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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 037
管理番号 1273903 
審判番号 取消2012-300417 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-05-23 
確定日 2013-04-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3038121号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3038121号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、下部の一点が接する3重よりなる縦長楕円形をやや右傾化した図形を背景として、上段に「リビングチェーン」の片仮名、中段にややデザイン化してなる「TREND」の欧文字、下部に「・トレンド・」の各文字を配してなる構成よりなり、平成4年9月21日に登録出願、第37類「電気工事,暖冷房装置の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理,楽器の修理又は保守,電話機の修理,家庭用電気洗濯機の修理,電気ミキサ-の修理,電気かみそり及び電気バリカンの修理,電気アイロンの修理,電気式ヘアカ-ラ-の修理,電気式ワックス磨き機の修理,電気掃除機の修理,電気ブザ-の修理,家庭用電気マッサ-ジ器の修理,家庭用電熱用品類の修理,電気式歯ブラシの修理,電球類及び照明用器具の修理」を指定商品として、平成7年4月28日に設定登録、その後、同16年11月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成24年6月7日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法50条1項の規定により本件商標の指定役務中、「電気工事,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守」についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理陳述要領、並びに弁駁(第二)を要旨次のように述べ、証拠方法として甲1?4を提出した。
1 請求の理由
本件商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上「電気工事,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守」について使用していない。本件登録に専用使用権者又は通常使用権者が設定・許諾されている事実も見当たらない(甲1)。
よって、前記指定役務についての本件商標の登録は、商標法50条1項の規定により、取り消されるべきである。
2 トレンドとなみ石嶺店に関して
(1)看板を含む店舗外装(乙7及び8)について
被請求人は、陳述要領書において、これが2008年10月に撮影された「トレンドとなみ石嶺店」の写真(看板を含む店舗外装)であると述べているが、要証期間の写真ではない。
また、被請求人は、乙7及び8には、店舗写真左側に本件商標が付された看板(以下「本件店舗看板」という。)を確認できると述べているが、「リビングチェーン」部分を含む本件商標は、確認できない。
(2)本件店舗看板(乙9及び10:モノクロ写真)等について
被請求人は、陳述要領書において、これが2012年11月に撮影された拡大写真であり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であると述べているが、要証期間内の写真ではない。
(3)乙7?10における本件商標の使用有無について
被請求人は、陳述要領書における乙7?10に基づき、トレンドとなみ石嶺店によって、本件商標が、2008年10月時点で使用され、2012年11月においても使用されていることから、要証期間内に日本において通常使用権者であるトレンドとなみ石嶺店によって使用されていると述べているが、これらは、いずれも要証期間内の写真ではないことから、これらによっては、本件商標が、要証期間内に日本国内において使用されている事実は証明されていない。
