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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012685009 審決 商標
異議2013900030 審決 商標
異議2012900254 審決 商標
異議2012900305 審決 商標
異議2012900316 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
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審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1274055 
異議申立番号 異議2012-900259 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-08-30 
確定日 2013-04-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5498269号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5498269号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5498269号商標(以下「本件商標」という。)は、「INTELLCOSME」の文字を標準文字により表してなり、平成23年12月8日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品として、同24年4月17日に登録査定、同年6月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4997875号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成17年12月28日に登録出願され、第14類「ブレスレット,鎖用宝飾品,カフスボタン,イアリング,ネックレス,ネクタイ止め,襟章(「身飾品」に属するものに限る。),ペンダント,ネクタイピン,その他の身飾品,貴金属製コンパクト」、第18類「携帯用化粧道具入れ」及び第21類「化粧用具」のほか、第14類、第18類、第21類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年10月20日に設定登録されたものである。
2 登録第4362619号商標(以下「引用商標2」という。)は、「INTEL」の文字を標準文字により表してなり、平成9年10月23日に登録出願され、第14類「ブレスレット,貴金属製ベルト用バックル,鎖用宝飾品,カフスボタン,イヤリング,ネックレス,ネクタイ止め,ペンダント,ネクタイピン,その他の身飾品」のほか、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年2月18日に設定登録され、その後、同21年10月20日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録第4634154号商標(以下「引用商標3」という。)は、「INTEL」の文字を標準文字により表してなり、平成12年3月30日に登録出願され、第9類「半導体収納用カートリッジ,集積回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「美容,理容」のほか、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年1月10日に設定登録され、その後、同24年11月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
4 登録第4733468号商標(以下「引用商標4」という。)は、「インテル」の文字を標準文字により表してなり、平成13年3月12日に登録出願され、第42類「美容及びこれに関する情報の提供,理容及びこれに関する情報の提供」のほか、第9類、第37類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年12月12日に設定登録されたものである。
5 登録第4456379号商標(以下「引用商標5」という。)は、「INTEL」の文字を書してなり、平成11年1月7日に登録出願され、第9類「コンピュータ用の対話式映像ゲームその他のゲームのプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・CD-ROM・光磁気ディスク,その他の電子応用機械器具及びその部品」のほか、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年3月2日に設定登録され、その後、同23年3月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
6 登録第4456379号商標に係る防護標章登録第1号(以下「引用商標6」という。)は、引用商標5を原登録商標とする防護標章として、平成13年3月21日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」のほか、第1類ないし第8類、第10類ないし第13類、第15類、第17類、第19類、第20類、第22類、第23類、第26類、第27類、第29類ないし第35類、第37類及び第39類ないし第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同14年9月6日に設定登録され、その後、同24年6月22日に防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録がされたものである。
