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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900048 審決 商標
異議2013900089 審決 商標
異議2013900077 審決 商標
異議2013900044 審決 商標
異議2013900101 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
管理番号 1277969 
異議申立番号 異議2013-900003 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-01-07 
確定日 2013-08-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5526627号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5526627号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5526627号商標(以下「本件商標」という。)は、「Skip Arch」の文字を標準文字で表してなり、平成24年4月9日に登録出願、第16類「印刷用紙,筆記図画用紙,ポストカード紙,スクラップブック,スケッチブック,帳簿,手帳,ノートブック,便せん,方眼紙,用せん,ルーズリーフ用紙,切り取り式のカレンダー」を指定商品として、同年8月28日に登録査定、同年10月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証(なお、括弧内の証拠番号は、以下「甲1?甲24」のように省略して表す。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第4332973号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成10年2月4日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,荷札,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,装飾塗工用ブラシ,封ろう,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同11年11月12日に設定登録されたものである。
(2)引用商標の著名性について
引用商標に係る水彩紙は、1492年にフランスのロレーヌ地方で生まれ、500年以上も手漉きに近い製法で製造され、ドガ、マチス、ピカソ、ミロを始め、世界中のアーティストに愛用されてきた美術用紙の代名詞とも称えられるものである(甲9?甲11)。そして、当該水彩紙は、我が国においても広く販売され、その表紙には「AQUARELLE ARCHES」の欧文字が表示されるとともに、商品説明として「ARCHESアルシェ」と片仮名を併記して表示されている(甲13?甲18)。また、個人のホームページやブログにおいても、「お勧めの紙」、「最強の水彩紙」、「ドガ・マティス・ピカソ・ミロが愛用していた」等の記載がある(甲19?甲21)。さらに、引用商標は、世界中において商標登録されている(甲22)。
以上のことから、引用商標は、我が国及び世界中の美術用紙の取引者・需要者の間で周知著名となっている。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、「Skip」と「Arch」の欧文字を組み合わせてなるところ、これらはいずれも大学入試レベルの平易な英単語であり(甲3,甲4)、国語事典にも掲載されていることから(甲5,甲6)、我が国の需要者・取引者は、その意味を直ちに理解できるといえる。そして、「Skip」は、「飛ばすこと。ある箇所を飛ばして先に進むこと。」との意味であり(甲5)、本件指定商品との関係では、「切り取り式」という商品の品質・性状を容易に想起させるから、この部分の識別力は極めて弱いといえる。他方、「Arch」は、「建造物で、上方に弓形に曲がった梁。祝祭典の会場に設ける記念門。」といった意味であるところ(甲6)、この意味は、本件商品とは全く関連性がなく、識別力は強いといえる。
そうとすれば、「Skip」と「Arch」の本件商品に対する識別力の顕著な差異及び引用商標の著名性、本件商標権者に係る実際の商品が「切り取り式」であること等の取引の実情(後記ウ(エ)参照)を考慮すれば、本件商標中の「Arch」の文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、この部分だけを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される。
イ 引用商標について
引用商標は、デザイン化された「ARCHES」の欧文字と「アルシェ」の片仮名を2段に併記してなるところ、「ARCHES」は、英語の「arch」に相当するフランス語の「arche」の複数形であり、また、「アルシェ」は、単に欧文字部分の読みを表記したにすぎないから、引用商標に接する取引者、需要者は、欧文字部分を要部と把握する。
したがって、引用商標中の「ARCHES」の文字部分が商品の出所識別標識として強く印象を与えるから、この部分だけを類否の判断とすることも許される。
ウ 本件商標と引用商標の対比
(ア)称呼について
本件商標及び引用商標からは、それぞれ、構成全体のほか、「Arch」又は「ARCHES」が分離観察されるから、本件商標の「Arch」と引用商標の「ARCHES」を対比することが許される。
そして、「Arch」は、平易な英単語であるから、その発音に相応する「アーチ」の称呼が生じる。
他方、「Arches」は、フランス語では「アルシェ」と読まれるが、我が国のフランスの普及度からすれば、需要者・取引者はこれを英語と認識し、引用商標中の「ARCHES」の文字は、「ARCH」の複数形と理解し、これに相応する「アーチズ」の称呼が生じる。
そこで両者を比較すると、語尾において「ズ」の有無が相違するが、語尾は一般的に省略されやすく弱く発音される上、複数形の語尾変化にすぎないから重要度も低い。
