の内1枚は襟ネーム商標が表示されているものであり、他の1枚は「LOT」欄に「AS80036」の記載があり、「PRICE」欄に「¥108,000」の記載があるものである。
なお、上記写真の襟ネーム及び下げ札からは、その製造者、販売者を示す表示は確認できない。
乙第4号証は、検索サイト「Yahoo!」の2012年5月23日検索の結果一覧であり、下記乙第5号証のブログが検索されている(検索されたURLと乙第5号証のURLは同一である。)。
乙第5号証は、アメーバブログの新宿のアメカジショップ「junkyspecial」のブログ「JUNKY SPECIAL BLOG」のページであり、「2012-02-06 12:44:57」の日時及び「今だからこそ、このライダースを提案します!」の見出しがあり、さらに、「今回はライダースジャケットを紹介!」の見出しの下、「【ALLSTATE】Two-Tone Leather Jacket」(以下、「ALLSTATE」の部分を「使用商標」という。)と記載され、その説明として「シアーズ・ローバック社のバイクブランドの『ALLSTATE』を実名復刻 『BUCO』のJ-82にそっくりなこのジャケット」、「バイク乗り、ロッカーズ、パンクス、など多くの人に愛され続けたライダース お勧めの一着です」などとして、6葉の写真で当該革製ジャケット(以下「使用商品」という。)の特徴を紹介し、さらに「タグもこの通り完璧に再現」として、襟口部の拡大写真があり、その襟口部に本件襟ネームがある。そして、これらの写真の商品は、そのデザイン等から、乙第1号証ないし乙第3号証の革製ジャケットと認められる(なお、サイズは異なる。)。
さらに当該ブログには、「AS80036 ¥108,000」の記載のほか、「本日も22時まで営業しております。」とし、問い合わせ先として、電話番号、メールアドレス、URLが記載されている。
乙第6号証は、「西武新宿ぺぺ&アメリカン・ブルーバード」のショップ詳細情報の「ジャンキースペシャル」のウェブページであり、「アメリカンカジュアルを様々なテイストで楽しめるお店です。」などとしてカジュアルウェアが展示された店内の写真が掲載されている。
乙第7号証は、レイラニトレーディングの「売上高等の事業所別内訳書」として4店舗の事業内容が記載された書面であり、内一つに「西武ペペ ジャンキースペシャル」があり、「事業等の内容 衣料小売店舗」などとして記載されている。
乙第8号証は、レイラニトレーディングに係る「同族会社等の判定に関する明細書」であり、乙第10号証は、被請求人の「履歴事項全部証明書」であるが、「同族会社等の判定に関する明細書」の「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」には、全株式の所有者として「履歴事項全部証明書」の代表取締役と同一の者が記載されている。
2 以上によれば、レイラニトレーディングは、2012年(平成24年)2月6日に、経営する「ジャンキースペシャル」のブログにおいて、使用商標を付して同店舗で販売する使用商品の広告・宣伝をしていたことが認められる。
(1)通常使用権者について
請求人は、レイラニトレーディングは単に被請求人が企画・製造する商品を小売販売するにすぎないから、通常使用権者であるとは認められない旨主張している。
しかしながら、レイラニトレーディングは、自己の販売(譲渡)する使用商品(革製ジャケット)の広告に使用商標を付して電磁的方法により提供しているのであるから、レイラニトレーディングが使用商標の使用者であると解することができる。そして、レイラニトレーディングは、被請求人の代表取締役(小林亨一)が100%出資する「同族会社」であることが確認できるから、レイラニトレーディングは、被請求人から本件商標の通常使用権を許諾されている者であると推認できる。
(2)使用商品について
使用商品は、「革製ジャケット」であり、本件審判請求に係る指定商品中「被服」の範ちゅうの商品と認められる。
この点について、請求人は、使用商品について革製ジャケットであるのか、運動用特殊衣服であるのか不明である旨主張している。
しかしながら、使用商品の形状は、必ずしもレーサーのみが着用するというべき特徴を有しているものではないし、乙第5号証にある商品の説明からは、ロッカーズ、パンクスなども着用するものであり、さらに、当該商品を取り扱っている店舗「ジャンキースペシャル」について、「アメカジショップ」と宣伝し、また、その店舗に展示されている商品もカジュアルウェアである(乙6)ことからすると、使用商品は、カジュアルウェアとして用いられるものであり、「被服」の範ちゅうの商品であると認められるものである。
(3)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「ALL STATE」の欧文字からなるものであり、使用商標は、「ALLSTATE」の文字からなるものである。本件商標が「ALL」「STATE」の間にわずかな空白を有しているものの、本件商標と使用商標は、その構成文字を同じくするものであるから、社会通念上同一の商標と認められるものである。
(4)使用時期について
レイラニトレーディングが使用商品を広告した、2012年2月6日は、本件審判請求の登録(平成24年(2012年)4月12日)前3年以内である。
この点について、請求人は、ブログの投稿日時は過去・未来を問わず、好きな時間に設定・変更することができる(甲2)から、乙第4号証及び乙第5号証は、本件審判請求の登録前3年以内にブログが投稿されたことを示すものではない旨主張している。
しかしながら、ブログの投稿日時は、その設定により変更が可能なことは認め得る(甲2)としても、請求人は、乙第4号証及び乙第5号証のブログの投稿日が変更されたとする証左を示すものではなく、また、当該ブログの内容に何ら不自然な点はないから、当該ブログは、2012年2月6日に投稿されたものと見ることができる。したがって、請求人のかかる主張は、採用できない。
(5)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるレイラニトレーディングが、2012年(平成24年)2月6日に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用して革製ジャケットの広告をインターネットを介して行ったものと認めることができる。そして、係る行為は、「商品に関する広告情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)と認められる。
3 まとめ
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「革製ジャケット」について、本件商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る指定商品についての登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-09-26 
結審通知日 2012-09-28 
審決日 2012-10-23 
出願番号 商願2002-56629(T2002-56629) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2003-08-01 
登録番号 商標登録第4695627号(T4695627) 
商標の称呼 オールステート 
代理人 田中 聡 
代理人 野原 利雄 

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