(4)本件店舗看板(乙9の2及び10の2:カラー写真)について
被請求人は、口頭審理後の上申書において、本件商標の通常使用権者であるトレンドとなみ石嶺店の店舗看板を撮影したカラー写真(先に提出の乙9及び10のカラー版)を乙9の2及び乙10の2として提出し、本件店舗看板は、通常使用権者が、本件取消請求にかかる指定役務について本件商標を使用していることを示す証拠足り得る旨の主張をしている。
しかしながら、看板に表示されている標章が、その看板の掲げられた地にある店舗等の事業体により「商標として使用」されているものであるか否かは、当該看板の存在だけで立証できるものではなく、これと当該店舗において営まれている事業との全体的な関係を考察して決せられるべきものである。
乙9の2及び10の2における本件店舗看板は、その周囲とこれを支える柱には錆が浮かび、看板中の標章も色あせるなど、相当期間、手入れのされていないことが窺われる。
よって、この写真だけを見ていると、通常使用権者が、本件店舗看板を「役務の広告」として認識し、自らの信用を表象する商標としてその機能維持に努めていたとは思えない。このような状態に置かれた本件店舗看板の存在だけで役務との関係がわかるはずもないから、実質的な意味でも、これを商標の「使用」と認めるわけにはいかない。
以上述べたように、本件店舗看板に描かれている標章が本件商標と同一であるか否かに拘らず、本件店舗看板を写した乙9の2及び10の2は、本件商標が使用されている事実を示す証拠としては不十分である。
(5)店舗外装(店先看板)について
被請求人が、トレンドとなみ石嶺店の店舗外装(店先看板)にある「増改築工事・相談」の文字及びロゴ(乙14)を示し、『本件商標が電気工事等を提供していることが容易に認識することが可能』と主張している点についても同様である。これらの文字及びロゴはそもそも本件商標とは全く関係がないし、店先にロゴが示されているだけで電気工事が提供されていることの立証になるはずもなく、いずれにしても、被請求人の主張には理由がない。
(6)パナソニックショップ等(乙15?22)における使用について
ア 乙15(トレンドとなみ石嶺店の広告)について
これには、「トレンド・となみ」の標章があるが、本件商標は見当たらない。よって、「エアコン標準取り付け工事費」に関する記述の有無に拘わらず、本件商標が指定役務について使用されていることは立証されていない。
イ 乙16(広告発注書)及び17(総務省ホームページ)について
乙16は、2012年6月号/マンスリーチラシ申し込み表であるが、これとその立証内容によれば、被請求人が自ら広告資料を取りまとめて印刷会社に発注しているとのことであるが、乙2及び3、並びに15(いずれも系列販売店の広告)を見ると、同じような広告内容であるにも拘らず、広告主体の表示部分は表現が皆異なるものとなっているし、そもそも、いずれの広告物上にも本件商標は表示されていない。
よってこれらをしても、本件商標が指定役務について使用されていることは立証されていないというほかない。なお、本件商標との関連性が不明であることは、乙17(総務省テレビ受信者支援センターのホームページ)についても同様である。
ウ 乙18及び19(いずれもトレンドとなみ石嶺店の売上原票)について
これらの売上原票に使用されている標章は、本件商標中にある「リビングチェーン」の片仮名を欠いているから本件商標ではない。なお、当該売上原票なる書類には、確かに「取付工事料」「電気工事」などの品名とともに、その金額が記されているが、これらの工事はいずれも商品「エアコンディショナー」の販売に伴って為されたものであり、且つ、当該エアコンディショナーは被請求人の製造販売に係る商品である。
商標法上の保護を受け得る役務は独立して提供されていることを要するところ、「電気工事」についての商標の使用を立証するのなら、自らが販売した商品を「取り付けるための工事」だけではなく、商品販売とは関係なく依頼された一般的な電気工事や、自らが販売したのではない商品に係る取り付け工事など、その工事が独立的に行われていることの証明も尽くすべきと目されるが、被請求人の立証は、この点において十分とはいえない。
なぜそこまでの立証が必要かといえば、自社製電気製品を取り付けたというだけでは、需要者が、そこに表示されていた標章を電気工事の識別標識としては認識せず、単に「電気製品販売店」の識別標識(電気製品それ自体、あるいは電気製品の小売役務の識別標識)としてしか理解していない可能性が残ってしまうからである。
