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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X35 審判 全部申立て 登録を維持 X35 審判 全部申立て 登録を維持 X35 審判 全部申立て 登録を維持 X35 審判 全部申立て 登録を維持 X35 |
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管理番号 | 1269687 |
異議申立番号 | 異議2012-900155 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-06-11 |
確定日 | 2013-02-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5476208号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5476208号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5476208号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年9月2日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成24年1月19日に登録査定、同年3月9日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)引用商標 申立人が申立ての理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 ア 登録第5239649号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成16年10月18日に登録出願、第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成21年6月19日に設定登録されたものである。 イ 国際登録第908721号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2006年3月8日に英国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2006年3月14日に国際登録され、第9類、第16類、第38類、第41類及び第42類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年12月19日に日本国において設定登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標と引用商標1及び引用商標2の文字部分とは、ほぼ同一の構成よりなり、「オーツー」の称呼、「酸素」の観念を同じくするものであるから、外観、称呼、観念にいずれの点においても互いに類似の商標である。 また、本件商標の指定役務は、引用商標1の指定役務及び引用商標2の指定商品及び指定役務中の第38類、第41類及び第42類に属する指定役務とは、密接な関係を持つか、あるいは重なり合う部分を有するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人は、1991年に英国で設立された、電気通信サービス及び携帯電話機の販売を主たる業務とする法人である(甲6)。 引用商標1及び2は、申立人の業務に係る電気(無線)通信サービス及び携帯電話を表示するものとして、本件商標の登録出願前より著名となっている(甲7?甲37)。 本件商標の指定役務は、前記(2)のとおり、引用商標1及び2の指定役務と密接な関係を持つか、あるいは重なり合う部分を有するものであり、また、その需要者も共通する。 したがって、本件商標がその指定役務について使用された場合は、該役務が申立人の業務に係る役務と誤認され、その出所について混同されるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第8号該当性について 引用商標1及び2の文字部分「O_(2)」は、申立人の略称として、本件商標の登録出願前より著名となっている。 本件商標は、申立人の著名な略称とほぼ同一の構成からなるものであり、かつ、申立人の承諾を得ていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定によって、その登録は取り消されるべきものである。 3 当審の判断 (1)引用商標1及び引用商標2の文字部分の著名性について ア 甲第7号証ないし甲第26号証、甲第30号証及び甲第37号証並びに申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア)申立人は、電気通信サービス等を提供をするスペインの法人「テレフォニカ・エセ・アー」を中核とした「テレフォニカ・グループ」を構成する英国の電気通信サービス及び携帯電話機の販売を主たる業務とする会社であり、世界各地のネットワーク事業会社を所有し、申立人のサービス開始以降「O_(2)」ブランドを維持・展開している。 そして、申立人の提供するローミングサービス(インターネット接続サービスや携帯電話で提供されるもので、需要者が契約している通信事業者のサービスを、その業者のサービス提供地域(国)以外においても、その他の通信事業者の設備を利用して受けられるようにするサービス)は、2005年(平成17年)8月現在で、日本を含む世界173カ国に及んでいる(甲6及び甲7)。 また、申立人業務に係る売上高は、2008年(平成20年)度は約1兆6128億円、2009年(平成21年)度は約1兆7956億円、2010年(平成22年)度は約1兆6190億円(ただし、いずれも該当年の12月末の為替レート計算のもの。)であった(甲8)。 (イ)申立人は、2003年(平成15年)8月ころから、日本における携帯電話向けゲームコンテンツ配信業者と提携し、英国において、当該ゲームコンテンツの配信を開始したこと、また、英国・ドイツなどを中心に事業展開をする、英国の大手携帯電話機の販売会社ないし同国の大手携帯電話通信サービス会社であることについて、本件商標の登録出願前までに、日本経済新聞社が提供する「日経テレコン」において、例えば、「イギリスでは現在、O2が唯一iPhoneを販売するキャリアだ。」(2008/09/16)(甲15)、「携帯電話サービス大手O2は、・・」(2008/09/17)(甲16)、「米Dell Inc.は5型液晶を採用した小型端末「streak」を、英国の携帯電話事業者であるO2を通して2010年6月に発売した。」