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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
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審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1268511 
異議申立番号 異議2012-900126 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-05-14 
確定日 2013-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5470366号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5470366号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5470366号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEXTPHASE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年9月1日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同24年1月11日に登録査定、同年2月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第8号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
(1)申立人の引用する商標
申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次のとおりの商標であり(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第2272314号商標は、「NEXT」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年2月27日に登録出願、平成2年10月31日に設定登録されたものであり、その商標権は、第20類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
イ 登録第2272315号商標は、「ネクスト」の片仮名を横書きしてなり、昭和60年2月27日に登録出願、平成2年10月31日に設定登録されたものであり、その商標権は、第20類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
ウ 登録第4845247号商標は、「NEXT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年3月26日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年3月11日に設定登録されたものである。
エ 登録第5406709号商標は、「NEXT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年6月30日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同23年4月15日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の指定商品中「被服,履物」と引用商標の指定商品及び指定役務とは同一又は類似である。
イ 本件商標は、「NEXT」と「PHASE」の両語を結合した商標であるが、これが全体として特定の意味合いを有する一連の語句として一般に知られているものではないので、「ネクストフェーズ」と常に一体不可分のものとして把握すべき格別の理由はない。引用商標が世界的に著名になっている点を考慮すれば、本件商標の前半部分に着目して「ネクスト」の称呼を生ずる可能性は極めて高いものといえる。さらに、本件商標中、「NEXT」の語は語頭部に位置することで印象に残りやすいため、「NEXT」の語をもって取引にあたる場合も多いと判断するのが取引の実情に照らして相当である。
ウ 引用商標は、いずれも「ネクスト」の称呼を生じ、「次の、隣の」等の観念を生じること明らかである。
エ してみると、本件商標と引用商標とは、「ネクスト」の称呼、及び「次の、隣の」等の観念を共通にするから、全体の外観の差異を考慮するとしても、類似の商標というべきである。
オ したがって、上記指定商品について、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標及び「next」商標(以下、両商標をあわせて「申立人商標」という。)は、申立人及びその関連会社を含むネクストグループのハウスマークである。これらの商標は、我が国において「被服」「靴類」「かばん類」及び「身飾品」等について永年にわたって使用された結果、遅くとも本件商標が出願された平成23年9月1日には周知著名の域に達しており、また本件商標の登録査定時においても同様に周知著名となっている事実がある。
イ 申立人及びそのグループ会社について
(ア)申立人及びそのグループ会社は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、今から30年前の1982年、「NEXT」ブランドの婦人服、婦人靴、婦人向けアクセサリーの販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へと展開し幅広い商品を継続して取り扱っている。現在ではイギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む世界30か国において約200の店舗を有する巨大企業である。(甲6)
また、イギリス国内のみならず、日本を含む世界50か国を超える国においてオンラインショッピングを提供している(甲7)。
更に、申立人のグループ全体の2012年1月期末の年間総収入は34億ポンド(約4,460億円)であり、税引前の利益は5.7億ポンド(約747億円)にも達している(甲6)。
ところで、申立人のグループ会社「ネクスト ピー エル シー」は、平成24年7月から開催されたロンドンオリンピック及びロンドンパラリンピックにおける公式衣料サプライヤーに選ばれており、開会式及び閉会式においてイギリス代表の男子選手、女子選手や組織委員らが着用するユニフォームやスーツを提供するほか、選手村で使用される寝具類等を提供することが決定した(甲9、甲10)。オリンピックの公式サプライヤーに選ばれた事実から見て、申立人のグループ会社が有力企業であることは明らかであり、加えて、公式サプライヤーになることで絶大な広告宣伝効果が得られることは容易に想像できる。また、申立人のグループ会社は、ロンドンオリンピック及びパラリンピックにおけるイギリス選手団のサポーター用の公式グッズであるスカーフを販売し、このスカーフ販売による全収益はイギリスオリンピック委員会及びイギリスパラリンピック委員会へ贈られることになっている(甲11)。加えてNext Plcは、社会貢献の一環として、2012年ロンドンオリンピックの候補選手7名を「Team Next」として支援する旨表明しており、スポーツ業界の発展に尽力している(甲12)。
(イ)日本においては、ゼビオ株式会社(以下「ゼビオ社」という。)が、1997年、イギリス最大の製造小売業ブランドであるNEXT社と提携し(甲13)、「next」の名称で自由が丘、横浜、仙台等において14店舗を運営し(甲14)、NEXT製品を継続して販売している。更に、「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服、紳士服、乳幼児服及び子供服を販売するオンラインショップも運営(甲15)されている。
なお、申立人は、2007年にブランド創設25周年を迎え、ネクストグループのブランドのロゴを、「NEXT」から「next」へ変更したが、両商標は社会通念上同一の商標であるといえる。
(ウ)申立人商標の使用状況及び宣伝広告について
本件商標の出願日前から申立人商標が積極的に使用された結果、周知著名に至ったことを示す証拠の一例として、甲第16号証ないし甲第34号証を提出する。
(エ)小括
上記(ア)、(イ)及び甲第16号証ないし甲第34号証から、申立人及びそのグループ会社が有する「NEXT」及び「next」ブランドは、本国のイギリスはもとより日本を含む世界で広く知られていることがわかる。
ウ したがって、申立人の周知著名商標を明瞭に含む本件商標が、その指定商品について使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、その商品があたかも申立人又はその関連会社と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同するおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、世界的に有名なイギリスの被服等のブランド名と同じ「NEXT」の語を明瞭に含んでいることから、本件商標は、申立人及びそのグループ会社のブランド「NEXT」及び「next」を容易に想起させるものであり、本件商標の権利者は、「NEXT」や「next」の名声を利用し、その信用にただ乗りする意図を持って、商標登録したものである。