7 登録第4456379号商標に係る防護標章登録第2号(以下「引用商標7」という。)は、引用商標5を原登録商標とする防護標章として、平成21年12月30日に登録出願され、第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類、第25類、第28類、第35類、第36類、第38類及び第42類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年2月10日に設定登録されたものである。
(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第72号証(枝番を含む。)を提出している。
1 申立人及び引用商標の著名性
申立人は、1968年7月18日に米国カリフォルニア州で創業された世界最大の半導体製品メーカーであって、申立人の日本での本格的な営業活動は、1971年10月開設の「インテルコーポレーション日本支社」により開始され、1976年4月28日には「インテルジャパン株式会社」として法人登記され、その後、つくば本社及び東京本社が設置された。そして、同社は、1997年に「インテル株式会社」と名称変更している(甲第50号証)。
半導体業界における申立人の名声は、1970年に世界初のICメモリ「1103」を、また、1971年に世界初のマイクロプロセッサ「4004」を開発したことに始まり、これ以後、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータ向けのプロセッサでは、数年ごとに先進技術のマイクロプロセッサを開発、製品化し(甲第6号証)、マイクロプロセッサの世界市場の約80%を占めている(甲第7号証及び甲第42号証)。
申立人の世界半導体市場の売上ランキングは、1992年に1位を獲得して以来、2010年までに20年連続で世界第1位を維持している(甲第8号証及び甲第50号証)。
申立人は、1990年末から1991年初頭、商標「INTEL」を冒頭に冠した「INTEL INSIDE」の文字及び甲第9号証に示すとおりの構成からなる「intel inside」の文字からなるロゴマーク(以下「insideロゴマーク」という。)を商標として採択し、当該商標に関して「インテル・インサイド・プログラム」(INTEL INSIDE PROGRAM)と命名した商標使用許諾制度を導入した(甲第10号証)。インテル・インサイド・プログラムは、insideロゴマークと「PENTIUM」等の申立人の個別商品の名称を、申立人のマイクロプロセッサを搭載したパーソナルコンピュータ等の商品を製造販売するOEMメーカーに使用許諾し、当該商品の広告宣伝活動を申立人が経済的に支援するものである。
このインテル・インサイド・プログラムの成功と申立人及びライセンシー各社による「insideロゴマーク」を始めとする申立人の商標の広範な使用(甲第11号証ないし甲第38号証)により、一般消費者が申立人のプロセッサを搭載したパソコン等の最終製品を外部から認識することができるようになり、これと同時に、申立人の商標「INTEL」にとどまらず、「Pentium」や「Celeron」といった申立人の個別商品商標が家庭の一般消費者の目に触れる機会が増大し(甲第39号証及び甲第40号証)、加えて、1994年頃から急速に浸透した職場環境におけるパソコン一人一台時代の到来(甲第41号証)、一般家庭へのパソコンの普及、インターネット等情報通信技術産業の発展と相まって、申立人は、コンピュータ関連製品を取り扱う取引者、需要者のみならず、業種を超えて一般の消費者を含む広範囲の需要者の間でも広く知られるようになっている。
このような申立人の取組により、コンピュータ関連商品を取り扱う取引者のみならず、一般家庭の消費者に至るまでが、職場や家庭でパソコンを使用するたびに「INTEL」の文字に接する機会を得ることとなり、社会一般へのパソコンの急速な浸透、普及に伴い、申立人の商標「INTEL」は、広範囲の需要者の間で広く知られるようになった。
そして、申立人の商標「INTEL」は、コンピュータ関連用語辞典のほか、英和辞書等に掲載されている程度に需要者の間で広く認識されるに至っている(甲第51号証ないし甲第56号証)。
申立人の商標「INTEL」は、創造語を用いた斬新なネーミング、当該商標を使用したマイクロプロセッサの優れた性能、数年ごとに継続的になされている申立人の新商品の発売、インテル・インサイド・プログラムに基づく「INTEL」商標の数多くのOEMメーカーへの使用許諾と当該メーカーによる広告宣伝活動等が相まって、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、取引者、需要者に広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、標準文字をもって「INTELLCOSME」と表示する商標であるところ、その構成中には、上述のとおり、主にマイクロプロセッサ、チップセット、フラッシュメモリ等を製造・販売する世界最大の半導体企業として周知である申立人の商号の著名な略称「INTEL」をそのまま含むものであり、また、その構成中の語尾の文字「COSME」は、化粧品を意味する英単語「cosmetic」の略語として、一般的に使用され、認識されている表示(甲第44号証ないし甲第49号証)であって、殊更、需要者、取引者の印象、記憶に強く残るとはいえないものである。
