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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 033 |
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管理番号 | 1271220 |
審判番号 | 取消2011-300641 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2011-07-06 |
確定日 | 2013-03-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3235307号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3235307号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成5年10月15日に登録出願され、第33類「イタリア産の洋酒,イタリア産の果実酒」を指定商品として、同8年12月25日に設定登録され、その後、同18年7月18日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成23年7月26日にされている。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第10号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件商標について 本件商標は、「Montebello」のゴシック体の欧文字と「モンテベーロ」の明朝体の片仮名を上下二段に左横書きに併記したものである。その商標中の「Montebello」の欧文字は、研究社発行の「新英和大辞典(第6版)」(甲3)によれば、「モンテベロ≪米国California州、Los Angelesの近郊の都市≫《It.?beautiful mountain》」の意味を有し、「モンテベロ」と称呼されるものであり、また、白水社発行の「プリーモ伊和辞典」(甲4)によれば、「Monte」(「モンテ」)は「山」を、「bello」(「ベッロ」)は「美しい、きれいな」を意味し、全体として「美しい山」の意味を有するイタリア語からなるものであり、「モンテベッロ」と称呼されるものである。 そうすると、本件商標中の「Montebello」の欧文字から生じる称呼は、「モンテベロ」又は「モンテベッロ」であって、少なくとも「べ」音を伸ばして「モンテベーロ」と発音することが自然であるとは到底いい難いものである。 したがって、本件商標は、「美しい山」または「米国モンテベロ市」の観念を生じる欧文字「Montebello」と、造語であって特定の観念を生じない片仮名「モンテベーロ」の2つの別異の要素を二段に併記した結合商標であるから、商標法第50条に係る判断においては、「Montebello」及び「モンテベーロ」の二つの要素が同時に使用されていることが求められるのである。 (2)使用されている商標について 乙第1ないし第9号証(本件審判の請求の登録日(平成23年7月26日)以降のものを含む。)に使用されている商標の態様は、 ア 「MONTEBELLO」のゴシック体の欧文字とその欧文字の字音を定めたと看取される「モンテベッロ」の明朝体の片仮名を上下二段に左横書きに併記したもの、又はその欧文字と片仮名の上下を逆転して併記したもの(乙1の1及び2、乙4) なお、乙第5及び第8号証は、平成23年7月26日以降のものである。 イ 「モンテベッロ」の片仮名(乙2、乙4ないし7及び乙9は、すべて平成23年7月26日以降のものである。) ウ 「MONTEBELLO」又は「montebello」の欧文字(乙3) なお、乙第6、第7及び第9号証は、平成23年7月26日以降のものである。 上記ア及びイは、使用されている片仮名がすべて「モンテベッロ」であり、本件商標の「モンテベーロ」の片仮名とは、促音を示す「ッ」の文字と長音を示す「ー」の文字において、明らかにその構成態様を異にするものであり、また、上記ウは、「MONTEBELLO」又は「montebello」の欧文字においては、本件商標の「モンテベーロ」の片仮名部分の有無において、その構成態様に顕著な相違が認められるものである。 さらに、「モンテベッロ」の片仮名部分の称呼から生じるイタリア語は、白水社発行の「プリーモ伊和辞典」(甲4)によれば、「美しい山」の意味の「Montebello」のみに特定されるものではなく、例えば、請求人の略称でもある「雄豚の山」の意味を想起させる「Monteverro」(「verro」(「ヴェッロ」)は「雄豚」の意味。)、又は「毛皮の山」の意味を想起させ、「Montevello」(「vello」(「ヴェッロ」)は「毛皮」の意味。)等も観念される。 したがって、乙各号証に使用されている商標は、本件商標とその構成態様に顕著な相違が認められ、かつ、片仮名部分の「モンテベッロ」からは、「Montebello」以外に、「Monteverro」又は「Montevello」等につながる観念をも生じ得るものであるから、本件商標と同一もしくはこれと社会通念上同一と捉えられる商標の使用とは認められないものである。 (3)まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その取消請求に係る指定商品に使用していることを証明しているとは認められないので、本件商標は、取り消されるべきものである。 よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように答弁し、証拠方法として、乙第1ないし第9号証(枝番を含む。)を提出している。 1 答弁の理由 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の期間において、本件商標をその指定商品である「イタリア産の洋酒、イタリア産の果実酒」について使用している。 (1)被請求人による商品カタログ及びホームページ 被請求人は、平成22年6月及び同23年6月に発行及び頒布された被請求人による商品カタログにおいて、本件商標と同一又はこれと社会通念上同一と捉えられる商標が付された「イタリア産の洋酒、イタリア産の果実酒」を、自社オリジナルブランドの商品として提供している旨を掲載している(乙1の1及び2)。 また、被請求人ホームページにおいても、本件商標と同一又はこれと社会通念上同一と捉えられる商標が付された「イタリア産の洋酒、イタリア産の果実酒」を、自社オリジナルブランドの商品として需要者に提供している旨を掲載している(乙2)。 以上の行為は、商標法第2条第3項第8号に挙げられる商標の使用行為に該当するものである。 (2)販売統計にみる使用実績 平成23年4月発行の「酒類食品統計月報」における2010年主要輸入酒銘柄別動向表によれば、本件商標と同一又はこれと社会通念上同一と捉えられる商標が付されたイタリアンワインの販売数は、2009年度において128,210箱、2010年度において182,052箱であった(乙3)。 (3)各種メディア記事及びインターネットにおける販売実績 本件商標と同一又はこれと社会通念上同一と捉えられる商標が付されたワインは、平成22年1月発行のワイン専門誌「ワイン王国No.54」において掲載され(乙4)、それ以外にも雑誌等掲載記事及びインターネット(乙5ないし第9号証)によっても、本件商標の使用は、裏付けられる。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標は、本件審判の取消請求に係る商品「イタリア産の洋酒、イタリア産の果実酒」について、本件審判の請求の登録前3年以内に商標権者によって使用されていたものである。 よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。 第4 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、別掲のとおり、上段に「Montebello」の欧文字と下段に「モンテベーロ」の片仮名とを二段に横書きしてなるところ、その構成中の「Montebello」及び「モンテベーロ」の文字は、いずれも我が国においてその意味合いが広く知られているものではなく、当該欧文字部分はその読み方も広く知られているともいい難く、片仮名部分と比較して顕著に表されているといえ、当該片仮名部分は、上段の欧文字部分の読みを表したものと認識されるものである。 2 商標権者の使用に係る商標について 乙第1号証は、「モンテ物産 ワインカタログ」とするものであり、乙第1号証の1には、最終ページに「2010年6月」との記載及び同カタログ62ページ上部左には、上段に「MONTEBELLO」の欧文字と下段に「モンテベッロ」の片仮名とを大きく二段に横書きされた商標(以下「使用商標」という。)が表示され、その右には「モンテベッロ(美しい山)と名付けられたモンテ物産のオリジナルブランド。・・・」と記載され、これらの下から次ページ上部には、「MONTEBELLO」の欧文字が顕著に表されたラベルのワインボトルの写真と共に、「ヴェネト州産」、「エミリア・ロマーニャ州産」、「シチリア州産」と記載がある。乙第1号証の2は、最終ページに「2011年6月」との記載及び同カタログ65ページには、上記乙第1号証の1と同一内容について掲載されている。 以上の事実からすれば、商標権者である「モンテ物産株式会社」が本件審判の請求の登録前3年以内である2010年(平成22年)6月及び2011年(平成23年)6月発行のワインカタログにおいて「イタリア産のワイン」について、使用商標を表示して掲載し、広告をするために頒布したと推認し得るものである。 3 使用商標について 使用商標は、上記のとおり、「MONTEBELLO」の欧文字と「モンテベッロ」の片仮名とを二段に横書きしたものである。 本件商標と使用商標とは、欧文字の書体の相違や大文字と小文字の相違があるとしても欧文字部分において、その文字綴りが同一であって、片仮名部分も二段に併記されている点について共通にするものである。 そして、片仮名部分において、本件商標は「モンテベーロ」であるのに対し、使用商標は「モンテベッロ」と表示されており、第5文字目が「べ」の長音「ー」と同音の促音「ッ」において相違しているものであるところ、該片仮名部分は、いずれも上段の欧文字部分の読みの一つを表したと認識されるものである。 そこで、本件商標がイタリア産の商品を指定商品とする関係により、欧文字の「MONTEBELLO」についてみると、イタリア語においては、該文字が既成語とはいい得ないところ、「monte」の文字は「山」を意味し「モンテ」と発音され、「bello」の文字は「美しい、きれいな」などを意味し「ベッロ」と発音されているもの(甲4)であって、「モンテベッロ」と発音されるものといえる。 しかしながら、イタリア語のアクセントには、伸ばすアクセントと強く言うだけのアクセントがあることからすると、「MONTEBELLO」の読みとしては、「モンテベーロ」も生ずるといい得るものである。 そうすると、本件商標と使用商標とは、第5文字目が「べ」の長音と同音の促音において相違しているとしても、使用商標の片仮名は、「MONTEBELLO」の読みを表示したものと捉えられるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。 請求人は、「モンテベッロ」の片仮名部分の称呼から生じるイタリア語は、「雄豚の山」を意味する「Monteverro」(「verro」は「雄豚」の意)、又は「毛皮の山」を意味する「Montevello」(「vello」は「毛皮」の意)等も観念されるから、乙各号証に使用されている使用商標は、本件商標と社会通念上同一と捉えられる商標の使用とは認められないものである旨主張する。 しかしながら、「モンテベッロ」の文字は、我が国において、特定の意味をもって知られた語とはいい難いものであるから、イタリア語の「雄豚の山」を意味する「Monteverro」又は「毛皮の山」を意味する「Montevello」を想起させ、観念させることはないというべきであり、引用商標の「モンテベッロ」の片仮名は「MONTEBELLO」の欧文字とともに使用されていることからも請求人が主張するような想起、連想をさせるとはいい得ないものである。 よって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。 4 結論 以上のとおり、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「イタリア産のワイン」について、本件商標と社会通念上同一といえる商標の使用をしていたことを証明したものと認めることができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2012-10-15 |
結審通知日 | 2012-10-19 |
審決日 | 2012-10-30 |
出願番号 | 商願平5-103772 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(033)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
寺光 幸子 田中 亨子 |
登録日 | 1996-12-25 |
登録番号 | 商標登録第3235307号(T3235307) |
商標の称呼 | モンテベーロ |
代理人 | 田島 壽 |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | 齋藤 宗也 |