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審決分類 |
審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) Y03 |
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管理番号 | 1276523 |
判定請求番号 | 判定2013-600004 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標判定公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 判定 |
2013-01-25 | |
確定日 | 2013-07-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5021893号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | 商品「洗顔料」について使用する(イ)号標章は、登録第5021893号商標の商標権の効力の範囲に属しない。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5021893号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「エアリーホイップ」の片仮名と「AIRY WHIP」の欧文字とを2段に表示してなり、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、平成18年6月14日登録出願、同19年1月26日に設定登録されたものである。 第2 (イ)号標章 (イ)号標章は、別掲2のとおり、「Vita-nourish」の欧文字及び「Airy Whip」の欧文字を2段に表示してなるものである。 第3 請求人の主張 請求人は、商品「洗顔料」について使用する(イ)号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 1 (イ)号標章について 被請求人は、商品「洗顔料」について、欧文字「Vita-nourish」を上に、同「Airy Whip」を下に2段表示した(イ)号標章を使用している(甲2)。 2 本件商標と(イ)号標章の類否 (1)本件商標は、その構成文字から「エアリーホイップ」の自然称呼を生じること明らかであり、また、(イ)号標章からも、以下の事実に徴すれば、「エアリーホイップ」の自然称呼をも生じるものであり、この称呼をもって商取引されていることは明白な事実である。 ア (イ)号標章は、「Airy Whip」の欧文字部が「Vita-nourish」の欧文字部の下段に分離表示されており、また、その構成全体としては造語であって、特定の意味観念を生じさせるものではない。 イ 被請求人自身、その販促資料において、「エアリーホイップ」の文字のみを題号的に大きく表記しているとともに、「それがアンチエイジング洗顔料“エアリーホイップ”です。」と、個別ブランドであることを説明している(甲3)。 ウ (イ)号標章が付されたボトルの製造メーカーが、商品名を「エアリーホイップ」と明記して請求書を発行している(甲4)。 エ 広告代理店が、被請求人は、平成15年以降、洗顔料の販売を行うに際して、商標「Airy Whip」又は「エアリーホイップ」を使用してきたことを証明している(甲5)。 (2)上記(1)よりすれば、本件商標と(イ)号標章は、同一称呼をもって商取引されるものであるため、取引者・需要者間に誤認混同を生じさせるおそれが必至であり、類似の商標である。 3 本件商標の指定商品と「洗顔料」 (イ)号標章が使用されている商品「洗顔料」が、本件商標の指定商品「化粧品、せっけん類」に含まれていることは明らかである。 4 判定2012-600001(甲6)における判断の誤り (1)標記判定(以下「前判定」という。)では、被請求人の使用商標である「Vita-nourish」の欧文字とその下段の欧文字「Airy Whip」とは、まとまりよく一体的な構成からなるものと認定する一方、「Airy Whip」の文字部分のみを抽出して「空気のような泡状のホイップ」の意味合いが理解されるとしていることから、明らかな論理矛盾がある。「Airy Whip」の文字部分のみを抽出可能とすることは、一体的な構成でないことの証左である。 (2)前判定では、「泡立ちの質として、『空気を含んだ』『ホイップ状の』のような表現が普通に使用されているから、『Airy Whip』の欧文字部分は、自他商品の識別力がさほど強いものということはできない」と認定しているが、摘示された証左には「Airy Whip」の記載はなく、「空気のような泡状のホイップ」を表現する際は、「空気を含んだホイップのような泡」のような表示が使用され、「Airy Whip」の文字が使用されることはないことから、当該文字についての自他商品の識別力を否定する根拠とはなり得ない。 (3)被請求人はもとより、取引者によって「エアリーホイップ」や「Airy Whip」のみが現実に使用されている事実がある以上、「使用商標から『Airy Whip』の欧文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき格別の理由はない」とした認定は、取引の実情を看過した明らかな事実誤認である。 (4)以上のとおり、前判定は、論理矛盾、使用例の不存在及び事実誤認に基づいてなされたものであり、その判断が誤りであることは極めて明白である。 5 被請求人の答弁に対する弁駁 (1)被請求人は、(イ)号標章は、まとまりよく一体的な印象を与える一体不可分な商標である旨主張する。 