商標法の保護対象が、工事を表象する商標に蓄積した信用である以上、その商標の使用の有無は、工事とのより端的な関係において判断すべきである。
したがって、乙18及び乙19に表示されている標章が本件商標と同一であるか否かという以前に、これら自社製品の販売に伴った「取り付け工事」に係る伝票類だけでは、商標が「電気工事」について使用されている事実は立証されていないと解される。
3 まとめ
前記1及び2のとおり、被請求人が提出する各証拠によっては、未だ本件商標が、電気工事、とりわけ、商品の販売に関係せず独立して取引対象となっている電気工事を識別するために使用されていることは立証されるに至っていないと解すのが相当である。
なお、被請求人は、「電気工事」と「電子計算機の修理又は保守」について本件商標が使用されていると結論するが、「電子計算機の修理・保守」については証拠が何一つ提出されていないから、後者についてはその証明行為自体がされていないと解される。
よって要証期間内に、本件商標が取消請求にかかる指定役務のいずれについても使用されていないという請求人の主張には合理的な理由がある。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由、口頭審理陳述要領、並びに上申を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1?29(枝番号を含む)を提出した。
1 トレンドとなみ石嶺店による本件商標の使用について
(1)本件店舗看板を含む店舗外装写真について
被請求人は、陳述要領書において、グーグルストリートビューにより2008年10月(要証期間前)に撮影されたトレンドとなみ石嶺店の左右の側からの写真を乙7及び8として提出する。
これらの写真の店舗左側には、本件商標が付された本件店舗看板が確認でき、さらに、2012年11月(要証期間後)に撮影された本件店舗看板の拡大写真(モノクロ)が乙9及び10である。本件商標と色違いではあるが、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることには、疑いの余地がない。
(2)本件店舗看板の写真について
被請求人は、口頭審理後の上申書において、前記(1)における乙9及び10のカラー写真を乙9の2及び10の2として提出する。
本件店舗看板については、店舗前の道路の通行者からよく見えるように道路と垂直に掲出されている。
請求人は口頭審理において本件店舗看板に色彩があるのであれば使用商標は本件商標との同一性に疑問がある旨、陳述するが、本件店舗看板に使用されている商標は色違いの商標にすぎないので、本件店舗看板に使用されている商標が本件商標と「外観において同視される図形」であることは疑いの余地がない。
(3)役務内容について
請求人は、口頭審理において、本件店舗看板からは役務の内容が不明である旨陳述するが、本件商標はトレンドとなみ石嶺店のみならず、他の沖縄のパナソニックショップにおいて使用されている商標である。
全国のパナソニックショップでは商品の販売のみならず、電気工事等の役務の提供を行っていることは知られているものである。
したがって、トレンドとなみ石嶺店が本件店舗看板を掲出する行為も、電気工事に関する広告に本件商標を付して展示しているといえる。
(4)店舗外装(店先看板)について
トレンドとなみ石嶺店の店舗外装には、本件商標が付された本件店舗看板の他に店先看板に「増改築工事・相談」の文字と浴槽や台所工事を請け負うことを示唆するロゴが付されている(乙14)ことから、かかる点からも、本件商標が電気工事等を提供していることが容易に認識することが可能である。
したがって、本件商標が付された看板から役務の内容は不明とする請求人の主張は失当である。
(5)電気工事について
トレンドとなみ石嶺店が確かに電気工事を提供していることを示す資料として、以下の資料を提出する。
ア トレンドとなみ石嶺店の広告資料(乙15)
この広告資料の左側部分に「エアコン標準取り付け工事費」等が記されていることから、トレンドとなみ石嶺店が電気工事等の役務の提供を行っていることが明確である。
この広告資料は、2012年6月号であって、この6月号は、トレンドとなみ石嶺店とトレンドとなみおもろまち店と併せて500部のチラシを作成したものである。
