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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X32
管理番号 1277850 
審判番号 取消2012-300115 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-02-15 
確定日 2013-07-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5151987号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5151987号商標(以下「本件商標」という。)は、「熱中水」の文字を標準文字により表してなり、平成19年11月7日に登録出願、第32類「清涼飲料」を指定商品として、同20年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成24年3月7日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由並びに答弁及び審尋の回答に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証(以下、証拠の表記において、「甲1」のように略す場合がある。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁及び審尋の回答に対する弁駁
(1)本件商標の使用事実の要点について
被請求人は、「本件商標の通常使用者である『三和ベンダー株式会社』(以下「三和ベンダー」という。)は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中『熱中水』について、本件商標を使用している。」と述べているが、三和ベンダーは、本件商標の商標権者であり、また、指定商品も「清涼飲料」であり、さらに、「熱中水」は本件商標であるから、被請求人の主張は、正確ではない。
(2)乙第1号証「商品カタログ」について
ア 被請求人は、本件商標、使用に係る商品、商標の使用を証明するため、商品力タログを提出しているところ、このカタログの作成に関して、通常であれば存在するはずの注文書、納品書、代金支払伝票等、このカタログの作成時期を客観的に示す証拠を何ら提出していない。
イ 商品力タログにおいて、右下に表示された商品(ボトル)には、「熱中水」という商標が表されたラベルが付されているのに対し、モデルが左手に持っている商品(ボトル)には、本件商標が表されたラベルが付されておらず、また、これらボトルの形状及びそのキャップの形状も異なる。
このように、本件商標が付された商品を紹介するカタログに、その商品ではない商品を持つモデルの写真を使用することは極めて不自然である。
したがって、被請求人が、「熱中水」という商標をその指定商品について使用していると主張するならば、この商品の提出を求める。
ウ 上記商品カタログに係る「請求書」(乙9)では、その備考欄に品名として「A4チラシ」と書かれており、被請求人の「商品カタログ」と品名において相違する。通常、広告物として作成する「チラシ」と「カタログ」とは全く異なる印刷物であり、この取引書類についても不自然といわざるを得ない。
(3)使用に係る商品の取引について
ア 被請求人は、本件商標、使用に係る商品、商標の使用、使用時期を証明するため、「御見積書、納品書兼受領書、商品送荷票、請求書」(乙2ないし乙5)を提出しているところ、このうち、「商品送荷票」(乙4)では、商品名「熱中水」について「商品コード」が使用されているが、ほかの取引書類(乙2、乙3及び乙5)には、この商品コードが使用されていない。
通常、各種取引において商品の管理をするために商品コードが使用され、それらは、統一されたコードが用いられることが広く行われていると思うが、被請求人が提出した取引書類では、統一した商品コードが使用されていない。
なお、請求人は、商品の取引をする際に、我が国では「JANコード」が広く使用されている(甲1)旨主張し、被請求人に対し、本件商標を使用した商品のJANコードを登録及び使用した証拠の提出を求めたが、被請求人は、JANコードについて、何の反論もなく、証拠の提出もしていない。
イ 商標「熱中水」が使用されている書類は、「担当者別・商品別・販売先データ」(乙6)のみであり、また、この商品が本件商標の指定商品について使用されていることについては明確でなく、その他の「金種明細表」及び「売上金回収表」(乙7及び乙8)についても、商標及び商品が明確ではなく、ほかの証拠と組み合わせて証明するような証拠とも考えられない。
3 むすび
以上のとおり、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、被請求人が日本国内において、本件商標を本件指定商品について使用した事実は、被請求人の提出した証拠によっては認めることができない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由、審尋に対する回答及び弁駁に対する答弁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用の事実
本件商標の通常使用者である三和ベンダーは、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国においてその請求に係る指定商品中「熱中水」について、本件商標を使用している。
(1)商標の使用者
「商品カタログ」(乙1)、「御見積書」(乙2)、「納品書兼受領書」(乙3)、「商品送荷票」(乙4)及び「請求書」(乙5)に「三和ベンダー株式会社」が表示されており、このうちの「御見積書」、「納品書兼受領書」及び「請求書」には、該会社の名称に加え、その住所である「東京都千代田区五番町4番地二」も表示されている。
(2)使用に係る商品
「商品カタログ」(乙1)に、請求に係る指定商品「熱中水」の製品名が記載され、また、上記「御見積書」、「納品書兼受領書」、「商品送荷票」及び「請求書」(乙2ないし乙5)にも、指定商品名「熱中水」が記載されている。
なお、上記商品カタログとしたものは、乙第1号証として提出したとおり、1枚からなる商品チラシである(以下「商品チラシ」という。)ところ、該商品チラシにおいて、女性が飲み物を持って額にあてている姿は、体を動かした後や暑さを潤すイメージ写真を使用しているために、女性が持つ飲み物と本件商標「熱中水」を付した商品との間で形状の違いが発生しているが、本件商標「熱中水」は右下にあり、あくまでもイメージを優先したものであって、女性が持っている飲み物と本件商標「熱中水」を付した商品とが違う等のクレームは、一切発生していない。また、該商品は、完売しているため、現存しておらず、提出をすることはできない。
