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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y10
管理番号 1271126 
審判番号 取消2012-300017 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-01-13 
確定日 2013-02-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4756431号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第4756431号商標(以下「本件商標」という。)は、「EXACT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年10月15日に登録出願、第10類「放射線療法による治療・走査装置を用いた撮像及び診断・治療シミュレーションにおける患者の位置決め用の医療用装置,放射線療法において患者の病変部の容量を探知し標的を定めるための医療用装置,放射線療法・撮像・診断・シミュレーションの工程において患者の位置を維持するための医療用装置,その他の医療用機械器具」を指定商品として、平成16年3月19日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成24年2月1日にされている。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、以下に述べるとおり、日本国内において、本件審判請求の予告登録日前3年以内の平成21年2月1日から平成24年1月31日までの期間(以下「要証期間」という。)に、取消に係る指定商品のうち「放射線療法による治療・走査装置を用いた撮像及び診断・治療シミュレーションにおける患者の位置決め用の医療用装置,放射線療法において患者の病変部の容量を探知し標的を定めるための医療用装置,放射線療法・撮像・診断・シミュレーションの工程において患者の位置を維持するための医療用装置」について使用している。
(1)使用者
被請求人は、その営業の本拠地を米国カリフォルニア州に置き、主に放射線技術を用いた医療用・産業用機械の製造販売を行っている。日本国内には子会社の株式会社バリアンメディカルシステムズ(以下「日本バリアン」という。)を有し(乙第1号証の1ないし2及び乙第4号証)、本件商標に基づく通常使用権によって本件商標を日本バリアンに使用させている。被請求人の子会社一覧(乙第1号証の1)は、米国証券取引委員会(SEC)が提出を義務付けている年次報告書FORM 10-K(2011年11月30日付で提出されたもの)に添付したものの写しであり、日本バリアンのホームページには、日本バリアンを含む被請求人子会社が掲載されている(乙第1号証の2)。
(2)使用商標及びその使用に係る商品
乙第2号証の1は、被請求人及び日本バリアンのホームページに掲載されている製品インデックス、乙第2号証の2及び3は日本バリアンが使用しているカタログの写しであり、本件商標の使用に係る商品、Exact撮影診療台、Exact IGRT Couch、Exact Couch等の商品情報が掲載されている。商品Exact撮影診療台、Exact IGRT Couch、Exact Couchは、医療用装置であって、放射線を用いて診断・治療を施す際に患者の患部を走査・診断し、患部の容量を定め、照射の位置を決定し、これを維持するための機能を有するいわゆる診療台である。これらの商品は単品あるいは、乙第2号証の2及び3のカタログに掲載された被請求人の医療用の放射線照射機器「ClinacEX6」、「ClinacIX」等とともに販売されている。
同インデックス及びカタログに掲載の商品、Exact撮影診療台、Exact IGRT Couch、Exact Couchには、商標「Exact」の使用を確認することができる。なお、「Exact」の表記は本件商標そのものではないが、「Exact」は本件商標「EXACT」の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と社会通念上同一の商標である。
乙第3号証は、日本バリアンのカタログ増刷発注の依頼を受けた印刷会社が発行した請求書の写しである。乙第2号証のカタログは、2007年に原本を作成して以降、現在に至るまで同一の原本を用いて増刷し、同じカタログを継続して使用している。
(3)使用時期
乙第5号証ないし同第9号証は、2009年10月26日から2011年9月13日の間に日本バリアンが顧客に発行した見積書の写し(関連頁のみ)、及び日本バリアンが当該見積に関連した発注を被請求人に行った際に被請求人に送付した発注書の写し(関連頁のみ)であり、これらの記載から、上述の本件商標の使用に係る商品が、商標「Exact」(以下「使用商標」という。)を用いて取引されていたことが確認できる。
当該見積書には見積を行った日が記載されていないが、見積書の頁右上の見積番号と同じ見積番号が記載された発注書において見積日を確認することができる。
