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審決分類 審判 全部取消 商標の同一性 無効としない Y09
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1273936 
審判番号 取消2012-300325 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-04-23 
確定日 2013-04-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4889760号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4889760号商標(以下「本件商標」という。)は、「BENK」の文字を標準文字で表してなり、平成16年12月1日に登録出願、第9類「眼鏡」を指定商品として、同17年8月26日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成24年5月16日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において、商標権者・専用使用権者又は通常使用権者によって使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 被請求人は、乙第1号証ないし乙第4号証を提出し、商標権者である被請求人が、本件商標と社会通念上同一の態様の商標を使用していると主張している。
しかし、上記証拠において示されている使用商標(別掲のとおりの構成からなる標章と同一といえる使用の商標。以下同じ。)は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものではない。すなわち、本件商標は、「BENK」の標準文字からなるのに対して、使用商標は、「BENK」の英文字ではなく、「E」と「N」を連結し、「N」と「K」を一体化させるデザイン化を施したものである。
したがって、被請求人が主張する「書体のみに変更を加えた」の範囲を超えているものであり、その構成を異にするものへ変更してしまっているものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものではない。
イ 被請求人は、商標権者である被請求人が、使用商標を、指定商品「眼鏡」について使用していると主張している。
しかし、使用商標は、指定商品「眼鏡」に使用しているとは認められないものである。
(ア)乙第1号証の1ないし8については、使用商標は、いずれも被請求人の店舗の店頭や店内の看板において、被請求人の名称である「株式会社勉強堂」の略称として、すなわち「店名」を表示するものとして使用されていると理解されるものである。
また、被請求人の店内には、商品「眼鏡」が陳列されており、被請求人は眼鏡を販売していることが理解されるものであることから、被請求人は、「眼鏡の小売業」を営んでいることが理解されるものである。
以上のことから、使用商標は、「眼鏡の小売業」を営む被請求人の「店名」を表示するために使用されているとはいえるものである一方で、使用商標は、看板に使用されているものであることから、その表示態様は、個別の商品である「眼鏡」と密接な関連性を認識させ、その「眼鏡」の出所を示すような表示態様で使用されているとまでは認められないものである。
したがって、使用商標は、指定商品「眼鏡」について使用しているとは認められないものである。
(イ)乙第2号証については、使用商標は、領収証において、被請求人の名称である「株式/会社 勉強堂」の文字の左側にまとまりよく並んで配置されているものである。この表示態様から、使用商標は、被請求人の名称の略称として、「眼鏡の小売業」を営む被請求人の「店名」を表示するために使用されていると認められるものである。
しかし一方で、使用商標の表示態様は、個別の商品である「眼鏡」と密接な関連性を認識させ、その「眼鏡」の出所を示すような表示態様で使用されているとまでは認められないものである。
したがって、この場合においても、使用商標は、指定商品「眼鏡」について使用しているとは認められないものである。
(ウ)乙第3号証については、使用商標は、商品券において、左上の部分に配置されているものである。
しかし、当該商品券は、単に「商品券」と記載されているのみであり、何の商品であるのかは記載されていないものである。
したがって、この場合においても、使用商標は、指定商品「眼鏡」について使用しているとは認められないものである。
ウ 乙第4号証については、使用商標は示されていないものである。
エ 以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が、その指定商品である「眼鏡」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたとは認めることができないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人である商標権者は、その本店所在地である千葉市中央区において、会社創業1894年(明治27年)以来、本件商標の指定商品「眼鏡及びその部品・附属品」の販売を行い現在に至るが、千葉市及びその近郊において、現在、支店(営業所)は15店舗を数え、その増減はあるものの、既に千葉市にあっては「眼鏡及びその部品・附属品」の販売、取扱いで周知の店舗であり、「眼鏡」は「勉強堂」として、また「勉強堂」の略称として、本件商標「BENK」は、その登録時である平成17年8月から現在まで継続して、当該商品に係る取引で使用しており、取引者及び需要者を含め、市民に既に「メガネ専門店」として膾炙の域にあるものである。