しかしながら、(イ)号標章における「Airy Whip」の文字部分の明らかな分離表記構成及び「Airy Whip」の文字のみが現実に分離使用されている取引の実情に徴すれば、(イ)号標章が一体不可分の商標でないことは極めて明白な事実である。 (2)被請求人は、自己のした商標登録出願についての審査結果が出れば、本件判定は不要となる、との理由で本件審理の猶予を求めている。 しかしながら、商標登録出願と判定とは、全く別個の手続で、判定が商標登録出願の審査結果に従属されなければならない根拠はどこにも存せず、上記審査結果が出たからといって、本件判定が不要となることはなく、むしろ速やかに審理を行ない、結論を出すべきである。 (3)被請求人は、本件判定は、前判定の判断の是非を議論しているにすぎない旨主張する。 しかしながら、本件判定の請求書から明らかなように、請求人は、本件商標と(イ)号標章が類似することを主張・立証しているのであり、正に本質的議論そのものである。 請求人は、(イ)号標章を、別掲2のとおり、2段併記構成のものに特定して本件判定を請求するとともに、取引の実情を示す証拠として甲第3号証ないし甲第5号証を提出しており、本件判定の請求と前判定とは、(イ)号標章及び甲号証を明らかに異にする全く別個の判定事件である。 6 むすび 以上のとおり、(イ)号標章は、本件商標に類似し、その使用商品と本件商標の指定商品も同一であるから、(イ)号標章が本件商標の商標権の効力の範囲内に属することは明らかである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の判定を求めると答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べている。 1 被請求人が使用する(イ)号標章は、まとまりよく一体的な印象を与える一体不可分の商標であり、自他商品の識別力がさほど強くないと考えられる「Airy Whip」の文字部分が分離抽出されて取引に資されることにはならないと考えられるから、本件商標の商標権の効力の範囲には属しないものである。 2 本件判定の請求は、前判定(甲6)と実質的に同じ内容のものであり、いったん出された判断の内容を軽視し、繰り返し判定を請求する行為は、判定結果を受けて安心して事業を遂行する被請求人の事業活動の安定性を害する行為といわざるを得ない。 3 被請求人は、「Vita-nourish Airy Whip」の文字を標準文字により表した商標及び「Vita-nourish」の文字と「Airy Whip」の文字とを2段に表示してなる商標を、いずれも第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として、商標登録出願をしているところ、当該出願については、登録査定となるものと考えられ、そのような審査結果となれば、本件判定は不要となることから、その審査結果が判明するまで、本件判定についての審理猶予を求める。 4 むすび 以上のとおり、(イ)号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲には属しない。 第5 当審の判断 1 本件判定の請求と前判定について 本件判定の請求に係る(イ)号標章は、別掲2のとおり、「Vita-nourish」の欧文字と「Airy Whip」の欧文字とを2段に表示してなるものである一方、前判定に係る(イ)号標章は、「Airy Whip」の欧文字のみからなるものであるから、その請求の理由を異にするものである。 したがって、本件判定の請求が前判定の繰り返しである旨の被請求人の主張は、採用することができない。 また、被請求人は、自己のした商標登録出願についての審査結果が判明するまで、本件判定の請求についての審理猶予を求める旨主張しているが、判定請求についての審理において、商標登録出願についての審査結果を踏まえるべき理由は見当たらず、また、後述するとおり、本件商標と(イ)号標章とは非類似のものであって、(イ)号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないというべきであることからすれば、上記被請求人の主張を採用することはできない。 2 本件商標と(イ)号標章の類否について (1)本件商標は、別掲1のとおり、「エアリーホイップ」の片仮名と「AIRY WHIP」の欧文字とを2段に表示してなるものであるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の音を表記したものと認められるから、本件商標は、「エアリーホイップ」の称呼を生じる。 また、「AIRY」の文字は、「空気のような」などの意味を有する英語の形容詞であり、「WHIP」の文字は、「(卵・クリームなどを)強くかき回してあわだたせる」などの意味を有する英語の動詞であるものの、上記のとおり、「エアリーホイップ」の片仮名と「AIRY WHIP」の欧文字と組み合わせてなる本件商標から、直ちに特定の意味合いが生じるとはいい難い。 他方、(イ)号標章は、別掲2のとおり、「Vita-nourish」の欧文字と「Airy Whip」の欧文字とを2段に表示してなるところ、その構成中の「Vita-nourish」の文字は、特定の意味合いを生じるものとはいえず、また、「Airy Whip」の文字も、上述のとおり、特定の意味合いを生じるものとはいい難いことからすれば、同じ書体及び大きさの文字をもって2段に表示してなる(イ)号標章は、その構成全体をもってまとまりよく一体的に表されてなるものとして看取、把握されるというのが相当であり、その構成中のいずれかの文字部分がほかの文字部分に比してより強い印象を与える、又はいずれかの文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないといった事情は見いだせない。 