乙第5号証の1は、日本バリアンが北海道大学医学部に発行した見積書の写しである。頁右上の見積番号「72420091026-001C」と同番号の付された商品発注書(乙第5号証の2)から、見積日が2009年10月26日であることを確認できる。当該見積には、本件商標の使用に係る診療台「Exact」にIGRTという機能を使用するための天板を取り付けた商品が含まれている。当該見積書に対応する乙第5号証の2の発注書には、当該IGRT仕様の天板を取り付けた診療台「Exact」を含む商品を日本バリアンが被請求人へ発注した日(2009年10月28日)、当該発注を被請求人が受領した日(2009年10月30日)、商品発送予定日(2010年2月28日)、エンドユーザーである北海道大学医学部への配達予定日(2010年3月25日)が記載されている。
乙第6号証の1は、日本バリアンが前橋赤十字病院に発行した見積書の写しである。頁右上の見積番号「89120100625-001A」と同番号の付された商品発注書(乙第6号証の2)において、見積日が2010年6月25日であることを確認できる。当該見積には、天板を取り付けた診療台「Exact」、診療台「Exact」用のフラットパネル、ハンドグリップ、アームサポートが含まれている。当該見積書に対応する乙第6号証の2の発注書には、これらの商品を含めた商品を日本バリアンが被請求人へ発注した日(2010年7月28日)、当該発注を被請求人が受領した日(2010年7月28日)、商品発送予定日(2010年12月15日)、エンドユーザーである前橋赤十字病院への配達予定日(2011年1月5日)が記載されている。
乙第7号証の1は、千葉県がんセンターに発行した見積書の写しである。頁右上の見積番号「72120110602-001A」と同番号のある商品発注書(乙第7号証の2)において、見積日が2011年6月2日であることを確認できる。当該見積書には天板を取り付けた診療台「Exact」、診療台「Exact」用のフラットパネル、ハンドグリップ、アームサポートが含まれている。当該見積書に対応する乙第7号証の2の発注書には、上記商品を含む商品を日本バリアンが被請求人へ発注した日(2011年9月14日)、当該発注を被請求人が受領した日(2011年9月15日)、商品発送予定日(2012年1月10日)、エンドユーザーである千葉県がんセンターへの配達予定日(2012年2月1日)が記載されている。
乙第8号証は、神奈川県立がんセンターに発行した見積書の写しである。頁右上にある見積番号「91520110218-002A」と同じ番号が付された商品発注書(乙第8号証の2)において見積日が2011年2月18日であることを確認できる。当該見積書には、天板を取り付けた診療台「Exact」、ステレオタクティックという機能を診療台に付す旨、診療台「Exact」用のフラットパネル、ハンドグリップ、アームサポートが含まれている。当該見積書に対応する乙第8号証の2の発注書には、上記商品を含む商品を日本バリアンが被請求人へ発注した日(2011年3月17日)当該発注を被請求人が受領した日(2011年3月17日)、商品発送予定日(2011年6月20日)、エンドユーザーである神奈川県立がんセンターへの配達予定日(2011年7月15日)が記載されている。
乙第9号証の1は、淀川キリスト教病院に発行した見積書の写しである。頁右上にある見積番号「74620110913-001」と同じ番号のある商品発注書(乙第9号証の2)において見積日が2011年9月13日であるとを確認できる。当該見積書には天板を取り付けた診療台「Exact」、診療台「Exact」用のフラットパネル、グリップ、アームサポートが含まれている。当該見積書と対応する乙第9号証の2の発注書には、上記商品を含む商品を日本バリアンが被請求人へ発注した日(2011年12月15日)、当該発注を被請求人が受領した日(2011年12月15日)、商品発送予定日(2012年4月1日)、エンドユーザーである淀川キリスト教病院への配達予定日(2012年5月1日)が記載されている。
なお、乙第5号証ないし同第9号証の見積書及び発注書にエンドユーザーとともに記載されている「Jokoh.,LTD.SAPPORO」は株式会社常光(乙第10号証の1)、「NDC(NIHON DESNSHI OUYO)」は日本電子応用株式会社(乙第10号証の2)及び「TAKEBISHI CORPORATION」は株式会社たけびし(乙第10号証の3)であって、いずれも日本バリアンの販売代理店である。
(4)取引先等
乙第5号証ないし同第9号証において、本件使用商標が用いられた商品を含む取引を行った販売代理店及びエンドユーザーである病院等の施設情報は、乙第10号証の1ないし8に示すとおりである。
(5)結語
上述のとおり、本件商標が日本国内において要証期間内にその登録に係る商品に使用されていたことは明らかである。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 被請求人のホームページに掲載の製品インデックス(乙第2号証の1)の中に、「Exact Couch」及び「Exact IGRT Couch」(「Exact」の右の円内に「R」を配した記号がある。)の表示があることが認められる。
イ 日本バリアンに係る商品カタログ(乙第2号証の2)には、「Varian放射治療システム」との表示があり、各頁には放射線治療に係る機器が掲載されている。そして、商品カタログの4枚目には、放射線治療システム「Clinac 6EX」の機器の写真が掲載され、その「Clinac 6EXの特長と性能」の標準性能として、「Exact Couch(カーボンフレーム治療台)」(「Exact」の右肩に小さく「TM」が表示されている。)の表記がある。
