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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 209
管理番号 1272617 
審判番号 取消2011-300141 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-02-07 
確定日 2013-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第566229号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成23年12月6日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10011号、平成24年6月6日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第566229号商標(以下「本件商標」という。)は、「LUNA」の欧文字を書してなり、昭和32年10月14日登録出願、昭和36年2月6日に設定登録、指定商品を第9類「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」をはじめとする第9類及び第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とするものである。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中第9類「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者によって継続して3年以上、日本国内において、その指定商品第9類「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」について使用されていない。また、本件商標権の専用使用権は設定されておらず、さらに通常使用権者も存在しないことが推認できる。
したがって、本件商標は、上記指定商品の登録について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁
(1)使用商品について
ア 被請求人は、電子応用機械器具と同じ類似群である11C01に該当する「電子回路」を組み込んだ商品を販売している旨を主張する。
しかしながら、「電子回路」を組み込んだものを販売しているのであれば、それを組み込んだものが、電子応用機械器具と同じ類似群である11C01に該当し、かつ被請求人の商標を使用していない限り電子応用機械器具において商標を使用しているとはいえない。
納品書における「センサー用LED基板」は、照明の役割をはたす場合は照明用器具(類似群11A02)となり、センサーの部品として考えた場合でも測定機械器具であり類似群は10C01に該当する。また、「拡散照明装置」「透過照明装置」及び「2面バックライト照明」は照明用器具であるから、いずれも電子応用機械器具における商標の使用ではない。
イ 被請求人はLEDを用いた2面バックライト照明を製造し納入したのであって、電子応用機械器具の範ちゅうに属する画像解析装置の部品を販売したわけではなく、画像解析装置の部品として使用したのは、あくまでも納入された会社である。
被請求人の製造するLEDを用いた「2面バックライト照明」は、「LEDを用いた電球類及び照明用器具」又は「発光ダイオードを用いた照明用器具」(甲2)に分類される。
特許庁の審査分類では、自動車並びにその部品及び附属品は類似群12A05であり、自動車用電球及び照明用器具は、自動車の部品ではあるが、自動車と同じ類似群には属さず照明用器具に分類され類似群は11A02になる(甲2)。
よって、被請求人の製造している商品のようにバックライト照明に用いられるものは、たとえ、画像解析装置の部品として販売される場合であっても照明器具に分類されるべきである。
ウ 被請求人は、各種ネオンランプについて商標を使用しているものであり、「ネオンランプ」は放電管であって、電子応用機械器具と同様に類似群11C01に属する旨主張するが、「ネオンランプ」は、特許電子図書館の商品・役務名リストでは電球類及び照明器具と同様の11A02に分類されている(甲3)。
また、国際分類では放電管(照明用のものを除く)が類似群11C01とされており(甲4)、これによれば類似群11C01からは照明用のものは除かれており、照明用放電管は照明用器具として11A02に分類されている(甲4)。
これらのことから、「ネオンランプ」が「放電管」という上位概念に含まれるとしても、照明に用いられる「ネオンランプ」としての特定の用途が明らかである以上、電球類及び照明器具として11A02に分類されると考えるべきであり、審査上もそのように分類されている。
(2)商標について
各証拠書類に表示されている、別掲1に記載のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標1」という。)は、Aの文字が図案化されすぎていて、甲第6号証に示すように単独で表示した場合、英文字のAと読むより、山形の図形と捉えられる可能性が高い。
よって、使用商標1は、「英文字LUN+図形」の商標であり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用しているとはいえない。
(3)結び
以上述べたように、被請求人が使用を主張している商品は取り消しの対象の商品ではなく、また、使用を主張している商標(使用商標1)は、本件商標との同一性がない。
したがって、被請求人の主張は取り消しの対象となっている商品に対する登録商標の使用を証明するものではなく、本件商標の不使用による取り消しを免れることはできないものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第67号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の権利者である被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に我が国においてその取消請求に係る指定商品第9類「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」について、本件商標を使用している。
(1)本件商標の使用者
「会社案内」(乙1(乙21))、「商品カタログ」(乙2(乙22)の1?3)、「ホームページ」(乙3(乙23)の1、2)、「納入仕様書」(乙4?乙8(乙24?乙28))、及び「納品書」(乙9?乙12(乙29?乙32))には、被請求人の名称と所在地が「ルナライト株式会社」「埼玉県新座市野火止4丁目19番71号」と記載されており(審決注:乙10(乙30)及び乙11(乙31)には被請求人の名称「ルナライト(株)」の表示のみが記載されている。)、特に乙第1号証(乙21)ないし乙第3号証(乙23)には被請求人が使用している商標として、本件商標と使用商標1が記載されている。
(2)本件商標を使用している商品
ア 被請求人は、「電子回路あるいは電子回路基板」を搭載させた、商品「センサー用LED基板」「拡散照明装置」「透過照明装置」及び「2面バックライト照明」を製造販売している(乙4?乙13(乙24?乙33))。これらの「電子回路あるいは電子回路基板」は、本件審判請求に係る「電子応用機械器具及びその部品」の中に含まれる「電子回路」に相当する。
以上の商品が実際に製造されて納品されたことは、品番が一致する納品書(乙9?乙12(乙29?乙32))によって明らかである。
イ 次に、被請求人は、乙第2号証の3(乙22の3)の17ページから22ページに記載されている「各種ネオンランプ」を製造販売しており、その実際の納入実績は、乙第14号証の1ないし8(乙34の1?8)に示されたとおりである。
