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審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X30 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない X30 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない X30 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない X30 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X30 |
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管理番号 | 1269547 |
審判番号 | 無効2012-890022 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2012-02-23 |
確定日 | 2013-01-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5394281号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5394281号商標(以下「本件商標」という。)は、「RIZ ROCHER」の欧文字を横書きしてなり、平成22年9月1日に登録出願、第30類「チョコレート,その他の菓子及びパン,コーヒー及びココア,調味料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として、同23年1月17日に登録査定、同年2月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、以下の1ないし4のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第1840110号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和57年5月10日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年2月28日に設定登録され、その後、指定商品については、平成18年11月8日に指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 登録第4152227号商標(以下「引用商標2」という。)は、「FERRERO ROCHER」の欧文字を横書きしてなり、平成8年6月20日に登録出願、第30類「チョコレート飲料,その他のココア,チョコレート,プラリーヌ,キャンデー,ビスケット,その他の菓子及びパン」を指定商品として、同10年6月5日に設定登録されたものである。 3 登録第4846546号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成16年7月9日に登録出願、第30類「チョコレート,キャンデー,チョコレートキャンデー,ビスケット,チューインガム,その他の菓子及びパン」を指定商品として、同17年3月11日に設定登録されたものである。 4 登録第4846547号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成16年7月9日に登録出願、第30類「チョコレート,キャンデー,チョコレートキャンデー,ビスケット,チューインガム,その他の菓子及びパン」を指定商品として、同17年3月11日に設定登録されたものである。 以下、上記登録商標を一括して「引用商標」という。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 請求の理由 1 請求人について (1)請求人「フェレロ ソシエタ ペル アチオニ(Ferrero S.p.A.(of Piazza Pietro Ferrero, ALBA province of Cuneo, Italy)」は、世界50か国以上にその商品を販売しているイタリア随一の菓子メーカーである。1946年菓子職人ピエトロ・フェレロが北イタリアに創業したもので、1956年には、欧州に事業を拡大し、1980年代には、「Rocher(ロシェ)」を含む6つのブランドを相次いで発売し、世界にその販売を拡大したものである(甲3)。その主力商品が、引用商標を使用したチョコレートであり、ヘーゼルナッツをチョコレートとウエハースで包んだチョコレート菓子である(甲3)。 (2)このチョコレートには、引用商標の「FERRERO ROCHER/フェレロロシェ」が使用されているが、「FERRERO/フェレロ」が社名であることから、自ら、「ROCHER/ロシェ」とも略称して使用している(甲3)。 具体的にいえば、ひとつのパッケージの中のチョコレート菓子の数に応じて、「ロシェ T-3」、「ロシェ T-5」、「ロシェ T-8」、「ロシェ T-16」と命名し、さらに、包装ケースの形状によって、「ロシェ ダイヤモンド T-24」、「ロシェ ピコリペンシェリ T-4」、「ロシェ ハート T-8」のように使用している(甲3、甲4)。また、「イタリアンチョコレートの代表『ロシェ』。