(3)使用時期
「御見積書」(乙2)に「平成23年4月9日」、「納品書兼受領書」(乙3)に「2011年5月13日」、「商品送荷票」(乙4)に「平成23年4月16日」、「請求書」(乙5)に「2011年4月30日」と、それぞれ記載されている。
そして、「納品書兼受領書」(乙3)に係る売買について、「担当者別・商品別・販売先データ」(乙6)及び「金種明細表」(乙7)にある「山本博」と「秋本茂」の記載並びに「売上金回収表」(乙8)から、その事実がわかる。
また、三和ベンダーによる商品チラシの売買の事実とその時期を、「ご請求書」(乙9)の「A4チラシ 熱中水」と「2011年2月18日」の記載、「みずほe-ビジネスサイト 総合振込依頼一覧」(乙10)及び「みずほ銀行 当座勘定照合表」(乙11)により証明している。
(4)JANコードについて
本件商標「熱中水」は、被請求人の委託を受け、アサヒ飲料株式会社が製造し、被請求人が販売をすることになっているため、複雑な流通は一切なく、JANコードは登録使用していない。JANコードのない商品は、我が国において、無数にある。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標「熱中水」について使用し、かつ、売買の事実が明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の答弁及び同人の提出に係る乙各号証によれば、次の事実が認められる。
(1)本件商標の商標権者である三和ベンダーは、「商品名:熱中水490ml(清涼飲料水)」、「希望小売価格:150円」、「販売者:三和ベンダー株式会社」及び「製造者:アサヒ飲料株式会社」との表示内容を含む商品チラシを製作した。このチラシの中央には、飲料ボトルを額にあてた女性の写真、右下には、「熱中水」及び「水分補給に」の各文字を上下2段に表示した帯ラベルが付された飲料ボトル(包装容器)が表示されている(乙1)。
(2)東京ビジネス株式会社は、三和ベンダーに対し、2011年(平成23年)2月18日付けで、品名を「A4チラシ 熱中水」とするものに係るデザイン費一式と印刷費10,000枚分の代金147,000円を請求した(乙9)。その後、三和ベンダーは、同年3月18日に、東京ビジネス株式会社を受取人として、上記代金を振り込んだ(乙10及び乙11)。
(3)三和ベンダー本社営業部開拓課の三瓶は、千葉県船橋市所在の飯田あてに、平成23年4月9日付けで、区分の欄に「清涼飲料水」、商品名の欄に「熱中水 490PET ケース(24本入り)」、標準小売の欄に「3600円」、納品価格の欄に「3120円」の記載がある表とともに、販売者「三和ベンダー株式会社」及び製造者「アサヒ飲料株式会社」等の記載がある見積書を作成した(乙2)。
(4)アサヒ飲料株式会社は、平成23年4月16日、三和ベンダーに対し、商品名の欄に「熱中水」と記載された商品(24本入り50函)を送り(「商品送荷票」乙4)、アサヒカルピスビバレッジ株式会社は、同月30日にその代金を請求した(乙5)。
なお、上記商品送荷票の発行者の欄には、「アサヒ飲料株式会社」のほか、「アサヒビール株式会社」及び「アサヒカルピスビバレッジ株式会社」の記載がある。
(5)三和ベンダー城東店の井上は、平成23年5月13日に「熱中水」1ケースを山本に、同月16日に「熱中水」1ケースを秋本にそれぞれ納品し(乙3)、これらに係るそれぞれの代金3,120円は、株式会社アサヒセキュリティを通じて回収された(乙6ないし乙8)。
2 上記1において確認した事実によれば、本件商標の使用について、次のように認められる。
(1)三和ベンダーは、遅くとも平成23年2月18日より前に、アサヒ飲料株式会社が製造し、自らが販売する「熱中水」の標章を付した商品「清涼飲料水」(以下「使用商品」という。)に係る商品チラシの製作(10,000枚)を東京ビジネス株式会社に依頼した。該チラシにおける使用商品の包装容器の帯ラベルには、「熱中水」の表示があるところ、該表示は、本件商標と構成文字を同じくし、書体のみを変更してなるものであることから、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(2)三和ベンダーは、平成23年4月9日、顧客に対し、使用商品に係る見積書を作成した。該見積書の記載からすれば、商品名を「熱中水」とする使用商品は、アサヒ飲料株式会社が製造し、三和ベンダーが販売する商品といえるものである。
(3)アサヒ飲料株式会社は、平成23年4月16日、三和ベンダーに対し、使用商品「熱中水」(24本入り50函)を納品し、三和ベンダーは、同年5月13日及び同月16日に、使用商品「熱中水」を販売したものといえる。
(4)以上によれば、商標権者である三和ベンダーは、本件審判の請求の登録(平成24年3月7日)前3年以内に、その請求に係る商品に含まれる「清涼飲料水」について、本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡したものと認められ、また、その使用商品の広告、取引書類に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを頒布したものと推認される。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中の「清涼飲料水」について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る指定商品についての登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-05-07 
結審通知日 2013-05-09 
審決日 2013-06-10 
出願番号 商願2007-113199(T2007-113199) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X32)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武谷 逸平田口 善久 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 田中 敬規
村上 照美
登録日 2008-07-18 
登録番号 商標登録第5151987号(T5151987) 
商標の称呼 ネッチュースイ、ネッチュー 
代理人 田代 茂夫 

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