そうとすると、(イ)号標章は、その構成全体に相応する「ビタナリッシュエアリーホイップ」の称呼のみを生じるものであり、特定の意味合いを生じることのないものといえる。 以上を踏まえれば、本件商標と(イ)号標章とは、外観及び称呼において相違するものであって、観念(意味合い)において比較することのできないものであるから、互いに紛れるおそれのない非類似のものというべきである。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、(イ)号標章は、「Airy Whip」の文字が「Vita-nourish」の文字の下段に分離表示されているものであって、その構成全体として、特定の意味合いを生じることのないものであるから、一体不可分性が認められないものである旨主張する。 しかしながら、(イ)号標章が、その構成態様に照らし、その構成中の一部が分離、抽出されることはなく、その構成全体をもってまとまりよく一体的に表されてなるものとして看取、把握されるものであることは、上記(1)のとおりであるから、上記請求人の主張は、採用することができない。 イ 請求人は、現実に「エアリーホイップ」又は「Airy Whip」の文字のみが分離使用されている取引の実情に徴すれば、(イ)号標章が「エアリーホイップ」の自然称呼をもって商取引されていることは、到底否定することのできない明白な事実である旨主張し、甲第3号証ないし甲第5号証を提出している。そこで、上記甲各号証について検討する。 (ア)甲第3号証は、被請求人に係る通販カタログ「OZIOnews」(2003年9月号)の写しとされるもの(全2葉)であるところ、その2葉目の見出し部において、「Vita-nourish」の文字の下方に縦書きの「エアリーホイップ」の文字を配してなるもの及び(イ)号標章を付した商品「洗顔料」の画像が掲げられ、これに続く商品の説明文中に「それがアンチエイジング洗顔料“エアリーホイップ”です。」の記載があるほか、「肌を摩擦しないふわふわ・なめらかのホイップ洗顔」、「ビタナリッシュ エアリーホイップ 150mL」の表示が認められるものであり、当該見出し部に表示された「エアリーホイップ」の縦書き文字が「Vita-nourish」の文字の直下に配されていること、当該「エアリーホイップ」の文字直下に(イ)号標章を付した商品(画像)が掲載されていることからすると、当該カタログにおいて紹介されている洗顔料は、「Vita-nourish Airy Whip」又は「ビタナリッシュ エアリーホイップ」と称される商品であると看取、理解されるというのが自然であり、上記「エアリーホイップ」の縦書き文字部分及び商品説明文中の「“エアリーホイップ”」の記載は、(イ)号標章を付した「ビタナリッシュ エアリーホイップ」の商品名から、「ビタナリッシュ」を省略して表示したと解されるにすぎないから、これをもって、「エアリーホイップ」の文字のみが分離使用されているとはいい難い。 (イ)甲第4号証は、「株式会社A」が、平成15年7月1日付けで被請求人にあてて発行した請求書の写しとされるものであるところ、その商品名の欄には、「エアリーホイップ50mlボトル」及び「 〃 ポンプ+キャップ」等の表示があるものの、(イ)号標章と同一といえる標章の表示は見当たらず、当該「エアリーホイップ」の記載が(イ)号標章と関連あるものとして認識されるとはいい得ない。 (ウ)甲第5号証は、「株式会社B」による平成23年9月27日付け証明書の写しとされるものであるところ、冒頭部の「商標」とする項目には、(イ)号標章と同様に「Vita-nourish」の文字と「Airy Whip」の文字とを2段に表示してなる標章が掲げられ、その下に、「2.同社(審決注:被請求人)は平成15年以来、洗顔料の販売を行うに際して、商標『Airy Whip』又は『エアリーホイップ』を洗顔料に使用してきました。」、「3.平成15年から平成18年までに行った主要な宣伝広告をあげると別紙の通りです。」との記載があるものの、冒頭部に掲げられた商標との関係において、項番「2.」における「商標『Airy Whip』又は『エアリーホイップ』」がいかなる構成態様からなるものを指すのか特定し難く、また、項番「3.」にある「別紙」の内容も明らかでない。 (エ)以上を総合すれば、「エアリーホイップ」又は「Airy Whip」の文字のみが分離使用されている実情があるとは認め難く、(イ)号標章が、「エアリーホイップ」の自然称呼をもって商取引されているとはいい得ないから、上記請求人の主張は、採用することができない。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件判定の請求に係る商品「洗顔料」について使用する(イ)号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標(登録第5021893号商標) 2 (イ)号標章 |
判定日 | 2013-06-27 |
出願番号 | 商願2006-55483(T2006-55483) |
審決分類 |
T
1
2・
9-
ZB
(Y03)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 貴博 |
特許庁審判長 |
村上 照美 |
特許庁審判官 |
冨澤 武志 田中 敬規 |
登録日 | 2007-01-26 |
登録番号 | 商標登録第5021893号(T5021893) |
商標の称呼 | エアリーホイップ |
代理人 | 広瀬 文彦 |
代理人 | 特許業務法人アルガ特許事務所 |
代理人 | 末岡 秀文 |
代理人 | 中嶋 俊夫 |
代理人 | 高野 登志雄 |
代理人 | 的場 ひろみ |