用途広がる新仕様のゴールドのトレー」というように、「ロシェ」のみを使用して、商品の広告宣伝を行なっている(甲3、甲4)。 (3)この「Ferrero Rocher」(フェレロ ロシェ)、「Rocher」(ロシェ)チョコレートは、1982年に発売開始され、数年で、何百万の人々に食されるようになった(甲5)。 請求人は、同商品が世界中で販売されていることを反映して、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアそれぞれの領域について、これらに属する主要な国々の需要者に向けて、それらの言語で、ホームページを作成し、合計世界50か国以上にこの商品の宣伝・広告を行っている(甲5)。 2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について (1)引用商標及びその略称「Rocher/ロシェ」の周知・著名性 ア 請求人は、引用商標及びそれを略称した商標「Rocher/ロシェ」を、そのチョコレート菓子に、自己の商標として使用し、当該商品を我が国においても販売してきている(甲3及び甲4)。 イ 菓子等の業界誌(フードニュース 平成23年5月25日、フード流通経済研究所発行、甲6)は、「特集/輸入菓子とオンリーワンブランド形成時代」との題の記事を掲載し、その中で以下のように述べている。 「マースJ、日本フェレロのブレークスルーとは/海外製菓企業の日本法人で設立以来の長期歴史を擁するのは、マースジャパン、日本フェレロの2社だろう。両者ともアメリカ、欧州を代表するチョコレート分野を主体とする量産メーカーだが、日本における事業体系に大きな相違がある。すなわち、(中略)日本フェレロは商品特性にもよるが、総販売代理店制を基本的に設定し、その設定先を変化させてきた(この2年はUHA味覚糖)。」「他方、日本フェレロは日本市場進出35年を経過しているが、試行錯誤を積み重ねながら次への“ブレークスルー”がなかなか見えてこない。遂年ニューブランドを導入してはいるものの、ロシェ、ラファエロがそれなりの中核を構成するのに変わりはない。ロシェが従来より大衆性格で認知度を高め売場裾野が拡大しているのは確か(以下略)」 上記記事内容からも、請求人の日本子会社である日本フェレロ株式会社(以下「日本フェレロ社」という。)が、日本市場進出後35年を経過していること、現在の総代理店がUHA味覚糖であること、「ロシェ」が主力商品であり、我が国大衆へのその認知度が高まっていることが理解できる。 同雑誌は、また、売上高別に「世界の菓子企業トップ100社の概要(2010年)」を作成しており、請求人は、世界第4位に位置づけられている。なお、明治ホールディングスは第12位、森永製菓は第20位となっている。 ウ 甲第7号証は、検索エンジン「Google」を使用して、「rocher」の言葉で検索した結果であり、約5,520,000件のヒット中、そのトップページには、多数の請求人の「rocher」チョコレートの画像が抽出・表示される。 また、「ロシェ チョコレート」で検索すると、上位9位のものすべて、請求人の「ロシェ チョコレート」に関するものである。 エ 甲第8号証は、インターネットを通じた、請求人の「ロシェ」チョコレートの通販サイト等である。そこには、以下のような広告・宣伝が掲載されている。 (ア)ヨーロッパ最大級の菓子メーカー「フェレロ社」まるで宝石を思わせる、きらびやかなゴールドのパッケージのチョコレート「ROCHER ロシェ」は日本でももうおなじみですね。1946年にイタリアに誕生して以来、妥協を許さないレシピで作られ続けています。 (イ)フェレロは、1946年にイタリアに誕生したヨーロッパ最大級のお菓子メーカー。そのフェレロの看板商品がROCHER(ロシェ)です。まるで宝石のようなゴールドのパッケージは世界中に知られています。・・・1粒に色々なおいしさがつまっている、イタリアの菓子職人のこだわりレシピです。 (ウ)製造元はご存知の方も多いかもしれませんが、ヨーロッパ最大級の菓子メーカー、イタリア「フェレロ社」のものです。宝石箱に見立てた透明なケースにロシェ(岩)が16粒(200g)入っています。 上記は一例であるが、このように、我が国においても、多数の販売業者を通じて、請求人の「Rocher/ロシェ」チョコレートは、宣伝・広告され、販売されてきている。このチョコレートの人気を反映したものと容易に理解できる。 オ 甲第9号証は、本件商標の出願日である2010年9月1日、その登録日である2011年2月23日以前の、2010年1月18日から同年2月14日、さらに、その後の2011年1月17日から2011年2月13日までになされた、「FERRERO ROCHER/フェレロ ロシェ」チョコレートの宣伝・広告のテレビ放送の内容(画像の一部)及び記録である。バレンタインデーの商戦にあわせたものであり、定期的にテレビを通じても広告・宣伝に努めている。 この宣伝には、「FERRERO ROCHER/フェレロ ロシェ」が顕著に示されているのがわかる。 カ 甲第10号証は、日本フェレロ社で作成された、本件商標の出願日前の「ROCHER」チョコレートの2008年9月から2009年8月迄の1年間(本件商標の出願日前)の我が国での売上高の記録である。この「ROCHER」「ロシェ」チョコレートだけでも、当該1年間に、8億円以上の売上高があった。 