よって、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)を含め、現在まで継続して、本件商標をその指定商品である第9類「眼鏡」について使用している事実は明らかであり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定には該当せず、その登録が取り消される事由は存在しないものである。
(2)本件商標の使用事実
ア 乙第1号証(写真)は、商標権者が商品「眼鏡」について、広告として使用商標を付して展示して、本件商標を使用しているものである(写真作成は、写真撮影者が「株式会社勉強堂内 総務部長 住吉 誠」であり、撮影日が「平成24年7月7日」である。)。
乙第1号証の1は、本店の店頭看板(4枚(写真の枚数。以下同じ。))及び店内(4枚)である。
乙第1号証の2は、西千葉店の店頭看板(1枚)及び店内(1枚)である。
乙第1号証の3は、五井店の搭屋、店頭、袖看板(8枚)及び店内(4枚)である。
乙第1号証の4は、マリンピア店の店内看板及び店内(4枚)である。
乙第1号証の5は、茂原店の店頭看板(1枚)及び店内(1枚)である。
乙第1号証の6は、東金店の店頭看板(4枚)及び店内(6枚)である。
乙第1号証の7は、フェリア店の店内看板及び店内(1枚)である。
乙第1号証の8は、ゆみ?る店の店内看板及び店内(8枚)である。
イ 乙第2号証(写真)は、商標権者が商品「眼鏡」について販売している事実を証する取引書類の一部として、領収証(6枚)に使用商標を付して頒布し、本件商標を使用しているものである(現在の取引に使用されている領収証と要証期間である平成21年5月16日から同24年5月15日の間での取引に使用された領収証であり、いずれも控え(写)を提出する。)。
ウ 乙第3号証(写真)は、商品に関する取引書類として、商標権者が取り扱う商品「眼鏡」等の購入ができる商品券(2枚)に使用商標を付して頒布し、本件商標を使用しているものである(要証期間内に使用済みの商品券(写)を提出する。)。
エ 乙第4号証は、権利者の本部及び営業店の一覧表である。
(3)本件商標は、「標準文字」で表された「BENK」の欧文字からなる構成態様であるのに対し、使用商標の態様は、「N」と「K」の縦線が密着された態様である。しかして、使用商標は、容易に「BENK」と判読可能で、それ以外に認識、看取されることはなく、その称呼・観念において同一であり、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」と認められるものであるから、この程度の外観上の変形態様は、社会通念上同一の態様と認められるものである。
また、商標の使用態様であるが、乙各号証は、いずれも現在当該指定商品である「眼鏡」の販売に際して通常行われている取引態様を立証した資料である。すなわち、乙第1号証は、権利者の本部及び営業店舗にて商品に関する広告としての屋外の店頭看板であり、また、店内の商品「眼鏡」の陳列状態及び看板である。乙第2号証は、商品に関する取引書類として、実際取引に使用された領収証であり、商標を付して頒布しているものである。乙第3号証は、商品に関する取引書類として、「商品券」に商標を付して頒布しているものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において取消しの対象となっている指定商品である第9類「眼鏡」について、商標権者が継続して使用(商標法第2条第3項第8号)している事実が明らかであり、本件審判の請求は成り立たないものである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1は、商標権者である「株式会社勉強堂」の本店の店頭看板及び店内の写真、同号証の2は、西千葉店の店頭看板及び店内の写真、同号証の3は、五井店の搭屋、店頭、袖看板及び店内の写真、同号証の4は、マリンピア店の店内看板及び店内の写真、同号証の5は、茂原店の店頭看板及び店内の写真、同号証の6は、東金店の店頭看板及び店内の写真、同号証の7は、フェリア店の店内看板及び店内の写真、同号証の8は、ゆみ?る店の店内看板及び店内の写真とするものであり、それらの店舗の店頭看板又は店内看板の写真には、別掲のとおりの構成からなる「使用商標」が表されており、また、各店舗の店内の写真には、「眼鏡」が展示されている。
イ 乙第2号証は、6枚の領収証の控え(写し)とするものであり、「領収証控」、「 様」、「金額」、「但」、「平成 年 月 日 上記のとおり領収致しました。」、「メガネ・コンタクトレンズ・時計・宝石・補聴器・金地金」、「株式会社 勉強堂」、「本部/千葉市中央区本千葉町2-9勉強堂ビル」、「043(225)7721(代表)」等の文字のほか、上下に「えらびぬかれたほんものを」の文字と「SINCE 1894」の文字が配された「使用商標」が印刷されたものに、手書きによってそれぞれ「購入者にあたる氏名又は名称」のほか、「¥43550」・「お眼鏡代の残金分として」・「24 1 23」、「¥21000」・「お眼鏡代として」・「24 3 4」、「¥23100」・「弱視治療 眼鏡代金として」・「24 1 10」、「97900」・「メガネ一式代として」・「23 8 28」、「27400」・「メガネ一式代として」・「23 7 28」及び「¥52920」・「メガネ一式として」・「23 8 6」の文字等が記載されている。
