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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X353841
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない X353841
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない X353841
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない X353841
管理番号 1271223 
審判番号 無効2012-890036 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-04-23 
確定日 2013-03-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5426646号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5426646号商標(以下「本件商標」という。)は、「ワールドビジョン」の片仮名と「WORLD VISION」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成22年12月8日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,事業に関する情報の提供,商業に関する情報の提供,販売促進のための企画及び実行の代理,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与」、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,セルラー式電話による通信,コンピュータ端末による通信,光ファイバーネットワークによる通信,コンピュータによるメッセージ及び映像の送信のための通信」及び第41類「セミナー・講演会・会議・シンポジウム・展示会の企画・運営又は開催,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),放送番組の制作における演出,電子出版物の提供,インターネットその他のコンピューターネットワークを通じた静止画・動画・音声・音楽の提供」を指定役務として、同23年6月15日に登録査定、同年7月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第90号証を提出した。
1 理由
本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第7号、同第8号及び同第10号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。
2 請求の利益について
請求人「ワールド・ビジョン・インターナショナル」と「特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン」は、世界の子どもを支援するボランティア及び募金活動などの社会貢献活動を行う国際協力に携わる組織である。その略称である標章「ワールド・ビジョン/World Vision」は、請求人の慈善活動に基づく社会公共的事業の標識として長年にわたり継続的に使用されてきた商標であり、世界及び日本国内において広く認識されている。
したがって、本件商標がその指定役務に使用された場合には、請求人が使用する標章「ワールド・ビジョン/World Vision」の信用が希釈化され、その結果、活動が阻害されるおそれがあるため、請求人は本件無効審判請求をすることについて利害関係を有するものである。
3 具体的理由
(1)「ワールド・ビジョン/World Vision」の周知著名性について
ア 請求人及び請求人の組織
請求人「ワールド・ビジョン・インターナショナル(以下「WVI」という。)」は、1950年9月にアメリカ人のキリスト教宣教師によって米国オレゴン州で設立され、キリスト教に基づいて開発援助、緊急人道支援、市民社会や政府への働きかけを行い、現在に至るまで世界の約100か国で支援活動を展開している国際協力に携わる組織である。
もう一方の請求人「特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン(以下「WVJ」という。)」は、WVIの日本における支援国事務所として、1987年10月に設立され、1999年に特定非営利活動法人の認証を得て、2002年には国税庁より「認定NPO法人」に認定され、日本において法人格を持ち、寄付金控除が受けられる民間援助機関として運営・認知されている組織である。
WVIとWVJは、「ワールド・ビジョン/World Vision」の標章の下に、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりを目指して、「チャイルドスポンサーシッブ」と呼ばれる開発援助を行うプログラムによる子どもとその家族及び地域を支援する国際協力活動と、募金活動、障がい者支援活動、エイズ対策活動、難民支援活動、食糧支援活動などを世界中で実施し、本件商標の登録出願(2010年)の前2009年度(2008年10月1日から2009年9月30日までの1年間)には、チャイルドスポンサープログラムを通じて支援している子どもの数は380万人、スタッフ数は40,000人に上っていた。
請求人の組織運営状況とその活動状況は、年次報告書、ニュースレター、政策提言・報告書などの刊行物として配布されている。本件商標の登録出願時及び登録査定時周辺時期に発行または発表されていた刊行物の一部を提出する(甲第3号証ないし甲第24号証)。
イ 日本における募金・寄付金収入額
WVIとWVJの運営及び活動にかかる費用は、寄付金・補助金・会費などにより賄われ、経常収益の主なものは「ワールド・ビジョン/World Vision」の標章の下で行う様々な募金活動によって寄せられた日本国内外の物品の受取、その他募金・寄付金である。WVJの経常収益は、甲第3号証ないし甲第5号証の年次報告書において毎年詳細な会計報告として支援者に報告されている。過去5年分の募金・寄付金額を会計報告から抜粋すると、過去5年間の一番少ない2007年度でも年間20億円以上、平均的には毎年32億円程、東日本大震災発生時の災害緊急支援が集中した2011年度には70億円近くの募金・寄付金が寄せられている。このように、募金・寄付金収入額からみて、日本におけるWVJによる募金活動は広く世間に認識されているとみることができる。
ウ 日本における「World Vision」商標
日本において「World Vision」の語を含む商標権は、請求人の関連にかかる名義によって商標登録されている。「World Vision」の語を含む商標登録は、別掲1の6件以外には本件商標のみであり、他には存在しない。
エ 請求人の「ワールド・ビジョン/World Vision」の使用実績
WVJは、別掲1に示す各商標を前述の年次報告書などの電子出版物、ニュースレターなどの定期刊行物に使用する他、「慈善のための募金、慈善及び人道のための資金・補給品・その他の物資の募集及び提供、慈善活動のための企画又は運営、貧困者又は被災者に必要な食料・被服・その他の募集及び供給、イベント・シンポジウムの開催、開発教育」などの役務の標識として、日本国内において新聞による広告(甲第25号証ないし甲第43号証)、雑誌による広告(甲第44号証ないし甲第57号証)、テレビによる放映(甲第58号証及び甲第59号証)、交通機関による車両内広告(甲第60号証及び甲第61号証)、インターネットによるバナー広告(甲第62号証及び甲第63号証)などにおいて継続的に使用してきた。
そして、これらの広告費は前述の年次報告書において支援者に報告しており、過去5年分の広告費を会計報告から抜粋すると、一番少なくても2007年度の年間2億円弱、その後は年々増加し、最近の2011年度では3億7千万円を超える費用がかけられている。このように、広告費用からみて、日本におけるWVJの慈善活動広告は、数多くの者の目に触れ、広く世間に認識されるに至っているとみることができる。
オ 啓発教育活動
WVJは、啓発教育活動として、「ワールド・ビジョン/World Vision」の標章の下に、慈善活動に基づくイベントやシンポジウムの開催(甲第64号証ないし甲第67号証)、研修現場・学校教育現場などにおいての講義・講演・派遣授業(甲第68号証)、小中高学生向けサマースクールの開催(甲第69号証、甲第70号証、甲第6号証及び甲第10号証)などの活動を行ってきた。
カ 企業によるワールド・ビジョン/World Visionへの協力
WVJの活動は、民間企業による協力支援を受け世間に広まっているものである。協力企業は、事業にかかる商品・サービスとの関係から寄付を誘う支援、物品の寄贈や物資の提供による支援、WVJの啓発活動をサポートする支援、企業の社会貢献活動(CSR)の一環としてチャイルドスポンサーシップに参加する支援、企業のホームページからWVJへのリンクを張ることによるWVJの広告支援など、様々な態様で賛同を表明し協力しているものである。このような企業の協力によっても、「ワールド・ビジョン/World Vision」が社会貢献活動を行う組織として広く世間に知られていることは明らかである(甲第71号証ないし甲第88号証)。
キ 「ワールド・ビジョン/World Vision」に関する一般記事
前記エの使用実績に述べた広告以外に、WVIとWVJの活動は国内外を問わず各種新聞、機関誌、雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、インターネットニュース等の媒体に取り上げられている(甲第89号証及び甲第90号証)。このような記事によっても「ワールド・ビジョン/World Vision」が請求人の慈善活動に基づく社会公共的事業を指し示す標章として使用され、広く世間に知れ渡っているとみることができる。
ク 小結
以上のとおり、請求人は、本件商標の登録出願時及び登録査定時より以前から、「ワールド・ビジョン/World Vision」の標章の下に、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりを目指す社会貢献活動を行っているものであり、WVJによる日本国内における「ワールド・ビジョン/World Vision」の使用実績は相当数であることは明らかで、「ワールド・ビジョン/World Vision」が、WVJにより提供される慈善活動に基づく社会公共的事業にかかる「電子出版物、ニュースレターなどの定期刊行物、慈善のための募金、慈善及び人道のための資金・補給品・その他の物資の募集及び提供、慈善活動のための企画又は運営、貧困者又は被災者に必要な食料・被服・その他の募集及び供給、イベント・シンポジウムの開催、開発教育」などの商品・役務について、日本全国に広く知られているということができる。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標からは「ワールドビジョン」の称呼が生じるものである。
「ワールドビジョン」は慈善活動に基づく社会公共的事業を行う請求人の著名な組織名の略称「ワールド・ビジョン」から生じる称呼と同一であり、かつ請求人がその使用によって周知となり著名性を有している商標から生じる標章「ワールド・ビジョン/World Vision」と同一の文字構成よりなるものであるから、本件商標「ワールドビジョン/WORLD VISION」に接した需要者及び取引者は、請求人の慈善活動に基づく社会公共的事業を想起する可能性が十分にあるといえる。
「ワールド・ビジョン」は請求人の慈善活動により社会貢献活動に関わるものというよい印象をも与えているに至っており、社会貢献活動が盛んとなっている現社会においては「ワールドビジョン」を耳にする需要者及び取引者は、社会貢献活動というよい印象を受け、その印象から請求人の慈善活動と関連付けて、WVIとWVJと何らかの組織的・経済的に関係があるものにより提供される商品・役務であるかのごとく誤認し、その出所について混同を生じる蓋然性が極めて高いというべきである。
したがって、本件商標をその指定役務について使用した場合には、請求人の業務にかかる商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標といえ、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標と請求人が使用する商標とは「ワールドビジョン」の称呼が同一である。
請求人は、上記(1)に述べたとおり、キリスト教精神に基づいて、開発援助、緊急人道支援、市民社会や政府への働きかけを行う国際組織の慈善活動に基づく社会公共的事業を指し示す標章として「ワールド・ビジョン/World Vision」を長年に渡って継続的に使用してきたものである。この「ワールド・ビジョン/World Vision」には高い名声と信用が化体し、「ワールドビジョン」と同一の称呼を生じる本件商標をその登録にかかる役務に使用した場合には、請求人の名声と信用を希釈化させ、き損するおそれがあり、日本における慈善活動の秩序を乱し、社会公共の利益を害するおそれがあるというべきであって、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性
本件商標は「ワールドビジョン/WORLD VISION」の文字よりなるものであり、この文字構成は世界的に著名な組織名「ワールド・ビジョン・インターナショナル(World Vision International)」及び日本国内において著名な組織名「ワールド・ビジョン・ジャパン(World Vision Japan」と同一性を認識させる程に著名な略称「ワールド・ビジョン/World Vision」と同じ文字構成である。
「ワールド・ビジョン/World Vision」は、慈善活動に基づく社会公共的事業の商標として長年にわたり継続的に使用された結果、請求人ワールド・ビジョン・インターナショナルとワールド・ビジョン・ジャパンの両組織を指称する略称として日本国内外で広く世間に知られている。
したがって、本件商標は請求人の著名な略称「ワールド・ビジョン/World Vision」を含む商標といえ、請求人からの承諾を得ているものではないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
(5)商標法第4条第1項第10号該当性
本件商標と請求人が使用する商標からは、いずれも「ワールドビジョン」の称呼を生じ、両商標は称呼において同一である。また、請求人の使用に係る標章「ワールド・ビジョン/World Vision」は、「電子出版物、ニュースレターなどの定期刊行物」に付して使用され配信され、また、「慈善のための募金、慈善及び人道のための資金・補給品・その他の物資の募集及び提供、慈善活動のための企画又は運営、貧困者又は被災者に必要な食料・被服・その他の募集及び供給、イベント・シンポジウムの開催、開発教育」などの役務の提供について使用し、上記(1)で述べたとおり周知著名となっている。
日本のWVJ事務所は、上記の各役務を提供するために、支援者及び一般者がスタッフ及びボランティアとして働いている。これらのスタッフやボランティアの主な業務は、支援プログラムの企画(慈善のための募金に関する広告の募集)、業務管理(慈善のための募金に関する事業の管理、慈善のための募金データの管理、慈善のための募金に関する事務の代行)、報道(インターネット及びTVなどによる慈善のための募金に関する支援活動番組の制作)、支援プログラムの実行(慈善のための募金に関するセミナー・教育イベントの実施)などであるから、このような役務と本件商標の指定役務中第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,事業に関する情報の提供,販売促進のための企画及び実行の代理,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースヘの情報編集,コンピュータデータベースヘの情報構築」、第38類「電子計算機端末による通信,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,コンピュータ端末による通信,光ファイバーネットワークによる通信,コンピュータによるメッセージ及び映像の送信のための通信」、第41類「セミナー・講演会・会議・シンポジウム・展示会の企画・運営又は開催,映画の上映・制作又は配給,放送番祖の制作,教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),放送番組の制作における演出,電子出版物の提供,インターネットその他のコンピューターネットワークを通じた静止画・動画・音声の提供」とは、同一あるいは同じ業務として役務の提供が行われる蓋然性があり、つまり類似する役務というべきである。
したがって、本件商標と請求人が使用する商標とはともに「ワールドビジョン」の称呼を同一にするものであり、かつ、本件商標の指定役務である上記の役務と請求人の役務とは互いに類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、請求人が使用する標章「ワールド・ビジョン/World Vision」との関係において、商標法第4条第1項第15号、同第7号、同第8号、同第10号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)請求人の主張について
ア 請求人の主張する著名性について
請求人「ワールド・ビジョン・インターナショナル」及び請求人「特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン」の組織名が著名であること及び標章「ワールド・ビジョン/World Vision」が周知著名性を有しているとの請求人の主張は、証拠からは十分に証明されておらず、また取引者・需要者における浸透度を証明する証拠は提出されていないことから、いずれにしても根拠がないものである。
イ 本件商標と請求人の標章について
請求人が提出する証拠から伺われるWVJが使用している標章は、片仮名と欧文字を二段書きにしてなる本件商標「ワールドビジョン/WORLD VISION」と同一のものではなく、別掲1の表中のNo.3ないし6の各図形商標である。
そして、同表中のNo.3及び4の図形商標は、「World Vision」の欧文字の右上に、斜辺を緩やかな弧にし内側に4つの突起を有した星型の模様を有する直角三角形を、斜辺が欧文字に対して最も近い位置になり隣辺が欧文字と並行になるように配した図形商標であるから、片仮名の「ワールド・ビジョン」と欧文字の「World Vision」を二段書きにしてなる本件商標と外観において明らかに異なるものであり、外観の差は称呼の類似性を凌駕するものである。したがって、本件商標の指定役務について出所混同を生じるおそれはないものである。
また、同じくNo.5の図形商標は、No.3及び4の図形商標中の欧文字「World Vision」の下に「この子を救う。未来を救う。」という平仮名を配したものである。この標章から生じる称呼は「ワールドビジョンコノコヲスクウセカイヲスクウ」というもので本件商標から生じる称呼と同一又は類似ではないし、外観の構成は平仮名の箇所以外はいずれもNo.3及び4の図形商標の構成と共通し、本件商標と明らかに異なるものであるので、本件商標の指定役務について出所混同を生じるおそれがないものである。
さらに、同じくNo.6の図形商標は、No.3及び4の図形商標中の欧文字「World Vision」の左横に「“何もかも”はできなくとも、」及び「“何か”はきっとできる。」との二段書きの平仮名を配した図形商標である。この標章から生じる称呼は、「ナニモカモハデキナクトモナニカハキットデキルワールドビジョン」というもので本件商標から生じる称呼と同一又は類似ではないし、外観の構成は平仮名の箇所以外はいずれも上記No.3及び4の図形商標の構成と共通し、本件商標は明らかに異なるものであるので、本件商標の指定役務について出所混同を生じるおそれがないものである。
したがって、本件商標と請求人の標章につき、称呼が同一であり同一文字構成であるとの主張は事実を誤認したものであり、また本件商標と請求人の標章は類似せず、あるいは類似性の程度が極めて低いものである。
ウ 請求人の主張する「印象」等について
請求人は、(a)「ワールド・ビジョン」が「請求人の慈善活動により社会貢献活動に関わるものというよい印象を与えるに至っており」、(b)「社会貢献活動が盛んとなっている現代社会においては、(c)「ワールドビジョン」を「耳にする需要者及び取引者は、社会貢献活動というよい印象を受け」、(d)「その印象から請求人の慈善活動と関連付けて」、請求人と「何らかの組織的・経済的に関係あるものにより提供される商品・役務である」との誤認が生じ出所混同が生じる蓋然性が極めて高いと主張する。
しかしながら、(a)「ワールド・ビジョン」が「請求人の慈善活動により社会貢献活動に関わるものというよい印象を与えるに至ってい」るとの主張には何らの証拠も提出されておらず、根拠がない主張といわざるを得ない。
また、(b)「社会貢献活動が盛んとなっている現代社会」との主張については、社会貢献活動を行っていると主張する請求人の価値観に基づく主観的な評価にすぎず、何ら客観的証明がなされているものではない。
さらに、(c)「ワールドビジョン」を「耳にする需要者及び取引者は、社会貢献活動というよい印象を受け」るとの主張も何ら証明されておらず根拠を欠く主張である。
このように(a)ないし(c)の主張に根拠がなく、あるいは主観的評価にすぎないものであることからすれば、請求人が主張する(d)のような「その印象から請求人の慈善活動と関連付け」るとの連想も生じず、請求人が主張する商品役務における誤認、出所混同が生じるとの結論は導くことはできない。
(2)被請求人の主張
ア 請求人の組織名と標章の周知著名性について
先述したとおり、請求人の組織名が周知性や著名であること及び標章「ワールド・ビジョン/World Vision」が周知著名性を有しているとの請求人の主張は、提出済の証拠からは十分に証明されておらず、また取引者・需要者における浸透度を証明する証拠は提出されていないことから、いずれにしても根拠がないものである。
なお、程度はともかくとして、仮に請求人の組織名と標章に周知性や著名性を有しているとしても、その主張及び提出された証拠から判断するに、請求人の広告宣伝活動や活動報告は慈善のための募金と支援を得るという明確な目的の下に行われているもので、慈善活動、人道支援、ボランティア活動に関心を持っている団体や個人を対象として行われており、その著名性や周知性は慈善活動、人道支援、ボランティア活動に関心を持つ需要者・取引者層のものであることは明らかである。
イ 創造性・独創性について
本件商標と請求人商標に含まれる「WORLD VISION」「ワールドビジョン」は、「世界」(広辞苑)を意味する一般的な名称にすぎない「ワールド」あるいはこれを欧文字にした「WORLD」と、「視覚、幻影、心に描く像、未来像、展望、見通し」(広辞苑)を意味する一般的な名称である「ビジョン」を組み合わせたものであり、「ワールド」の「世界」という商品・業務が世界に広がるとの前向きな連想をさせ、「ビジョン」という視聴覚設備やこれを使ったサービス、あるいは商品・業務が未来に繋がること、展望が見えること等、前向きな意味を連想させることから、分野を問わず一般的に商品・役務・商号等に採用され易いものであり、商標としての創造性・独創性が低いものである。
現に、「ワールドビジョン」「WORLD VISION」あるいは「ワールドヴィジョン」を含む商号や標章は、使用例としては「株式会社ワールドビジョン」「有限会社ワールドビジョン」等のように様々な会社団体個人により、様々な分野において、商品役務の標章として、あるいは商号として採用されているところであり、標章としての創造性・独立性の低いものである(乙第1証ないし乙第8号証)。
ウ 本件商標と請求人標章との類似性について
(ア)請求人が提出する証拠から伺われるWVJが使用している標章は、片仮名と欧文字を二段書きにしてなる本件商標「ワールドビジョン/WORLD VISION」と同一のものではなく、別掲1の表中のNo.3ないし6の図形商標である。
(イ)そして、本件商標と同表中No.3及び4の図形商標を対比すると、同一の称呼は生ずるが、いずれも外観において本件商標と大きく異なるものであり、外観の差は称呼の類似性を凌駕するものであり、本件商標の指定役務について出所混同を生じるおそれはないものである。
(ウ)また、先述したとおり、同表中No.5及び6の図形商標については、本件商標との対比において称呼は同一又は類似のものではなく、外観も明らかに異なるものである。
(エ)以上により、WVJが使用する標章は、本件商標と同一又は類似のものではない。
エ 指定役務の関連性・需要者の共通性について
(ア)本件商標の指定役務
本件商標の指定役務は、上記第1のとおりである。
(イ)請求人の業務(役務)
請求人が標章を用いていると主張する業務(役務)は、その主張から判断すると、(a)「慈善のための募金、慈善及び人道のための資金・補給品・その他の物資の募集及び提供、慈善活動のための企画又は運営、貧困者又は被災者に必要な食料・被服・その他の募集及び供給」(当該役務は第36類の類似群コード「36K01」に相当するものと思われる。)、(b)「イベント・シンポジウムの開催」(第41類の類似群コード「41F06」に相当すると思われる。)、及び(c)「開発教育」(第41類の類似群コード「41A01」に相当するものと思われる。)と思われる。
そして、その取引実情として、(b)及び(c)の役務は、(a)の慈善及び人道のための募金・支援を募るための啓発教育活動として行われおり、請求人において、これら以外の異業種への進出の予定や、多角経営を行っている事実はない。
(ウ)指定役務の関連性と需要者の共通性
本件商標の第35類及び第38類の指定役務は、いずれも請求人の役務と同一又は類似のものではなく関連性もないし、慈善人道支援を行い多角経営を行うわけでもない請求人がこれらの指定役務を行う証左もないので、請求人の業務である慈善人道支援に関する商品・役務の取引者・需要者と、取引者・需要者が共通することはない。
また、本件商標の第41類の指定役務のうち「セミナー・講演会・会議・シンポジウム・展示会の企画・運営又は開催」については、態様において請求人の業務のうち、(b)「イベント・シンポジウムの開催」と一定の共通性は有するものの、先述のとおり、請求人の業務は慈善及び人道のための募金・支援を募るための啓発教育活動として行われているものであるから、その関連性は低い。また、その余の第41類の指定役務については、いずれも請求人の役務と同一又は類似のものではなく関連性もないし、慈善人道支援を行い多角経営を行うわけでもない請求人がこれらの指定役務を行う証左もないので、請求人の業務である慈善人道支援に関する商品・役務の取引者・需要者と、取引者・需要者が共通することはない。
オ 出所混同のおそれの有無について
上記アないしエのように、請求人の主張する標章は、請求人において明確に特定されているわけではないが、いずれにしても請求人の業務役務を表示するものとして周知著名になっていたとは言い難いし、仮に周知著名であるとしても、その著名性や周知性は慈善活動、人道支援、ボランティア活動に関心を持つ需要者・取引者層の間のものである。また、請求人の標章は、標章としては創造性・独立性の低いものであるし、WVJが使用する標章は、本件商標と同一または類似のものではないし、さらに本件商標の指定役務と請求人の標章の業務役務の関連性がない、あるいは低く取引者・需要者が共通しない。
これらの事情を総合的に考慮すると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者・取引者が請求人との間に請求人と組織的・経済的に関係がある者の業務にかかる役務であると誤信すると判断するには無理がある。
したがって、本件商標をその指定役務に使用したとしても、請求人の業務にかかる「商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標」とは言い難く、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性
商標法第4条第1項第7号は、国家社会の一般的利益ないし道徳観念を維持することにより公益保護を図ることが趣旨であるから、本号に該当するというためには、その商標が示す語句の意味が公の秩序や善良の風俗を害するおそれがある程度に一般公衆に広く知られている必要がある。この点、標章「ワールド・ビジョン/World Vision」がその程度まで一般公衆に知られているとは言い難いし、かかる証明もなされていない。
また、請求人が主張するように何らかの周知著名性が請求人にかかる何らかの標章に存在するとしても、出願当時に周知著名商標の名声を僣用して不正な利益を得ようとする不正な意図が認められない場合には本号の適用は否定されるところ(東京高判平成11年3月24日 判時1683号138頁)、本件商標についてはかかる意図もなく、また現に何らの主張も証明もされていない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号には該当しない。
3 商標法第4条第1項第8号該当性
請求人は、「ワールド・ビジョン/World Vision」が請求人を示す著名な略称であると主張しているようである。
しかしながら、請求人は本件商標の指定役務において著名であることはそもそもほとんど主張していないことは既に述べたとおりである。
また、商標法第4条第1項第8号の「著名」性を判断するにあたっては、特定分野に属する者に知られているだけでは足りず、世間一般に広く知られていることを要し(東京高判平成16年8月9日 判時1875号130頁)、問題となっている商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とするのは相当ではなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきである(東京高判平成14年6月26日 判時1829号130頁)ところ、請求人は具体的主張も証明も行っていない。請求人が主張立証するところから理解できるのは、請求人が慈善人道支援のための募金支援に関心を有する団体個人に広告宣伝を行ってきたというものにすぎない。
したがって、請求人の主張や提出された証明から判断して、商標法第4条第1項第8号に本件商標が該当しない。
4 商標法第4条第1項第10号該当性
請求人が、突然主張し始めたボランティアよる業務については何らの証明もないばかりか、その業務において請求人の標章が出所識別等、商標的に使用される可能性も低いものである(例えば、プログラムの企画、業務管理、プログラムの実行については、請求人が慈善支援のための募金支援を業としていることからすれば、これらの役務に標章を商標的に使用することは考えにくい。)。
既に主張したとおり、請求人の役務・業務は上記1(2)エ(イ)のとおりであり、本件商標の指定役務と請求人の標章の業務役務の関連性がない、あるいは低く取引者・需要者が共通しないものであるから、本件商標の役務と請求人の役務は互いに類似しない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第7号、同第8号及び同第10号のいずれにも該当しない。
よって、本件商標は、同法第46条所定の無効理由を有しない。

第4 当審の判断
請求の利益については当事者間に争いがないので、本案に入って判断する。
1 請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(1)請求人の組織について
ア 請求人のうち、「ワールド・ビジョン・インターナショナル」(WVI)は、1950年9月に米国オレゴン州で設立され、キリスト教精神に基づいて、開発援助、緊急人道支援、市民社会や政府への働きかけを行う組織であり、現在約100か国で活動を展開している(甲第3号証ないし甲第5号証、甲第90号証ほか)。
イ 請求人のうち、「特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン」(WVJ)は、WVIの日本における支援国事務所として、1987年10月に設立、1999年に特定非営利活動法人の認証を得た組織である(甲第3号証ないし甲第5号証、甲第90号証ほか)。
(2)請求人の活動状況について
ア 請求人は、我が国においては、年次報告書、季刊誌及び提言書などに、「ワールド・ビジョン」、「World Vision」、別掲2(1)及び(2)の標章(色彩の異なる標章も含む。以下、これらをまとめて「使用標章」という。)を表示して、開発援助、緊急人道支援などの活動を行う(甲第3号証ないし甲第24号証)とともに、特に、「チャイルド・スポンサーシッブ」と称する開発援助プログラムによる子どもとその家族及び地域を支援するための「チャイルド・スポンサー」の募集広告を、遅くとも平成15年7月ころから平成23年2月ころまで、各種新聞、雑誌、車両内及びインターネット(バナー広告)に継続的に掲載したと推認して差し支えない(甲第39号証、甲第25号証ないし甲第38号証、甲第40号証ないし第55号証、甲第60号証ないし甲第63号証)。
また、請求人は、2008年(平成20年)ないし2010年(平成22年)に毎年1ないし2回程度、イベント、シンポジウムなどを行い、その参加を促すチラシなどに使用標章を表示している(甲第64号証ないし甲第67号証)。なお、請求人は、2006年ころから講義、講演なども行っていることがうかがえるが、使用標章を使用している事実は確認できない(甲第68号証)。
さらに、請求人は我が国の企業の賛同を得、当該企業のウェブページにおいては自社が請求人に対して寄付等を行っている旨、「ワールド・ビジョン・ジャパン」や使用標章とともに紹介されている(甲第71号証ないし甲第88号)。
イ 2009年ないし2011年の各年次報告書によれば、WVJの受取寄付金は、2009年度(2008年10月1日ないし2009年9月30日)が約31億円、2010年度(2009年10月1日ないし2010年9月30日)が約38億円、また、本件商標の登録出願後であるが、2011年度(2010年10月1日ないし2011年9月30日)は約69億円とされている(甲第3号証ないし甲第5号証)。
2 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
「ワールド(WORLD)」及び「ビジョン(VISION)」の文字(語)は、「世界」及び「視覚、展望」などを意味する語として一般に親しまれた語であり、両語を結合した「ワールド(・)ビジョン」及び「WORLD VISION」の文字は、商号や店名(の一部)として少なからず採択されている(乙第1号証ないし乙第4号証及び乙第6号証)。
また、「WORLD VISION」を片仮名で表したといえる「ワールドヴィジョン」も商号の一部として採択されている(乙第5号証)。
3 判断
(1)使用標章の周知著名性について
上記1の認定事実、具体的には、請求人は約100か国で開発援助、緊急人道援助等を行っていること、WVJの受取寄付金は本件商標の登録出願の日前である2009年(平成21年)度及び2010年(平成22年)度に約31億円及び約38億円とされていること、イベント・シンポジウム等の開催は年に1ないし2回程度であること、請求人の我が国における広告活動はそのほとんどが「チャイルド・スポンサー」の募集に係るものに限られていることからすれば、使用標章は、我が国においては、請求人が「慈善活動のための募金」をはじめとする、いわゆる「慈善活動」について使用する標章(商標)として、また、使用標章中「ワールド・ビジョン」「World Vision」は、請求人の略称として、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、慈善活動に関心を持つ需要者の間で広く認識されていると認めることができる。
しかしながら、請求人が行っている「慈善活動のための募金」をはじめとする「慈善活動」と、上記第1のとおりの本件商標の指定役務とは、提供の目的、業種及び事業者などが明らかに異なること、及び「ワールド(・)ビジョン」「WORLD VISION(World Vision)」の語が独創性が強い語とはいえないこと(上記2)をあわせみれば、使用標章は、本件商標の指定役務に係る一般的な需要者の間で広く認識されているとまではいえないと判断するのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記第1のとおり「ワールドビジョン」と「WORLD VISION」の文字からなる本件商標と、上記第4 1(2)アのとおり「ワールド・ビジョン」「World Vision」の文字からなる、又は該文字を含む使用標章とは、両者はいずれも、「ワールドビジョン」の称呼を生じると認められ、かつ、外観において、大文字と小文字の差異はあるものの綴りを共通にする「WORLD VISION(World Vision)」を有しているから、類似するものといえる。
しかしながら、使用標章は、上記(1)のとおり、本件商標の指定役務の需要者の間で広く認識されているといえず、また、「ワールド・ビジョン」「WORLD VISION(World Vision)」の語は独創性が強い語といえないものである。
さらに、請求人が行っている「慈善活動のための募金」をはじめとする「慈善活動」と上記第1のとおりの本件商標の指定役務とは、提供の目的、業種、事業者が明らかに異なり、また、需要者(寄付する者を含む。)も共通するとはいえないから、両者の関連性は極めて低いものといわなければならない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者が使用標章を連想・想起するものとは認められず、その役務が請求人若しくは請求人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同するおそれはないというべきである。
なお、請求人は、本件商標の指定役務中第41類「セミナー・講演会・会議・シンポジウム・展示会の企画・運営又は開催」に含まれるイベント、シンポジウムなどを行っている(上記1(2)ア)が、そのことをもってしても上記判断を左右するに足りない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体が公の秩序や善良の風俗を害するおそれがあるものではなく、上記(1)及び(2)のとおり、使用標章は本件商標の指定役務に係る一般的な需要者の間で広く認識されているとはいえず、「ワールド(・)ビジョン」「WORLD VISION(World Vision)」の語が独創性が強い語とはいえないこと及び本件商標の指定役務と使用標章が使用されている「慈善活動のための募金」をはじめとする「慈善活動」との関係が極めて低いことからすると、商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても、請求人の名声と信用を希釈化、き損させ我が国における慈善活動の秩序を乱し社会公共の利益を害するおそれのないものと判断するのが相当である。
また、他に本件商標が公の秩序や善良の風俗を害するおそれがあるものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第8号について
「ワールド・ビジョン」「World Vision」が、請求人の略称として本件商標の指定役務に係る一般的な需要者の間で広く認識されているとはいえないこと上記(1)のとおりであり、請求人を指し示すものとして一般に受け入れられているとまでは認められないというのが相当であるから、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものとはいえない。
(5)商標法第4条第1項第10号ついて
本件商標と使用標章とは上記(2)のとおり類似するものであるが、上記(1)のとおり、使用標章は本件商標の指定役務の需要者の間で広く認識されているとはいえず、また、上記(2)のとおり、請求人が行っている「慈善活動のための募金」をはじめとする「慈善活動」と本件商標の指定役務とは関連性が極めて低いものであって、非類似のものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
なお、請求人は、WVJのスタッフやボランティアが、慈善のための募金に関する広告の募集、慈善のための募金に関する事業の管理、慈善のための募金データの管理などの業務を行っている旨主張しているが、これらの業務は「慈善活動」の業務(役務)に付随する業務であって、商取引における独立した役務とはいえないとみるのが自然である。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえないから、同法46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(請求人の関連に係る名義による商標登録)




別掲2(使用標章)
(1)


(2)

(色彩については原本参照。)


審理終結日 2012-10-10 
結審通知日 2012-10-15 
審決日 2012-10-29 
出願番号 商願2010-99257(T2010-99257) 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (X353841)
T 1 11・ 23- Y (X353841)
T 1 11・ 25- Y (X353841)
T 1 11・ 271- Y (X353841)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 梶原 良子
堀内 仁子
登録日 2011-07-22 
登録番号 商標登録第5426646号(T5426646) 
商標の称呼 ワールドビジョン、ワールド、ビジョン 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 
代理人 村下 憲司 
代理人 福田 純一 

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