この「各種ネオンランプ」は、第9類「電子応用機械器具及びその部品」の中の「放電管」に該当する。
(3)使用商標
被請求人は、乙第2号証の3(乙22の3)に記載されている使用商標1を使用している。使用商標1は、本件商標と同じく「ルーナ」と称呼でき、かつ観念も「月」というように同じであることから、本件商標の使用に相当する。
(4)使用時期
乙第4号証(乙24)から乙第12号証(乙32)に係る納入仕様書と納品書には、2008年7月ないし2010年12月までの年月日が記載されており、さらに、乙第14号証(乙34)に係る納品書には、2009年9月から2010年5月までの年月日が記載されている。
2 平成24年9月18日付け上申書について
本件審判に係る平成23年12月6日付け審決に対する審決取消訴訟においては、次の理由によって当該審決が取り消された。
(1)ネオンランプが定電圧特性を持っており、この特性を生かして回路保護に用いられることから、この「ネオンランプ」に対するカタログでの使用商標1及び使用商標2の使用は「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」についての使用と評価できる。
(2)「センサー用LED基板Assy」「拡散照明装置」「透過照明装置」及び「2面バックライト照明」は、いずれも回路基板として認められ、これらの各商品の取引書類である納品書及び納入仕様書に対する使用商標1の使用が「電子応用機械器具及びその部品」について使用したということができる。
3 結び
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において商標権者(被請求人)により、取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」に使用している。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおり認めることができる。
(1)商標権者が平成21年ころに作成し、このころ顧客に配布された「パイロットランプ」と題するカタログ(乙2の3(乙22の3))は、商標権者が販売する商品であるネオンブラケットを紹介するものであるところ、これらのカタログには別掲1及び別掲2のとおりの使用商標1及び使用商標2が付されている。
使用商標1は、「N」の文字が小文字となっているものの、本件商標と同一の欧文字を図案化したもので、本件商標と社会通念上同一と認められる。
使用商標2は、使用商標1と同様に図案化した欧文字「LUnA」の上方に、塗り潰した円内に欧文字の「L」を図案化した模様を白抜きで記した図形を配してなる外観を有するものであるから、「ルナ」の称呼を生じ、本件商標と社会通念上同一と認められる。
そうすると、商標権者は、平成21年ころ、その販売商品であるネオンブラケットの広告に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して使用したものである。
ここで、ネオンブラケットが用いられるパイロットランプは、これが取り付けられた機器の状態(例えばスイッチのオン、オフ)を示す表示灯としての機能を果たすものであるが、乙第39号証及び乙第58号証によれば、ネオンランプ(ネオンブラケット)をその定電圧特性を活かして回路保護のために用いることがあることが認められるから、上記カタログにおける使用商標1及び2の使用をもって、「電子応用機械器具及び部品」についての使用ということができる。
この点、請求人は、ネオンランプは照明用器具の範ちゅうの商品である旨主張するが、種々の発光色のネオンランプを用いて照明装置を構成することがあるとしても、原告の「ネオンブラケット」を照明装置ないしその部品にすぎないとしてよいと断定することはできないし、カタログ(乙2の3(乙22の3))に電球交換型ネオンブラケットのための「ネオン交換電球」が掲載されているとしても(21ページ)、ネオンランプを交換できるようにするために電球型のネオンランプが採用されているにすぎず、その名称ゆえに一般の照明用の「電球」と単純に同一視してよいかは疑問である(上記カタログには、ネオンランプを交換できないタイプのネオンブラケットも掲載されている。)。
そうすると、請求人の上記主張を採用することはできない。
(2)乙第4号証(乙24)ないし乙第13号証(乙33)によれば、商標権者は、平成20年7月ないし平成23年1月ころ、顧客に対し商品「センサー用LED基板Assy」「拡散照明装置」「透過照明装置」「2面バックライト照明」を納入するに当たり、取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したことが認められる。
上記「センサー用LED基板Assy」は基板上に複数のLED(発光ダイオード)を並べて実装したもの(乙4(乙24))、「拡散照明装置」「透過照明装置」は基板上にLEDのほかに、ツェナーダイオード、トランジスタ、コンデンサー等を実装して装置を構成したもの(乙5(乙25)、乙6(乙26)、乙43、乙44、乙65)、「2面バックライト照明」も基板上にLEDのほかに、定電圧ダイオード等を実装し、偏光板と組み合わせるなどして装置を構成するもの(乙7(乙27)、乙8(乙28))であるが、これらは顧客が画像解析装置を製造するために、注文を受けた商標権者においてその構成部品(装置)を設計、製造したものである(答弁の全趣旨)。ここで、上記「センサー用LED基板Assy」等が画像解析を行うために、対象となる物に光を照射する機能を果たすものであるとしても、日常生活において光を照らして空間を明るくする目的とは程遠いことは明らかである。そして、上記「センサー用LED基板Assy」等は、電子部品であるLEDやダイオード等を使用して構成されており、その機能に照らせば、電子の作用を応用し、その電子の作用が当該機械器具にとっての構成要素となっているということができる。
そうすると、商標権者は、「電子応用機械器具及びその部品」につき、取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したということができる。
なお、商標権者の上記「センサー用LED基板Assy」等が汎用の「電子回路」とはいい難いことは、上記結論を左右しない。
2 以上のとおり、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成23年2月24日)の前3年以内に、「電子応用機械器具及びその部品」である前記「センサー用LED基板Assy」等につき、その取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものであり、また、「電子応用機械器具及びその部品」ともみられるネオンブラケット(ネオンランプ)の広告に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して使用したということができる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。)」の範ちゅうに属する商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


審理終結日 2012-11-29 
結審通知日 2012-12-03 
審決日 2012-12-25 
出願番号 商願昭32-28505 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (209)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 堀内 仁子
高野 和行
登録日 1961-02-06 
登録番号 商標登録第566229号(T566229) 
商標の称呼 ルナ、エルユウエヌエイ 
代理人 伊藤 捷雄 
代理人 磯野 富彦 
代理人 的場 基憲 

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