そして、6枚の領収証に記載されている「24 1 23」、「24 3 4」、「24 1 10」、「23 8 28」、「23 7 28」及び「23 8 6」の「年月日」は、本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものと認められる。
また、上記領収証控(写し)の1枚目、2枚目、4枚目及び5枚目には、「発行部門」として「四街道」又は「四街道店」との記載がある。
ウ 乙第4号証には、「株式会社 勉強堂 本部・営業店一覧表」の表題の下、「店名」、「住所」、「電話番号」、「取扱商品」等が記載されており、「本部」の住所及び電話番号は、乙第2号証に記載された「本部/千葉市中央区本千葉町2-9勉強堂ビル」及び「043(225)7721(代表)」に符合する。また、勉強堂店舗として、「本店」、「西千葉店」、「五井店」、「マリンピア店」、「茂原店」、「東金店」、「フェリア店」、「ゆみ?る店」及び「四街道店」を含む、16店舗が記載されている。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者である「株式会社勉強堂」がその請求に係る指定商品である「眼鏡」について、「使用商標」を使用していたと認められる。
そして、本件商標が「BENK」の文字を標準文字で表してなるものであるのに対して、「使用商標」は、「B」、「E」及び「N」の文字を密着させ、さらに「N」の文字の右側の縦線と「K」の文字の縦線を一体化させた態様からなるものの、「BENK」の各文字から構成されたものであると容易に看取されるものであって、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるとみるのが相当であり、また、これより生じる称呼及び観念が本件商標から生じる称呼及び観念と相違するものでもないことから、「使用商標」は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
(3)請求人は、「『使用商標』は、看板に使用されている等の表示態様から、『眼鏡の小売業』を営む被請求人の『店名』を表示するために使用されているとはいえても、個別の商品である『眼鏡』と密接な関連性を認識させるものでなく、該商品の出所を示すような表示態様で使用されているとまではいえないから、『使用商標』が指定商品『眼鏡』について使用しているとは認められない。」旨主張している。
しかしながら、商標権者に係る各店舗において、店頭看板又は店内看板に「使用商標」を表示して使用し、その店内において請求に係る指定商品「眼鏡」を販売していることが認められ、「使用商標」が「眼鏡」と密接な関連性を有すると認識させるものであることからすれば、「使用商標」は、その商品について、商標権者が取り扱う商品の広告としての機能を果たしているものとみるのが相当である。
また、商標権者の発行に係る「領収証控(写し)」(乙第2号証)には、その発行元の表示部において、商標権者の名称及び住所等とともに「使用商標」の表示がされていることに加え、「但」欄には、「お眼鏡代として」や「メガネ一式代として」等の記載があり、これにほかの証拠をも併せみれば、商標権者は、商品「眼鏡」の販売にあたり、「使用商標」の表示がされた領収証を発行していたことが優に推認できるものである。
してみれば、商標権者による上記「使用商標」の使用は、直接商品に付して使用しているものではないとしても、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告又は取引書類に標章を付して展示し又は頒布する行為」に当たるものといえるから、請求人の上記主張は採用できない。
(4)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品「眼鏡」に本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
使用商標


審理終結日 2012-11-28 
結審通知日 2012-11-30 
審決日 2012-12-13 
出願番号 商願2004-109569(T2004-109569) 
審決分類 T 1 31・ 11- Y (Y09)
T 1 31・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2005-08-26 
登録番号 商標登録第4889760号(T4889760) 
商標の称呼 ベンク 
代理人 吉田 親司 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 三嶋 景治 
代理人 潮崎 宗 
代理人 幡 茂良 
代理人 橋本 良樹 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 

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