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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1277904 
審判番号 取消2012-300826 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-10-19 
確定日 2013-07-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第5184513号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5184513号商標の指定商品中、第9類「携帯電話機用のプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,電子計算機用プログラム」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5184513号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジョグー」の片仮名を横書きしてなり、平成20年5月14日に登録出願、第9類「携帯電話機,その他の電気通信機械器具,携帯電話機用のプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能な家庭用テレビゲーム機用のゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機の待受け用画像(動画・静止画を含む),ダウンロード可能な携帯電話機の着信用音楽,その他のダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)・音楽・音声,家庭用テレビゲーム用おもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及び第41類「携帯電話による通信を用いて行う音声・音楽・画像・映像・ゲームの提供及びそれらに関する情報の提供,その他のコンピュータネットワークによる通信を用いて行う音声・音楽・画像・映像・ゲームの提供及びそれらに関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同年11月28日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成24年11月6日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(審決注:甲第4号証は欠番である。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中の第9類「携帯電話機用のプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,電子計算機用プログラム」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても請求に係る指定商品について使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求に係る指定商品について、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第14号証の使用は、「携帯電話用のプログラム」についての使用ではなく、商標法第50条の要件を満たすものではない。
(2)乙第3号証
ア 乙第3号証は、ITmediaという会社のホームページからの抽出物と思われ、これは「フルテェンケータイ re」と呼ばれる携帯電話機のパーツが交換できることを主たる内容とする記事とみえる。そして、これには、携帯画面の写真があり、そこには、「エリクルたちの/絵日記」という画面が表示されたものがあり、その隣には、「彼はジョグー/自由気ままでずるがしこい」の文字が示され、その下にねずみのキャラクターが表示された画面がある。
イ ここで、「ジョグー」の文字は、本件商標と実質的に同一のものと解されるが、ここでの「ジョグー」の表示は、この画面に現れる「ねずみのキャラクター」につけられた名称である。この「ジョグー」及び「エリクルたちの絵日記」がコンピュータによって作動するとしても、少なくとも、当該キャラクターの名称が、当該コンピュータそれ自体の出所を表示する商標として使用され、認識させるものではない。
ウ 乙第3号証の9葉目の記事には、「長く使ってもらうための配慮はソフトウェアにも反映されている。それが、『MyOriginalMap』と『エリクルたちの絵日記』を含む『MyStory アプリ』だ。」の記述もある。
また、上記記事の表題も、「中身も飽きさせない『MyStory アプリ』」となっており、当該画面上の絵日記を作動させるソフトの名称としては、「MyStory アプリ」が使用されているように推察できる。
エ このように、「エリクルたちの/絵日記」という画面が、当該携帯電話機の動作・機能のひとつとして表示されるとしても、その画面の動きの中で現れ、画面を装飾する動物のキャラクターの名称が、この画面を動作させる携帯電話機に内臓されたコンピュータソフトの商標である、と認識されるようなことはありえない。
携帯電話機は、当該プログラムを含め、「コンピュータプログラム」によって制御されていることは自明であるが、それだからといって、当該「携帯電話機」につけられた商標「BRAVIA Phone U1」(乙4)が、その携帯電話機を作動させる内蔵された「プログラム」の商標とまで認識されるものではない(甲1?3)。