(2010/07/26)(甲20)などのように、「O2」と表示されて掲載された(甲9?甲11、甲14?甲26)。 (ウ)「JDN(Japan Design Net)」のホームページ(2005年(平成17年)9月9日プリントアウトされたもの)には、「ロンドンリポート」として、「O_(2)」の文字が表示された看板を掲げた申立人の店舗が掲載され(甲12)、また、「Vis-a-Vis-商品カテゴリ-PDA・モバイル・iPod関連オンラインショップ」(2005年(平成17年)9月9日プリントアウトされたもの)には、「海外では人気のO2ブランドのGSM携帯電話XphoneIIm。この商品は受発注にて承っています。(1週間程度でお届け致します)」の記載とともに「O_(2)」の文字が表示された申立人の携帯電話機が掲載された(甲13)。 (エ)英国のサッカークラブチームであるアーセナルのユニフォームの胸部には、引用商標1及び2と酷似する「O_(2)」が表示されている(甲30ないし甲36。ただし、登録査定前のものは甲30のみ。)ところ、「OKWave」のウェブサイトには、「アーセナルの胸スポンサー O2 って何?」との2005年(平成17年)2月28日付けの投稿に対し、「イギリスの携帯電話会社の“O2”です。」との回答が寄せられた(甲37)。 イ 上記アの事実によれば、申立人は、英国・ドイツ等を中心に電気通信サービス及び携帯電話機の販売の事業展開をする英国の企業として、また、「O_(2)」は、申立人の業務に係るサービス及び商品ないし申立人の略称を表示するものとして、本件商標の登録出願前には、英国を中心としたヨーロッパにおいては、相当程度知られていたと推認することができる。 しかし、申立人の提出した証拠の多くは、主として我が国の電気通信サービス関連の事業者等を対象とする記事であって、その内容も、申立人が英国・ドイツ等を中心とした地域に携帯電話を利用した電気通信サービスを開始したなどの記事が中心であり、申立人が、我が国において、電気通信サービス事業を行っている事実を具体的に明らかにする証拠の提出はない。 また、申立人の業務に係る携帯電話機に関し、本件商標の登録出願前に、通信販売会社による広告はあったものの、その件数はわずかに1件(甲13)のみであり、申立人が、携帯電話機の販売に関する広告を行った事実を具体的に明らかにする証拠の提出もない。 してみると、「O_(2)」は、申立人の業務に係る電気通信サービス及び携帯電話機ないし申立人の略称を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の電気通信サービス関連の事業者の間には、ある程度知られていたと推認することができるとしても、それ以外の取引者、需要者、特に本件商標の指定役務の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 その他、「O_(2)」の表示が、本件商標の登録出願前より、我が国の電気通信サービス関連の事業者以外の取引者、需要者の間に広く認識されていたことを裏付ける証拠の提出はない。 以上によれば、引用商標1及び「O_(2)」の文字を含む引用商標2は、本件商標の登録出願時に、我が国における通信関連分野の事業者の範囲を超えてなお、申立人の業務に係る電気通信サービス及び携帯電話機ないし申立人の略称を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、太い線で表した円輪郭と、その右下に小さく表した数字の「2」を配した構成よりなるものである。そして、本件商標は、構成全体をもって、酸素の元素記号「O_(2)」を表したと認識される場合が多いというのが相当であるから、これより「オーツー」の称呼及び「酸素」の観念を生ずるものといえる。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は、別掲2のとおり、「O_(2)」の文字を書してなるものであるから、これより「オーツー」の称呼及び「酸素」の観念を生ずるものである。 (イ)引用商標2は、別掲3のとおり、濃淡のある青地縦長の長方形内に、「O_(2)」の文字を白抜きで表してなるものであるから、その構成中の「O_(2)」の文字部分より、「オーツー」の称呼及び「酸素」の観念を生ずるものである。 ウ 本件商標と引用商標1及び2との対比 上記ア及びイによれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2における「O_(2)」の文字部分は、形状において近似する太い線で表した円輪郭又は欧文字「O」と、いずれも小さく表した数字の「_(2)」よりなるものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合には、外観上相紛れるおそれが生じる程度に類似する商標といえる。 また、本件商標と引用商標1及び2は、「オーツー」の称呼及び「酸素」の観念を同じくする商標である。 してみると、本件商標と引用商標1及び2は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても類似する商標と認めることができる。 エ 本件商標の指定役務と引用商標1及び2の指定役務との対比 (ア)本件商標は、第35類「IT(情報技術)導入に伴う経営に関する診断又は助言,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん」を指定役務とするものであるところ、商標法施行令別表第35類は、「広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とし、国際分類を構成する類別表注釈には、第35類に属する役務について、「この類には、主として、人又は組織が提供する役務であって、商業に従事する企業の運営若しくは管理に関する援助又は商業若しくは工業に従事する企業の事業若しくは商業機能の管理に関する援助を主たる目的とするもの・・・を含む。」としている。 そして、甲第4号証によれば、商標権者は、製造業コンサルティングを行っている会社であり、「PLM導入・リードタイム短縮・グローバル競争力強化など、実務経験豊富な技術コンサルタントが現場に入り独自の改革方法論により標準化(設計改革)や創造(開発改革)を支援致します。」「製造業界に精通したコンサルタントが問題解決へ導きます。」の記載からも、製造業者に対し経営の診断又は助言等を行うことを業務としているものと認められる。 (イ)引用商標1は、第38類及び第41類に属する役務を指定役務とするものであるところ、商標法施行令別表第38類は、「電気通信」とし、国際分類を構成する類別表注釈には、第38類に属する役務について、「この類には、主として、少なくとも一人の者が感覚を手段として他の者と通信することを可能にするサービスを含む。」