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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない X33 |
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管理番号 | 1271205 |
審判番号 | 不服2011-21848 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-09-20 |
確定日 | 2013-02-25 |
事件の表示 | 商願2010-65628拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「時代の開拓者」及び「平 清盛」の文字を縦書きに併記した構成よりなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成22年8月6日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『時代の開拓者』と『平清盛』の文字とを縦に併記してなるところ、構成中の『時代の開拓者』の文字は『平清盛』を形容する語と認められることから、本願商標は、全体として『時代を切り開いた人、平清盛』ほどの意味合いを認識させるものである。ところで、『平清盛』といえば、平安末期の武将であり、我が国においては、日宋貿易の振興や厳島神社の造営などで一般に広く知られた歴史上の著名な人物であり、歴史上の著名な人物にゆかりのある土地等では、その人物名の有する強い顧客吸引力にあやかり、例えば、地方公共団体や商工会議所などの公益的な機関が、その業績を称え記念館を運営したり、地元のシンボルとして地域興しや観光振興のためにその人物名を商標として使用したりすることも少なくない。そうとすると『平清盛』の文字を有してなる本願商標を、一私人である出願人が自己の商標として登録し独占使用することは、地域の観光事業の妨げや公正な商取引の秩序を乱すおそれがあるとともに、一般的道徳観念に反し、穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 平成24年7月26日付けで、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものとして請求人に通知した証拠調べ通知の内容は、別掲のとおりである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第7号と著名な歴史上の人物名について 商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所 平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決言渡)。 ところで、周知、著名な歴史上の人物名は、その人物の名声により強い顧客吸引力を有する。その人物の郷土やゆかりの地においては、住民に郷土の偉人として敬愛の情をもって親しまれ、例えば、地方公共団体や商工会議所等の公益的な機関が、その業績を称え記念館を運営していたり、地元のシンボルとして地域興しや観光振興のために人物名を商標として使用したりするような実情も多くみられるところであり、当該人物が商品又は役務と密接な関係にある場合はもちろん、商品又は役務との関係が希薄な場合であっても、当該地域においては強い顧客吸引力を発揮すると考えられる。このため、周知、著名な歴史上の人物名を商標として使用したいとする者も、少なくないものと考えられる。一方、敬愛の情をもって親しまれているからこそ、その商標登録に対しては、国民又は地域住民全体の反発も否定できない。 (参考 商標審査便覧42.107.04「歴史上の人物名(周知・著名な故人の人物名)からなる商標登録出願の取扱いについて」http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/syouhyoubin.htm) 2 商標法第4条第1項第7号の該当性について (1)原審の拒絶査定に加えて、当審における証拠調べ通知で認定した事実から、次のことを認めることができる。 「平清盛」は、歴史上の人物として、小・中学校の社会の教科書をはじめ、書籍及びテレビ等において数多く取り上げられていることから、全国的に周知、著名な歴史上の人物といえる。 そして、「平清盛」は、その郷土やゆかりの地においては、様々な行事や催し物が行われるなどされており、各地において、敬愛の念をもって親しまれている実情にある。 また、神戸市、広島県、京都市等、平清盛のゆかりの地にある多数の史跡等が、観光の施設、建造物、観光場所などとなっており、それらを巡る観光コースも存在し、それらが県や市の観光振興及び地域おこしのための施策の基盤となっている。 さらに、地方公共団体等がこれらを保存・公開し、瀬戸内沿岸に位置する県及び市町村等127団体で組織する「瀬戸内・海の路ネットワーク推進協議会」と西日本5局の運輸局等で組織する「『平清盛』瀬戸内連携推進会議」が連携して、平清盛ゆかりの地から寄せられた関連施設等の情報が収録された「せとうち清盛マップ」を作成、配布する等、観光振興や地域おこしに役立てようとする取組みがなされていることも認められる。 (2)前記(1)のとおり、平清盛は、周知・著名な歴史上の人物であって、神戸市民、広島県民、京都市民のみならず、広く国民に敬愛されており、各地に点在するゆかりの地においては、「平清盛」及び「清盛」の名称が、観光振興や地域興しに広く活用されていることが認められる。 そして、本願の指定商品である日本酒は、土産物及び特産品等としても、生産、販売されているものである。 そうとすると、周知、著名な歴史上の人物名である「平 清盛」及び同人を形容する「時代の開拓者」の文字からなる本願商標を、請求人がその指定商品について採択し、これを請求人の商標として登録することは、「平清盛」の標章を使用した日本各地で行われている観光振興や地域おこしなどの公益的な施策を困難又は不可能にするだけでなく、商標権を巡る争いなど無用の混乱を招くおそれがあるものというのが相当である。 3 請求人の主張について 請求人は、請求の理由において、「平清盛」に関する過去の登録例を挙げて、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当しない旨主張する。 しかしながら、本願商標が、同号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の登録例及び審決例が存在することによって、前記認定が左右されるものではない。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 4 むすび 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲】平成24年7月26日付け証拠調べ通知 この審判事件について、職権に基づく証拠調べを実施したところ、本願商標から認識される歴史上の人物である「平清盛」に関して、以下の催しが開催されている事実を見いだしましたから、その結果を通知します。 (1)神戸市 「KOBEde清盛2012」の名称で、「KOBEde清盛」推進協議会/神戸市の主催により、平清盛関連イベントなどが行われています(http://kobe-de-kiyomori.jp/about/)。 (2)広島県 「ひろしま清盛」のインターネットウェブサイト(http://www.hiroshima-kiyomori.jp/)(事務局:大河ドラマ「平清盛」広島県推進協議会 広島県商工労働局観光課内)では、平清盛に関する広島の名所・旧跡の案内、イベント開催、関連グッズの紹介などの事業が行われています。 (3)京都市 京都市では、「京都・清盛観光Navi -いざ、平清盛でめぐる京の旅へ-」の名称のインターネットホームページ(http://kanko.city.kyoto.lg.jp/kiyomori/kiyomori-navi/)において、平清盛をテーマにした京都散策のポータルサイトを運営しています。 (4)NHK大河ドラマ50年 特別展 「平 清盛」の開催 平清盛に関する展覧会が、江戸東京博物館、神戸市立博物館、広島県立美術館で、京都府京都文化博物館で開催されています(http://www.nhk-p.co.jp/tenran/20111020_162656.html)。 (5)国土交通省のPress Release(お知らせ) 「『せとうち清盛マップ』を作成!!? 平清盛ゆかりの地を巡遊 ?」との見出しの国土交通省のお知らせには、「瀬戸内沿岸に位置する県及び市町村等127団体で組織する瀬戸内・海の路ネットワーク推進協議会(通称:海ネット)並びに西日本5局の運輸局等で組織する「平清盛」瀬戸内連携推進会議が連携して『せとうち清盛マップ』(・・・)を作成しました。このマップは、海ネットの会員である市町村等を中心に、平清盛ゆかりの地から寄せられた関連施設等60箇所の情報が収録されており、主にそれらの施設を中心に配布され、瀬戸内海地域の観光振興や情報発信等、地域活性化の一助とするものです。」との記載があります(http://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/release/12042701.pdf)。 |
審理終結日 | 2012-12-12 |
結審通知日 | 2012-12-21 |
審決日 | 2013-01-08 |
出願番号 | 商願2010-65628(T2010-65628) |
審決分類 |
T
1
8・
22-
Z
(X33)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤平 良二 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 小林 正和 |
商標の称呼 | ジダイノカイタクシャタイラノキヨモリ、ジダイノカイタクシャ、タイラノキヨモリ |