オ 本件商標が、商品「携帯電話機用プログラム」に使用されているといえるには、まず、本件商標が付された「携帯電話機用プログラム」が、独立した商品として、記録媒体に格納され、又は、ダウンロードできる形で、譲渡等取引の対象として、市場に流通していなければならない(甲5)。
しかしながら、乙第3号証は、そのような本件商標が使用された「携帯電話用コンピュータプログラム」が、独立して販売されていることを何ら示してはいない。
(3)乙第4号証
乙第4号証もまた、本件商標を使用した「携帯電話機用コンピュータソフトウェア」が、実際に記録媒体に格納され、あるいは、ダウンロードを通じて提供されている事実を全く示していない。
(4)乙第5号証及び乙第6号証
乙第5号証及び乙第6号証は、NTT docomoのホームページの抽出物であるが、それぞれの携帯電話機が、すでに、生産終了し(本件審判の請求の登録日3年前よりさらに前時点において)、修理受付が可能(2014年8月まで)ということを示すのみで、本件商標が付された「携帯電話用のソフトウェア」が、独立した商品として、記録媒体に格納され、あるいは、ダウンロードされる形で、本件審判の請求の登録日前3年以内に、販売等されていたことを示すものでも全くない。
そもそもこれは、被請求人のウェブサイトでもない。
なお、請求人は、上記NTT docomoのアプリ一覧というページを調査したが、本件商標が使用されたソフトウェアは存在しない(甲6)。
(5)乙第7号証ないし乙第12号証
乙第7号証ないし乙第12号証は、KDDI(株)のウェブページの「製品アーカイブ」と名づけられたページの抽出物であるが、これは、過去に、このような携帯電話機が販売されたということを示すにすぎず、本件商標が付された「携帯用電話機用プログラム」が独立した商品として、販売されたことを示すものではない。
(6)乙第13号証
乙第13号証には、被請求人の「Walkman Phone,Premier3」と呼ばれる機種が紹介されている。そこには、「待受時に横に開くと、シアタースタイルで利用できるメニュー『メディアランチャー』が現れ、ワンセグ、LISMO Player,PCサイトビューアー、カメラ、(中略)時計を利用できる。」との説明がある。さらに、「LISMO Player のソフトウエア」という説明があり、「LISMO Player を起動すると」、「ソニー・エリクソンのオリジナルキャラ『エクリル』が登場するタイプもある。」という説明がある。これは、乙第3号証とも相まって、このキャラのひとつとして、「ジョグー」が表示される可能性を推察させるが、あくまで、ひとつの画面上のキャラクターと認識させる程度のものである。
もし本件商標が使用された「電子計算機用プログラム」が、商標法上の商品として実在するならば、たとえば、その取引書類として、当該プログラム自体の「取扱説明書」が存在し、提出されるべきである(甲7)。
(7)乙第14号証については、乙第4号証について述べたところと同じである。
(8)まとめ
以上述べたとおり、被請求人によって提出された答弁書によっては、本件審判の請求の登録日の前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品「携帯電話機用プログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,電子計算機用プログラム」についての本件商標の使用をしていることを証明していない。
したがって、商標法第50条第2項の要件を満たさず、これら指定商品に係る本件商標登録の取り消しを免れることはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁の理由及び上申を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内はもとより、従来より継続して「携帯電話用のプログラム」について、本件商標を使用している(乙1?14)。
(2)使用の事実
被請求人は、本件商標を「携帯電話用のプログラム」の商標(名称)として使用している。
ア 「ジョグー」について
ジョグーは、被請求人に係る携帯電話機に搭載されている「エリクルたちの絵日記」というアプリケーションに登場するねずみのキャラクターの名称であり(乙3)、該キャラクターがアプリケーション内で動いたり、コメントしたりするために機能するプログラムの商標(名称)として使用しているものである(乙4)。
イ 商標の使用者
乙第3号証及び乙第4号証には、それぞれに掲載されている携帯電話機が、被請求人に係るものであることが記載されている。乙第3号証の記事ではその冒頭に被請求人の旧名称が、乙第4号証においては、被請求人の現在の名称が明確に示されている(乙1及び2)。
ウ 使用に係る商品
使用商品は、携帯電話機内のアプリケーションを機能させるためのプログラムの商標(名称)として使用しているものである(乙4)。乙第4号証には、「ジョグー」というタイトルがついたデータが、被請求人に係る携帯電話機「BRAVIA PHONE U1」に存在することが記されている。
エ 使用に係る商標
本件商標は、片仮名「ジョグー」よりなるところ(乙2)、使用商品における使用商標も、片仮名「ジョグー」である。本件商標は「携帯電話機用のプログラム」の商標(名称)として使用しているものであるから、ロゴのようにデザイン化された文字で表されるのではなく、単純な文字で表されるのが普通である。してみれば、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきである。
オ 使用時期
