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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X34
管理番号 1269663 
審判番号 取消2011-670013 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-08-16 
確定日 2012-12-14 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第852709号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 国際登録第852709号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第852709号商標(以下「本件商標」という。)は,「LOTUS」の欧文字を書してなり,2004年9月13日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張し,2005年(平成17年)3月4日に国際商標登録出願,第34類「Smoker’s articles,including lighters,gas containers for lighters,matches.」を指定商品として,平成19年12年7日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成23年8月25日である。
第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
被請求人は,本件商標を,その指定商品のいずれについても継続して3年以上日本国内において使用していない。また,本件商標について専用使用権者は存在せず,通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
2 答弁に対する弁駁
(1)「商品の販売」行為の存否について
被請求人は,乙第4号証に基づき,日本国法人ウインドミル株式会社(以下「ウインドミル社」という。)が,商標「LOTUS」を付した喫煙具について,2011年5月から販売活動を開始した旨主張するが,同号証は,当該ウインドミル社自身による宣誓文であって,全く客観性のないものであるから,主張された販売行為が行われた事実を証明するものとは到底いえない。
加えて,その内容についてみると,乙第4号証の原文には「We started commercial activity for Lotus smoking accessory products in May of 2011 to a few selected accounts in Tokyo.(当社は,2011年5月,少数の選ばれた取引先に対し,Lotus喫煙アクセサリー製品のための商活動を開始した。)」と記載され,ウインドミル社は,単に「commercial activity(商活動)」と述べるのみであり,その「商活動」の具体的な内容は明らかにされていない。すなわち,「商活動」には,商品の販売行為以外の,単なる営業・市場調査・顧客への聞き込み・販売の準備なども含まれ得るのであり,そもそも販売行為があったこと自体が宣誓されておらず,販売場所,販売数,販売価格等についても記載されていない。
また,「a few selected accounts(少数の選ばれた取引先)」に対し商活動を開始した旨記載されているが,当該取引先についての情報は全く無く,実際に取引があったことは全く証明されていない。
さらに,「Lotus smoking accessory products(Lotus喫煙アクセサリー製品)」がどのような商品なのかも特定できない。
以上のとおり,被請求人が主張する「販売」の事実は,単に主張されているのみであり,その存在は立証されていない。
(2)「パンフレットの頒布」行為の不存在
乙第5号証は,その左上に表示されているとおり,当該納品書の発行者は「IDENTITY COLORS, INC.」(以下「アイデンティティ社」という。)なる米国フロリダ州法人(住所:249 BRYAN ROAD DANIA BEACH, FL 33004)であり,受取人であるインテグラルロジステック社(以下「インテグラル社」という。)も米国フロリダ州法人であるから,乙第5号証は,米国内において,「WINDMILL 2011 BROCHURE」なる品物がアイデンティティ社からインテグラル社に送付されたことを推測させるにすぎない。
すなわち,乙第5号証は,我が国において,何らかの物品が頒布された事実を証明する証拠とは到底なり得ない。
なお,被請求人は,「パンフレット」を遅くとも2011年5?6月に頒布したと主張するが,頒布された事実は何ら立証されていないことに加え,その頒布場所,頒布方法など,頒布の事実を推認させる事情も見あたらない。
(3)ウインドミル社の使用権の不存在
本件商標の使用権限に関連する証拠は乙第1号証ないし同第4号証であるが,これらは全て被請求人,インテグラル社又はウインドミル社により作成されたとされる文書にすぎず,それ自体客観性に乏しいだけでなく,その体裁からみても本件審判の請求後においても極めて容易に作成可能な粗末なものであり,重要な法律上の権利関係(ライセンス)を証する書面としてはあまりにも不自然である。
また,該証拠には,本件商標権者が,ウインドミル社に,我が国における商標権の許諾をした旨の記載も,インテグラル社に再使用権(サブライセンス)の許諾権限を与えた旨の記載もない。