これら書証から、引用商標「FERRERO ROCHER/フェレロ ロシェ」及びその略称された商標「ROCHER/ロシェ」の使用されたチョコレートが、我が国において、本件商標の出願日の約30年前の1980年代より、我が国で販売開始され、年間8億円以上(2008年)の売上高があることは明らかであり、これらの長期の商品販売実績に照らして、上記引用商標及びその略称された商標「ROCHER/ロシェ」が、請求人の商品「チョコレート」の商標として、我が国において、周知・著名なものとなっているのは明らかというべきである。 (2)引用商標と本件商標との類似性 本件商標は、「RIZ ROCHER」の英文字からなるものであるが、「RIZ」と「ROCHER」になんらの意味のつながりもなく、請求人の上記周知・著名な商標「ROCHER」と同一文字を含んでいることが一目瞭然である。 すなわち、本件商標は、引用商標「FERRERO ROCHER」と要部において同一であり、かつ、この要部「ROCHER」は、上述のとおり、請求人の周知・著名な商標であり、よって、両商標は、要部において共通する類似する商標である。 かつ、本件商標の指定商品には、引用商標の指定商品であり、かつ、その使用に係る「チョコレート」を含んでいる。よって、本件商標は、他人の周知商標に類似するものであり、その使用に係る商品と同一商品を指定商品とするものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 また、本件商標の指定商品中、引用商標の使用に係る商品「チョコレート」と同じ類似範囲に含まれるチョコレート以外の菓子や、菓子と非類似の指定商品に使用された場合であっても、上記引用商標の周知・著名性に照らせば、取引者・需要者に、これら商品は、請求人の使用許諾の下に販売されているライセンス商品、ないし、請求人自身のシリーズ商品と、その商品の出所について、誤認・混同を与えるおそれがあるものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。 3 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について (1)引用商標「FERRERO ROCHER/フェレロ ロシェ」及びその略称された商標「ROCHER/ロシェ」の使用されたチョコレートは、我が国において、本件商標の出願日の約30年前の1980年代より、我が国で販売開始され、年間8億円以上(2008年)の売上高がある人気商品である。これら商品の人気・長期間にわたる販売実績に照らして、引用商標「FERRERO ROCHER/フェレロ ロシェ」及びその略称された商標「ROCHER/ロシェ」は、我が国においても、需要者に広く認識されている商標というべきである。 (2)このような状況において、この周知・著名な商標「ROCHER」の文字を含み、それと、特に意味の認識できない「RIZ」の文字を組み合わせただけの、「RIZ ROCHER」の本件商標を、引用商標の使用に係る商品と同一の「チョコレート」等の商品を指定商品として、商標登録しようとするのは、正に、請求人の築き上げた信用、ブランド力を盗用して、不当に利用しようとするものであって、不正の目的をもって使用をするものというべきである。 よって、本件商標を、上記指定商品に商標登録し、使用をしようとする行為は、国際的商取引の信用を害し、国際信義、ひいては公序良俗に反するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号にも該当する商標である。 4 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標は、「RIZ ROCHER」の英文字からなるものである。 これに対して、上記引用商標は、「FERRERO ROCHER」の文字からなり、その要部「ROCHER」において、共通する商標である。 かつ、上述のとおり、この要部「ROCHER」は、商品チョコレートについて、請求人の周知・著名な商標である。 また、上記引用商標は、すべて、本件商標の先願・先登録に係るものであり、かつ、引用商標の指定商品と本件商標の指定商品は、「チョコレート等菓子及びパン」について同一である。 よって、両商標は、その要部において共通する類似する商標である。 (2)また、この「ROCHER」の周知・著名性を考慮すれば、本件商標は、引用商標の一種のシリーズと誤認されるおそれがある。すなわち、取引の実情を考慮すれば、本件商標は、引用商標とその出所につき誤認混同の生じるおそれがある類似する商標と判断されるべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号にも該当する。 5 結語 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第7号及び同第19号、同第11号の規定に違反してなされたものであり、商標法第46条第1項の規定により無効にされるべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第36号証(枝番を含む。)を提出した。 答弁の理由 1 商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第19号について (1)請求人は、本件商標が引用商標に類似する理由として、両商標がその要部「ROCHER」において共通する旨述べている。 