当該広告資料は、沖縄県のパナソニックショップ各店舗からパナソニック内で取りまとめ、愛知県の印刷会社に注文し(乙16)、配布月の前月末に各店舗に届けられ、店頭掲示、店頭配布、ポスティングによりその月のうちに頒布されるものである。
イ 総務省ホームページ(乙17)
これは、総務省テレビ受信者支援センターホームページにおける地デジ化協力店リストであるところ、当該リストには、要証期間中の2010年7月26日に沖縄県の電器店としてトレンドとなみ石嶺店が地デジ相談店として登録されていることから、トレンドとなみ石嶺店が要証期間中に「地上デジタルのアンテナエ事」など電気工事を提供していることが明らかである。
ウ 電気工事等に関する取引書類(乙18及び19)
これらは売上原票という、領収書の写しにあたる書類であるところ、これより、トレンドとなみ石嶺店が要証期間内にエアコンの取付工事等を提供したことが明らかである。
(6)通常使用権契約について
被請求人が提出するトレンドとなみ石嶺店の「パナソニックショツプ引受契約書」の写し(乙24)よりすれば、トレンドとなみ石嶺店は、商標権者より許諾を受けて本件商標を使用しており、通常使用権者に該当することが明らかである。被請求人は、店舗ごとに「パナソニックショップ」として運営するための契約を結んでいる。
通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有し(商標法31条2項)、当該「登録商標」には、その登録商標に類似であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものとする、と商標法70条1項で明記されている。
したがって、通常使用権者が本件商標を使用していることは明らかである。
2 請求人の主張について
請求人は、口頭審理において被請求人提出の乙各号証は断片的であると指摘しているが、不使用取消審判において、1つの証拠が全ての要件を具備していることは稀であり、複数の証拠を補完して要証期間中の登録商標の使用を証明することが多いと考える。したがって、複数の証拠を提出することは本案件に限ったことではなく、かかる事実によって本件商標の使用の正当性が疑われるものではない。
3 まとめ
以上により、被請求人は要証期間内に「電気工事、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守」について本件商標の使用をしていたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人及び請求人の提出に係る各号証及び両当事者の主張より、以下の事実が認められる。
(1)トレンドみなみ石嶺店の写真(乙8)について
乙8の写真には、左上に「Google」及び「那覇市首里石嶺町・・・」の文字、その下には高く掲げられた本件店舗看板が表されており、またほぼ中央には「Panasonic」、その右側には「TREND」及び「トレンドとなみ・・・」さら当該写真の左下には、「October 2008」の各文字が表示されていることから、当該写真は、グーグルストリートビューにより、2008年10月(要証期間前)に撮影されたトレンドとなみ石嶺店の写真と認められる。
そして、この本件店舗看板には、概略、楕円形状の図形と文字らしき表示が認められる。
また、乙8の中央右側における「トレンドとなみ・・・」の文字の上方には、当該文字幅と中心を合わせたかの如くの位置に、6つの正方形状の図形(以下「正方形ロゴ」という。)が存在している。
(2)本件店舗看板の拡大写真(乙9の2及び10の2)について
被請求人の主張によれば、これらは、乙8に表されたトレンドとなみ店の本件店舗看板の拡大カラー写真(乙9及び10のカラー版)であるところ、その中央には、概略、縦長楕円形をやや右傾化した図形と三段に書された文字列が横書きされており、これは、色彩を本件商標と同一にすれば、本件商標と同一の商標といい得るものである。
そして、これら乙9の2及び10の2の写真の撮影日は、そのプロパティの表示から、いずれも2012年11月7日(要証期間後)であることが認められる。
(3)トレンドとなみ石嶺店の店舗外装(店先看板:乙14)について
