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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900211 審決 商標
異議2013900100 審決 商標
異議2013900077 審決 商標
異議2013900048 審決 商標
異議2013900101 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1277965 
異議申立番号 異議2013-900024 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-01-28 
確定日 2013-08-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5531046号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5531046号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5531046号商標(以下「本件商標」という。)は、「RAW BEAUTY」の文字を標準文字で表してなるものであり、平成24年2月8日に登録出願、同年9月12日に登録査定され、第34類「スモーキングたばこ,パイプたばこ,手巻きたばこ,かみたばこ,スヌースを含むかぎたばこ,紙巻たばこ,葉巻たばこ,シガリロ,その他のたばこ,ライター,シガレットチューブ,その他の喫煙用具,紙巻きたばこ用紙,マッチ」を指定商品として、同年10月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べている。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人、エイチ・ビー・アイ ヨーロッパ ゲーエムベーハー(HBI Europe GmbH)は、ヨーロッパ最大のたばこ卸売会社であり、「RAW」ブランド(以下「引用商標」という場合がある。)は、主力ブランドの一つである。また、申立人は、北米に関連会社「HBI International」及び「HBI Canada」を有している(甲2)。申立人及びその関連会社は、2005年より、欧米を中心とする世界各国において、「RAW」ブランドの手巻きたばこ用紙、フィルター、ローラー等の販売を開始した。
「RAW」ブランドに係る手巻きたばこ用紙は、化学添加物を一切使用しない、100%天然素材から作られていることを最大の特徴としている(甲3)。「RAW」ブランドが付された商品は、欧米を中心に販売開始以来順調に売り上げを伸ばし、申立人の主力商品の一つとして位置づけているものである。2006年?2011年の6年間で、欧州では約10,000ユーロ、米国では約160,000ドルの売上げを記録した(甲4)。
日本市場においては、申立人は、2006年より、たばこ・喫煙用具の小売店を通じて、「RAW」ブランドの商品の販売を開始した。また、日本語による「RAW」ブランドの専門サイトも開設した(甲5)。「RAW」ブランドの評判は愛好者の間で徐々に広がり、2010年にはインターネット通販サイトでも頻繁に紹介・販売されるようになった。現在では、全国各地、146の店舗で「RAW」ブランドの商品が販売されている(甲10、11)。
イ 申立人の商品である手巻きたばこ用紙及びその関連商品は、用途及び取引数量などが極めて限定されているものであって、需要者・流通経路などの取引の範囲も極めて限定されているものであることを考慮すれば、上記の主張及び証拠資料から、「RAW」が申立人の業務に係る手巻きたばこ用紙及びその関連商品を表示するものとして、本件商標の出願時及び登録査定時において需要者・取引者の間で周知であったことは明らかであると言える。
ウ 引用商標は、「RAW」の欧文字よりなり、「生の、未加工の」という意味で一般的によく知られた英単語であるから、「ロウ」の称呼が生じる。一方、本件商標は「RAW BEAUTY」の欧文字を標準文字で横書きした構成であるところ、本件商標中の「BEAUTY」の語は、英語で「美」等の意味合いを有するものであり、各種商品に使用されることも多い平易な語であるから、識別力がないか、極めて低い部分である。そうとすれば、識別力を発揮するのは「RAW」の部分となるから、「ロウ」の称呼が生ずる。したがって、両商標は、「ロウ」の称呼を共通にする称呼上類似のものである。
また、本件商標の要部「RAW」からは、「生の、未加工の」といった観念を有するが、引用商標からも「生の、未加工の」の観念が生じ、両者は観念も類似する。
加えて、「BEAUTY」の語が「美」等の意味合いを有するものであり、主に女性向けの商品にしばしば用いられるところ、上記のとおり、「RAW」が申立人の紙巻きたばこ用紙等として需要者の間で認識されていることよりすれば、本件商標が紙巻きたばこ用紙等について使用された場合には、申立人の「RAW」ブランドから、新たに女性向けの商品が発売されたものと理解する可能性が極めて高いというべきである。かかる点からも、本件商標は、全体の観念において、引用商標との類似性が高いことは明らかである。
エ 以上、本件商標は、他人である申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「RAW」に類似する商標であって、その商品と同一の商品について使用をするものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
上述のように、「RAW」は、本件商標の出願時及び査定時において、申立人の商品を象徴するブランド名として、国内外の取引者及び需要者の間ですでに広く認知されていた。本件商標の登録は、申立人の主力商品である「紙巻きたばこ用紙」及び「その他の喫煙用具」をそっくりそのまま含み、かつ、その他類似関係にある商品も含まれている。
ここで、本件商標の商標権者である日本たばこ産業株式会社は、たばこの大手製造販売メーカーであり、海外でも積極的に事業を展開していることから(甲12)、日本国内はもとより欧米においても周知となっていた申立人の引用商標の存在を当然に知っていたとみるべきである。また、両社の商品の需要者や流通ルートは完全に重複しているため、競争相手となる可能性は十分に予見されていたはずである。
こうした事実から、商標権者は、国内外で周知な引用商標が我が国で未だ登録されていないことを奇貨として、本件商標を先取り的に出願し、申立人が築き上げてきた信用にただ乗りしようとする不正の目的をもって、本件商標を使用するものといわなければならない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標の周知性について