しかし、本件商標において、「ROCHER」部分は、「岩、岩石」の意味を有するフランス語であるが、ここから転じ、「ロシェ」や「ロッシェ」の語は、「ナッツ等で、岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレート」を表す、チョコレートの種類名として、一般的に認識、使用されている語であって、本件の指定商品中「チョコレート」の種類のひとつとして認識されているものにすぎない。 そうとすれば、本件商標の「ROCHER」部分が、個別の商品や特定の出所を表すものとして認識されている語ではないから、本件商標中、この部分が自他商品識別力を発揮することはなく、要部となることなど有り得ない。 したがって、本件商標から単に「ロシェ」又は「ロッシェ」のみの称呼を生ずることなどない。 (2)この「ROCHER」の語は、チョコレートの種類を表すものとして、認識されてきたものであり、当初は主にアーモンドを使用して、岩の様なゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレートに用いられていたものである。 例えば、1977(昭和52)年、株式会社柴田書店より発行された「La technique des bonbons au chocolat(製菓技術教本 チョコレート菓子)」(乙1の1)において、「ロッシェ・プラリネ(Rocher praline)」(77頁)が取り上げられ、その配合、製法が記載されており、左側にその写真が掲載されている。「プラリネ」とは、焙煎したナッツ類に加熱した砂糖を和えてカラメル化したものを指す為、「ロッシェ・プラリネ」とは、「プラリネ入りのロッシェ」程度の意味合いであり、実際に「◇配合」に「マス・プラリネ・オー・ザマンド 250g」と記載され、プラリネが使用されることがわかる。「◇製法」の「3.」を見ると、アーモンドで被覆される旨の記載が有り、完成写真を見ると、正に「ゴツゴツした岩の様な形状のチョコレート」であることがわかり、「ロッシェ」が上記意味合いで用いられていることは明らかである。なお、これは、請求人が製造販売する「Ferrero Rocher/フェレロシェ」に非常に似通った形状である(乙1の1)。 また、当該書籍の106頁においては、「ロッシェ・オー・ロム(Rocher au rhum」が取り上げられ、その配合、製法が記載されており、左上にその写真が掲載されている。「オー・ロム(au rhum)」の部分は、フランス語で「オー(au)」が「?の」、「ロム(rhum)」が「ラム酒」という意味であるから、「ロッシェ・オー・ロム(Rocher au rhum)」とは、「ラム酒風味のロッシェ」程度の意味合いであり、実際に「◇配合」に「ラム酒漬レーズン 200g」と記載され、ラム酒風味に仕上がるものであることがわかる。また、「◇配合」には、「細かく刻んで焼いたアーモンド 500g」と記載され、チョコレート全体にアーモンドが含まれていることが分かり、完成写真を見ると、こちらも同様に「ゴツゴツした岩の様な形状のチョコレート」であって、「ロッシェ」が上記意味合いで用いられている(乙1の2)。 この書籍は、上記したとおり1977年に発行されたものであるが、請求書の記載によると、請求人に係る「Ferrero Rocher/フェレロ ロシェ」は、1982年に発売を開始したものであるから、請求人が発売を開始したときには既に「ロッシェ」や「ロシェ」の語は、チョコレートの種類を表す語として、少なくとも製菓業界においては認識されていたものであるといえる。 (3)また、1989年に株式会社白水社より発行された「DICTIONNAIRE DES TERMES DE LA PATISSERIE FRANCAISE(洋菓子用語辞典)」において、「rocher[ロシェ]」の項目に「〔糖菓〕細切りアーモンドをクーヴェルテュールと混ぜ、小さな山形に固めたもの」(230頁)と説明されている。 さらに、1991年に株式会社主婦の友社より発行された「ENCYCLOPEDIE DE LA PATISSERIE」(洋菓子事典)においても、「ロシェ・オー・プラリーヌ rocher aux pralines」の項目に、「刻みアーモンド入りのチョコレートで被覆した一口菓子。プラリネなどを入れたガナッシュのセンターを、刻みアーモンド入りのチョコレートに浸す。表面が刻みアーモンドでごつごつした形になる。」(373頁)と説明されている。「オー・プラリーヌ(aux pralines)」の部分は、フランス語で「オー(aux)」が「?の」、「プラリーヌ(pralines)」が「プラリネ」という意味であるから、「ロシェ・オー・プラリーヌ(rocher aux pralines)」とは「プラリネ入りのロシェ」という意味合いである。ここでも、「ロシェ(rocher)」の語が「アーモンドで岩の様なごつごつした形状を表現したチョコレート」という意味合いで使用されているのは明らかである(乙3)。 (4)なお、現在においても、「ロシェ」や「ロッシェ」の語がこの様な意味合いで認識されていることに変わりはなく、本件商標の登録査定時前において、「ナッツ等で、岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレート」を表す語として一層一般的に用いられている状況が多数見受けられる。 例えば、2009年に株式会社誠文堂新光社より発行された「パティシエのためのスイーツ用語辞典」において、「ロシェ/rocher」の項目が有り、「細切りアーモンドとクーベルテュールを混ぜ、小さな山形に固めたもの」と説明されている(乙4)。 