乙14の上方に表されているTRENDの文字を象ったネオンサイン、中央に表されている6つの正方形ロゴ、下方に現された「トレンドとなみ石嶺店」の各表示は、乙8のトレンドとなみ石嶺店の写真の各表示とその配置及び外観形状が一致することから、乙14の写真は、乙8の写真の右側部分に相当の写真(ただし、撮影日不明)であって、その正方形ロゴ中には、「増改築工事・相談」の文字と「風呂及び流し台」と思しき図形(一番左と左から4つ目の正方形ロゴ)のほか、「消耗・便利品」の文字と「電池、電球及びサークライト」と思しき図形(左から3つ目の正方形ロゴ)、さらには、「デジタル」の文字と「人工衛星及びテレビ」と思しき図形(右から2つ目の正方形ロゴ)が記載されている。
(4)トレンドとなみ石嶺店の広告(乙15)について
これは、被請求人の主張によれば、ルームエアコン等に関する2012年6月号の広告であり、沖縄県のパナソニックショップ各店舗からパナソニック内で取りまとめ、愛知県の印刷会社に注文(乙16)し、配布月の前月末に各店舗に届けており、店頭掲示のほか、店頭配布、ポスティングによりその月のうちに頒布されるとのことである。
なるほど、乙15中には、「このカタログは、平成24年5月10日現在のものです。」と記載されていることから、2012年6月号との被請求人の主張とも符合し、また、沖縄におけるエアコンの稼動準備時期とも符号するものであるといえる。
また、乙15中の左側部分には、「あなたの街のでんきやさん/トレンド・となみ」、「那覇市首里石嶺・・・」のほか、「エアコン標準取り付け工事費 18,000円(税込)」と記載されている。
さらに右側部分には、各種ルームエアコンの写真、型番及び価格のほか、「エアコンの設置工事は安心して、任せられる専門電気店へ」と記載されている。
(5)総務省ホームページ(乙17)について
これは、総務省テレビ受信者支援センターのホームページであり、そこには、「あなたの街の地デジ相談店リスト(地デジ応援登録店)/沖縄県の電器店、「地デジ応援登録店」のリストを掲載致しました。<2010.07.26>」と記載されているほか、多数の電器店とともに、トレンドとなみ石嶺店もリストに掲載されている。
(6)売上原票(乙18及び19)について
これらは、トレンドとなみ石嶺店が顧客A及びBに売り上げた「控え」と思われるところ、乙18には、品名欄及び金額欄にそれぞれ「エアコン」及び「76000」、その次行の品名欄及び金額欄にそれぞれ「取付工事料」及び「18900」と記載されており、また発行日欄には、「24年5月30日」と記載されている。
また、乙19には、同様エアコンの次行の品名欄及び金額欄にそれぞれ「取付工事」及び「22000」と記載され、さらにその次行の品名欄及び金額欄にそれぞれ「電気工事」及び「21000」と記載されており、また発行日欄には、「H24年5月24日」と記載されている。
(7)パナソニックショップ引受契約書(乙24)について
これは、2012年3月13日に取り交わされた被請求人とトレンドとなみ石嶺店による契約書であるところ、そこには、「地域電器専門店として、パナソニック商品の販売とサービス活動を通じ、・・・パナソニック株式会社の経営理念に共鳴し、自主責任経営の精神を持って、“パナソニックショップとして目指すべき経営”を確立することをお約束し、パナソニックショップを、お引き受けいたします。」と記載されている。
2 以上の認定事実より、以下判断する。
(1)使用商標(乙8、9の2及び10の2)について
前記1(1)、(2)及び(7)の認定事実によれば、被請求人提出の乙8の写真は、「パナソニックショップ」(地域電器専門店)である「トレンドとなみ石嶺店」であって、当該店舗の左側に高く掲げられた本件店舗看板には、概略、右傾化した楕円状の図形と文字らしき表示が窺える。
そして、この本件店舗看板の概略と、乙9の2及び10の2との看板を見比べると乙8と乙9の2及び10の2の看板は、その全体の構成態様からして、同一の看板、つまり、本件店舗看板であることが確認できる。
ところで、乙9の2及び10の2に描かれた商標は、前記1(2)において認定したとおり、色彩を本件商標と同一にすれば、本件商標と同一の商標といい得る商標であることから、この本件店舗看板には、本件商標が使用されているものと認められる。
(2)使用役務について
ア 店舗外装(店先看板)について
被請求人提出の乙14(店先看板)は、前記1(3)において認定したとおり、乙8の店舗写真の右側部分というのが相当であるところ、当該乙14における6つの正方形ロゴ中の「増改築工事・相談」の文字と「風呂及び流し台」と思しき図形、「消耗・便利品」の文字と「電池、電球及びサークライト」と思しき図形、さらには、「デジタル」の文字と「人工衛星及びテレビ」と思しき図形等が記載されているものであって、これに接した取引者、需要者は、一見して当該店舗が取り扱う商品や役務の内容を端的に表したと理解するとみるのが相当である。