申立人の主張及びその提出に係る証拠によれば、申立人は、ヨーロッパのたばこ卸売会社であり、引用商標「RAW」は、その業務に係る商品の「手巻きたばこ用紙」等(以下「使用商品」という場合がある。)に使用されているものである。
そして、「RAW」ブランド(引用商標)が付された使用商品は、欧米を中心に販売され、2006年?2011年の6年間で、欧州では約10,000ユーロ、米国では約160,000ドルの売上げを記録した(甲4)。
日本市場においては、申立人は、2006年より、たばこ・喫煙用具の小売店を通じて、「RAW」ブランドの使用商品の販売を開始し、現在では、全国各地、146の店舗で販売されている(甲10、11)。
しかし、海外及び我が国における使用商品の販売は、2006年から現在まで8年間ほどであり、それほど長年にわたるものでなく、また、提出された証拠によれば、販売個数、販売額も決して多いものとはいい難いものである。さらに、使用商品及び引用商標に関して、インターネット情報によるものが散見されるとしても、新聞、雑誌などで広範に多数の宣伝、広告がされていたとの事実及び雑誌などのマスコミ媒体等で取り上げられたなどの事実は確認できない。
そのほか、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。
してみると、甲第2号証ないし甲第12号証をもってしては、引用商標が申立人の業務に係る商品の出所を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
イ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「RAW BEAUTY」の欧文字よりなるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく表されているものである。
そして、該「RAW BEAUTY」の文字は、特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであって、その構成文字に相応して「ロービューティー」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、「RAW」の欧文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「ロー」の称呼を生ずるものである。そして、該「RAW」の欧文字は、生の、加工していない」等の意味を有する英語であるから、引用商標からは、「生の、加工していない」程の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、それぞれの構成態様に照らし、判然と区別し得る差異を有するものであるから、両商標は、外観上互いに相紛れるおそれはないものである。
そして、称呼においては、本件商標から生ずる「ロービューティー」の称呼と、引用商標から生ずる「ロー」の称呼とは、「ロー」に続く「ビューティー」の音の有無という明らかな差異を有するものであって、その音構成、構成音数において著しい差異を有するものであるから、両商標は、称呼上明確に区別することができるものである。
また、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、「生の、加工していない」の観念を生ずるものであるから、両商標は、観念上類似するものではない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 小括
以上のとおり、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間で広く認識されていたということはできないものであって、かつ、本件商標と引用商標は非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間で広く認識されていたということができないことは、前記(1)アで判断したとおりであり、また、本件商標が引用商標と類似しないと判断されることは、前記(1)イのとおりである。
そして、不正の目的については、本件で提出された証拠によっては、本件商標が引用商標の周知性などに便乗して不正の利益を得ることを目的にしていたとか、申立人に損害を与えることを目的に登録出願したとの事情は見いだし得ないものである。そのほか、本件商標が不正の目的をもって登録出願されたとの事情も窺うことはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しないものである。
(3)申立人の主張について
申立人は、「申立人の商品である手巻きたばこ用紙及びその関連商品は、用途及び取引数量などが極めて限定されているものであって、需要者・流通経路などの取引の範囲も極めて限定されているものであることを考慮すれば、上記の主張及び証拠資料から、『RAW』が申立人の業務に係る手巻きたばこ用紙及びその関連商品を表示するものとして、本件商標の出願時及び登録査定時において需要者・取引者の間で周知であったことは明らかであると言える。」旨の主張をしている。
しかしながら、申立人の業務に係る手巻きたばこ用紙及びその関連商品は、たばこ関連の商品であって、その需要者は喫煙者であり、単に手巻きたばこ用紙及びその関連商品の需要者のみに限定されるべきものではなく、たばこの需要者の全体がその対象とされるべきものと考えられるから、申立人の主張は、採用できない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-08-08 
出願番号 商願2012-8565(T2012-8565) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W34)
T 1 651・ 25- Y (W34)
T 1 651・ 252- Y (W34)
T 1 651・ 253- Y (W34)
T 1 651・ 251- Y (W34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小出 浩子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 亨子
谷村 浩幸
登録日 2012-10-26 
登録番号 商標登録第5531046号(T5531046) 
権利者 日本たばこ産業株式会社
商標の称呼 ロービューティー、ロー、アアルエイダブリュウ、ビューティー 
代理人 伊東 忠重 

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