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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20124170 | 審決 | 商標 |
不服2012650094 | 審決 | 商標 |
不服201223162 | 審決 | 商標 |
不服201127362 | 審決 | 商標 |
不服20137095 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 X06 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X06 |
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管理番号 | 1269654 |
審判番号 | 不服2012-13943 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-20 |
確定日 | 2013-02-22 |
事件の表示 | 商願2011-60202拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「SP-700」の欧文字及び数字を標準文字で表してなり、第6類に属する商品を指定商品として、平成23年8月23日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同24年2月29日付け及び当審における同25年1月17日付けの手続補正書により、最終的に、第6類「チタン合金」と補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『SP-700』と横書きしてなるところ、本願の指定商品を取り扱う産業分野においては、それぞれの自己の業務に係る各種商品について、その商品の管理又は取引の便宜性等の事情から、ローマ字の1字又は2字とアラビア数字とを『-』(ハイフン)で結合した標章が特定の商品の品番、型式又は規格等を表示するための記号又は符号として、取引において普通に使用されていることからすると、本願商標は、ローマ字の2字『SP』とアラビア数字の3字『700』とを『-』(ハイフン)で結合させたものであって、一般に用いられる書体で横書きし、その文字の形や組合せ方法に特徴がないものであり、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者は、商品の品番、型式又は規格等を表示するための記号又は符号の一類型を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項第5号該当性について 本願商標は、「SP」の欧文字2字とアラビア数字の「700」とを「-」(ハイフン)を介して「SP-700」と標準文字で表してなるところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、自己の業務に係る各種商品について、その商品の管理又は取引の便宜性等によって、原審が示すとおり、例えば、「ST-40、ST-50」等のように、欧文字の2字とアラビア数字とを「-」(ハイフン)で結合した標章等が、一般に商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号、符号として、類型的に採択、使用されている実情がある。 そうすると、本願商標は、「SP-700」の欧文字及び数字を、普通に用いられる方法で表示するものであるから、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号又は符号の一類型を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであるから、これは、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認めるのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。 2 商標法第3条第2項該当性について (1)請求人は、本願商標は、永年にわたる使用の結果、その指定商品について、取引者、需要者間において広く知られているものであるから、商標法第3条第2項が適用されるものである旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証(枝番を含む。)を提出している(以下において、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)。 (2)請求人の提出に係る甲各号証によれば、「SP-700」について次の事実が認められる。 ア 「チタン総合カタログ」の2頁には、「JFEスチールは・・・1985年に厚中板を主力とした製品の製造販売を開始しました。長年鉄鋼製品の製造で培った技術を適用したJFEスチールのチタン製品は、その高い品質でご好評を得ております。またJFEスチールは製品開発・用途開発にも力を注ぎ、新合金SP-700を誕生させるなど着実に前進しております。」の記載、15頁には、「JFEスチールが開発しました新チタン合金SP-700はチタン合金で最も代表的なTi-6Al-4V合金に比べ特性的に種々の優位性を持っているため、世界の注目を浴びています。この高強度で加工性の優れたSP-700を是非お役に立ててください。」の記載、17頁には、「SP-700はその高強度と優れた加工性を活かして、ゴルフクラブヘッド、時計、アイゼンなど身近な分野でも活躍しています。」の記載がある(甲第2号証)。 イ 本願の指定商品を取り扱う事業者を正会員(材料メーカー、大手商社:22社)又は賛助会員(加工製品メーカー、流通業者:172社)とする一般社団法人日本チタン協会が発行する雑誌「チタン」(旧雑誌名、「チタニウム・ジルコニウム」)において、1994年以降、2012年に至るまで、「SP-700 新しいチタン合金の名前です NKK」、「JFEの技術開発力が生んだ疲労強度や加工性に優れたチタン合金〈SP-700〉」などと記載した広告を継続的に掲載している(甲第5号証)。 ウ アルム出版社が発行する2006年、2008年ないし2010年の「工業レアメタル」において、「高強度と優れた加工性で世界の注目を浴びる新合金SP-700を生みだすなど、一歩先を見すえたチタン製品の開発を着実に進めています。」、「JFEの技術開発力が生んだ加工性に優れた新合金〈SP-700〉」などと記載した広告を掲載している(甲第6号証)。 エ 社団法人日本チタン協会が発行する「チタンの小辞典」の18頁には、「SP-700合金」の項に、「超塑性合金Ti-4.5Al-3V-2Fe-2Mo合金の商品名.超塑性加工(superplastic forming)を700℃で行えることから名づけられた.」の記載がある。また、110頁には、「Ti-4.5Al-3V-2Fe-2Mo合金」の項に、「わが国で開発された合金で,通称SP-700(商品名)」の記載がある(甲第13号証)。 オ 財団法人日本規格協会が発行する「おはなし科学・技術シリーズ チタンのおはなし改訂版」の196頁に掲載された「表8.1 最近開発された各種チタン合金」中において、「SP-700」の記載がある(甲第14号証)。 カ 「Tech-On!」のウェブサイトに2007年6月6日に掲載された「JFEスチール,チタン合金『SP-700』の出荷累計が1000tを達成」の見出しの記事中に、「JFEスチールは2007年6月6日,日本鋼管(現JFEスチール)が1990年に開発したチタン合金『SP-700』の製品出荷累計が,1000tに達したと発表した。SP-700は,アルミニウム(Al)を4.5%,バナジウム(V)を3%,鉄(Fe)とモリブデン(Mo)をそれぞれ2%含むチタン合金で,従来のチタン合金『Ti-6Al-4V』と比べて強度が高く,加工性や熱処理性にも優れるのが特徴。航空機やモータースポーツ,ゴルフクラブなどの分野で使われている。」の記載がある(甲第27号証)。 キ 甲第31号証ないし甲第36号証によれば、国内外の20社以上のゴルフクラブを紹介するウェブサイト中の製品の仕様部分等に、「SP-700」又は「SP700」の記載がある。 (3)当審における職権調査によっては、本願商標の「SP-700」の文字及び数字を、本願の補正後の指定商品「チタン合金」について商標として使用する者は、請求人以外見いだせなかった。 (4)以上からすれば、「SP-700」と称するチタン合金は、1990年に請求人(当時、日本鋼管株式会社)が独自に開発したものであって、従来のチタン合金より高い強度、加工性を有し、ゴルフクラブヘッド、時計、アイゼンなど身近な分野から航空機やモータースポーツ分野まで広くそれら商品の原材料として用いられているものであり、特に、ゴルフクラブヘッドの素材としては、国内外の20社以上に採用され、トップシェアを誇るとともに、各社の製品の仕様部分等に「SP-700」又は「SP700」と記載されている。 また、請求人は、1994年以降今日に至るまで継続して、「チタン合金」の需要者を会員とする一般社団法人日本チタン協会が発行する雑誌「チタン」等において、「SP-700」が商標であるとする広告、宣伝を行っており、同協会の発行する「チタンの小辞典」においても、該合金は商品名として記載されているものである。 そうとすると、本願商標は、請求人によって指定商品の「チタン合金」に使用された結果、同人を出所とする識別標識として、需要者が認識するに至ったものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものというべきである。 3 結語 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものの、同法第3条第2項により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-02-06 |
出願番号 | 商願2011-60202(T2011-60202) |
審決分類 |
T
1
8・
17-
WY
(X06)
T 1 8・ 15- WY (X06) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石塚 利恵 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
山田 和彦 井出 英一郎 |
商標の称呼 | エスピイナナヒャク、エスピイナナゼロゼロ、エスピイシチゼロゼロ |
代理人 | 安島 清 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 村上 健次 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 高梨 範夫 |