具体的には、一番左と左から4つ目の正方形ロゴ(同一)に着目してみると、そこには、上記したとおりの表示内容からすれば、増改築工事に伴う相談として、浴室やキッチン回りの商品及びこれに伴う工事等を取り扱う店舗であることを容易に理解させるものであるとともに、当然に設置や移設のための電気工事も行っているものと理解させるものである。
また、左から3つ目の正方形ロゴにおいては、同様に、電池や電球及び蛍光灯等の消耗品の各種商品を取り扱う店舗であることを、さらに、右から2つ目の正方形ロゴにおいても、同様にデジタル衛星放送が受信可能な商品(テレビ他、関連商品も含む)及びこれに伴うアンテナ工事(移設も含む)等の電気工事を取り扱う店舗であることを容易に理解させるものである。
そのほか、一番右の正方形ロゴにあっては、「建物」の図形と「パナホームご相談」と記載されていることからすれば、取引者、需要者をして、パナソニックショップとしての地域電器専門店であるトレンドとなみ石嶺店は、比較的低価格の電池や電球等の消耗品を始め、浴室、キッチン、テレビ(アンテナ工事を含む)のほか、高価格なる建物関連に至るまでの幅広い商品及び役務を取り扱う又は相談に応じる地域電器専門店であることを理解させるものというのが自然である。
そして、その取扱商品や役務については、前記した商品のほか、いわゆる家電製品として一般的な冷蔵庫、洗濯機、エアーコンディショナー等の商品とともに、エアーコンディショナーやテレビのアンテナの設置工事(電気工事を含む)等の役務も当然に行っているものとみるのが自然である。
イ マンスリーチラシ広告(乙15)について
これは、前記1(4)における記載内容の「エアコン標準取り付け工事費 18,000円(税込)」及び「エアコンの設置工事は安心して、任せられる専門電気店へ」との記載からすれば、トレンドとなみ石嶺店は、実際にエアーコンディショナーの販売のほか、その取り付け工事も行っているものであって、エアーコンディショナーの取り付け工事(電気工事)を別途の独立した役務の料金として設定していることが明らかである。
この点に関し、請求人は、「電気工事」についての商標の使用を立証するのなら、自らが販売した商品を「取り付けるための工事」だけではなく、商品販売とは関係なく依頼された一般的な電気工事や、自らが販売したのではない商品に係る取り付け工事など、その工事が独立的に行われていることの証明も尽くすべき旨、主張し、その理由として、自社製電気製品を取り付けたというだけでは、需要者が、そこに表示されていた標章を電気工事の識別標識としては認識せず、単に「電気製品販売店」の識別標識(電気製品それ自体、あるいは電気製品の小売役務の識別標識)としてしか理解していない可能性が残ってしまうからである旨、主張している。
確かに、請求人主張の如く、商品販売とは無関係の取り付け工事等の証明がなされていれば、独立した役務と認められることは勿論ではあるが、取り付け工事費を別途示している本件の如くの場合において、関連会社の製造販売に係る商品の取り付け工事であるが故に、当該工事が独立した役務とは認められないとする請求人の主張は、独自の見解というほかないものである。
請求人主張の如く、商品販売とは関係なく依頼された一般的な電気工事や、自らが販売したのではない商品に係る取り付け工事(電気工事)など、その工事が独立的に行われていることの証明がないとしても、当該工事においては、被請求人の製造販売に係るエアーコンディショナーの移設工事(電気工事)や他社製品の設置工事や移設工事等の電気工事も当然に実在するとみるのが、本件の如くのパナソニックショップや、他の電気メーカーの各ショップ等、この種業界の実情においては自明というべきである。
ウ 総務省ホームページ(乙17)について
これには、前記1(5)において認定したとおり、トレンドとなみ石嶺店が、2010年7月26日時点における沖縄県の「地デジ応援登録店」のリストに掲載されていることから、当然に地上デジタル放送に対応するアンテナ工事(電気工事)なる役務も実際に行っていたものと見るのが自然である。このことは、アナログ放送から地上デジタル放送に移行された事実及び時期(2011年)からも想像に難くない。