したがって、本件商標は、不正の利益を得る目的をもって使用されるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第8号について
申立人の法人名称の要部は「Next」であり、申立人は「Next」(ネクスト)及び「next」と略称されている。
ゼビオ社のホームページ(甲13)に「NEXT社と提携・・・」と記載があることからも「Next」「NEXT」及び「next」が申立人の名称として使用されている。
また、本件商標の出願前及び登録査定時において、申立人の名称の略称が「被服」等の需要者及び取引者間において周知著名となっていた。
したがって、本件商標は、他人である申立人及びその関連会社であるネクストグループの名称の著名な略称である「NEXT」を明瞭に含んでおり、また申立人らの承諾も得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人商標等の周知著名性について
ア 申立人提出の証拠、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人及びそのグループ会社(以下「申立人等」という。)は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、1982年に「NEXT」ブランドの婦人服、婦人靴、婦人向けアクセサリーの販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へと展開し幅広い商品を継続して取扱っている。現在ではイギリス、アイルランドに500以上の店舗及び日本を含む30以上の国において約200店舗を有する企業であり(甲6)、本年5月時点で50以上の国においてオンラインショッピングを提供している(甲7。なお、本年11月現在では61か国で提供している。)。また、申立人のグループ全体の2012年1月期末の年間総収入は34億ポンド(約4,460億円)である(甲6)。
(イ)申立人等は、我が国において1997年にゼビオ社と提携し(甲13)、「next」の名称で本年4月時点で自由が丘、横浜、仙台等において14店舗を運営し(甲14。なお、本年11月現在では16店舗を運営。)、NEXT製品を継続して販売している。また、申立人等は遅くとも本年4月から「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服、紳士服、乳幼児服及び子供服を販売するオンラインショップを運営(甲15)している。
(ウ)本件商標の登録出願の日前から、申立人商標が表示された被服等のカタログ、チラシなどが作成され(甲18、甲19、甲21?甲23)、申立人等の商品がインターネットや雑誌で紹介され(甲26?甲33)、及び申立人等の幹部の取材記事が雑誌に掲載された(甲34)。
(エ)申立人は、我が国において、本件商標の登録出願の日前から「NEXT」又は「ネクスト」の文字からなる登録商標4件を所有している(甲2?甲5)。
イ 上記アの事実からすれば、申立人商標は、英国を中心に被服等について本件商標の登録出願の日前から使用され、我が国においても申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、ある程度知られているものと認めることができる。
しかしながら、本件商標の登録出願の日ないし登録査定日前の、我が国における商品の売上高、販売数量など取引規模は不明であるし、カタログやチラシの作成回数も少なく、その配布部数、方法なども不明であり、さらに雑誌等の掲載回数も少なく、その内容も不明であることから、申立人商標は、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできない。
また、「Next」「ネクスト」「NEXT」又は「next」は、これが申立人等の略称として用いられている証拠といい得るのは甲第13号証のみであること及び該語が「次(の)」などを意味する親しまれた英語の成語であることから、我が国の需要者の間で申立人等の著名な略称として認識されているものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、上記1のとおり、「NEXTPHASE」の文字からなり、外観上まとまりよく一体に表されているものであり、これより生ずる「ネクストフェーズ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、かつ「次の段階」のごとき意味合い(観念)を認識させるものである。
そうすると、本件商標は、該構成文字全体に相応して「ネクストフェーズ」の称呼のみを生じ、「次の段階」のごとき意味合い(観念)を認識させる一体不可分のものと認識されるものとみるのが自然である。
そして、本件商標は、その構成中「NEXT」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、あるいはそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認めるに足る事情は見いだせない。
してみれば、本件商標から「NEXT」の文字部分が独立して認識されることを前提としたうえで、本件商標と引用商標とが称呼、観念及び外観において類似するものとする申立人の主張は、その前提において失当である。
イ 他方、引用商標は「NEXT」又は「ネクスト」の文字からなり、「ネクスト」の称呼、「次(の)」の観念を生じるものである。
ウ そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、その外観、称呼及び観念はそれぞれ前述のとおりであるから、いずれの点からみても相紛れるおそれのないこと明かな非類似の商標である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の理由は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 上記(1)のとおり、申立人商標は本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできないものである。
イ 本件商標は、上記(2)と同様の理由により、申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
ウ 上記ア及びイに加え、申立人商標を構成する「NEXT」「ネクスト」及び「next」の語が「次(の)」などを意味する語として我が国において親しまれた成語であることをあわせみれば、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして申立人商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
申立人商標は、上記(1)のとおり、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできないばかりでなく、本件商標は、上記(3)イのとおり、申立人商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
さらに、商標権者が不正の目的を持って本件商標を使用するものであると認めるに足りる証左は見いだせない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとはいえない。
(5)商標法第4条第1項第8号について
「Next」「ネクスト」「NEXT」又は「next」が、申立人等の著名な略称として認められないことは上記(1)のとおりであり、かつ、上記(2)のとおり、本件商標は構成全体として一体不可分のものとして認識されるとみるのが相当であるから、本件商標は、他人(申立人等)の著名な略称を含む商標に該当しないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-12-21 
出願番号 商願2011-62890(T2011-62890) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X25)
T 1 651・ 222- Y (X25)
T 1 651・ 23- Y (X25)
T 1 651・ 271- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 堀内 仁子
梶原 良子
登録日 2012-02-10 
登録番号 商標登録第5470366号(T5470366) 
権利者 木下 貴之
商標の称呼 ネクストフェーズ、ネキストフェーズ 
代理人 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 

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