インターネット上においても、同様の説明がされている状況が見受けられ、農林水産省管轄の日本チョコレート・ココア協会のウェブサイトには、「チョコレートの基本用語」として、「ロシェ」が挙げられており、「ロシェ」(仏:rocher)の項目に「岩をあらわすフランス語が示すように、アーモンドなどで岩のゴツゴツ感を出したボンボン オ ショコラです。」と説明されている(乙5)。 (5)また、チョコレート専門店や洋菓子店においても、「ロシェ」や「ロッシェ」という名称をこの種のチョコレートに使用している状況が多数見受けられる。 例えば、2009年に株式会社青山出版社より発行された「ショコラの時間」という書籍には、有名なチョコレート専門店が数多く紹介されているが、「LE CHOCOLAT DE H/ル ショコラ ドゥ アッシュ」(84頁)にというチョコレート店が取り上げられており、ここで販売されている「ロッシェ」というチョコレートの写真が掲載されている。写真を見ると「ゴツゴツした岩の様な形状のチョコレート」であることが分かり、写真の下には、「サクサクしたヌガティーヌとプラリネアーモンドが香ばしいガナッシュ」という説明がある(乙6)。 ほかにも、2010年に株式会社講談社より発行された「世界の一流ショコラ図鑑」には、まず、「JEAN-PAUL HEVIN/シャン=ポール・エヴァン」(54頁)というチョコレート店が紹介されており、ここで販売されている「ロシェ」(55頁)というチョコレートが掲載されている。「アーモンドとヘーゼルナッツの香ばしいプラリネに、歯ざわりのいいヌガティーヌをふんだんにのせ、ミルクチョコレートでコーティングした」という説明が有り、写真からも「ゴツゴツした岩の様な形状のチョコレート」であることがわかる(乙7の1)。 次に、当該書籍には「BEL AMER/ベル アメール」(108頁)というチョコレート店が紹介され、ここで販売されている「ロッシェカカオ」(109頁)というチョコレートが掲載されている。写真を見ると、上記同様、「ゴツゴツした岩の様な形状のチョコレート」であることがわかる。なお、「カカオ」はチョコレートの原材料である植物の名前であり、「カカオ豆を砕いたカカオニブをプラスして包んでいる」という説明から、「カカオ」の風味が強い「ロッシェ」であることがわかる(乙7の2)。 上記は、何れも書籍に紹介される一流のチョコレート店に関する情報であり、こうした有名店においても、「ロシェ」や「ロッシェ」の語は、「ナッツ等で、岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレート」について使用されているものである。 (6)ほかにも、「ロシェ」や「ロッシェ」というチョコレートが多数の店から販売されている状況は、インターネット上においても知ることができる(乙8ないし乙36)。 (7)以上のとおり、「ROCHER」や「ロシェ」、「ロッシェ」の語は、請求人が「Ferrero Rocher/フェレロ ロシェ」を発売する1982年よりも以前から、「アーモンド等で岩のゴツゴツした感じを表現したチョコレート」を表す語として、現在に至るまで使用されてきた。さらに、現在においては、アーモンドに限らず、他のナッツ類や、コーンフレーク等も使用して「岩のゴツゴツした感じを表現したチョコレート」を指す語としてごく一般的に使用され、チョコレートの種類のひとつを表すものとして認識されていることは疑う余地が無い。換言すれば、この様な種類のチョコレートは、「ROCHER」や「ロシェ」、「ロッシェ」としか表現のしようがないものである。 (8)そうすると、本件商標中、「ROCHER」の文字は、上記した種類のチョコレートであることを表すにすぎず、自他商品識別力を発揮し得ない部分である。したがって、本件商標においてこの部分が要部になることなど有り得ないから、本件商標から単に「ロシェ」又は「ロッシェ」の称呼が出ることなど考えられない。本件商標からは、全体を一連にとらえた「リズロシェ」又は「リズロッシェ」の称呼か、識別力を発揮しない「ROCHER」の部分を捨象した「リズ」の称呼が出るのみである。 よって、本件商標が、引用商標と要部を共通する類似商標であることなど有り得ない。 したがって、本件商標は、引用商標に類似しない以上、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第19号に該当することなど有り得ない。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)上記のとおり、「ROCHER」の語は、チョコレートの種類を表すものにすぎず、特定の出所に係る表示と認識されるものではない。 なお、請求人は、『上記引用商標及びその略称された商標「ROCHER/ロシェ」が請求人の商品「チョコレート」の商標として、我が国において周知・著名なものとなっているのは明らかというべきである。』と述べている。 しかし、上記引用商標が周知・著名であったとしても、あくまでも「FERRERO ROCHER」又は「フェレロ ロシェ」として知られているものであって、単に「ROCHER/ロシェ」だけで、請求人に係るものとして認識されているわけではない。 このことは、「ROCHER」や、「ロシェ」、「ロッシェ」の語が、請求人とは、何ら関連の無い場面で、チョコレートの種類を表す語として、多数使用されてきた上記例からも明らかである。上記使用例において、請求人に係る商品であると誤認を生じている様な状況は、一切見受けられない。 