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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0129
管理番号 1273944 
審判番号 不服2012-1693 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-27 
確定日 2013-04-22 
事件の表示 商願2011-15814拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ミネラルコラーゲン複合体」の文字を標準文字で表してなり、第1類及び第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成23年3月4日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品は、原審における平成23年8月31日受付及び当審における同24年3月5日受付の手続補正書により、第1類「魚鱗由来のコラーゲンとミネラルの複合体を含む化学品」及び第29類「魚鱗由来のコラーゲンとミネラルの複合体を含む粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・ゼリー状・カプセル状・スティック状・液状の加工食品」と補正されたものである。
なお、当審における平成24年1月27日受付の手続補正書については、同年9月14日をもって、願書に記載した指定商品の要旨変更を理由とする補正却下の決定がなされたものであり、当該決定は既に確定している。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ミネラルコラーゲン複合体』の文字を標準文字で表してなるところ、これを構成する『ミネラル』、『コラーゲン』及び『複合体』の文字は、それぞれが一般的にも良く知られた語であるとともに、本願指定商品との関係においても、その成分や原材料を表示する際に用いられることの多いものであって、これらを一連に書した本願商標全体からは、『ミネラルとコラーゲンの複合体』程の意味合いが容易に想起され、これをその指定商品中、『ミネラルとコラーゲンの複合体』を、その成分、原材料とした商品に使用した場合には、商品の品質を表すものと認識される。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)「ミネラルコラーゲン複合体」そのものの語が、各種辞典や新聞等で使用されている事実は、上記証拠調べでも存在していない。
(2)ただし、「コラーゲン含有ミネラル複合体」についてのウェブサイトでの使用例は、請求人(出願人)から「プロテタイト」(出願人の登録商標)の商品名で、魚鱗由来の粉末状のコラーゲンとミネラルの複合体を購入したところが該文字を使用しており、もともと本願商標の文字を使用し始めたのは、請求人(出願人)であり、請求人(出願人)は、2007年頃から「プロテタイト」と命名して、商品として製造販売を開始し、その説明書の中で「コラーゲン含有ミネラル複合体」なる語を使用しているものである。
また、この商品が人体内に吸収されやすく、安全であるということが知れ渡ることにより、該語が業界で周知されてきたことから、「注目の成分&素材辞典」において、この語を取り上げているものである。
(3)人体内に吸収されやすく、安全である魚鱗由来の粉末状のコラーゲンとミネラルが互いに複合している新物質は、請求人(出願人)が世界に先駆けて開発したものである。このことは、特許公報(特許第4369969号)からも明らかであり、アメリカ、中国、台湾、韓国、タイといった諸外国にも該発明を特許出願しており、アメリカでは、特許権を取得している。
(4)本願商標は、「ミネラルコラーゲン複合体」と片仮名と漢字で同大、同間隔、かつ、一連に書してなり、「ミネラル」と「コラーゲン」及び「コラーゲン」と「複合体」の間を横方向にも縦方向にも何ら離してなく、しかも「ミネラルコラーゲンフクゴウタイ」と淀みなく一気に称呼できるため、一体不可分のものとして観念すべきであるから、これを分離して観察判断すべきものではない。
(5)以上のことより、本願商標は、一種の造語と観念すべきものであり、それ自体、自他商品の識別機能を有しているとすべきものである。さらに、この新物質を開発した請求人(出願人)に本願商標の独占権を与えても、何ら市場を混乱させるものではなく、むしろ、新物質を開発し命名した商品名は、保護されてしかるべきものである。

