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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1273993 
審判番号 取消2012-300464 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-05-31 
確定日 2013-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4940889号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4940889商標(以下「本件商標」という。)は、「wakans」の欧文字と「ワカンズ」の片仮名とを上下2段に書してなり、平成17年7月27日に登録出願、「化粧品,せっけん類」を含む第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同18年3月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判請求の登録日は、平成24年6月18日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「化粧品,せっけん類」について取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、答弁に対する弁駁、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 請求の理由
(1)取消事由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者(又は通常使用権者)によって本件請求に係る指定商品のいずれについても使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(2)取消原因
請求人は、本件請求に先立って調査機関に依頼して、「wakans」又は「ワカンズ」の文字を書してなる商標の使用の実態等について鋭意詳細に調査するも、本件請求に係る指定商品に関する限り本件商標が使用されていたことを示す資料は発見することが出来なかった。また、現在においては何ら有効な専用使用権または通常使用権の登録もされておらず、それらの存在を窺わせる資料も存在しない。
したがって、本件商標は前記商品については過去3年間にわたって日本国内では使用されなかったものと推認されるので、請求の趣旨のとおり審決を求める。

2 答弁に対する弁駁
(1)オグリトレーディング宛ての納品書には、伝票No.、合計金額、消費税などの記載がなく空白であり、実際の商取引の事実は何ら明らかでない。
(2)「商標の使用場所」とされるオグリトレーディングのウェブサイトのトップページ(甲3)にはサイト内を検索できるようになっている。乙第1号証の1及び乙第2号証の1のそれぞれに、「使用時期 平成23年3月15日(現在も使用中)」とあるので、本件審判請求前から繰り返しその検索ボックスを使い「WAKANS」「wakans」「ワカンズ」で検索しても、何も該当する商品を発見することができない(甲4)。
(3)同サイトの左上には「エムエムコスメオンラインショップ/コスメプロ マイミーマイン手づくり無添加化粧品」と記載されており、また、実際に掲載された商品は、「マイミーマイン 手づくり化粧品」を始め、「白樺 UV ウォーター」以外のすべてが被請求人会社の製造に係るものであることから、オグリトレーディングは被請求人のネット通信販売部門ではないかと推認される。さらにオグリトレーディングなる法人は存在しない。そうとすれば、仮に被請求人とオグリトレーディングとの間で商品の移動があったとしても、一般流通市場における取引とは言えず、商標法第2条第1項第1号の「譲渡」に該当しない。
(4)請求人の調査によれば、「WAKANS」の使用に係る商品は甲第5号証のインターネット上のサイトくらいしか見当たらない。この商品は同一物とみられるが、製造者は不明であり、また、既に完売した旨の表示がある。
(5)以上から、本件商標が過去3年以内に一般取引市場において指定商品の一について使用されたことは、被請求人提出の各証拠からは認めることができない。

3 平成24年11月20日付け口頭審理陳述要領書
(1)納品書について