としている。また、商標法施行令別表第41類は、「教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動」とし、国際分類を構成する類別表注釈には、第41類に属する役務について、「この類には、主として、人又は動物の知能を開発するために人又は機関が提供するサービス及び人を楽しませ又は人の注意を引くことを意図したサービスを含む。」としている。 さらに、引用商標2における指定役務中第42類に属する役務について、商標法施行令別表第42類は、「科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発」とし、国際分類を構成する類別表注釈には、第42類に属する役務について、「この類には、主として、個別的又は集団的に人により提供されるサービスであって、諸活動のうちの複雑な分野の理論的又は実用的な側面に関連を有するものが含まれる。当該サービスは、化学者、物理学者、エンジニア、コンピュータプログラマー等のような専門家によって提供されるものである。」としている。 そして、申立人は、上記(1)のとおり、電気通信サービス及び携帯電話機の販売を主たる業務とする会社である。 (ウ)以上、前記(ア)及び(イ)によれば、本件商標の指定役務と、引用商標1の指定役務及び引用商標2の指定商品及び指定役務中の第38類、第41類及び第42類に属する指定役務(以下「引用商標1及び2の指定役務」という。)とは、役務提供の目的(内容)において大きく相違するものであり、商標権者の主な業務と申立人の主な業務も相違するものであるから、役務の提供者(事業者)、役務の内容、業務形態、需要者等が相違するということができるから、非類似の役務と解すべきものである。 この点に関し、申立人は、本件商標の指定役務と、引用商標1及び2の指定役務とが、密接な関係を持つか、あるいは重なり合う部分を有すると主張する根拠として、本件商標の役務は、インターネット上のホームページにおいて「提供の申込みの誘引」が行われ、それに対し需要者は携帯電話等の通信機器を通じて「申込み」ができ、それに基づいて役務の「提供」がなされるものであり(甲4)、一方、引用商標1及び2の指定役務は、携帯電話や携帯情報端末装置による通信等の電気(無線)通信を含むものであり、両者は、役務の提供内容・提供手段において関連性を有するものであって、両者の役務の現実の案内・提供態様からするとそれらの商標の類似度はさらに大きくなる旨主張する。 しかし、本件商標の指定役務と、引用商標1及び2の指定役務とが、役務提供の目的(内容)において大きく相違することは、上記認定のとおりである。また、インターネットに関する技術が大きく進歩し、インターネット通信等が世界中至る所で行われている昨今において、これを利用した商取引も広く行われていることは周知の事実であり、このような状況において、役務の類否を判断するに当たって、対比する役務が、いずれも役務の提供手段においてインターネット等の通信を利用した役務、あるいは、一方が役務の提供手段においてインターネット等の通信を利用した役務で、他方が通信という役務の提供を行っている事実のみをもって、これらが互いに類似する役務と判断することは適当でない。 したがって、上記に関する申立人の主張は理由がない。 オ 以上によれば、本件商標は、引用商標1及び2と類似する商標であるとしても、その指定役務は、引用商標1及び2の指定役務とは、非類似の役務というべきであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 前記(1)認定のとおり、引用商標1及び2の文字部分は、申立人の業務に係る電気通信サービス及び携帯電話機を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の通信関連分野の事業者には、ある程度知られていたと認めることができるが、それ以外の取引者、需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。 加えて、本件商標の指定役務は、前記(2)認定のとおり、電気通信サービスとは、役務提供の目的(内容)において大きく相違するばかりでなく、役務の提供者(事業者)、業務形態、需要者等においても相違するものであり、また、携帯電話機の販売とは、商品又は役務の目的、商品又は役務の事業者、取引系統等において大きく相違するものである。 そうとすれば、引用商標の周知性は、本件商標の指定役務の範囲には及ばないというべきである。 してみれば、本件商標は、引用商標1及び2と類似する商標であるとしても、上記(2)と同様の理由により、互いに相紛れるおそれのないものであり、これをその指定役務について使用しても、該役務が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。 したがって、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第8号について 前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人の略称を表すものとして、本件商標の登録出願時において、我が国の通信関連分野の事業者以外の取引者及び需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標ということはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) (色彩については原本参照) 別掲2(引用商標1) 別掲3(引用商標2) (色彩については原本参照) |
異議決定日 | 2013-01-29 |
出願番号 | 商願2011-63454(T2011-63454) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(X35)
T 1 651・ 263- Y (X35) T 1 651・ 261- Y (X35) T 1 651・ 23- Y (X35) T 1 651・ 271- Y (X35) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 加藤 百宇、椎名 実 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 梶原 良子 |
登録日 | 2012-03-09 |
登録番号 | 商標登録第5476208号(T5476208) |
権利者 | 株式会社O2 |
商標の称呼 | オオツー、オオニ、マルツー、マルニ |
代理人 | 村井 康司 |
代理人 | 太田 誠治 |
代理人 | 北村 修一郎 |