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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X0105 審判 全部申立て 登録を維持 X0105 |
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管理番号 | 1275362 |
異議申立番号 | 異議2012-900370 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-12-21 |
確定日 | 2013-06-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5525260号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5525260号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5525260号商標(以下「本件商標」という。)は、「CRONOS」の欧文字を標準文字により表してなり、第1類「滅菌工程をモニタリングするためのバイオロジカルインジケーターとして使用する滅菌試験紙,滅菌工程をモニタリングするためのバイオロジカルインジケーターとして使用するキット状の滅菌試験紙」及び第5類「滅菌工程をモニタリングするためのバイオロジカルインジケーターとして使用する検査試薬(医療用及び獣医科用のもの。)」を指定商品として、2011年6月15日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成23年11月18日に登録出願され、その後、同24年8月17日に登録査定、同年9月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであって、いずれも、存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。なお、これらの引用商標をまとめていうときは、以下「引用商標」という。 (1)登録第2412681号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「CRONOS」の欧文字及び「クロノス」の片仮名の2段書き 登録出願日:昭和61年1月9日 設定登録日:平成4年5月29日 書換登録後の指定商品:第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」「洗面用具入れ」「くし」を除く。)」のほか、第3類、第8類、第10類、第14類、第18類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第2506647号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲1のとおり 登録出願日:平成2年2月28日 設定登録日:平成5年2月26日 書換登録後の指定商品:第1類「原料プラスチック」、第17類「プラスチック基礎製品」及び第18類「合成皮革」 (3)登録第3192677号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:「CRONOS」の欧文字 登録出願日:平成4年7月9日 設定登録日:平成8年8月30日 指定役務 :第39類「コンテナの貸与,物品の荷揚げ及び荷積み,貨物の倉庫における保管」ほか、第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (4)登録第3226882号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成4年7月9日 設定登録日:平成8年11月29日 指定役務 :第39類「コンテナの貸与,物品の荷揚げ及び荷積み,貨物の倉庫における保管」ほか、第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出している。 (1)本件商標について 本件商標は、「CRONOS」の欧文字を標準文字により表してなるところ、該文字は、「KRONOS」とも綴られ、「ギリシア神話で、ゼウスの父」を指称するものである(甲第6号証)。ただし、この意味は、広く一般に知られているものでなく、第1類及び第5類の指定商品との関係においては、造語に準じた識別力を有し、当該文字からは、「クロノス」の称呼のみが生じる。 (2)引用商標について 引用商標1は、「CRONOS」の欧文字と「クロノス」の片仮名を2段に書してなるから、「ゼウスの父」の観念及び「クロノス」の称呼を生じる。 引用商標2は、若干図案化した「CRONOS」の欧文字と「クロノス」の片仮名を2段に書してなるから、「ゼウスの父」の観念及び「クロノス」の称呼を生じる。 引用商標3は、「CRONOS」の欧文字のみからなり、また、引用商標4は、「CRONOS」の欧文字と図形からなるから、いずれも「ゼウスの父」の観念及び「クロノス」の称呼を生じる。 (3)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標と引用商標とは、上記のとおり、いずれも外観、観念及び称呼において、同一又は類似の商標である一方、指定商品については、類似群コードを異にするから、以下、商品の類否について具体的に述べる。 本件商標の指定商品は、前記1のとおりの商品であるのに対し、引用商標1の指定商品は、第21類の「化粧用具(「電気式歯ブラシ」「洗面用具入れ」「くし」を除く。)」であるが、当該「化粧用具」には、例えば、「角質除去機能を有する研磨紙付き除毛具」、「脱毛機能も有する研磨紙付き角質除去具」、「抗菌・防臭加工を施したあかすり」等が含まれる(甲第8号証)。 すなわち、本件商標の指定商品中、第1類の「滅菌試験紙」と引用商標1の「化粧用具」に含まれる「角質除去機能を有する研磨紙付き除毛具」や「脱毛機能も有する研磨紙付き角質除去具」とは、ともに衛生を主とし、紙を用いる点で関連する商品である。 