してみると、本件商標は、一般世人がこれに接した場合、「INTELLCOSME」の構成から、「化粧品」の観念を感得するとともに、申立人の著名な略称である「INTEL」をも容易に想起、看取し、ひいては申立人を想起するものである。
以上よりすれば、本件商標は、申立人の著名な略称を含むものであり、かつ、その登録につき、申立人の承諾を得ていないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する商標であり、その登録は、取り消すべき理由がある。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、標準文字をもって「INTELLCOSME」と表示する商標であって、「インテルコスメ」の自然の称呼を生ずる商標であるところ、その構成中の「COSME」の表示は、化粧品を意味する英単語「cosmetic」の略語として、一般的に使用され、認識されている表示(甲第44号証ないし甲第49号証)であるから、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別機能を有しないか又は極めて弱い表示というべきものである。
したがって、引用商標1ないし4の著名性とその出所表示力の程度の強さに照らせば、本件商標に接した者は、「INTELL」の文字部分とその称呼「インテル」に着目し、本件商標は、「INTELL」の文字の語尾に「COSME」の文字を付加して構成された商標であると容易に認識、理解する。
また、本件商標を「インテルコスメ」と一連に称呼する場合でも、本件商標の「INTELL」の文字と「化粧品」の観念を生じる「COSME」の文字が観念においてつながりのない構成であるため、前半の「インテル」と後半の「コスメ」との間に短い段落をもって「インテル・コスメ」と発音されるものとみるのが自然であり、後半部分は、「コスメ」と弱く発音されるため、その前に位置する「インテル」の音が強く一気に発音されるものである。そして、前半部分の「インテル」の音は、語頭に位置するのみならず、全7音からなる本件商標の称呼のうち、4音とその大半を占めるものであるから、本件商標に接した需要者、取引者は、本件商標の構成中、「INTELL」の部分にも着目し、「インテル」なる称呼を認識し、記憶するものである。
特に、簡易迅速を尊ぶ商取引において、本件商標が付された商品に接する需要者、取引者は、本件商標の表示から、「コスメ」の称呼を省略し、「インテル」の称呼を認識し、取引にあたることが十分に想定されるものである。
以上よりすれば、本件商標は、「インテルコスメ」のみならず、「インテル」の自然称呼も生ずるとみるのが妥当である。
他方、引用商標1ないし4は、それぞれ前記第2のとおりの構成からなるところ、各構成文字に相応する「インテル」の自然称呼が生ずる商標である。
してみれば、本件商標から生ずる自然称呼のうちの「インテル」と引用商標1ないし4から生ずる自然称呼「インテル」とは、比較検討するまでもなく同一の称呼である。
したがって、本件商標の自然称呼は、引用商標1ないし4の自然称呼と類似であるから、本件商標と引用商標1ないし4とは、類似する商標であるとするのが相当である。
次に、本件商標の指定商品と引用商標1ないし4の指定商品及び指定役務について検討するに、本件商標の指定商品中の「せっけん類,歯磨き,化粧品」と引用商標1及び2の指定商品中の「身飾品,携帯用化粧道具入れ,化粧用具」等とは、人が身を飾る物、清潔にする物、美しく見せる物として、デパートの化粧品売場等の同じフロア等において展示、販売されることは十分に考えられるところである。
また、本件商標の指定商品中の「せっけん類,歯磨き,化粧品」と引用商標3及び引用商標4の指定役務中の「美容,理容」等とは、人が身なりを整える又は美しく見せるための物又はサービスとして、美容院、理容店等、同じ店舗内において販売、提供されることは十分に考えられるところである。
以上よりすれば、需要者、取引者は、同一又は類似の商標が付してある「身飾品,携帯用化粧道具入れ,化粧用具,美容,理容」と「せっけん類,歯磨き,化粧品」とをみた場合、その商品の製造者若しくは販売者又はその役務の提供者が同じ、すなわち、同一の営業主によって製造若しくは販売される商品又は提供される役務であるかのように、その商品又は役務の出所について、誤認混同を生ずるおそれが十分にあり得るというべきである。
よって、本件商標の指定商品中の「せっけん類,歯磨き,化粧品」と引用商標1ないし4の指定商品又は指定役務とは、上述のとおり、その販売部門、用途、需要者等を共通にする類似の商品及び役務を含むものとするのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標1ないし4とは、類似する商標であるとともに、本件商標の指定商品中の「せっけん類,歯磨き,化粧品」は、引用商標1ないし4の指定商品又は指定役務と類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、取り消すべき理由がある。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標6及び7との関係
本件商標は、その一部に引用商標6及び7と同一の「INTEL」の文字を有する商標であり、本件商標の構成中の表示「INTELL」と引用商標6及び7は、いずれも「インテル」と発音され、称呼において類似するものであるから、本件商標は、引用商標6及び7と類似する商標でもある。
また、本件商標の指定商品は、引用商標6の指定商品中の第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」と同一の商品である。
さらに、本件商標の指定商品中の「せっけん類,歯磨き,化粧品」は、引用商標7の指定役務中の第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似の商品である(甲第68号証)。
そして、特許庁商標審査基準の「十、第4条第1項第12号」の「1.」の記載に照らすと、本件商標は、登録防護標章である引用商標6と類似の商標又はその一部に引用商標6と同一又は類似の商標を有する商標であって、引用商標6に係る指定商品に使用するものである。また、本件商標は、その一部に登録防護標章である引用商標7と同一又は類似の商標を有する商標であって、引用商標7と同一又は類似の商標を有する商標であって、引用商標7に係る指定役務と類似の商品に使用するものである。
(2)引用商標3及び5との関係
上記1で述べたとおり、「INTEL」の文字からなる引用商標3及び5は、申立人の事業に係るマイクロプロセッサの商標として、広く一般に知られている商標である。
そして、引用商標3及び5は、既成語でもなく、複数の既成語を結合した語句でもなく、申立人が1968年に独創した造語標章であって、「INTEL」の文字は、申立人の商標を知らずに偶然に採択することが極めて考え難い程に独創性が高い造語であり、引用商標3及び5は、出所表示機能の極めて高い商標である。
他方、本件商標は、標準文字で「INTELLCOSME」と横書きしてなるものであり、当該文字に相応して、「インテルコスメ」と発音されるものであるから、その前半部分は、申立人の商品出所標識として広く認識されている「INTEL」の文字とその称呼「インテル」の音を含むものである。
また、特許庁商標審査基準(改訂第9版)の「十三、商標法第4条第1項第15号」の「5.」の記載に照らすと、本件商標は、申立人の著名な商標「INTEL」とほかの文字「COSME」を結合した商標であり、その外観構成がまとまりよく一体に表されているとしても、観念上のつながりはなく、申立人の著名な商標「INTEL」の部分が既成の語の一部になっているものではなく、また、指定商品との関係において出所の混同のおそれがないとは断定できないものであるため、本件商標は、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱われるべきものである。
したがって、引用商標3及び5の著名性とその出所表示機能の強さに照らせば、本件商標が、たとえ外観上一連一体に表示した構成からなるものであるとしても、これに接した需要者、取引者は、「INTELL」の文字部分とその発音「インテル」に着目し、容易に周知、著名な引用商標3及び5を連想するものであり、本件商標をその指定商品に使用したときには、当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信されるおそれがあるのみならず、当該商品が申立人との間に、いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係等にある者の業務に係る商品であると誤信されるおそれがある。
加えて、商標法第4条第1項第15号に係る判決(甲第60号証び甲第67号証)の趣旨を踏まえれば、本件商標は、引用商標が獲得している世界的な名声と顧客吸引力にフリーライドし、これにより、商標権者の市場参入を容易化しようとする意図がうかがえるのみならず、引用商標の出所表示力を希釈化して引用商標のブランド価値を低下させ、申立人の資産価値を毀損するものである。
(3)したがって、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、取り消すべき理由がある。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標が、本件商標の登録出願時には既に、我が国及び外国において、申立人の業務に係る商品であるマイクロプロセッサを表示するものとして広く認識されていたものであることは、上記1のとおりであり、また、本件商標と引用商標とは、称呼が類似するため互いに類似する商標であることは、上記3のとおりである。
そして、本件商標の構成中の「INTEL」の文字は、特定の意味を観念し得ない語であり、本件商標の指定商品の分野で使用される必然性のない語であるから、商標権者が自ら考案し引用商標と偶然一致したとは想定し難く、また、職場や家庭でパソコンを使用することが一般的となっている現在において、商標権者が、本件商標の登録出願時に、申立人の業務に係るマイクロプロセッサの名称として世界的に広く知られている引用商標について不知であったとは到底考えられず、むしろ、引用商標に依拠し採択されたものと推認せざるを得ないものである。
以上よりすれば、本件商標は、引用商標に化体した信用や世界的な名声と顧客吸引力にただ乗りし、商標権者の市場参入を容易化し、不当に商業的利益を得んとする意図で採択されたものと考えられ、本件商標の使用により引用商標の出所表示機能を希釈化し、その名声を毀損させるおそれがある、すなわち、不正の目的があると推認し得るものである。
したがって、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「マイクロプロセッサ」を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、その登録は、取り消すべき理由がある。
6 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、申立人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがあるのみならず、申立人の商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的の下に登録出願をしたものであることは、上述のとおりであり、引用商標の出所表示機能を毀損、希釈化し、その経済的な価値を低下させ、申立人に精神的及び経済的な損害を及ぼすおそれのあるものである。
本件商標の登録を認めることは、高い著名性を有する引用商標の世界的な名声、顧客吸引力へのただ乗り(フリーライド)を是認するものであり、また、申立人と無関係の商標権者が本件商標を使用することは、申立人の著名商標の出所表示力及び顧客吸引力の稀釈化(ダイリューション)を招来するものである(東京高裁平成10年(行ケ)第185号平成11年12月22日判決、東京高裁平成16年(行ケ)第219号平成17年1月31日判決)。
商標権者のこのような行為は、社会一般の道徳観念に反し、また、公正な競業秩序の維持を旨とする正常な取引慣行に違反するものであり、さらには、国際信義に反するものである。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるから、商標法第4条第1項第7号に該当し、その登録は、取り消すべき理由がある。
7 結語
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は、取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 申立人の略称としての「INTEL」及び引用商標の著名性について
(1)申立人「Intel Corporation」は、集積回路の開発、製造及び販売の事業を行う企業として、1968年7月に米国で設立された会社であって、我が国においても、1971年10月に「インテル・ジャパン・コーポレーション日本支社」(現在の「インテル株式会社」の前身)を設立、2011年12月現在、「インテル株式会社」は、東京及びつくばに本社を置き、申立人のマイクロプロセッサ(MPU)の販売等を行っている(甲第50号証)。
(2)申立人は、1971年11月には世界初のMPUである「4004」を発表し、その後もMPUの開発を継続的に行っており、申立人の売上高は、1992年ないし2010年の間、世界半導体売上高ランキングで1位とされ、そのシェアは、2005年第3四半期に82.4%、2009年第2四半期に80.6%とされる等、世界的規模で事業展開している(甲第6号証ないし甲第8号証、甲第42号証及び甲第50号証)。
(3)申立人は、MPUについて、少なくとも1982年2月から2005年4月までの間、別掲2の構成からなる商標を使用しており、また、少なくとも2003年7月から2011年4月の間、別掲1の構成からなる商標を使用している(甲第6号証及び甲第50号証)。
(4)申立人は、少なくとも1991年4月以降、2001年までの間、「インテル・インサイド・プログラム」を継続的に行い、「insideロゴマーク」が入った広告がされており、2001年には、世界の2,700社のコンピュータ・メーカーが「insideロゴマーク」を採用しているとされている(甲第10号証、甲第39号証、甲第40号証及び甲第50号証)。また、我が国の複数のコンピュータ・メーカーが、申立人のMPUを搭載した自己製品(パソコン)の広告において、「insideロゴマーク」を表示している(甲第11号証ないし甲第38号証)。
(5)インテル株式会社は、自己のパンフレットやプレスリリースにおいて、申立人を指称する際に、「インテル」及び「Intel」の語を用いており(甲第10号証及び甲第50号証)、また、申立人の業績等を紹介する記事においても、「インテル」及び「Intel」の語が申立人を指称するものとして用いられている(甲第7号証、甲第8号証、甲第39号証、甲第40号証及び甲第42号証)。
さらに、複数の辞典類において、「Intel(インテル)」の見出し語の下、申立人に関する記載がある(甲第51号証ないし甲第56号証)。
(6)以上よりすれば、申立人の略称としての「INTEL」及び引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者・需要者の間において、申立人の略称及び申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認められる。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「INTELLCOSME」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、また、その構成全体から生ずる「インテルコスメ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうとすると、本件商標は、その構成中の「COSME」の文字が「化粧品(cosmetic)」等を表すものとして使用される場合があるとしても、かかる構成においては、該文字部分が商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解され得るものともいい難く、また、殊更該文字部分を捨象し、その構成中の「INTELL」の文字部分のみをもって取引に資するとみるべき特段の事情も見いだし得ない。
してみれば、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応する「インテルコスメ」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。
(2)引用商標1ないし4について
引用商標1ないし4は、前記第2のとおり、図形と「intel」の欧文字との組合せ、「INTEL」の欧文字又は「インテル」の片仮名からなるところ、これよりは「インテル」の称呼が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標1ないし4との類否について
本件商標と引用商標1ないし4とを比較するに、両商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、外観において明らかに区別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「インテルコスメ」の称呼と引用商標1ないし4から生ずる「インテル」の称呼とは、その音構成及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、称呼上相紛れるおそれはないものというべきである。
さらに、本件商標からは特定の観念を生じないから、本件商標と引用商標1ないし4とは、観念上相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし4とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標3、5、6及び7を構成する「INTEL」は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の略称又は申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国において広く知られていたものと認められる。
しかしながら、本件商標は、上記2において認定、判断したとおり、「INTEL」の欧文字からなる商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標と認められるものであるから、十分に区別し得るものということができる。
そして、本件指定商品である、第3類「家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」と、申立人の業務に係る「MPU」等の商品とは、その需要者、用途等において関連性は無いもの又は極めて低いものと認められる。
そうとすれば、申立人の引用商標3、5、6及び7の著名性を考慮しても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が該引用商標を想起、連想することはないというのが相当であるから、本件商標は、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称を含む」について、「他人の氏名や略称等を『含む』商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に『含む』状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである。」(知財高裁平成21年(行ケ)第10074号平成21年10月20日判決)とされているところ、上記2(1)のとおり、本件商標は、外観上一体のものとして把握されるものとみるのが自然であり、本件商標の構成中に埋没、融合した文字列「INTEL」をもって、請求人を想起させるものとは認め難いから、申立人の略称を含む商標であるとすることはできないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記2のとおり、引用商標とは非類似の商標であり、また、申立人の提出に係る証拠のいずれをみても、商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、申立人の商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的の下に本件商標の登録出願をした商標権者の行為は、社会一般の道徳観念に反し、公正な競業秩序の維持に違反し、さらには国際信義に反する旨主張するが、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあったことを認めるに足る事実を見いだすことができず、ほかに、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般的道徳観念に反するような事情、あるいは、登録を認めることが商標法の予定する公正な競業秩序の維持に反し、国際信義に反するものとして到底容認し得ないとすべき事情等は見受けられない。
そして、本件商標は、「INTELLCOSME」の欧文字を表してなるものであるから、その構成自体において公序良俗に違反するものでないことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
引用商標1(登録第4997875号商標)



別掲2




異議決定日 2013-04-12 
出願番号 商願2011-88176(T2011-88176) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X03)
T 1 651・ 222- Y (X03)
T 1 651・ 22- Y (X03)
T 1 651・ 23- Y (X03)
T 1 651・ 263- Y (X03)
T 1 651・ 261- Y (X03)
T 1 651・ 262- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
池田 佐代子
登録日 2012-06-01 
登録番号 商標登録第5498269号(T5498269) 
権利者 ヒノキ新薬株式会社
商標の称呼 インテルコスメ 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
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