エ 売上原票(乙18及び19)について
これらには、前記1(6)において認定したとおり、「エアコン」の記載や、「取付工事料」、「取付工事」及び「電気工事」の各記載が別立て記載されていることからして、トレンドとなみ石嶺店は、エアーコンディショナーの取付工事(電気工事)なる役務を実際に行っていたことが明らかである。
オ 小括
以上、ア及びイよりすれば、トレンドとなみ石嶺店は、その店舗外装(店先看板)の正方形ロゴの意味内容よりすれば、エアーコンディショナーの設置工事やテレビのアンテナ工事等の電気工事を行っているものと優に推認できるものであるばかりでなく、エアーコンディショナーの取付工事(電気工事)の役務は、前記エの如く、実際に行っていたものということができる。
(3)商標使用者について
通常使用権契約(乙24)について
前記1(7)に記載の2012年3月13日付けのパナソニックショップ引受契約の記載内容よりすれば、被請求人は、実質的にトレンドとなみ石嶺店に本件商標権の通常使用権を許諾していたものと見て差し支えない。
(4)商標使用時期及び使用場所について
本件店舗看板が表された乙8の写真の日付けは、前記1(1)において認定したとおり、要証期間前の2008年10月であり、また同様に本件店舗看板が表された乙9の2及び乙10の2の写真の日付けは、前記1(2)に認定したとおり、2012年11月であり、要証期間後の日付けである。
そうとすれば、要証期間内(2009年6月7日?2012年6月6日)においても、当該本件店舗看板がトレンドとなみ石嶺店の看板として継続して掲示されていたものと見るのが相当であり、このことは、乙9の2及び10の2における本件店舗看板の周囲とこれを支える柱の錆及び看板中の色あせの各状況からもうかがうことができるものである。
また、本件商標の使用場所については、前記1(1)において記載したとおり、乙8のグーグルストリートビューの写真左上の那覇市首里石嶺町・・・との記載から日本国内であることが明らかである。
(5)小括
以上、前記(1)?(4)を総合してみるに、トレンドとなみ石嶺店は、要証期間内において店舗左側の本件店舗看板(乙8、9の2及び10の2)に本件商標を付していたものであるところ、これに接する取引者、需要者は、本件店舗看板と店舗外装(店先看板)の6つの正方形ロゴの意味する内容とにより、本件店舗看板の標章が、トレンドとなみ店が提供するエアーコンディショナーの設置工事やテレビのアンテナ工事(電気工事)等の役務の広告を表したものと理解すると共に、トレンドとなみ石嶺店の業務にかかる識別標識たる商標でもあると理解するものとみるのが相当である。
以上よりすれば、本件商標の通常使用権者であるトレンドとなみ石嶺店(日本国内在)は、要証期間内において、当該店で販売する家電商品や、これに関する役務(電気工事等)の広告に本件商標を付して展示していたものというのが相当であって、当該行為は、商標法2条3項8号における「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当するものということができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に、日本国内において、取消請求に係る指定役務中、「電気工事」について、本件商標を通常使用権者が使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法50条1項の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)



審理終結日 2013-02-01 
結審通知日 2013-02-06 
審決日 2013-03-01 
出願番号 商願平4-203657 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (037)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 1995-04-28 
登録番号 商標登録第3038121号(T3038121) 
商標の称呼 リビングチェーントレンド、トレンド 
代理人 内藤 浩樹 
代理人 永野 大介 
代理人 藤井 兼太郎 
代理人 藤田 雅彦 
代理人 香原 修也 

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