本件商標は、携帯電話機用アプリケーションプログラム「エリクルの絵日記」に登場するキャラクター及び当該キャラクターをアプリケーション内で機能させるためのプログラムの商標(名称)として使用しているところ、「エリクルの絵日記」のうち、「ジョグー」が搭載された携帯電話機は、8機種である(乙5?13)。乙第13号証は、「Walkman Phone,Premier3」(乙8)を紹介する記事であるが、被請求人のアプリケーションに登場するキャラクター「エリクル」や「ジョグー」が紹介されている。
そして、8機種の携帯電話機のうち、直近で発売した「S005 BRABIA Phone」の発売日は、2010年11月5日である(乙14)。また、「BRAVIA Phone U1」の発売日は、2009年12月1日である(乙4)。
してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録の日前3年以内に、使用されていたことは明らかである。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって、その請求に係る指定商品中「携帯電話用のプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,電子計算機用プログラム」について使用していた。
2 平成25年5月9日付け上申書
本件については、被請求人は、平成24年12月27日付で提出の答弁書によって、主張立証を尽くしているものと思料する。
ついては、本件審判につき、提出済みの書面にて審理を進めて頂きたい。

第4 当審の判断
1 被請求人(商標権者)提出の乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第3号証は、「開発者に聞く『フルチェンケータイ re』」と題するインタビュー記事であるところ、9葉目には、「中身も飽きさせない『MyStory アプリ』」の標題のもと、「外装を交換できるフルチェンケータイ reは、それだけでも飽きずに愛用できるモデルといえるが、長く使ってもらうための配慮はソフトウエアにも反映されている。それが、『MyOriginalMap』と『エリクルたちの絵日記』を含む『MyStoryアプリ』だ。」との表示がある。
同号証の10葉目の下段に掲載された携帯電話機の左の画面には、「ふぐ」、「かえる」、「タコ」及び「服を着たねずみ」と思しき小動物の図形とともに、「エリクルたちの絵日記」との表示がある。また、右の画面には、「服を着たねずみ」と思しき小動物の図形とともに、「彼はジョグー/自由気ままでずるがしこい」との表示がある。
(2)乙第4号証は、「価格.com」のホームページであるところ、「BRAVIA Phone U1」に関する「『プリインストールのデータ復元について』のクチコミ掲示板」の「たっき?パパさん」と称する投稿中に、「・・・数字ではなく日本語の名前がついているデータもありました。・・・」、「■生き物・星座(174)」のデータフォルダには「2000-2085/20000-20028/21000-21047/宇宙人/マルモル/かえる/ルンドル/ジョグー/ふぐ/エリクル/ソニエル/タコ1/タコ2/もぐもぐブタ」との表示がある。
(3)乙第5号証ないし乙第14号証は、「NTTドコモ」、「au」、「ITmediaMobile」又は「価格.com」のホームページであるところ、乙第13号証の6葉目には、「・・・ソニー・エリクソンのオリジナルキャラ『エリクル』が登場するタイプもある」との表示があるものの、いずれの証拠にも、本件商標に関する表示はない。
2 事実認定
前記1(1)ないし(3)の事実及び被請求人の主張によれば、乙第3号証及び乙第4号証に表示された「ジョグー」は、被請求人に係る携帯電話機に搭載された「エリクルたちの絵日記」と題するアプリケーションプログラムに登場するキャラクターの名称であることが認められる。
そして、当該アプリケーションプログラムは、「携帯電話機用のプログラム」であることが認められる。
3 判断
乙第3号証及び乙第4号証に表示された「ジョグー」の使用は、キャラクターの名称の紹介にとどまるものであって、これらを商品「携帯電話機用プログラム」の商標としての使用ということはできない。
また、被請求人の提出した証拠からは、当該プログラムが独立して取引された事実を認めることはできない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成24年11月6日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明したものとは認められない。
また、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第9類「携帯電話機用のプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,電子計算機用プログラム」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-05-31 
結審通知日 2013-06-04 
審決日 2013-06-18 
出願番号 商願2008-37043(T2008-37043) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2008-11-28 
登録番号 商標登録第5184513号(T5184513) 
商標の称呼 ジョグー 
代理人 正林 真之 
代理人 東谷 幸浩 
代理人 小暮 君平 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 

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