被請求人は、「商標権者の受け渡し実務においては、発送商品の際は送付物の内容が確認できれば十分なため、納品書には特に、No.、単価、金額(税抜・税込)が記載することが無い。」と述べている。
しかし、商取引の実務において、現在では、請求書・納品書などの伝票類は同時に電子処理されるのが一般的であると考えられるが、納品書だけを市販の用紙を用いて手書きにし、しかもNo.、単価、金額等を記載しないのは何故かとの疑問が残る。
また、被請求人は「本件取消審判が請求され使用証拠とするため、オグリトレーディングに所在する当該納品書正本に、オグリトレーディングの担当者である本田の受領確認の署名追記を依頼し」と述べている。すなわち、実際に当該商品を受領した際に署名したのではなく、審判請求後に遡って日付と署名を記載したものであることを自認しているのであるが、元々この納品書は誰が作成したのか不明である。
(2)オグリトレーディングについて
被請求人は、オグリトレーディングは「商標権者のネット通信販売部門などでは無く、商標権者とは別人格の主体である。」と述べている。
しかし、オグリトレーディングのホームページ(甲3、甲4)によれば、その管理者は、商標権者の大阪営業所を示す大阪府大阪市中央区・・・ オグリ・・」とされていて、商標権者に所属する人物であると推認せざるを得ない(甲6、甲7)。
そうとすれば、オグリトレーディングが商標権者と別人格であるかどうかは、いまだ明らかではない。
(3)以上から、被請求人が提出した主張・立証は、商標権者の内部取引に関するものであり、一般取引市場における登録商標使用については証明がない。

4 平成25年1月18日付け上申書
(1)乙各号証について
ア 乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人は、納品書正本(乙1及び乙2)の本田の署名が、実際に当該商品を受領した際に署名したのではなく、審判請求後に遡って日付と署名を記載したものであることを自認した。また、これらの納品書は、コクヨS&T株式会社製の請求書、納品書、納品書(控)の3枚綴りとなっている型番「ウ-333」を用いたもので、その下の余白は狭く、「受領しました。3/16本田」のような署名を書き込むことはできない(甲8)。なお、この署名は、乙第5号証(開業届)の筆跡とも異なっている。
そして、その後提出された乙第6号証等の書証によって会計ソフト「弥生」を使用しているとしているのにも関わらず、何故コクヨ製の手書き納品書が用いられたのか明らかでない。
さらに、被請求人代理人は、口頭審理において「請求書は使用しないので廃棄する。」と述べたが、納品書(正副)だけの製品(例えば「ウー324」)があるのに、「ウ-133」の納品書を使用するのは不自然ではないかとの疑問も残る。
結局これらの納品書は誰がいつ作成したのかは、依然として明らかにされていない。
イ 乙第3号証等について
乙第3号証、乙第4号証、乙第6号証、乙第7号証については、いずれも商標権者の社内で作成されたもので、随時容易に作成でき客観性がない。通常の商取引において、支払いは銀行送金が用いられるところから、口頭審理において審判長に代金支払いの事実を示す客観的な資料、例えば預金通帳などの提出を促されたのに対して、被請求人は、得意先元帳(乙6)を提出して、これを回避している。
また、乙第8号証についても、オグリトレーディングと商標権者は極めて親密な関係にあり、同様に随時作成編集が可能なものであって、客観的な書証とは言い難い。
(2)「オグリトレーディング」との関係について
乙第5号証の1及び口頭審理における陳述等によれば、小栗は、平成14年6月に有限会社オグリトレーディングを設立、平成16年6月に病気のため有限会社オグリトレーディングを退いて商標権者の会社に入社した。さらに、平成16年7月に、有限会社オグリトレーディング設立以来業務を手伝っていた本田に会社のすべてを譲渡し、同人が「オグリトレーディング」の代表になったとし、この譲渡後、小栗は同社とは無関係と述べた。しかし、有限会社オグリトレーディングの代表者は登記上「小栗」であり、平成18年5月には株式に関して登記がなされるなど、実際には同社の営業は継続していたものと推認される(乙5の2)。
このようなことから、オグリトレーディング(本田)と有限会社オグリトレーディングとの関係を別主体とみるのは困難であり、また、オグリトレーディングは、そのホームページ立ち上げについて、本田が商標権者の大阪営業所に手続きなどを依頼したことなどの諸事情も相侯って、小栗が社員である商標権者の販売部門に位置付けるべきものではないかとの疑問は払拭されていない。
(3)以上から、被請求人が提出した主張・立証のみでは、要証期間内における商品の一般取引市場における登録商標の使用について明らかにしたものではない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。ただし、以下、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、以下に述べるように、取消に係る指定商品中、第3類「化粧品,せっけん類」について使用されている。
(1)乙第1号証
本件商標の使用に係る「化粧品」は、添付の商品写真に示すとおり、「スキンクリーム」であり、本件商標と同一の商標が、本件商標権者が販売する当該スキンクリームの容器及び化粧箱に鮮明に付されており、当該商品について使用されていることは明らかである。
そして、平成23年3月15日付け納品書の写しにより、ワカンズスキンクリーム150gが、平成23年3月15日、オグリトレーディングに対し、96個販売された事実を示す。また、平成23年6月3日付け納品書の写しにより、同商品が再び同様に販売された事実を示す。なお、これら納品書には下段に、オグリトレーディング代表の本田の受領署名がある。
(2)乙第2号証
本件商標の使用に係る「せっけん類」は、添付の商品写真に示すとおり、「ボディソープ」であり、本件商標と同一の商標が、本件商標権者が販売する当該ボディソープの容器に鮮明に付されており、当該商品について使用されていることは明らかである。
そして、平成23年3月15日付け納品書の写しにより、ワカンズボディソープ400mlが、平成23年3月15日、オグリトレーディングに対し、96個販売された事実を示す。また、平成23年3月24日付け納品書および平成23年6月13日付け納品書の写しにより、同商品が再び同様に販売された事実を示す。なお、これら納品書には下段に、オグリトレーディング代表の本田の受領署名がある。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、本件審判請求に係る指定商品中「化粧品,せっけん類」について使用されているものであるから、本件の商標登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。

2 平成24年11月6日付け口頭審理陳述要領書
(1)「合議体の暫定的な見解」では、使用説明書に添付された納品書(4枚)は、その品名の記載からすれば、上記商品写真に示された商品「スキンクリーム」「ボディソープ」に関するものであると推認できるとしても、これらの商品が、実際に販売されたものとは認められない旨、認定している。
そこで、これら納品書について説明するに、これら納品書は商品発送の際、実際に商品と共にオグリトレーディングに送付されたものであって商品の物流を端的に証明するものである。商標権者の受け渡し実務においては、発送商品の際は送付物の内容が確認できれば十分なため、納品書には特に、No.、単価、金額(税抜・税込)は記載することが無い。
また、受領者の印について説明すると、納品書の正本は前述のとおり、商品と共に送られたので当然商標権者の手許にはなく、オグリトレーディングに所在するものである。今回、本件取消審判が請求され使用証拠とするため、オグリトレーディングに所在する当該納品書正本に、オグリトレーディングの担当者である本田の受領確認の署名追記を依頼し、これをファクシミリにて商標権者が入手し提出したものである。よって、商標権者の手許には、正本の控(正本は控の下で複写されたものである)のみが所在する。
(2)オグリトレーディングについて
ア オグリトレーディングの説明
オグリトレーディングは大阪府貝塚市に所在し、本田が経営する手作り化粧品等の販売を行う個人商店であって法人組織ではない。オグリトレーディングは主に限定販売の形態で商品を販売しており、例えば、伊藤忠商事の会員限定販売や東急ハンズ等に商品を卸している。商標権者とは5年前頃に、商標権者の小ロット商品に興味を持ったオグリトレーディングから商品を扱いたいとの申し入れがあり、「ワカンズ スキンクリーム」や「ワカンズ ボディソープ」などを販売したものである。これら商品はその後、オグリトレーディングより前記販路での催事等において販売されたものと思われる。
よって、オグリトレーディングは、商標権者とは別人格の主体である。
イ ウェブサイトでの販売
オグリトレーディングの事業形態は前記のとおりであるため、ウェブサイト上に総ての商品が掲載されているわけではない。特に「ワカンズ スキンクリーム」や「ワカンズ ボディソープ」については前述のとおり、催事等で販売することを予定されていたため、ウェブサイトに該当商品が発見されなくても当然である。
(3)「WAKANS」の使用に係る商品について
前述のとおり、直近3年の間、オグリトレーディングに販売された当該商品は、限定販売の形態で催事などにおいて取引されたため、インターネット上では見当たらないとしても何ら不思議は無い。
(4)追加の証拠について
ア 売上伝票
これらは先に提出した納品書に夫々対応するものであり、伝票番号、数量、単価、金額などが記載され商標権者の元に所在するものである。
イ 請求明細書控
これらは先に提出した納品書に夫々対応するものであり、商標権者からオグリトレーディングの本田宛てに発行されたものの控であって、捺印のされた正本はオグリトレーディングに所在する。

3 上申書(平成24年12月4日付け及び同年同月27日付け)
(1)オグリトレーディングが、商標権者と別人格であるか否かについて
ア オグリトレーディング経緯(乙5の1)のとおり、オグリトレーディングは当初、小栗によって有限会社として2002年6月7日に設立された(有限会社オグリトレーディング登記簿)。しかし、小栗が体調を崩したため、2004年7月に友人の本田に会社の総てを譲り、小栗は商標権者の会社に入社した。本田はオグリトレーディングの名称を使用したまま、会社組織ではなく、個人商店として事業を継続し(個人事業の開廃業等届出書)今日に至っている。
イ オグリトレーディングのホームページは2011年12月に立ち上げられたが、本田はインターネット環境を有していなかったため、取引関係のあった商標権者の大阪営業所に手続などを依頼した。このため、請求人の指摘する管理者の住所が、商標権者の大阪営業所となっているものである。
ウ したがって、商標権者とオグリトレーディングとは全くの別人格であって請求人の主張は失当である。
(2)「商品(「スキンクリーム」、「ボディソープ」)を販売した事実を証する書面」(乙6?8)
ア 乙第6号証は、被請求人会社の会計ソフト(弥生)の得意先元帳であって、平成22年10月1日?平成23年9月30日の間のオグリトレーディングとの取引の記録である。また、乙第7号証は、オグリトレーディングの同支払いに際して、被請求人が発行した領収書の控である。先に提出した乙第2?4号証とこれら証拠を合わせてみれば、当該商品の販売とその代金の授受があったことは明白である。
イ 乙第8号証は、オグリトレーディングの在庫管理データを印刷したものである。
(3)以上のとおり、本件商標を付したスキンクリーム及びボディソープは、平成23年3?6月の間に、商標権者によってオグリトレーディングに販売され、またオグリトレーディングから最終消費者に販売されたものであって、本件商標が使用されたことは明白である。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により本件審判請求に係る指定商品中「化粧品,せっけん類」について使用したと主張しているところ、請求人は、納品書等に記載された「オグリトレーディング」は、商標権者の販売部門に位置付けるべきものであるから、「オグリトレーディング」と商標権者間における「スキンクリーム」及び「ボディソープ」の取引は、内部取引に関するものであって、一般取引上における取引(販売)があったものとはいえない旨主張する。
1 そこでまず、「オグリトレーディング」と商標権者との関係について、検討する。
提出に係る証拠及び当事者の主張によれば、「オグリトレーディング」は、本田が個人事業主として「化粧品の製造、販売等」の事業を行うための「屋号」であって、本田は、平成16年7月26日に岸和田税務署長にその開業を届け出たことが認められる(乙5の3)。
そして、納品書、売上伝票、請求明細書控の取引書類には、「オグリトレーディング」及び「本田」と記載されている(乙2の3?5、乙3の2?5、乙4の2及び3)。
そうすると、商標権者とオグリトレーディングとの取引は、個人事業主である本田との取引であることが認められる。
これに対し、請求人は、有限会社オグリトレーディングの代表者が「小栗」であり、同社は平成18年5月に株式に関しての登記がなされ、営業が継続していたものと推認されるから(乙5の2)、オグリトレーディング(本田)と有限会社オグリトレーディングとの関係を別主体とみるのは困難であり、また、オグリトレーディングは、そのホームページ立ち上げについて、本田が商標権者の大阪営業所に手続きを依頼したことなどの諸事情も相侯って、小栗が社員である商標権者の販売部門に位置付けるべきものではないかとの疑問は払拭されていない旨主張する。