5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「ミネラルコラーゲン複合体」の文字を標準文字で表してなり、第1類「魚鱗由来のコラーゲンとミネラルの複合体を含む化学品」及び第29類「魚鱗由来のコラーゲンとミネラルの複合体を含む粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・ゼリー状・カプセル状・スティック状・液状の加工食品」を指定商品とするものである。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、「ミネラルコラーゲン複合体」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ミネラル」の文字は、「栄養素として生理作用に必要な無機物。」の意味、「コラーゲン」の文字は、「動物の皮革・腱・軟骨などを構成する硬蛋白質の一種。」の意味及び「複合体」の文字は、「複合して一体をなしているもの。」の意味(いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)を有するものとして一般的に良く知られている語である。
そして、これらの語は、その指定商品を取り扱う分野において、別掲2及び3のとおり、商品の成分や原材料を表示するものとして使用されているものであり、また、商品の成分や原材料を併記したときには、それぞれの成分や原材料を認識し理解されるとみるのが相当である。
さらに、「コラーゲン含有ミネラル複合体」の文字が、別掲3(8)ないし(10)のとおり、商品の成分や原材料を表示するものとして使用されていることより、本願商標の構成文字全体からは、「ミネラルとコラーゲンの複合体」程の意味合いを容易に認識するものである。
(3)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
以上のとおり、本願商標の指定商品を取り扱う分野においては、「ミネラルとコラーゲンの複合体」を原材料とする商品が製造、販売されており、本願商標の指定商品は、「魚鱗由来のコラーゲンとミネラルの複合体を含む化学品」及び「魚鱗由来のコラーゲンとミネラルの複合体を含む粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・ゼリー状・カプセル状・スティック状・液状の加工食品」であることから、本願商標がその指定商品に使用された場合、これに接する当該指定商品の取引者、需要者は、「ミネラルとコラーゲンの複合体」を原材料とする商品であることを理解し、これが当該商品の原材料、品質を表しているものと認識するとみるのが相当である。
そして、本願商標は、「ミネラルコラーゲン複合体」という標準文字からなるものであるから、指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものといわざるを得ない。
(4)請求人(出願人)の主張について
請求人(出願人)は、本願商標は、一体不可分の一種の造語であって、「人体内に吸収されやすく、安全である魚鱗由来の粉末状のコラーゲンとミネラルが互いに複合している新物質」(特許第4369969号)を開発し、2007年頃から「プロテタイト」(登録商標)と命名しその説明書の中で本願商標を使用しており、請求人(出願人)から「プロテタイト」を購入した者が使用している旨主張しているところ、確かに、「ミネラルコラーゲン複合体」という一連の語は、我が国の辞典や新聞等には掲載されていない。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号が「その商品の産地、販売地、品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによると解され(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日第三小法廷判決)、また、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号 平成12年9月4日判決)。
これらの説示に照らせば、判断時において、当該商標が指定商品の品質を表すものと取引者、需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、取引者、需要者にその商品の品質を表すものと認識される可能性があり、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当するものと解するのが相当である。
そうとすれば、「ミネラルコラーゲン複合体」の文字は、別掲2及び3に示す当該指定商品の分野における実情から、本願商標に接する取引者、需要者において、商品の原材料を記述的に表示するものと理解され、「ミネラルとコラーゲンの複合体」程の意味合いを容易に認識するといい得るものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有さないものである。
また、本願商標を使用している商品が特許発明に係るものであるとしても、特許権による保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った特許発明と商標の使用とは明らかに異なるものであるから、特許権による独占を理由として自他商品の識別力を有するに至ったとは認めることはできないものである。
さらに、請求人(出願人)は、2007年頃から「プロテタイト」(登録商標)と命名し、該商品の説明書の中で本願商標を使用しており、前記商品を購入した者が使用していると主張している。
しかしながら、別掲3(8)ないし(10)に示した「コラーゲン含有ミネラル複合体」の文字の使用例において、請求人との関係が見いだされないばかりでなく、また、請求人の使用に係る商品「プロテタイト」(登録商標)の説明書の中での使用については、該商品の原材料をわかりやすく具体的に表示するものとみるのが相当であり、本願商標からは、「ミネラルとコラーゲンの複合体」程の意味合いを容易に認識するといい得ること上記のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(5)結び
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標の構成文字について
本願商標は、「ミネラルコラーゲン複合体」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ミネラル」の文字は、「栄養素として生理作用に必要な無機物。」の意味、「コラーゲン」の文字は、「動物の皮革・腱・軟骨などを構成する硬蛋白質の一種。」の意味及び「複合体」の文字は、「複合して一体をなしているもの。」の意味(いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行))を有するものとして一般的に良く知られている語といえる。

2 「ミネラル」及び「コラーゲン」の語について
本願商標の構成中の「ミネラル」及び「コラーゲン」の語について、一般的な国語事典、英和辞典等に記載されているほか、書籍やインターネットには、以下のような記載がある。
(1)「日経ヘルス サプリメント事典2008年版」(2007年10月1日 日経BP社発行)の「ミネラル」の項には、「生命活動の維持に必要な無機物のこと。国が定める日本人の食事摂取基準(2005年版)には、カルシウムやマグネシウム、鉄をはじめ、13種類のミネラルについて、推奨量、上限量などが定められている。」の記載、及び「コラーゲン」の項には、「体の主要な構成要素で、細胞同士を結び付ける働きをしているたんぱく質。軟骨や皮膚に多く、関節のスムーズな動きや、肌のハリ・弾力の源になる。」の記載がある
(2)小林製薬株式会社のウェブサイトにおいて、「2011年のニュースリリース」として「新製品/小林製薬の栄養補助食品/『コラーゲン』『ヒアルロン酸』『ビタミンC』」の表題の下、「美容に人気の3成分『コラーゲン』『ヒアルロン酸』『ビタミンC』をひとつに詰め込んだ美容のためのサプリメント」の記載がある(http://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2011/110914_02/index.html)。
(3)「キューサイ」のウェブサイトにおいて、「No.1/コラーゲン健康食品/4年連続売上第1位」の記載及び商品の写真とともに「ヒアルロン酸コラーゲン(150g)」の記載がある(http://www.kyusai.co.jp/ads/h_collagen_201/index.html?wflg=WADW0001&gclid=CO2Ir5GehbQCFWpEpgoddiAAtQ&trflg=1)。
(4)「ハウスウェルネスフーズ株式会社」のウェブサイトにおいて、「商品紹介」として「ビタミン/コラーゲン」の表題の下、「相性のよいキレイ成分の組み合わせ『ビタミンC』と『コラーゲン』です。」の記載がある(https://www.house-wf.co.jp/products/detail/collagen.htm)。

