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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X30 審判 全部申立て 登録を維持 X30 審判 全部申立て 登録を維持 X30 審判 全部申立て 登録を維持 X30 審判 全部申立て 登録を維持 X30 |
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管理番号 | 1268500 |
異議申立番号 | 異議2012-900171 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-06-18 |
確定日 | 2012-12-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5479186号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5479186号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5479186号商標(以下「本件商標」という。)は、「EMERALD」の欧文字と「エメラルド」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成23年10月26日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同24年2月27日に登録査定、同年3月16日に設定登録されたものである。 2 本件登録異議申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号及び同第19号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第162号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人が引用する商標 申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次の登録商標(以下、それらをまとめていうときは「引用商標」という。)であり、それらの商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。 ア 登録第1795139号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和46年12月10日に登録出願、同60年7月29日に設定登録され、指定商品を第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とするものである。 イ 登録第5302830号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成21年7月7日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同22年2月19日に設定登録されたものである。 ウ 登録第4473885号商標(以下「引用商標3」という。)は、「EMERALD MOUNTAIN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成12年1月25日に登録出願、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年5月11日に設定登録されたものである。 (2)具体的な理由 ア 商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標及び引用商標中の「EMERALD」の文字は、宝石エメラルドを意味するものであり、また、引用商標中の「MOUNTAIN」の文字は、コーヒー豆等コーヒーの商標には多数使用され識別力が弱いものであるから、引用商標の要部は「EMERALD」の文字にある。したがって、本件商標と引用商標の要部「EMERALD」とは同一であり、ともに「宝石エメラルド」を観念させ、「エメラルド」の称呼が生じるものである。 よって、本件商標と引用商標は、称呼・観念において同一であり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 イ 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について 商標「EMERALD MOUNTAIN」(エメラルドマウンテン)は、申立人の厳しい品質検査により、コロンビアコーヒーの全生産量のトップ1%の豆だけに認定される商標である。我が国では、1970年(昭和45年)の万国博覧会で、初めて紹介され、その後1989年(平成元年)より、最高品質のコロンビア産コーヒーとして販売されてきた。また、1994年(平成6年)より、同コーヒー豆を使用した缶コーヒー「GEORGIA EMERALD MOUNTAIN BLEND」が販売され、当該商品は、缶コーヒーの市場でトップクラスの売上高を維持している。さらに、日本における多数のコーヒー豆販売業者を通じて、「EMERALD MOUNTAIN」(エメラルドマウンテン)コーヒー豆は、継続的に販売されてきている。 このような、販売開始から40年以上にも及ぶ販売、販売促進活動及び引用商標の使用によって、商標「EMERALD MOUNTAIN」は、本件商標の出願日前より、商品「焙煎したコーヒー豆及び生のコーヒー豆」について、我が国において周知・著名なものとなっている。 したがって、本件商標が、「焙煎したコーヒー豆」やその他の「コーヒー」に使用されれば、該商品が申立人の提供するもの、又は、それと経済的又は組織的に何らかの関係のある者の提供に係るものと、その商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。 ウ 商標法第4条第1項第7号及び同第19号該当性について 商標「EMERALD MOUNTAIN」は、販売開始から40年以上にも及ぶ販売、販売促進活動及びその使用によって、引用商標の指定商品である「焙煎したコーヒー豆及び生のコーヒー豆」の商標として、本件商標の出願日前より、我が国において周知・著名なものとなっている。 