また、同カタログの5枚目には、「リモートカウチ付きEXACT COUCH」(「Exact」の右肩に小さく「TM」が表示されている。)の表記があり、その下に、「Exact Couchは特許・・・付きで、シュミレーションや治療のための患者様の位置決めを素早く、再現性よく、高精度に行うことができます。リモートカウチモーションを用いると、操作室から遠隔で」との記載がある。そして、これは、医療用の放射線照射機器「Clinac 6EX」及び「Clinac iX」等の「Clinacシリーズ」のオプションとして用意されている旨の記載が認められる。
同じく、「Varian放射治療システム System Lineup」と表題のあるカタログ(乙第2号証の3)には、その2枚目に、「Exact撮影寝台」(「Exact」の右肩に小さく「TM」が表示されている。)の表記があり、その下に、「カーボンファイバー天板で治療機と同じ構造」との記載が認められる。
ウ 請求書(乙第3号証)によれば、2010年12月27日付で、日本バリアンは、株式会社ケー・アンド・エルから品名欄記載の「機器一覧増刷」につき、数量「1000部」の代金として「¥215,250」を請求されていることが認められる。
エ 上記イ及びウ並びに被請求人の主張によれば、日本バリアンは、要証期間内である平成22年(2010年)12月27日頃に、前記の商品カタログを増刷したと推認し得るものである。
オ 「見積書」及び「発注書」(乙第5号証の1ないし同第9号証の2)によれば、例えば、日本バリアンは、我が国の「北海道大学医学部」に納品する目的で、「EXACT Couch」で特定された製品を「2009年10月28日」に被請求人に発注したことが認められる(乙第5号証の1及び2)。
また、日本バリアンは、我が国の「神奈川県立がんセンター」に納品する目的で、「Exact Couch」で特定された製品を「2011年3月17日」に被請求人に発注したことが認められる(乙第8号証の1及び2)。
(2)本件商標は、「EXACT」の文字からなるものであるところ、前記(1)のカタログの中において診療台(Couch)等に関して表示された標章は、「EXACT COUCH」、「Exact Couch」及び「Exact撮影寝台」の文字を表してなるものであり、「COUCH」、「Couch」あるいは「撮影寝台」が、商品の品質を表示するものと認められることから、「EXACT」及び「Exact」が、使用商標中の自他商品の識別標識としての機能を果たす部分と認められるものである。
また、本件商標の「EXACT」が全て大文字であるのに対し、使用商標の構成中の「Exact」が、先頭の文字「E」以外を小文字で表している点で相違するとしても、本件商標と使用商標とは、欧文字の綴り構成が共通し、これより生じる称呼「イグザクト」を同一にするものであり、観念上の異同もない。したがって、これらをもって社会通念上同一の商標が表示されたと認め得るものである。
そして、上記商標をもって示された商品は、被請求人の主張及び証拠(乙第2号証の2及び3)によれば、「放射線を用いて診断・治療を施す際に患者の患部を走査・診断し、患部の容量を定め、照射の位置を決定し、これを維持するための機能を有するいわゆる診療台」と認められるから、本件取消請求に係る指定商品「医療用機械器具」に含まれることが明らかというべきものである。
(3)上記(1)及び(2)を総合すると、日本バリアンは、要証期間内に、「Exact」の表示で特定された上記の医療用機器(診療台)が掲載された商品カタログを作成(増刷)したことが認められる。また、当該機器についての国内需要者に係る発注が要証期間内になされている(乙第5号証ないし同第9号証)ことを参酌すれば、当該商品カタログが要証期間内に展示又は頒布されたと推認し得るものである。
(4)日本法人である日本バリアンは、被請求人の子会社であるから(乙第1号証、乙第4号証)、被請求人と同法人の親子会社の関係及び被請求人の主張を併せみれば、使用許諾契約書等の存在について示すところがなく、また、日本バリアンは、被請求人から黙示的に、本件商標についての使用を許諾された者(通常使用権者)と認めるのが相当である。
(5)小活
以上によれば、通常使用権者は、2009年10月28日及び2011年3月17日に日本国内において、商品「医療用機械器具」に関する取引書類に標章を付して展示又は頒布していたものであるから、商標法第2条第3項第8号の取引書類に本件商標を付して展示又は頒布したものと認められるものである。
(6)まとめ
以上のとおり、被請求人は、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について本件商標を使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-09-26 
結審通知日 2012-09-28 
審決日 2012-10-10 
出願番号 商願2002-86919(T2002-86919) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 美加 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2004-03-19 
登録番号 商標登録第4756431号(T4756431) 
商標の称呼 エグザクト 
代理人 佐久間 剛 
復代理人 塚田 晴美 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 
代理人 特許業務法人原謙三国際特許事務所 

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