通常使用権は,商標権者又は商標権者の承諾を得た専用使用権者のみが許諾できるところ(商標法第31条第1項及び同法第30条第4項で準用する特許法第77条第4項),インテグラル社は,商標権者でも専用使用権者でもないから(甲第2号証),インテグラル社が,ウインドミル社に通常使用権を許諾したと解する余地はない。
(4)被請求人の証拠について
被請求人が提出した乙号証は,全て,取引関係にあるとされる被請求人関係者により作成されたものであり,それ以外の第三者により作成されたものは皆無であり,本件商標の使用を客観的に証明する証拠はひとつも無い。
加えて,ウインドミル社のホームページ(http://www.windmill.co.jp/)を参照しても,要証期間及び現在において,本件商標の付された喫煙具が販売された形跡は一切見当たらない。
さらに,被請求人とインテグラル社との関係については,ただ同社が全世界における独占的使用権者であるとの主張を,宣誓書という形式をとって自ら主張しているにすぎず,両者の法的関係は一切不明である。
被請求人は,本件商標の国際登録名義人であるが,上記のとおり,インテグラル社の「LOTUS」商標に係る喫煙具の製造・販売を全世界において行なっていること,それが全て被請求人の権利の下で展開されていることの立証は無く,そのような事実状態を推認させる資料もない。
その他,本件商標が,本件審判請求にかかる指定商品について,本件審判請求登録前3年以内に,我が国において使用されたことを証明する証拠は一切無い。
(5)結論
以上のとおり,被請求人は,本件商標が本件審判請求登録前3年以内に本件審判請求に係る指定商品に使用された事実を証明していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
答弁の理由
(1)本件商標は,我が国において使用された事実はあるので,それを証する書面を提出する。
なお,本件商標権者と本件商標の全世界における独占的使用権者であるインテグラル社との間には,当然のことながら契約書が存在するが,それを公表することはできないので誓約書相当文とその訳文を添付した。
(2)本件商標権者であるHanoch Yosefが,本件登録商標の指定商品である「ライター,ライター用ガスボンベ,マッチを含む喫煙具」(以下「喫煙具」という)について,米国フロリダ州サンライズ・ヒアタス通り4676N番地に所在するインテグラル社に全世界における独占的使用権を付与している(第1号証)。
そして,上記インテグラル社が,ウインドミル株式会社へ2011年5月に上記商品を出荷したことを宣誓している(乙第2号証)。
また,2011年2月9日付けのウインドミル社宛の書簡をもって,本件登録商標「LOTUS」付した喫煙具を日本国において独占的に販売することを約定した書面を添付する(乙第3号証)。
さらに,ウインドミル株式会社が「LOTUS」を付した喫煙具を販売することを2010年11月に決定し,この決定に基づいてインテグラル社と2011年2月9日に販売契約を締結し,同年5月から販売活動を開始したことを宣誓した書面を添付する(乙第4号証)。
(3)ウインドミル社が2011年の遅くとも5?6月に頒布した本件登録商標「LOTUS」を付したライターのパンフレット(乙第6号証)と,このパンフレットを作成したインテグラル社宛ての2011年4月21日付けの納品書を添付する(乙第5号証)。
また,インテグラル社がウインドミル社に喫煙具類を販売した事実を証する書面として2011年5月10日付けの納品書を添付する(乙第7号証)。
(4)以上述べたところから明らかなように,本件登録商標を付した商品を本件審判請求の日より以前にパンフレットを頒布し,略同時期に販売していたものであるから,本件登録商標は,商標法第50条の規定により取り消される理由はない。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出に係る乙各号証によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は,商標権者の宣誓書相当文であるところ,その訳文によれば,宣誓書相当文は,「商標権者は,米国フロリダ州サンライズ・ヒアタス通りのインテグラル社に本件商標を付した喫煙具について,地域代理店を介して或いは介さずに,注文をとり且つ販売する世界的なライセンスを付していることを宣誓する。」旨である。
なお,該書面の作成日は,不明である。
(2)乙第2号証は,インテグラル社の社長名による,2011年11月9日付けの本件商標の独占的使用権者の宣誓書相当文であるところ,その訳文によれば,宣誓書相当文は,「インテグラル社は,本件商標を付した商品を日本及び世界の他の国で使用したことについても使用権を有する旨,日本で経験豊かな販売社であるウインドミル社と業務契約し,2011年5月に日本に商品を出荷したことを宣誓する。」旨である。
(3)乙第3号証は,インテグラル社の社長名による,2011年2月9日付けの本件商標の独占的使用権者と使用権者(ウインドミル社のMaruyama)との約定書であるところ,その訳文によれば,約定書は,「ウインドミル社は,日本国において,本件商標を付した喫煙具の独占的販売のための頒布者であること,頒布契約期間は2011年と2012年であるが,契約終了を宣言しない限り,自動的に契約期間は更新されること,ウインドミル社は,本件商標を付した喫煙具の販売促進に全力を投入し,また,喫煙具の宣伝を行うこと,本件商標を付した喫煙具を日本以外の国において販売してはならないこと,自らが販売した喫煙具についてアフターサービスに責任を有すること」等である。
(4)乙第4号証は,ウインドミル社の社長名による,日本における使用権者の宣誓書相当文であるところ,その訳文によれば,宣誓書相当文は,「ウインドミル社は,日本国において,LOTUS喫煙具を頒布する決定を2010年11月に行った,この決定に基づき米国所在のインテグラル社と,頒布契約を2011年2月9日に締結した,2011年5月からインテグラル社と商活動を開始した。」旨である。
なお,該書面の作成日は,不明である。
(5)乙第5号証は,IDENTITY COLORS,INC.からインテグラル社あての2011年4月21日付けの「INVOICE」であり,「QTY」には「250」,「DESCRIPTION」には「WINDMILL 2011 BROCHURE」との記載ある。
なお,該書面に本件商標の表示はなく,また,「DESCRIPTION」には「WINDMILL 2011 BROCHURE」との記載があるが,いかなる商品について作成されたパンフレットであるかについては記載がない。
(6)乙第6号証は,商品のパンフレットであり,「LOTUS」「SMOKING ACCESSORIES」「2011」との表示とともに,「LOTUS」の文字が付された商品「ライター」及び「シガーカッター」が掲載されている。また,その商品の下には,図形と,ややデザインされた「Windmill」の表示があり,その下には「東京都台東区東上野1丁目7番2号」,その右にはTEL及びFAX番号が記載されている。
これらによれば,乙第6号証は,東京都台東区東上野在の「Windmill」による,「LOTUS」の文字が付された商品「ライター」及び「シガーカッター」に関する2011年用の商品パンフレットと認められる。
なお,該パンフレットには,商品の販売価格,品番等の記載がない。
(7)乙第7号証は,インテグラル社からウインドミル社あての,2011年5月10日付けの「INVOICE」であり,その「ITEM」には,「4700」「CUT201」等,「DESCRIPTION」には,「Lotus Twin Flame Lighter・・・」,「Lotus Cigar Cutter・・・」等,「PRICE EACH」には,「25.00」「24.00」等との記載がある。
これらによれば,該「INVOICE」は,インテグラル社自身の作成による,インテグラル社からウインドミル社にあてた2011年5月10日付けの「ライター」及び「シガーカッター」等の商品の納品書と認められる。
2 前記1の事実認定に基づき,以下のとおり判断する。
(1)商標権者は,米国フロリダ州在のインテグラル社に,本件商標を付した喫煙具について,地域代理店を介して或いは介さずに,注文をとり且つ販売する世界的なライセンスを付している旨,宣誓するものであるが,本件商標の登録原簿に記載がないことから,インテグラル社は,本件商標の通常使用権者と推認することができる(乙第1号証)。
また,乙第6号証の「ライター」又は「シガーカッター」を紹介する商品パンフレットに記載されている「LOTUS」の欧文字は,本件商標「LOTUS」と社会通念上の同一のものということができる。
(2)しかしながら,以下の理由により,被請求人提出の証拠によっては,本件商標が,商標登録取消しの審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標の通常使用権者により,取消請求に係る指定商品に,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたものとは認めることができない。
ア 乙第6号証は,東京都台東区東上野在の「Windmill」が取り扱う「LOTUS」の文字が付された商品「ライター」及び「シガーカッター」の2011年用の商品パンフレットであるが,該パンフレットを頒布した事実を証する書面の提出がないことから,日本において要証期間に頒布されたものと認めることができない。
イ 乙第7号証は,2011年5月10日付けのインテグラル社からウインドミル社にあてた喫煙具類に関する納品書と認められるが,該納品書は,インテグラル社自身の作成によるものであって,他に,輸入したウインドミル社による商品の受け取りに関する書類,又は,その商品の通関記録など,客観的資料が提出されていない。
また,「INVOICE」には,「ITEM」に「4700」「CUT201」等,「PRICE EACH」に「25.00」「24.00」等のように品番や販売価格の記載があるが,ウインドミル社の商品パンフレット(乙第6号証)には,品番や販売価格の記載がないことから,インテグラル社からウインドミル社に輸出された商品と,商品パンフレットに掲載された商品とを関連付けて確認することもできない。
ウ そして,上記した商標の使用に関する不明な点について,同様の弁駁が請求人からなされているが,それに対し,被請求人からの答弁はなされていない。
3 結語
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることができない。
また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-07-19 
結審通知日 2012-07-25 
審決日 2012-08-10 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X34)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松本 はるみ大渕 敏雄 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2005-03-04 
商標の称呼 ロータス 
代理人 大島 厚 
代理人 山川 茂樹 
代理人 山川 政樹 
代理人 黒川 弘朗 
代理人 東森 秀朋 

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