さらに、請求人が、このチョコレートの人気を反映したものとして提示した、インターネットを通じた通販サイトにおける広告・宣伝の状況を示した甲第8号証についても、何れのウェブサイトにおいても「FERRERO ROCHER」や「フェレロ ロシェ」と記載されているものであり、「ROCHER」や「ロシェ」のみで請求人に係る商品であると認識されている状況は存在しない。 (2)なお、請求人は、「ひとつのパッケージの中のチョコレート菓子の数に応じて、『ロシェ T-3』、『ロシェ T-5』、『ロシェ T-8』、『ロシェ T-16』と命名し、さらに、包装ケースの形状によって、『ロシェ ダイヤモンド T-24』、『ロシェ ピコリペンシェリ T-4』、『ロシェ ハート T-8』のように使用している。また、『イタリアンチョコレートの代表「ロシェ」。用途広がる新仕様のゴールドトレー』というように、『ロシェ』のみを使用して、商品の広告宣伝を行なっている。」と主張し、甲第3号証及び甲第4号証を提示している。 しかし、「ロシェ T-3」とか「ロシェ T-5」、「ロシェ ダイヤモンド T-24」といった表示は、請求人も主張するように、個数、包装の形状によって商品を区別する為の品番として機能するものにすぎず、商標として機能するものではない。乙第3号証の該当ページにおいては、左上に「フェレロ ロシェ」の片仮名文字及び「FERRERO/ROCHER」の英文字が表示されていて、これらが商標としての機能を果たし、その下で、個数や包装の形状に依る様々なバリエーションを展開するに当たって、上記表示を便宜上用いているだけである。 また、上記「イタリアンチョコレートの代表『ロシェ』。用途広がる新仕様のゴールドトレー」の文字は、「ロシェ T-3」の表示の上に記載されているが、この部分は単なる説明にすぎず、「ロシェ」が商標として機能しているとは、到底いえない。 したがって、請求人が、略称された商標「ROCHER/ロシェ」を使用して、広告宣伝している状況は一切見受けられず、自らも「FERRERO ROCHER」又は「フェレロ ロシェ」という商標の下で販売活動を行っているものである。 (3)したがって、「ROCHER」や「ロシェ」は、請求人に係る商標として認識されているものとはいえず、むしろ特定の出所に係るものとして認識され得ない自他商品識別力のない語であるから、本件商標中に「ROCHER」の文字を含んでいたとしても、請求人又は関連する企業に係る商品であるとの誤認を生ずることなど考えられない。 また、「ROCHER」の語は「チョコレート」についてさえ請求人に係る商標として認識されているものではない以上、本件商標をチョコレート以外の本件指定商品に使用したところで、請求人又は関連する企業に係る商品であるとの誤認を生ずることなど有り得ない。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 3 商標法第4条第1項第7号について 上記してきたとおり、「ROCHER」や「ロシェ」、「ロッシェ」の語は「ナッツ等で、岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレート」についての種類名を表すものとして多数使用されている、自他商品識別力の無い独占適応性に欠ける語であって、請求人に係る商標として認識されているものではない。したがって、「ROCHER」の文字を含んだ本件商標を使用したからといって、請求人に係る商品であると認識されることなど有り得ず、請求人の築き上げた信用やブランド力を盗用できようはずがない。 もし、請求人の主張どおりであるとするならば、上記したチョコレート専門店や洋菓子店等における「ROCHER」や「ロシェ」、「ロッシェ」の語の多数の使用例についても、請求人の築き上げた信用やブランド力を盗用するものであるということになるが、上記使用例において、その様な意図は、見受けられない。 むしろ、「ROCHER」という何人も使用を欲する自他商品識別力の無い言葉を独占しようとし、この文字を含むというだけで、その商標登録を無効とするよう要求することこそが、広く公益に反し、取引秩序を乱し、製菓業界の発展をも阻害する許されない行為である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。 4 結び 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号、同第19号の何れにも該当するものではない。 第5 当審の判断 1 当事者の主張について 本件商標は、前記第1のとおり、「RIZ ROCHER」の欧文字を書してなり、「チョコレート」を含む第30類に属する商品を指定商品とするものである。 そして、請求人は、本件商標構成中の「ROCHER」の部分は請求人が「チョコレート」に使用して、周知、著名であることを前提に、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第19号又は同第7号に該当する旨主張するのに対して、被請求人は、本件商標構成中の「ROCHER」の部分は「岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレート」を表す、チョコレートの種類名として、一般に認識、使用されているものであって、自他商品識別力を発揮するものでなく、要部となり得ないから、請求人の主張は理由がない旨主張するものである。 そこで、以下、商品「チョコレート」との関係における「ROCHER」、「ロシェ」等について検討する。 2 「ROCHER」、「ロシェ」等について 「ROCHER」、「ロシェ」等について、被請求人の提出した乙各号証からは、以下の事実が認められる。 (1)書籍における「Rocher」、「ロシェ」等に関する記載について 1977(昭和52)年、株式会社柴田書店発行の「La technique des bonbons au chocolat」(「製菓技術教本 チョコレート菓子」)によれば、「ロッシェ・プラリネ(Rocher praline)」(77頁)及び「ロッシェ・オー・ロム(Rocher au rhum」(106頁)の配合、製法が、その写真とともに掲載されている(乙1の1及び2)。 1989年に株式会社白水社発行の「DICTIONNAIRE DES TERMES DE LA PATISSERIE FRANCAISE」(「洋菓子用語辞典」)によれば、「rocher[ロシェ]」について、「〔糖菓〕細切りアーモンドをクーヴェルテュールと混ぜ、小さな山形に固めたもの」(230頁、231頁)と説明されている(乙2)。 1991年に株式会社主婦の友社発行の「ENCYCLOPEDIE DE LA PATISSERIE」(「洋菓子事典」)によれば、「ロシェ・オー・プラリーヌ rocher aux pralines」について、「刻みアーモンド入りのチョコレートで被覆した一口菓子。プラリネなどを入れたガナッシュのセンターを、刻みアーモンド入りのチョコレートに浸す。表面が刻みアーモンドでごつごつした形になる。」(373頁)と説明されている(乙3)。 2009年に株式会社誠文堂新光社発行の「パティシエのためのスイーツ用語辞典」によれば、「ロシェ/rocher」について、「細切りアーモンドとクーベルテュールを混ぜ、小さな山形に固めたもの」と説明されている(乙4)。 2009年に株式会社青山出版社発行の「ショコラの時間」には、「LE CHOCOLAT DE H/ル ショコラ ドゥ アッシュ」(84頁)というチョコレート店で販売されている「ロッシェ」というチョコレートの写真が掲載されている(乙6)。 2010年に株式会社講談社発行の「世界の一流ショコラ図鑑」には、「JEAN-PAUL HEVIN/シャン=ポール・エヴァン」(54頁)というチョコレート店で販売されている「ロシェ」(54頁ないし55頁)というチョコレートが掲載されており(乙7の1)、「BEL AMER/ベル アメール」(108頁ないし109頁)というチョコレート店で販売されている「ロッシェカカオ」というチョコレートが掲載されている(乙7の2)。 (2)インターネット上における「Rocher」、「ロシェ」等に関する記載について 日本チョコレート・ココア協会のウェブサイトには、「チョコレートのいろいろ」として、「ロシェ」が挙げられており、「ロシェ(仏:rocher)」の項目に「岩をあらわすフランス語が示すように、アーモンドなどで岩のゴツゴツ感を出したボンボン オ ショコラです。」と説明されている(乙5)。 インターネット上のショッピングサイトにおいて、「ROCHER」、「ロシェ」又は「ロッシェ」について、フランス語で「ROCHER」とは「岩」を意味し、見た目は「岩」のようにごつごつしているチョコレート菓子との記載が、その写真と共に掲載されている(乙13、乙14、乙20(2、5、10頁)、乙22ないし乙25)。 (3)上記の記載事実によれば、「ROCHER」、「ロシェ」等の語は、本件商標の出願時及び査定前より、ナッツ等で岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレートを表す語として、少なくとも製菓業界においては、普通に使用され、認識されていたものであるといえる。 そうとすれば、本件商標構成中の「ROCHER」の部分は、その指定商品中「チョコレート」との関係においては、自他商品の識別機能を果たし得ないものというべきである。 (4)これに対し請求人は、引用商標及びこれを略称した「Rocher/ロシェ」を自己のチョコレート事業に係る商品に使用し、我が国において周知、著名なものとなっている旨主張している。 しかしながら、請求人の提出した全証拠から、引用商標がチョコレート菓子に使用され相当程度知られているとしても、「チョコレート」に「Rocher/ロシェ」の文字は、単独で使用されておらず、「FERRERO ROCHER」及び「フェレロ ロシェ」と個包装や詰め合わせされた岩の形状のチョコレートの写真と共に使用されているから、これに接する需要者が「Rocher/ロシェ」の部分が請求人の業務に係る商標として認識されているとはいい難い。 したがって、請求人の使用する商標中「Rocher/ロシェ」が請求人の業務に係る商標として、我が国の需要者の間において広く認識されているとはいえず、かつ、著名なものとなっているとはいえない。 3 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、前記のとおり、「RIZ ROCHER」の文字を書してなるものである。 他方、引用商標1は、別掲(1)のとおり、縁取りに飾り模様を施した楕円輪郭内に小さいゴシック体の「FERRERO」の欧文字と大きな筆記体風の「Rocher」の欧文字を表してなるものである。 引用商標2は、「FERRERO ROCHER」の欧文字を書してなるものである。 引用商標3は、別掲(2)のとおり、二重楕円輪郭内に「FERRERO」の欧文字と「ROCHER」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものである。 引用商標4は、別掲(3)のとおり、その構成中上部に、「FERRERO」の欧文字と「ROCHER」の欧文字を併記し、下部に図形を配してなるものである。 本件商標と引用商標は、前記のとおり、その構成中に「ROCHER」または「Rocher」の欧文字を有するところ、前記1の認定のとおり、指定商品「チョコレート」との関係において、「ナッツ等で、岩のゴツゴツした感じを表現した形状のチョコレート」を意味する商品の普通名称、若しくは、商品の形状、品質を表すにすぎないものであるから、これよりは出所識別標識としての称呼は生じ得ないものである。 そうとすれば、本件商標からは、「リズロシェ」及び「リズロッシェ」の一連の称呼のほか、前半の「RIZ」の部分より「リズ」の称呼を生ずるものと認められる。 他方、引用商標からは、「FERRERO」及び「Rocher」又は「ROCHER」の構成文字に相応して「フェレロシェ」及び「フェレロッチェ」の一連の称呼のほか、「FERRERO」の部分より、「フェレロ」の称呼を生ずるものと認められる。 してみれば、本件商標及び引用商標からは、「ロシェ」「ロッシェ」のみの称呼を生ずるということはできないから、両商標から「ロシェ」「ロッシェ」の称呼を生ずることを前提に、本件商標と引用商標とが称呼上類似するものであるとする請求人の主張は理由がない。 また、両商標は、それぞれの構成に照らし、外観上区別し得る差異を有しており、いずれも親しまれた既成の観念を有する語を表したものともいえないから、観念上両者を比較することはできない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、両商標の指定商品の類否について論及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について 引用商標は、前記2の使用に係る商標と実質的に同一であるから、その構成中の「ROCHER」の文字が、前記認定のとおり、需要者に広く認識されたものとはいえない。 また、引用商標は、本件商標と前記3のとおり、類似するものでもない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 また、前記のとおり、引用商標構成中の「ROCHER」「Rocher」の著名性が認められず、本件商標と引用商標が類似していない以上、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者が、引用商標を想起し連想して、当該商品を請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとは認められず、他人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあったと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号及び同第19号該当性について 引用商標構成中の「ROCHER」又は「Rocher」の文字部分は、前記のとおり、周知、著名なものではない。そうである以上、本件商標の使用は、引用商標の出所表示機能を希釈化し、業務上の信用を棄損することにつながり、請求人並びに取引者、需要者に不利益を与える結果となるものとはいえず、結局、本件商標が不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の目的)で出願し、登録を受けたものともいえない。また、本件商標が、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標ということもできない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同第7号に該当しない。 6 結び 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号又は同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)引用商標1 (2)引用商標3 (3)引用商標4 (色彩については原本参照) |
審理終結日 | 2012-07-23 |
結審通知日 | 2012-07-25 |
審決日 | 2012-09-04 |
出願番号 | 商願2010-68889(T2010-68889) |
審決分類 |
T
1
11・
25-
Y
(X30)
T 1 11・ 22- Y (X30) T 1 11・ 271- Y (X30) T 1 11・ 222- Y (X30) T 1 11・ 262- Y (X30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 鈴木 修 |
登録日 | 2011-02-25 |
登録番号 | 商標登録第5394281号(T5394281) |
商標の称呼 | リズロシェ、リズロシェール、リズ、アアルアイゼット、ロシェ、ロシェール |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 亀川 義示 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 石川 順道 |
代理人 | 辻野 彩子 |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 井滝 裕敬 |