よって、両者は、称呼上相紛らわしく互いに類似する。
(イ)観念について
本件商標の「Arch」からは、「建造物で、上方に弓形に曲がった梁。祝祭典の会場に設ける記念門。」の観念が生じ、引用商標の「Arches」からは、英語の「ARCH」の複数形と理解するから、やはり「建造物で、上方に弓形に曲がった梁。祝祭典の会場に設ける記念門。」の観念が生じ、両者は互いに観念上同一である。
(ウ)外観について
本件商標の「Arch」は、標準文字であるのに対し、引用商標の「ARCHES」は、デザイン化されている。しかし、取引の実際において、標準文字は様々なフォントや装飾を施されて使用されるから、デザインの相違は重要ではなく字形そのものに着目される。そうすると、両者の相違は、単数・複数を表す「es」にすぎず、この部分は実質的なものではなく、印象・記憶に残らない。さらに、「Arches」が、申立人に係る水彩紙を表す商標として、世界的・歴史的に著名であることを考慮すれば、これと単数・複数を表す語尾が相違するにすぎない「Arch」を引用商標と見誤るおそれがある。
よって、両者は、外観上類似する。
(エ)取引の実情について
本件商標は、周知著名である引用商標と同一の「水彩紙」に使用されている(甲23,甲24)。そして、本件商標にかかる商品は「切り取り式」であることを特徴としており(甲23)、本件商標の構成中の「Skip」の文字は、本件指定商品との関係では「切り取り式」という商品の品質・性状を想起させるから、取引の実際において、この部分の識別力は極めて弱い。他方、引用商標も、「AQUARELLE ARCHES」のように「水彩画」という商品の用途を想起させる語と組み合わされて使用している(甲9?甲21)。
(オ)小括
本件商標と引用商標とは、各々要部である「Arch」及び「ARCHES」が分離観察され、その外観、観念、称呼が類似し、引用商標が世界的・歴史的に周知著名であり、本件商標が実際に使用されている商品が当該周知著名にかかる商品と同一であるとの具体的な取引状況に基づいて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所のつき誤認混同を生じるから、本件商標と引用商標は、全体として互いに類似する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
申立人の使用に係る引用商標(以下「引用使用商標」)という。)は、引用商標の欧文字部分と同一であり、前記(2)のとおり、美術用紙(水彩紙)について世界的・歴史的に周知著名である。そして、引用使用商標は、フランス語からなり、我が国では造語と把握され(独創性がある)、本件商標の指定商品は、紙類、文具類及び切り取り式カレンダーであるから、引用使用商標に係る商品と関連性が強く、両商品の需要者は共通する。
以上の事情に照らせば、本件商標を本件指定商品に使用するときは、その取引者及び需要者において、本件商標中の「Arch」を世界的・歴史的に周知著名な「ARCHES」ブランドと結びつけて理解する場合も少なくないと考えられ、引用使用商標主の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
また、引用使用商標が水彩紙について世界的・歴史的に周知著名であることからすれば、水彩紙を取り扱う本件商標権者は、当然引用使用商標を知っていたはずである。それにもかかわらず、本件商標権者が、「Arch」を要部とする本件商標を採択することは、周知著名である引用使用商標へのただ乗り及び当該表示の希釈化の意図があることが推認される。
以上のように、本件商標は、引用使用商標主(申立人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある上、本件商標は、引用使用商標の名声にフリーフライドしようとする意図が推認されるから、商標法第4条第1項第15号に該当する
(5)商標法第4条第1項第19号について
引用使用商標は、世界的・歴史的に周知著名であり、本件商標はこれに類似する。そして、本件商標権者は、周知著名である引用使用商標へのただ乗り及び当該表示の希釈化の意図があることが上記のとおり推認される。
以上から、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
(6)むすび
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標(引用使用商標も含む。)の周知・著名性について
申立人は、引用商標が周知・著名である旨主張して、甲第9号証ないし甲第22号証を提出しているが、これらは、インターネットのウェブサイト、通販サイト及び個人ブログの一部を紙打ち出ししたもの(甲9?甲21)並びに引用商標の各国商標登録一覧の写し(甲22)であり、前者については、「ARCHES アルシュ水彩画スケッチブック」の表題の下、「アルシュ水彩画が誕生したのは1492年。以来500年にわたり、アングル、ピカソ、ドガ、ミロをはじめ世界中のアーチストに愛され続けてきました。100%コットンで中性、酸性劣化を防ぎます。自然な白さと独特の紙肌を備えたアルシュ紙は世界一の水彩紙としてユーザーの信頼を得ています。」との商品説明はある(甲15)ものの、その他、「ARCHES」、「Arches」、「アルシュ」の文字を含むタイトルとともに「アルシュ水彩紙」の商品が紹介されているもののみであり、後者については、「ARCHES」又は該文字を一部に含む商標の世界各国での登録状況を示すにすぎないものである。
そうすると、上記証拠からは、引用使用商標を付した商品が申立人により我が国においても販売されていること、引用商標が日本において登録されていること及び「ARCHES」又は該文字を一部に含む商標が世界各国において商標登録されていることは認められるが、これをもって、引用商標又は引用使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されているとはいい難い。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、その構成中、「Skip」及び「Arch」の文字間に、1文字分の間隔があるものの、その構成各文字は、同じ書体、同じ大きさにより表されているものであって、一体的に把握することがさほど不自然なものではない。そして、「Skip」の欧文字が「飛ばすこと。ある箇所を飛ばして先に進むこと。」の意味を有する英語として、また、「Arch」の語が「アーチ、弓形(のもの)」の意味を有する英語として、それぞれ一般に広く知られているものであり、本件商標全体から生じる「スキップアーチ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