さらに、化粧品と化学品や医薬品は、その分野や効能において、近接することの多い分野であり、業界としても、その境界において融合や参入が進行している状況下、「滅菌試験紙」や「検査試薬」と「角質除去機能を有する研磨紙付き除毛具」や「脱毛機能も有する研磨紙付き角質除去具」とは、その生産部門及び販売部門において重なるところがあり、滅菌や除菌等の衛生という側面において一致する。また、衛生や清潔を尊ぶ点において、いずれの商品も若い女性を主要なターゲットにしており、需要者の範囲も重複している。 したがって、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品中の「化粧用具」に含まれる「角質除去機能を有する研磨紙付き除毛具」や「脱毛機能も有する研磨紙付き角質除去具」とは、類似関係にある。 次に、引用商標2の指定商品は、第17類の「プラスチック基礎製品」等であるが、当該商品には、「特殊紙を一体化したプラスチックシート」や「抗菌性を有するプラスチックシート」が含まれる(甲第9号証)。薄い「紙」と「プラスチック」は、その外観において、区別がつかないことも多く、また、紙と一体化したプラスチックシートもあることは、商品名に示されるとおりである。さらに、「抗菌性を有するプラスチックシート」の用途は、抗菌及び滅菌であり、この点においても、本件商標の指定商品と近接し、両商品は、原材料や品質において重なり、用途においても重複するものである。 したがって、本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品中の「プラスチック基礎製品」に含まれる「特殊紙を一体化したプラスチックシート」や「抗菌性を有するプラスチックシート」とは類似関係にある。 以上からすると、本件商標は、他人の先願に係る引用商標1及び2と類似する商標であって、本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品とは類似する商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標3及び4の権利者である申立人は、1978年に設立されたコンテナ関連設備を所有する世界最大の会社の一つであって、コンテナ関連設備を貸与、販売等する会社であり、様々な分野に400以上の顧客と、日本を含む世界17カ国に19の事務所を有する(甲第10号証)。当業界においては、その業態から比較的狭い取引者と需要者を相手に役務を提供しているが、その業界内での知名度は、極めて高く、その名を知らない取引者はいないといっても過言ではない。 引用商標3及び4に係る指定役務と本件商標の指定商品は、直接的な類似関係にはないが、申立人の商標の著名性から、取引者、需要者は、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同のおそれがあるといえる。 また、かかる混同が生じなかったとしても、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認する場合がある。 したがって、本件商標は、引用商標3及び4との関係において、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (5)むすび したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標は、前記1のとおり、「CRONOS」の欧文字を書してなるところ、該構成文字から「クロノス」の称呼、「ゼウスの父」の観念を生じるものである。 他方、引用商標1は、「CRONOS」の欧文字と「クロノス」の片仮名を2段に書してなり、引用商標2は、別掲1のとおり、若干図案化した「CRONOS」の欧文字と「クロノス」の片仮名を2段に書してなるから、引用商標1及び2は、その構成文字に相応して、「クロノス」の称呼、「ゼウスの父」の観念を生じるものである。 そうすると、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼及び観念を同一とする類似の商標である。 イ 申立人は、本件商標の指定商品中、第1類の「滅菌試験紙」と引用商標1の「化粧用具」に含まれる「角質除去機能を有する研磨紙付き除毛具」や「脱毛機能も有する研磨紙付き角質除去具」とは類似であり、また、本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品中の「プラスチック基礎製品」に含まれる「特殊紙を一体化したプラスチックシート」や「抗菌性を有するプラスチックシート」とは類似であることを理由に本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしている。 そこで、本件商標の指定商品と申立人が主張する上記商品との類否について、以下検討する。 本件商標の指定商品は、前記1のとおり、第1類「滅菌工程をモニタリングするためのバイオロジカルインジケーターとして使用する滅菌試験紙,滅菌工程をモニタリングするためのバイオロジカルインジケーターとして使用するキット状の滅菌試験紙」及び第5類「滅菌工程をモニタリングするためのバイオロジカルインジケーターとして使用する検査試薬(医療用及び獣医科用のもの。)」である。 そして、例えば、株式会社ベリタス(http://www.veritastk.co.jp/cat/MIC-LFC-04/)のホームページの「製品情報」には、「滅菌確認用バイオロジカルインジケーター」として「滅菌効果の確認やモニタリングに用いるバイオロジカルインジケーター(BI)です。(略)様々な形状をご用意していますので用途に合わせてお選びください。」