本件商標は、引用商標の要部である「EMERALD」からなるものであり、ともに「エメラルド」の称呼及び「宝石エメラルド」を観念させるものである。また、本件商標は、申立人の承諾なく、商標登録するものである。 したがって、引用商標と類似する本件商標を、申立人に無断で登録し使用しようとする行為は、引用商標の信用に不当にフリーライドしようとするものであることは明らかである。また、品質の劣ったコーヒー豆に本件商標が使用されれば、引用商標に化体した業務上の信用を害するものであり、商品の国際的取引秩序を害し、国際信義ひいては公序良俗に反するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号にも該当する。 4 当審の判断 (1)商標「EMERALD MOUNTAIN」の周知・著名性について 申立人提出の証拠(甲5?38、甲40?甲156、甲158、甲159、甲161及び甲162)及び同人の主張によれば、「EMERALD MOUNTAIN COFFEE(エメラルドマウンテンコーヒー)」及び「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」の表示(以下「使用商標」という。)は、申立人の生産するコロンビア産コーヒー豆の中でも最高級のコーヒー豆を表示するものとして、本件商標の登録出願の時には既に、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたというのが相当であり、かつ、その周知・著名性は、本件商標の登録査定日においても継続していたものと推認することができる。 しかしながら、「EMERALD」又は「エメラルド」の文字が単独で使用されている事実、及び「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」の表示が、単に「EMERALD」又は「エメラルド」と略称されて使用されている事実は、いずれも申立人が提出した全証拠によっても認めることができないし、また、他に、「EMERALD」又は「エメラルド」が、申立人の生産するコーヒー豆を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていると認めるに足る証拠は見いだせない。そうすると、「EMERALD」又は「エメラルド」の文字は、申立人のコーヒー豆を表示するものとして我が国の取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないといわなければならない。 なお、1994年(平成6年)には、申立人の生産する「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」のコーヒー豆を使用した缶コーヒーが、「GEORGIA/ジョージア」ブランドのもとに、「GEORGIA EMERALD MOUNTAIN BLEND(ジョージアエメラルドマウンテンブレンド)」として、日本コカ・コーラ株式会社から発売され、当該商品は発売以来、食品関連の新聞紙上に頻繁に掲載されるなど、缶コーヒー分野ではその動向が注視されてきた(甲151など)。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「EMERALD」と「エメラルド」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「エメラルド」の称呼を生じ、「(宝石ないし鉱石としての)エメラルド」及び「エメラルド色」の観念を生じるものといえる。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は、別掲(1)のとおり、「COLOMBIA」と「EMERALD MOUNTAIN COFFEE」の文字からなり、その指定商品である「コロンビア産のコーヒー及びコーヒーシロップ」との関係から、上段の「COLOMBIA」の文字部分は商品の産地を、下段の「COFFEE」の文字部分は商品の名称などを、それぞれ表すものであり、いずれの文字部分も自他商品の識別機能を有しないものといえる。 一方、引用商標1の構成中「EMERALD MOUNTAIN」の文字は、上記(1)認定のとおり、申立人のコーヒー豆を表示するものとして我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるから、強い自他商品の識別機能を有するものといえる。 しかしながら、上記(1)のとおり、「EMERALD」の文字が申立人のコーヒー豆を表示するものとして我が国の取引者・需要者の間に広く認識されているものとは認められないし、他に、該文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、引用商標1は、これに接する取引者・需要者をして、その構成中の「EMERALD MOUNTAIN」の文字全体をもって、申立人のコーヒー豆を表示するものと認識させるというのが相当である。 してみれば、引用商標1は、その構成文字全体のほか、その構成中「EMERALD MOUNTAIN」の文字部分など該文字を含む部分を分離抽出し得るとしても、「EMERALD」の文字部分を分離抽出して他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されないものというべきである。 したがって、引用商標1は、その構成文字全体及び「EMERALD MOUNTAIN」の文字部分などから、「コロンビアエメラルドマウンテンコーヒー」「エメラルドマウンテンコーヒー」「エメラルドマウンテン」などの称呼を生じ、「(申立人のブランドとしての)エメラルドマウンテン」などの観念を生じるものということができるが、単に「エメラルド」の称呼及び「(宝石ないし鉱石としての)エメラルド」「エメラルド色」の観念は生じないものといわなければならない。 (イ)引用商標2は、別掲(2)のとおり、緑色を施した横長八角形内に、該図形の輪郭内に沿って白抜きの輪郭(一部は輪郭を形成していない。)を配し、該白抜きの輪郭内に、「EMERALD」と「MOUNTAIN」の文字を白抜きで二段に表した構成からなり、「EMERALD」と「MOUNTAIN」の文字が、上記(ア)で認定した引用商標1における「EMERALD MOUNTAIN」の文字部分と同様の理由により、「エメラルドマウンテン」の一連の称呼のみを生じ、「(申立人のブランドとしての)エメラルドマウンテン」の観念を生じるものということができるが、単に「エメラルド」の称呼及び「(宝石ないし鉱石としての)エメラルド」「エメラルド色」の観念は生じないものといわなければならない。 (ウ)引用商標3は、上記2(1)ウのとおり、「EMERALD MOUNRTAIN」の文字からなるものであり、該文字は上記(ア)で認定した引用商標1における「EMERALD MOUNTAIN」の文字部分と同様の理由により、「エメラルドマウンテン」の一連の称呼のみを生じ、「(申立人のブランドとしての)エメラルドマウンテン」の観念を生じるものということができるが、単に「エメラルド」の称呼及び「(宝石ないし鉱石としての)エメラルド」「エメラルド色」の観念は生じないものといわなければならない。 (エ)したがって、引用商標は、「エメラルドマウンテン」などの称呼、「(申立人のブランドとしての)エメラルドマウンテン」などの観念を生じるものの、単に「エメラルド」の称呼及び「(宝石ないし鉱石としての)エメラルド」「エメラルド色」の観念は生じないものといわなければならない。 この点に関し、申立人は、引用商標中の「MOUNTAIN」の文字部分は、コーヒー豆等コーヒーの商標には多数使用され、識別力が弱いものであるから、本件商標と引用商標は、共に「宝石エメラルド」の観念及び「エメラルド」の称呼が生じる旨主張し、甲第157号証、甲第160号証及び甲第161号証を提出している。 しかしながら、これら証拠に記載された、例えば「Blue Mountain」「Mountain Blend」「Royal Mountain」「Caribbean Mountain」「Coral Mountain」などの表示が、単に「Blue」「Blend」「Royal」「Caribbean」「Coral」などと略称されて使用されている事実を裏付ける証拠はなく、引用商標中の「EMERALD MOUNTAIN」の文字が上記(1)認定のとおり、申立人のコーヒー豆を表示するものとして我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるから、引用商標は、上記認定のとおり、「エメラルド」の称呼及び「宝石エメラルド」の観念は生じないといわなければならない。 したがって、上記申立人の主張は採用することができない。 ウ 本件商標と引用商標との対比 本件商標と引用商標は、上記ア、イ(ア)ないし(ウ)のとおりの構成からなるものであるから、外観上明確に区別し得る差異を有するものである。 また、本件商標から生じる「エメラルド」の称呼と引用商標から生じる「エメラルドマウンテン」などの称呼は、「マウンテン」などの音の有無の差異を有するものであるから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者を一連に称呼しても互いに紛れるおそれはないものである。 さらに、本件商標から生じる「(宝石ないし鉱石としての)エメラルド」「エメラルド色」の観念と引用商標から生じる「(申立人のブランドとしての)エメラルドマウンテン」などの観念とは、明らかに相違するものである。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について 上記(1)認定のとおり、「EMERALD MOUNTAIN COFFEE(エメラルドマウンテンコーヒー)」及び「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」の表示(使用商標)は、申立人のコーヒー豆を表示するものとして、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。 しかしながら、本件商標と使用商標は、上記(2)で認定した本件商標と引用商標と同様の理由により、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標に接する取引者・需要者が、使用商標を直ちに想起又は連想するものとみることはできない。してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのない商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する商標と認めることはできない。 (4)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について 本件商標が、使用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記(3)認定のとおりである。 そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情が存するものということはできず、かつ、使用商標の周知著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものであるということもできない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当すると認めるべき理由も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する商標と認めることはできない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)引用商標1 (2)引用商標2 (色彩については原本参照。) |
異議決定日 | 2012-12-05 |
出願番号 | 商願2011-76870(T2011-76870) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X30)
T 1 651・ 222- Y (X30) T 1 651・ 26- Y (X30) T 1 651・ 25- Y (X30) T 1 651・ 22- Y (X30) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 梶原 良子 |
登録日 | 2012-03-16 |
登録番号 | 商標登録第5479186号(T5479186) |
権利者 | ザ コカ・コーラ カンパニー |
商標の称呼 | エメラルド |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 東谷 幸浩 |