ところで、申立人は、「Skip」の語が、本件商標の指定商品との関係において、「切り取り式」という商品の品質・性状を容易に想起させるから、識別力が極めて弱くこれを省略し、「Arch」の文字から生ずる「アーチ」の称呼により、引用商標と類否の判断をすることが許される旨主張する。
しかしながら、申立人は、「Skip」の語が、本件商標に係る指定商品の品質等を表示するものとして、一般に使用されていると認められるべき証拠を何ら提出しておらず、当審において職権をもって調査するも、本件商標中の「Skip」の語が、本件商標に係る指定商品との関係において、「切り取り式」との意味合いで取引者、需要者において普通に使用されている実情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者がその構成中の「Arch」の欧文字部分にのみ着目して取引に当たるとはいい難く、その構成全体をもって認識、把握されるとみるのが相当であるから、その構成文字全体に相応して「スキップアーチ」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲のとおり、ややデザイン化された「ARCHES」の欧文字と「アルシュ」の片仮名を二段に書してなるところ、上段の欧文字は、「(橋、陸橋などの)アーチ」の意味を有するフランス語「arche」の複数形であって、「アルシュ」と発音されるものであるが、当該意味を有する語として、直ちに理解、認識されるほど我が国において親しまれて使用されているものではないことからすれば、我が国において、本件商標から特段の観念が生じるものとはいえない。そして、一般に欧文字と仮名文字とを併記した構成からなる商標において、その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、仮名文字より生じる称呼が、その欧文字部分より生ずる自然の称呼とみるのが相当であり、引用商標における上記の構成態様からすれば、「アルシュ」の片仮名が「ARCHES」の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識できるから、引用商標は、「アルシュ」の称呼を生ずるものと認められる。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、それぞれ、前記1と別掲のとおりの構成からなるものであり、その構成において著しく相違するから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「スキップアーチ」の称呼と引用商標から生じる「アルシュ」の称呼とは、その音数及び音構成を明らかに異にするものであるから、明確に聴別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標は、共に特定の観念が生じないものであるから、両者は、観念上、相紛れることはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、引用使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また、本件商標と引用使用商標とは、「Arch」の文字と「ARCH」の文字において、つづりを共通にする部分を有するとしても、上記(2)アのとおり、本件商標は、その構成全体をもって認識、把握されるものであるから、両者は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
してみれば、上記のとおり、引用使用商標の周知性が認められないことに加え、本件商標と引用使用商標とが非類似の商標であることからすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人又は引用使用商標を想起、連想させるものとはいえず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり、引用使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものであり、また、上記(3)のとおり、本件商標と引用使用商標とは類似するものではない。そして、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標を登録出願し、商標登録を受けたと認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。
そうとすれば、本件商標は、引用商標の出所表示機能を希釈化させ、申立人の名声を毀損させる目的、その他不正の目的をもって使用するものとは認め難いものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標


異議決定日 2013-08-06 
出願番号 商願2012-27607(T2012-27607) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W16)
T 1 651・ 262- Y (W16)
T 1 651・ 261- Y (W16)
T 1 651・ 222- Y (W16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浜岸 愛 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 池田 佐代子
手塚 義明
登録日 2012-10-05 
登録番号 商標登録第5526627号(T5526627) 
権利者 株式会社ミューズ
商標の称呼 スキップアーチ 
代理人 恩田 誠 
代理人 砂川 惠一 
代理人 恩田 博宣 

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