3 「複合体」の文字の使用例について
(1)「角弘と弘大、サケ鼻軟骨からたんぱく質複合体を精製」(2000.02.11 日刊工業新聞 13頁)の見出しの下、「・・・弘前大学と共同でサケ鼻軟骨から低コストで高純度のプロテオグリカン(たんぱく質とグリコサミノグリカンの複合体)精製に成功した。」の記載がある。
(2)「新田ゼラチン、コラーゲンによる人工骨材料を開発」(2000.08.04 日刊工業新聞 19頁)の見出しの下、「・・・カルシウムの一種であるアパタイトとコラーゲンの複合体による人工骨材料を開発・・・開発したのは人体にも大量に含まれる、たんぱく質のI型コラーゲンとハイドロキシアパタイトの複合体。」の記載がある。
(3)「マルハ、サメ抽出の食品用コンドロイチン販売を強化」(2003.07.18 日刊工業新聞 25頁)の見出しの下、「マルハはヨシキリザメの軟骨から抽出して生産する食品用コンドロイチン『SCP』の販売を強化する。・・・SCPはコンドロイチン硫酸とたんぱく質(コラーゲン成分)の複合体で、このうちたんぱく質成分(コラーゲンのペプチド)に活性成分が存在することが判明。」の記載がある。
(4)「プロテオグリカン、サケから抽出 医薬・化粧品に有効/北海道」(2003.12.30 朝日新聞 北海道地方版/北海道 22頁)の見出しの下、「〈プロテオグリカン〉たんぱく質と糖の複合体で、細胞の接着・増殖などさまざまな生体活動を制御しているという。」の記載がある。
(5)「横浜町産なたね油で化粧品『肌にハリ』、美容液を発売/青森県」(2011.08.09 朝日新聞 東京地方版/青森 26頁)の見出しの下、「プロテオグリカンはサケの鼻軟骨から抽出した糖とたんぱく質の複合体。」の記載がある。
(6)「タヒボNFDショップ」のウェブサイトにおいて、「コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸・へパリンを主成分としたムコ多糖複合体サプリメント。」として「BIORCOVEN」のラベルが付された商品の写真及び「バイオコーブン|ムコ多糖複合体」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/taheebo/10000028/)。
(7)「健康サプリ」のウェブサイトにおいて、「オリヒロ ヒアルロン酸+セラミドカプセル 32包」の「商品概要」として「主要成分 ヒアルロン酸含有ムコ多糖蛋白複合体」の記載がある(http://www.kenkosupplement.com/113_41.html)。
(8)「注目の成分&素材 辞典」のウェブサイトにおいて、「栄養素一覧」の中に「ルテインとは」や「コンドロイチン&グルコサミン」とともに「コラーゲン含有ミネラル複合体」が掲載され、その説明として「鯛の鱗由来のI型コラーゲンタンパク質にミネラル成分(カルシウム・リン・マグネシウム)が結合したものがコラーゲン含有ミネラル複合体です。カルシウムの吸収を助けて歩く、走る、登るなどの運動が楽しくなるお手伝いをします。」の記載がある(http://www.naturally-hf.co.jp/knowledge/index.html)。
(9)「株式会社日正/すこやか笑顔」のウェブサイトにおいて、「機能成分事典」の見出しの下、「骨形成をサポート/『コラーゲン含有ミネラル複合体』」の説明として「骨をつくる骨芽細胞の足場となるコラーゲンたんぱく質に、骨形成に必要なカルシウム・リン・マグネシウムのミネラル成分の結晶体が結合した複合体が『コラーゲン含有ミネラル複合体』です。」の記載がある(http://www.sukoyaka-egao.jp/dic/dictionary.html)。
(10)「NorthWeb.network」のウェブサイトにおいて、「aurarei アウラレイ」の商品の紹介には、「美容補助食品・オレンジ味」の表示とともに「原材料名」として「コラーゲンペプチド(魚鱗)、コラーゲン含有ミネラル複合体(魚鱗)、ヒアルロン酸、ビタミンC、香料、増粘剤(プルラン)」及び「配合成分」として「コラーゲン・・・2000mg」、「コラーゲン含有ミネラル複合体・・・300mg」、「ヒアルロン酸・・・60mg」及び「ビタミンC・・・72.5mg」の記載がある(http://shop2.genesis-ec.com/search/item.asp?shopcd=17257item=tyo-5880)。


審理終結日 2013-02-05 
結審通知日 2013-02-15 
審決日 2013-02-27 
出願番号 商願2011-15814(T2011-15814) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0129)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一山田 正樹 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 山田 和彦
堀内 仁子
商標の称呼 ミネラルコラーゲンフクゴータイ、ミネラルコラーゲン 
代理人 伊藤 捷雄 

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