しかしながら、前記のとおり、「オグリトレーディング」は、個人事業主である本田が使用する屋号であって、有限会社オグリトレーディングとは別主体である。
また、オグリトレーディングのホームページ立ち上げについて、本田が商標権者の大阪営業所に手続きを依頼したことをもって、直ちに、オグリトレーディングが商標権者の販売部門に位置付けられるものとはいえない。
そして、本田がインターネット環境を有していなかったため、取引関係のあった商標権者の大阪営業所に手続を依頼したとする被請求人の主張も何ら不自然なところはない。
したがって、「オグリトレーディング」は、商標権者の販売部門に位置付けるものではなく、「オグリトレーディング」と商標権者間における取引は、一般取引上における取引(販売)とみるのが相当である。

2 本件商標の使用について
(1)被請求人提出の乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の2は、容器、化粧箱の表面、裏面等の商品写真であり、これには、「WAKANS Skin Cream」「ワカンズ スキンクリーム」「製造販売元 株式会社コスメプロ」等が記載されている。
乙第1号証の3および4は、商標権者からオグリトレーディングに宛てた平成23年3月15日付け及び同年6月3日付け納品書(写し)であり、前者には、「品名/ワカンズ スキンクリーム150g」「数量/96個」、「品名/ワカンズ ボディソープ400ml」「数量/96個」と、この納品書の下段に、「受領しました 3/16本田」の署名がある。
同じく、後者には、「品名/ワカンズ スキンクリーム150g」「数量/96個」と、この納品書の下段に、「受領しました 6/4本田」の署名がある。
イ 乙第2号証の2は、表及び裏の2葉の商品写真であり、表ラベルには、「WAKANS/Body Soap」、裏ラベルには、「ワカンズ ボディソープ」「製造販売元 株式会社コスメプロ」等が記載されている。
乙第2号証の3?5は、被請求人からオグリトレーディングに宛てた平成23年3月15日付け(1枚目)、同年3月24日付け(2枚目)及び同年6月13日付け納品書(3枚目)(写し)であり、1枚目の納品書は、乙第1号証の3と同じものである。
同じく、2枚目及び3枚目の納品書は、いずれにも「品名/ワカンズ ボディソープ400ml」「数量/96個」の記載があり、2枚目納品書の下段に、「受領しました 3/25本田」、3枚目納品書の下段に、「受領しました 6/14本田」のそれぞれ署名がある。
ウ 乙第3号証の2?5は、商標権者からオグリトレーディングの本田宛ての平成23年3月15日付け(乙3の2)、同年6月3日付け(乙3の3)、同年3月24日付け(乙3の4)及び同年6月13日付け(乙3の5)の売上伝票であり、これらの商品名、数量の記載が、乙第1号証及び2号証の納品書の内容に対応していることがわかる。
エ 乙第4号証の2及び3は、商標権者からオグリトレーディングの本田宛ての締日を平成23年3月31日付け(乙4の2)及び同年6月30日付け(乙4の3)とする請求明細書控であり、乙第4号証の2には、これらの商品名、数量の記載が、乙第1号証の3、乙第2号証の3及び4の納品書の内容に対応していることがわかる。
また、乙第4号証の3には、これらの商品名、数量の記載が、乙第1号証の4及び乙第2号証の5の納品書の内容に対応していることがわかる。
オ 乙第6号証は、平成22年10月1日?平成23年9月30日の間のオグリトレーディングとの取引に関する「得意先元帳」であり、これには、乙第3号証の請求明細書及び乙第4号証の3月15日、3月24日、6月3日及び6月13日付けの売上伝票に対応する商品名、数量の記載があり、3月15日及び同月24日の売上の合計211,680円が、4月28日に現金で入金されたこと、同じく、6月3日及び6月13日付けの売上の合計141,120円が、7月29日に現金で入金された旨の記載がある。
カ 乙第7号証は、商標権者からオグリトレーディング宛の平成23年4月28日及び同年7月29日付け領収書の控であり、これには、商標権者の記名と社印が押印され、乙第6号証の平成23年4月28日及び同年7月29日の入金と同じ金額が記載されている。
(2)以上の事実によれば、商標権者は、オグリトレーディングに、本件審判請求の登録前3年以内である平成23年3月15日に「スキンクリーム」及び「ボディソープ」を、同年3月24日に「ボディソープ」を、同年6月3日に「スキンクリーム」を、同年6月13日に「ボディソープ」(以下、「ボディソープ」及び「スキンクリーム」を「使用商品」という。)を、それぞれ販売したことが推認できる。
そして、オグリトレーディングは、前記1のとおり、商標権者の販売部門に位置付けるものではなく、上記取引は、商標権者と一顧客であるオグリトレーディング間のものといえる。
また、乙第1号証及び乙第2号証の使用商品を示す写真などに記載された「WAKANS Skin Cream」「ワカンズ スキンクリーム」「WAKANS/Body Soap」、「ワカンズ ボディソープ」(以下「使用商標」という。)のうち「ワカンズ」「WAKANS」の部分は、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものであって、かつ、本件商標と同じ綴りからなるものであり、本件商標と称呼を同一にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる(請求人は争うことを明らかにしていない。)。
さらに、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品中「化粧品,せっけん類」の範疇に属するものである。
そして、商標権者の上記行為は、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当するものである。
(3)小括
上記(1)及び(2)の認定した事実からは、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品について使用をしていたというべきである。

3 請求人の主な主張について
(1)請求人は、「商取引の実務において、現在では、請求書・納品書などの伝票類は同時に電子処理されるのが一般的であるところ、納品書だけを市販の用紙を用いて手書きにし、しかもNo.、単価、金額等を記載しないのには何故かとの疑問が残る。また、これらの納品書は、型番『ウ-333』を用いたもので、その下の余白は狭く、署名を書き込むことはできないこと、この署名は、乙5(開業届)の筆跡とも異なっている」旨主張する。
しかしながら、被請求人は、納品書に、No.、単価等を記載しない理由として、「商標権者の受け渡し実務においては、発送商品の際は送付物の内容が確認できれば十分なためである。」旨主張するところ、かかる被請求人の主張は一般商取引上不自然なところはなく、首肯し得るものであり、また、納品書だけを市販の用紙を用いて手書きにしたことに関しても、一般商取引上、不自然なところはない。
さらに、納品書が、型番「ウ-333」を用いたものであったとしても、その下の余白スペースからすれば署名を書き込むことはできないとまではいえないし、署名にしても、乙第5号証の3(開業届)の筆跡とも異なっていることを証する書面の提出もない。その他、かかる納品書が、一般商取引上、不自然であるとするに足る証拠の提出はない。
よって、請求人の主張は採用することはできない。
(2)請求人は、「売上伝票(乙3)、請求明細書控(乙4)、得意先元帳(乙6)、領収書(控)(乙7)については、いずれも商標権者の社内で作成されたもので、随時容易に作成でき客観性がない」旨主張する。
しかしながら、いずれの証拠も商標権者の社内で作成されたものであるとしても、被請求人の主張及び提出に係る全ての証拠を総合してみれば、当該証拠は不自然なところはない。
よって、かかる請求人の主張も採用することはできない。

4 むすび
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品に含まれる「スキンクリーム」及び「ボディソープ」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-02-12 
結審通知日 2013-02-14 
審決日 2013-03-27 
出願番号 商願2005-69401(T2005-69401) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2006-03-31 
登録番号 商標登録第4940889号(T4940889) 
商標の称呼 ワカンズ 
代理人 柳生 征男 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 

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