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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X33
管理番号 1272560 
審判番号 取消2011-300937 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-10-05 
確定日 2013-03-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第5086706号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5086706号商標(以下「本件商標」という。)は、「VICTOIRE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年4月9日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年10月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「洋酒,果実酒」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述において次のように述べた。

1 本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品中「洋酒,果実酒」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
「やまやヴィクトワル赤1.8-6」、「やまやヴィクトワル白1.8-6」、「やまやビクトワル赤甘1.8-6」等の品名らしき標章が認められるが、本件商標と同一あるいは社会通念上同一の標章は存在しないから、本件商標を付した商品が販売等された証拠とはならない。
なお、上記標章の一部は「ヴィクトワル」あるいは「ビクトワル」であるが、本件商標のローマ字を片仮名に変換した場合には、「ヴィクトイレ」となるから、「やまやヴィクトワル赤1.8-6」等の標章は、本件商標と同一又は社会通念上同一の標章を含むものですらない。
(2)乙第2号証ないし乙第4号証について
乙第2号証ないし乙第4号証には、本件商標と同一の標章又は社会通念上同一の標章は表示されていないから、本件商標が使用された証拠とはならない。
なお、「Victoire/Box」と同一書体で2段に書してなる標章(請求人の主張においては、以下「使用標章」という。)が付されているが、当該使用標章は、本件商標と類似するとしても、同一ではないし、社会通念上同一でもないことは明らかである。また、「ビクトワールボックス」なる表示が使用標章に近接して存在し、使用標章の称呼を示すものと認められる。このため、使用標章は、外形上、本件商標と同一ではない上、称呼も本件商標と同一ではない。
なお、当該乙号証には、何らの日付も記載されていないから、所定期間内に、使用標章が使用されたことの証拠にはならない。
さらに、使用標章が乙第1号証に記載の「やまやヴィクトワル赤1.8-6」等の表示と一致しないことも明らかであるから、乙第1号証との関連もない。

3 口頭審理(平成24年7月23日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
乙第5号証以下の受領証、出荷指図書、出荷データ、納品書等においても、乙第1号証(審決注:「乙第2号証」の誤記と認める。)や乙第12号証の写真に表示された商品と関連する事実は示されていない。
したがって、被請求人は、乙第1号証(審決注:「乙第2号証」の誤記と認める。)や乙第12号証の写真に表示された商品と関連しない受領書、出荷指図書等を証拠として提出するにすぎず、本件商標が要証期間内に使用された証拠を提出していない。
各乙号証は、いずれも、本件商標が使用されていることを示す証拠とはならないから、本件商標中、本件審判に係る指定商品について本件商標の登録取消を免れることはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出した。

1 答弁の理由
(1)本件商標の使用事実の要点
本件商標の商標権者である「キッコーマン株式会社」及び商標権者の100%連結子会社である「キッコーマン食品株式会社」、「マンズワイン株式会社」は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「果実酒」について、本件商標を使用している。
(2)本件商標の使用事実
ア 商標の使用者
「受領票」(写)(乙1)には、「キッコーマン株式会社」、「キッコーマン食品株式会社」、「マンズワイン」が表示されている。
また、「パッケージデザイン」(乙2?乙4)には、「マンズワイン株式会社」、「お問い合わせは、キッコーマンお客様相談センターへ」等が、表示されている。
イ 使用に係る商品
乙第1号証には、請求に係る指定商品「果実酒」の製品名及びその品番等が記載され、乙第2号証ないし乙第4号証には、請求に係る指定商品「果実酒」の製品名が記載されている。
ウ 使用に係る商標
乙第1号証には、本件商標の称呼である「ヴィクトワル」、「ビクトワル」が記載され、乙第2号証ないし乙第4号証には、本件商標「Victoire」及びその称呼「ビクトワール」が記載されている。
エ 使用時期
乙第1号証には、「平成23年9月30日」と記載され、「23.9.30」の日付の受領印も押されている。

2 口頭審理(平成24年7月9日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)本件商標の使用事実
被請求人の100%出資の連結子会社である「マンズワイン株式会社」(乙10)は、2006年から、本件商標の指定商品中取消請求に係る「果実酒」に、本件商標と社会通念上同一の標章「Victoire(ビクトワール)」(被請求人の主張においては、以下「本件使用標章」という。)を付したうえ、これらの商品を「キッコーマン食品株式会社」に対して販売し、本件商標を使用している(乙1?乙9)。
なお、本件使用標章が付された「果実酒」は、酒類・食品・飲料などを販売する小売店チェーン「株式会社やまや」(乙11)とキッコーマン食品株式会社とが共同開発し、企画した「やまや」のプライベートブランド商品(PB商品)である。マンズワイン株式会社からキッコーマン食品株式会社に販売された同商品は、キッコーマン食品株式会社により全国のやまや物流センターに向け卸される。
本件使用標章を付した商品は、具体的に次のようなものがある(乙12)。
A 赤ワイン「Victoire(ビクトワール)」赤1.8L-6(商品コード:56205)
B 白ワイン「Victoire(ビクトワール)」白1.8L-6(商品コード:56206)
C 赤ワイン(甘口)「Victoire(ビクトワール)」赤甘1.8L-6(商品コード:56487)
(2)審理事項通知書における暫定的見解について
ア 「乙第1号証の品名が『やまやヴィクトワル』、『やまやビクトワル』であって本件商標と社会通念上同一の商標といえない」について
乙第1号証は、平成23年3月(審決注:「9月」の誤記と認める。)30日付けのキッコーマン食品株式会社と株式会社やまや間の、本件使用標章を表したパッケージ(乙2?乙4)を使用した「果実酒」(被請求人の主張においては、以下「本件商品」という。)の納品の事実を証明する書類(写)である。
乙第1号証に記載された品名が「やまやヴィクトワル」、「やまやビクトワル」とあるのは、株式会社やまやのPB商品であること、本件商品には前記(1)A?Cに挙げた3種類があること、受領票のスペースが限られていることによるものである。
なお、[V]の音にヴとビ行の表記が混在するケースがままあり、同じ単語で異なった表記が併立し、統一されない例は多く、本件商標の場合、正式カナ表示は「ビクトワール」であるが、「ヴィクトワール」との表記も混在している。
乙第1号証は、後述する乙第6号証、乙第7号証及び乙第9号証との商品コードの対応により、本件商品に関する取引書類であることは明らかである。
イ 「乙第2号証ないし乙第4号証に表示された標章の使用時期が不明であり、かつ、当該標章と乙第1号証の品名とが異なることから、乙第1号証が乙第2号証ないし乙第4号証の商品に係る取引書類とはいえない」について
乙第2号証ないし乙第4号証に表示された「Victoire」と「BOX」の欧文字を上下二段に表示した標章と乙第1号証の品名が異なるのは、本件商品は、株式会社やまやのPB商品であること、本件商品には、前記(1)A?Cに挙げた3種類があること、受領票のスペースが限られていることによるものである。
乙第1号証は、後述する乙第6号証、乙第7号証及び乙第9号証との商品コードの対応により、本件商品に関する取引書類であることは明らかである。
なお、キッコーマン食品株式会社では、商品取引において同社の印刷された伝票を用いているところ、乙第1号証の受領票のお届先欄には「(株)やまや東北物流センター」、商品コード・品名欄には「56205 やまやヴィクトワル赤 1.8-6」、「56206 やまやヴィクトワル白 1.8-6」、「56487 やまやビクトワル赤甘 1.8-6」等の記載があり、右下部には平成23年3月(審決注:「9月」の誤記と認める。)30日付け東北物流センターの受領印があることから、キッコーマン食品株式会社は、平成23年3月(審決注:「9月」の誤記と認める。)30日、株式会社やまや東北物流センターに対し、本件商品を納入して、同社の受領印を受けたことが認められる。
(3)本件商品の取引の事実の証明
ア 乙第5号証は、2011年8月2日付けのキッコーマン食品株式会社と株式会社やまや関東センター間における、本件商品の取引の事実を証明する書類(受領票・写)である。
受領票のお届先欄には「(株)やまや関東物流センター」、商品コード・品名欄には「56205 マンズワイン\やまやヴィクトワル赤1.8-6」との記載があり、また、2011年8月2日付けの関東物流センターの受領印がある。
キッコーマン食品株式会社は、2011年8月2日、株式会社やまや関東物流センターに対し、本件商品を納入して、同社の受領印を受けたことが認められる。
イ 乙第6号証は、マンズワイン株式会社がキッコーマン食品株式会社に対し、本件商品を出荷した事実を証明する取引書類(出荷指図書・写)である。
マンズワイン株式会社では、同社の商品在庫担当者が、受注伝票をもとに発行された出荷指図書に従って出荷の準備を行い、出荷検査担当員の検印後に商品を発送する。
2011年8月3日付け出荷指図書のお届先・ご帳合先の欄には「通運倉庫 マンノダコウジョウ」、商品コード・品名の欄には「564870 ヴィクトワール赤甘口紙1.8-6」、2011年8月12日付け出荷指図書のお届先・ご帳合先の欄には「通運倉庫 野田」、商品コード・品名の欄には「562060 やまやヴィクトワール白紙1.8-6」、2011年8月26日付け出荷指図書のお届先・ご帳合先の欄には「通運倉庫 野田」、商品コード・品名の欄には「562050 やまやヴィクトワール赤紙1.8-6」等と記載されている。
また、出荷指図書には、2011年8月2日、同年8月11日及び同年8月25日付けの検印があることから、マンズワイン株式会社は、2011年8月2日、同年8月11日及び同年8月25日の出荷検査の翌日に、キッコーマン食品株式会社の野田工場に向けて本件商品を出荷したことが認められる。
ウ 乙第7号証は、初回製造の出荷データである。
マンズワイン株式会社は、2006年より、本件商品を製造・販売していたことが認められる。
エ 乙第8号証は、株式会社やまやとキッコーマン株式会社が共同で企画した国産ワインキャンペーンのちらし及び応募はがき(写)である。
ちらしの上部には「やまや・楽市・スピード国産ワインキャンペーン ワインをご購入で商品券をプレゼント!」、下部には「対象商品 レコルト赤・白・赤甘・ロゼ\ビクトワール赤・赤甘・白\酸化防止剤無添加 赤・赤甘・白」、「応募締切 2009年6月30日(火)当日消印有効」との記載がある。
株式会社やまやは、2009年6月、同社の店舗にて、本件商品の販売等を行っていたことが認められる。
(4)乙第2号証ないし乙第4号証の左下枠内に表示された「出力日」について
本件商標のパッケージデザインは、2009年9月に変更した。乙第2号証ないし乙第4号証は、凸版印刷株式会社が、マンズワイン株式会社に対して校正した現行品のパッケージ・デザイン(最終版)であり、「出力日」とは、デザインの校正日のことである。
乙第2号証ないし乙第4号証の左下枠内に記載された得意先の欄には、「マンズ\ワイン」、品名の欄には、「1.8 09ビクトワール\(赤)GL-EPO-FC」、「1.8 09ビクトワール\(白)GL-EPO-FC」、「1.8 09ビクトワール\(赤甘)GL-EPO-FC」、出力日の欄には、「2009.9.8」との記載がある。
凸版印刷株式会社は、マンズワイン株式会社に対し、2009年9月8日に、現行品のパッケージ・デザイン(最終版)を校正したことが認められる。
(5)使用に係る標章に関する請求人の主張について
請求人は、乙第2号証ないし乙第4号証に表示された使用標章(「Victoire/Box(「BOX」の誤記と思われる)」と同一書体で2段に書してなる標章)は、本件商標と類似するとしても、同一でないし、社会通念上同一でもないことは明らかであり、また、「ビクトワールボックス」なる表示が使用標章に近接して存在し、その称呼を示すものであるから、使用標章は、外形上、本件商標と同一ではない上に、称呼も本件商標と同一ではない、と主張する。
審理事項通知書の暫定的な見解に示されたとおり、当該使用標章と本件商標は、社会通念上同一の商標と認められることは詳述するまでもない。
念のため言及すると、「BOX」の語は、「箱」を意味する平易な英単語であり(乙13)、果実酒の取引業界では「大容量の箱型のワイン」を総称するものとして広く用いられている(乙14)こと、「Victoire」と「BOX」の各文字は段を違えて表示され、外観上の一体性が希薄であること等から、使用標章の構成中「Victoire」の部分が自他商品の識別力を有するものというべきであり、この部分は本件商標と社会通念上同一であるから、使用標章は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。判決においても、自他商品の識別機能を見いだすことができる部分により、使用標章と登録商標の社会通念上の同一性を認めている(乙15、乙16)。
(6)乙第2号証ないし乙第4号証(パッケージ)の取引の事実
乙第9号証は、マンズワイン株式会社と凸版印刷株式会社間における、乙第2号証ないし乙第4号証の本件使用標章が表示されたパッケージ印刷に関する、2011年6月30日、同年9月12日、同年9月12日(審決注:「14日」の誤記と認める。)付けの取引書類(納品書(控)・写)である。
凸版印刷株式会社と印刷された、2011年6月30日付け納品書(控)の得意先の欄には、「マンズワイン」、品名の欄には、「1.8 09ビクトワール(アカ)GLEPO-F\N0.01-562050」、2011年9月12日付け納品書(控)の品名欄には、「1.8 09ビクトワール(シロ)GLEPO-F\N0.01-562050(審決注:「562060」の誤記と認める。)」、2011年9月12日(審決注:「14日」の誤記と認める。)付け納品書(控)の品名欄には、「1.8 09ビクトワール(アカアマ)GLEPO\N0.01-564870」の記載がある。
凸版印刷株式会社は、2011年6月30日、同年9月12日、同年9月12日(審決注:「14日」の誤記と認める。)に、マンズワイン株式会社に対し、本件商品のパッケージを印刷・納品したことが認められる。
(7)まとめ
以上により、本件商標は、乙第6号証のとおり、本件審判請求の予告登録された日から3年以内である平成23年8月3日、同年8月12日及び同年8月26日に、マンズワイン株式会社(通常使用権者)により、本件商標の指定商品中取消審判に係る「果実酒」に本件商標と社会通念上同一の標章「Victoire」及び「ビクトワール」を付したうえ、これらの商品をキッコーマン食品株式会社に対し販売し、また、乙第8号証のとおり、平成21年6月、「果実酒」に関する広告に本件商標と社会通念上同一の標章「Victoire」及び「ビクトワール」を付して頒布し、本件商標を使用したことは明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品中の「果実酒」に使用していると主張しているので以下検討する。

1 被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は、納品者欄に「キッコーマン株式会社」及び「キッコーマン食品(株)」の記載、帳合先欄に「やまや」の記載がされ、平成23年9月30日を示す記載のある受領印が押された「受領票」(写)であり、品名等の欄には、「マンズワイン」と記載され、さらに、「56205 やまやヴィクトワル赤・・・ 153ケース」、「56206 やまやヴィクトワル白・・・ 38ケース」、「56487 やまやビクトワル赤甘・・・ 71ケース」等の記載がされているものである。
(2)乙第2号証ないし第4号証は、いずれもパッケージデザインが印刷された書面であり、表示された各パッケージには「Victoire」と「BOX」の欧文字を上下二段に書した商標及び「ビクトワール」と「ボックス」の片仮名を上下二段に書した商標が記載されている。また、「製造者 マンズワイン株式会社」、「お問い合わせは、キッコーマンお客様相談センターへ」、及び「果実酒」の記載がある。
(3)乙第5号証は、納品者欄に「キッコーマン株式会社」及び「キッコーマン食品(株)」の記載、帳合先欄に「やまや」の記載がされ、平成23年8月2日を示す記載のある受領印が押された「受領票」(写)であり、品名等の欄には、「マンズワイン」と記載され、さらに、「56205 やまやヴィクトワル赤・・・ 64ケース」等の記載がされているものである。
(4)乙第6号証は、マンズワイン株式会社からキッコーマン食品株式会社宛ての、2011年8月3日、同月12日及び同月26日を発送日とする出荷指図書であり、それぞれに2011年8月2日、同月11日及び同月25日を示す記載のある印が押され、品名等として「564870 ヴィクトワール赤甘口紙1.8-06 692ケース」、「562060 やまやヴィクトワール白紙1.8-06 698ケース」、「562050 やまやヴィクトワール赤紙1.8-06 692ケース」等の記載がある。
(5)乙第8号証は、2009年6月30日を応募締切とした、やまやグループとキッコーマン株式会社との共同企画の国産ワインキャンペーン用ちらし及びその応募はがきであり、当該ちらしには、「期間中、対象商品を500円以上ご購入された際のレシートを一口としてお送り下さい。」として、対象商品に「ビクトワール赤・赤甘・白」等の記載があり、その下部に掲載されたキャンペーン対象商品の写真に「Victoire」と「BOX」の欧文字を上下二段に書した商標が表示されている。
(6)乙第9号証は、凸版印刷株式会社からマンズワイン株式会社宛ての、2011年6月30日、同年9月12日及び同月14日付けの納品書(控)であり、受注番号、品名、数量として、「4 KDT4F1 A」「1.8 09ビクトワール(アカ)GLEPO-F N0.01-562050」「3900」、「4 KDY6H1 A」「1.8 09ビクトワール(シロ)GLEPO-F N0.01-562060」「3900」、「4 KDZ0H1 A」「1.8 09ビクトワール(アカアマ)GLEPO N0.01-564870」「3600」等の記載がある。
(7)乙第10号証は、キッコーマングループの社会・環境報告書であり、キッコーマングループの概要に、キッコーマン株式会社の国内事業の食料品製造・販売部門として、キッコーマン食品株式会社及びマンズワイン株式会社がある。
(8)乙第12号証は、箱入りの商品「果実酒」の写真であり、「Victoire」と「BOX」の欧文字を上下二段に書した商標及び「ビクトワール」と「ボックス」の片仮名を上下二段に書した商標が表示され、「製造者 マンズワイン株式会社」との表示がある。

2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断するのが相当である。
(1)使用の事実について
ア マンズワイン株式会社は、「Victoire」と「BOX」の欧文字を上下二段に書した商標(以下「使用商標1」という。)及び「ビクトワール」と「ボックス」の片仮名を上下二段に書した商標(以下「使用商標2」という。)を付した(箱入りの)果実酒(赤、白、赤甘)(以下「使用商品」という。)を製造し、同社と同じくキッコーマン株式会社の子会社であるキッコーマン食品株式会社を通じて販売しているものであり、マンズワイン株式会社は、平成23年8月3日、同月12日及び同月26日に使用商品をキッコーマン食品株式会社に販売したことが認められる。
イ キッコーマン食品株式会社は、平成23年8月2日及び同年9月30日に、使用商品を株式会社やまやに販売したことが認められる。なお、販売は、キッコーマン株式会社及びキッコーマン食品株式会社を販売者とする取引書類が使用されている。
ウ 平成21年6月30日ころ、キッコーマン株式会社、株式会社やまや共同で使用商品を対象商品とするワインのキャンペーンを行ったことが認められ、当該時期に使用商品が販売されていたことを推認することができる。
請求人は、乙第1号証の受領票に記載の「やまやヴィクトワル」等の標章と乙第2号証ないし乙第4号証に表示された「Victoire/BOX」の標章とが一致せず、その他の出荷指図書等の取引書類も乙第12号証の写真に表示された商品と関連する事実が示されていないなどとし、使用商品の販売を示す証拠は提出されていない旨主張している。
しかしながら、後述するとおり使用商品に付された使用商標1の要部は「Victoire」であるところ、受領票及び出荷指図書に表示された「ヴィクトワール」「ヴィクトワル」「ビクトワル」は、いずれもその表音を表したものとみるのが相当であって、また、前記1(5)のとおり、やまやグループは、使用商品について、キッコーマン株式会社と販売促進キャンペーンを行い、実際に販売していたことが認められることからすると、使用商品が株式会社やまやのPB商品であることが推認でき、取引書類の品名欄に「やまや」の文字が付加されていても何らの不自然さもないから、提出された出荷指図書等の取引書類は、使用商品に係るものとみるべきである。
(2)使用商標について
ア 使用商標1は、上下二段に横書きされた各文字が視覚上分離して看取されるばかりでなく、その構成中「BOX」の文字が「箱」を意味する平易な語であって、果実酒の分野において、当該商品が箱(紙パック)入りであるとの包装形態を表す語にすぎないから、「Victoire」の部分が自他商品の識別機能を有する部分というのが相当である。
そして、使用商標1の要部である「Victoire」の文字と本件商標とは、ローマ字の大文字と小文字という書体にのみ変更を加えた同一の文字からなるものであるから、使用商標1は、本件商標「VICTOIRE」と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
また、使用商標2は、上下二段に横書きされた各文字が視覚上分離して看取されるばかりでなく、使用商標1と同様に、その構成中「ボックス」の文字が当該商品の包装形態を表す語にすぎないから、「ビクトワール」の部分が自他商品の識別機能を有する部分というのが相当である。そして、「ビクトワール」の文字は、仏語の「Victoire」の表音であり、「勝利。勝利の女神」の観念を生じるものと認められる。
これに対し、本件商標は、その構成文字「VICTOIRE」に相応して「ビクトワール」の称呼を生じ、「勝利。勝利の女神」の観念を生じるものと認められる。
してみると、使用商標2の要部である「ビクトワール」の文字と本件商標とは、「ビクトワール」の称呼及び「勝利。勝利の女神」の観念を同じくするものであるから、両者は、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずるものといえる。
したがって、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
イ 請求人は、本件商標のローマ字を片仮名に変換した場合には「ヴィクトイレ」となるから、各乙号証に表示された標章は、本件商標と同一又は社会通念上同一ではないし、同一又は社会通念上同一のものを含むものでもない旨、主張している。
しかしながら、本件商標を構成する「VICTOIRE」の文字は、「勝利。勝利の女神」を意味する仏語であるところ、これに相応する「ビクトワール(ヴィクトワル)」の称呼を生ずるものというのが相当である。
ウ 以上によれば、使用商標1及び使用商標2は、いずれも本件商標とは、社会通念上同一の商標であると認められる。
(3)商標の使用者及び使用に係る商品について
「マンズワイン株式会社」及び「キッコーマン食品株式会社」は、本件商標権者の100%連結子会社であって通常使用権者として黙示の許諾があったと認め得るものである。
また、使用商品は、本件請求に係る指定商品のうちの「果実酒」である。
(4)以上によれば、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品のうち「果実酒」について、本件商標と社会通念上同一と認められる、「Victoire」と「BOX」の欧文字を上下二段に書した商標及び「ビクトワール」と「ボックス」の片仮名を上下二段に書した商標を使用していたものと認めることができる。

3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品中の「果実酒」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る「洋酒,果実酒」について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2012-08-08 
出願番号 商願2007-34384(T2007-34384) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
板谷 玲子
登録日 2007-10-26 
登録番号 商標登録第5086706号(T5086706) 
商標の称呼 ビクトワール 
代理人 正林 真之 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 工藤 莞司 
代理人 八木澤 史彦 
代理人 小暮 君平 
代理人 森川 邦子 
代理人 鈴木 英之 

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