との記載ともに「ディスク型バイオロジカルインジケーター」、「スポア・サスペンション型バイオロジカルインジケーター」、「セルフコンテインド型バイオロジカルインジケーター」、「アンプル型バイオロジカルインジケーター」及び「スポア・ストリップ試験紙型バイオロジカルインジケーター」との記載、また、レーベン・ジャパン株式会社(http://raven-japan.jp/ravenj01/s_sh/toriatukai.html)のホームページの「取扱い製品」には、「スポアストリップ試験紙型」として「試験紙型バイオロジカル・インジケーター(BI)は、滅菌器の滅菌保証を得るための、最も標準的な滅菌保証用指標体であると言えます。・・・滅菌完了後BIを培養し、胞子が生存しているかどうかを確認します。胞子が生存していれば、滅菌不良の判定がされ、一方、胞子が死滅していれば、滅菌完了の判定がされます。」との記載及び「使用目的」として「滅菌器の滅菌効果判定(滅菌指標菌として使用される胞子が滅菌器等により死滅しているかどうかによって滅菌効果判定をする。)」との記載からすると、本件商標の指定商品は、試験紙の形状であるものの、滅菌器の滅菌効果を判定するために使用されるものであって、主とするものは、滅菌指標菌(胞子)であり、その需要者は、菌を取り扱う化学関係者や医療関係者といえるものであるから、一般消費者であるとはいい難い。 他方、引用商標1の「化粧用具」に含まれる「角質除去機能を有する研磨紙付き除毛具」や「脱毛機能も有する研磨紙付き角質除去具」は、身体を清潔にするための化粧用具の一つといえるものであって、その商品の需要者は、一般消費者といい得るものである。 また、引用商標2の指定商品中の「プラスチック基礎製品」に含まれる「特殊紙を一体化したプラスチックシート」や「抗菌性を有するプラスチックシート」は、主として、汎用性のある製造用のプラスチックシートであり、その商品の需要者は、プラスチック製品を製造する者といえるものである。 しかして、これらの商品は、上記の商品表示のとおり、紙を使用していることがうかがえるとしても、それぞれの商品の主な用途、需要者、生産部門等が相違するものであり、また、完成品と部品の関係であるともいえず、これらに同一の商標を使用した場合に、その需要者をして同一の営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるとは認められないから、非類似の商品といえるものである。 この点について、申立人は、「これら化粧品と化学品や医薬品は、その分野や効能において、近接することの多い分野であり、業界としても、その境界において融合や参入が進行しており、その生産部門、販売部門、滅菌や除菌等の衛生という用途が一致し、需要者の範囲も重複し、また、抗菌性を有するプラスチックシートの用途は、抗菌及び滅菌であるから、本件商標の指定商品と近接し、両商品は、原材料や品質において重なり、用途においても重複する」と主張するが、これを認めるに足りる証拠の提出もない。 ウ したがって、本件商標と引用商標1及び2とが同一又は類似の商標であったとしても、その指定商品において同一又は類似するものとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について ア 申立人は、1978年に設立されたコンテナ関連設備を所有する世界最大の会社の一つであって、コンテナ関連設備を貸与、販売等する会社であり、様々な分野に400以上の顧客と、日本を含む世界17カ国に19の事務所を有し(甲第10号証)、当業界内での知名度は、極めて高く、その名を知らない取引者はいないといっても過言ではなく、申立人の商標(引用商標3及び4)に係る役務と本件商標の指定商品は、直接的な類似関係にはないが、申立人の商標の著名性から、取引者、需要者は、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同のおそれがある旨述べている。 しかしながら、申立人の提出に係る申立人のウェブサイト(甲第10号証)のみでは、該主張を裏付ける証拠とはいい難く、引用商標3及び4は、その使用に係るコンテナ関連の役務において、本件商標の登録出願時はもとよりその登録査定時においても我が国で広く認識されていたものということはできないものである。 イ 本件商標は、その構成文字から、「クロノス」の称呼、「ゼウスの父」の観念を生じ、他方、引用商標3は、「CRONOS」の欧文字を書してなり、引用商標4は、別掲2のとおり、図形と「CRONOS」の欧文字を書してなるから、引用商標3及び4は、その構成文字に相応して、「クロノス」の称呼、「ゼウスの父」の観念を生じるものである。 そうすると、本件商標と引用商標3及び4とは、称呼及び観念を同一とする類似の商標である。 しかし、本件商標の指定商品と引用商標3及び4の指定役務の類否については、申立人も認めているとおり、類似するものとはいえない。 ウ 上記ア及びイによれば、本件商標をその指定商品に使用した場合において、これに接する需要者が引用商標3及び4、あるいは、申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 引用商標2(登録第2506647号商標) 別掲2 引用商標4(登録第3226882号商標) |
異議決定日 | 2013-06-04 |
出願番号 | 商願2011-83048(T2011-83048) |
審決分類 |
T
1
651・
264-
Y
(X0105)
T 1 651・ 271- Y (X0105) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 津金 純子、山田 正樹 |
特許庁審判長 |
寺光 幸子 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 山田 和彦 |
登録日 | 2012-09-28 |
登録番号 | 商標登録第5525260号(T5525260) |
権利者 | ステリス コーポレイション |
商標の称呼 | クロノス |
代理人 | 特許業務法人森本国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |