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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1268465 
審判番号 取消2012-300454 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-05-30 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5020859号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5020859号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年4月5日に登録出願、第9類「電子応用静電複写機,プリンター,ファクシミリ,パソコン,通信用サーバー,電話機,コンピュータソフトウェア,パソコン用周辺機器,その他電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケ?ブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成19年1月26日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成24年6月18日にされている。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、登録第5020859号商標の指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁の理由
ア 電池について
被請求人は、パナソニック株式会社(以下「パナ社」という。)製急速充電器「BQ-CC08」、及び単3形ニッケル水素電池4本入り「HHR-3LWS/4B」の財団法人保安電子通信技術協会(以下「保安電子協会」という。)試験第二部に対する販売を行ったと主張するとともに、その販売において本件商標を使用したと主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出しているところ、これらによれば、被請求人がパナ社製急速充電器「BQ-CC08」、及び単3形ニッケル水素電池4本入り「HHR-3LWS/4B」について、保安電子協会に対する販売を行ったというのは事実かもしれない。
しかしながら、被請求人は、請求書(乙1)に、本件商標の表示をしているが、当該請求書は、電池についての広告を行うためのものではなく、展示や頒布がなされていないし、電磁的方法による提供もされていないから、被請求人が請求書に本件商標を付してその電池の購入者に引渡す行為の証明のみでは、商標の使用の事実が立証されていない。
また、乙第1号証の請求書の「コード・商品名」欄の「DIBQ-CC08Panasonic単3・単4急速充電器BQ-CC08」、「DIHHR-3LWS/4BPanasonic電池単3形4本HHR-3LWS/4B」という記載からも明らかなように、被請求人と取引相手(保安電子協会)との間で取引の対象となる商品の特定に用いられている識別標識は、「Panasonic」という社名(あるいは商標)を示す文字と「BQ-CC08」等のコードであって、本件商標ではない。
つまり、乙第1号証の請求書に本件商標の表示があったとしても、本件商標が商品「急速充電器、電池」を対象とする商品商標として使用されていないということを意味することから、被請求人は、本件商標を、商品「電池」に対して使用していない。
イ 配電用又は制御用の機械器具について
被請求人は、乙第4号証として「日東工業株式会社」(以下「日東社」という。)の商品総合カタログを提示し、このカタログ記載の配電設備の機器を使用して配電設置工事を行っている。加えて、「配電用又は制御用の機械器具の設置工事自体は、役務ではあるが、工事に際し、工事料と配電盤等の各種物品の代金と別項目で請求をしており、これらの物品の販売も行っているものである。このときの取引に際して、取引書類としては、前述の請求書等の複写ものを使用している。」旨主張している。
しかしながら、被請求人は、1)カタログ記載の配電設備の機器を使用して配電設置工事を行っていること、2)工事に際し、工事料と配電盤等の各種物品の代金と別項目で請求をしており、これらの物品の販売も行っていること、3)このときの取引に際して、取引書類としては、前述の請求書等の複写ものを使用していること、の3点を主張しているものの、その立証のために被請求人が示した乙第4号証は、日東社が自社製品紹介のため、平成24年4月1日に発行した総合カタログの裏表紙の、当該カタログの配布者等を示すために予め設けられていた空欄に、被請求人の名称、住所等と本件商標とがスタンプで押印されているという事実を示すのみである。
いい換えれば、乙第4号証は、他人の総合カタログに被請求人が本件商標をスタンプで押印したことがあるという事実を示すのみである。乙第4号証が、被請求人がそれなりの費用をかけて作成した印刷物などであれば、被請求人がそれを展示し又は頒布したことをも推認できるかもしれないが、他人の総合カタログにスタンプを押したという事実からは、被請求人が当該カタログを展示や頒布したことがあるかどうかは明らかでない。つまり、被請求人は、上記1)?3)について何の証拠も提示していない。
以上のように、答弁書の「(3)配電用又は制御用の機械器具について」の項における被請求人の主張には、一切の裏付けがないものであり、仮に、最大限譲歩して、被請求人が、「配電用又は制御用の機械器具」の販売を行っており、且つその販売に際して乙第4号証の総合カタログを用いていたとしても、その際に取引書類として用いられるのは、「前述の請求書等の複写もの」なのであるから、取引の対象となる商品は、『「日東社」の「○○○(商品名、又はコード)」』のような形式で特定されることとなる。
したがって、本件商標は「配電用又は制御用の機械器具」を識別するための識別標識として機能していない。
前記アの説明と同様の理由で、被請求人は、本件商標を、商品「配電用又は制御用の機械器具」に対して使用していない。
(3)役務商標との関係
以下は前記ア及びイの双方に妥当する。
ある商標を商品の販売の役務の提供についてのみ使用しているという事実が、販売の対象となっている商品にその商標を使用していないという結論を直ちには導かないという考え方が成立する可能性は僅かにではあるが存在する。たとえば、商品の販売を行う際に登録商標を用いた商品に関する広告が行われている等の事実があるのであれば、登録商標に化体した信用を保護するために、積極的に商品商標の使用の事実を認定すべきという配慮がはたらく場合もなきにしもあらずである。
しかしながら、本件商標の場合、被請求人は、電池についていえば、既に述べたとおり、請求書に本件商標の表示をしているにとどまる。請求書は、展示や頒布、或いは電磁的方法による提供もされないから、請求書に表示された本件商標は、広告機能を発揮していない。
また、配電用又は制御用の機械器具についてはその販売が行われたかどうかすら明らかでなく、広告機能を発揮したことは立証されていない。
つまり、商品「電池、配電機器」との関係で、被請求人は、本件商標を用いた広告をしておらず、ひいては本件商標に保護すべき信用が化体していることを立証していない。
被請求人のホームページの全ページの写し(甲2)からは、被請求人が行っている事業は、その1頁目の上部の「クライアント・サーバに関するサービス」、「ネットワーク構築に関するサービス」という記載から明らかなように、基本的に役務の提供にとどまり、商品の販売を行っている形跡はない。
仮に被請求人が、電池、配電機器等を含む何らかの商品の販売を事業として行っているにしても、被請求人のホームページでは、被請求人が販売する商品に関する広告の電磁的方法による提供はまったく行われていない。インターネットの自社ホームページが既に存在していたにも関わらず、最も安価で簡単な広告媒体である当該ホームページにおいて、商品に関する広告が行われていない事実は、被請求人が電池、配電機器に関する広告を、広告、価格表若しくは取引書類の展示や頒布等の如何なる形態でも行っていないことを強く窺わせるものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標権者(被請求人)は、昭和63年7月21日に「株式会社マツモト事務機」から商号を変更し、本件商標に係る商標を会社のハウスマークとして使用し現在に至っている。そして設立当時より、事務所用の複写機を始めとして事務所備品等の小物の小売販売も行っている。
また、これらの販売に際し、本件商標を、例えば、被請求人の会社名、住所、振込先が記載されると共に、本件商標が印刷されている納品書、物品受領書、請求書及び売上伝票と同時に複写して使用する取引書類等に付して使用している。
(2)電池について
ア 被請求人の販売した商品の例として、電池がある。
即ち、パナ社製急速充電器「BQ-CC08」と共に単3形ニッケル水素電池4本入り「HHR-3LWS/4B」単価660円で50個を、保安電子協会試験第二部に、平成23年10月28日に納入している。この事実は、前記した取引書類として乙第1号証に添付する同日付請求書写し(伝票番号3607)で明らかである。
イ 保安電子協会からの代金の送金が、平成23年11月30日にあり、このときの当座預金勘定照合表を乙第2号証に示す。
ウ 乙第3号証は、保安電子協会についての得意先元帳を平成24年7月26日現在で打ち出した書面である。保安電子協会からの振り込みは、乙第2号証では、1,087,092円有り、電池等は、乙第3号証の1の43,722円であり、乙第3号証の2に示すように、それ以外のコピー使用料等の売り上げ1,043,370円となり、これらの合計である1,087,092円の入金となり、乙第2号証の金額と一致する。
この様に、請求書から分かるように、被請求人は、パナ社製急速充電器「BQ-CC08」と共に単3形ニッケル水素電池4本入り「HHR-3LWS/4B」単価660円で50個を、保安電子協会に販売したことは明確であり、取引書類である乙第1号証に標章を付して保安電子協会に配布を行っており、商標を使用している。
(3)配電用又は制御用の機械器具について
被請求人は、事務機器販売の他、オフィスネットワークの構築、オフィス設備工事に付帯して各種物品の販売も行っている。
乙第4号証1ないし3は、日東社の商品カタログ(NITTO KOGYO 2012 総合カタログ)で裏面(乙4の3)に被請求人の会社名等が記載されているとともに、本件商標が付されている。このカタログは2012版のもので現在使用しているものである。
この乙第4号証において、配電設備の機器が記載されており、工事に際し所望のカタログ記載の機器を使用して配電設置工事をしている。そして、乙第4号証の2の第1126頁には、分電盤の一例を示している。
配電用又は制御用の機械器具の設置工事自体は、役務ではあるが、工事に際し、工事料と配電盤等の各種物品の代金と別項目で請求をしており、これらの物品の販売も行っているものである。このときの取引に際して、取引書類としては、前述の請求書等の複写ものを使用している。
(4)むすび
以上のように、被請求人(商標権者)は、2011年10月及び2012年5月30日の本件審判請求時時点において、少なくとも、電池、配電機器について、本件商標を使用していたことは明らかである。

4 当審の判断
(1)被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)によれば、次の事実を認めることができる。
乙第1号証の請求書は緑色のフォームに必要事項が青色でタイプされている。
この請求書は、被請求人が保安電子協会 試験第二部にあてた、請求書であって、該請求書の右上には「伝票No.3607」、「11年10月18日」の記載、その下に、請求書のフォームと同色の緑色で、本件商標とは色彩が異なるものの本件商標と同一形状の図形商標(以下「使用商標」という。)が表示され、該使用商標の横に「ONE STOP SOLUTION COMPANY」の欧文字と「マグマックス株式会社」の文字が二段書きで表されているものであり、住所(「本社 〒・・・ 東京都千代田区・・・」)、振込銀行(・・・三菱東京UFJ銀行・・・)などの記載がある。
そして、該請求書の左上には、「お客様コードNo.」と住所、電話番号と共に「財団法人 保安電子協会 試験第二部」の記載がある。
さらに、該請求書中の表の1段目のコード・商品名欄に「DIBQ-CC08/Panasonic 単3・単4 急速充電器BQ-CC08」、単価欄に「2,160」、金額欄に「8,640」等の記載、2段目のコード・商品名欄に「DIHHR-3LWS/4B Panasonic 電池単3形4本 HHR-3LWS/4B」、単価欄に「660」、金額欄に「33,000」等の記載、合計欄最下行には、「43,722」の記載がある。
(2)以上の認定事実よりすれば、以下のとおり判断することができる。
ア 使用商標について
乙第1号証の請求書に表示(記載)された使用商標は、別掲に示す本件商標と色彩が異なるものの、同一形状の図形からなるものであって、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標であることから、使用商標は、本件商標の使用と認められる。
イ 使用者について
当該領収書に記載された住所及び名称は、被請求人(商標権者)のそれと一致することから、使用商標は、商標権者の使用と認められる。
ウ 使用商品について
当該請求書に記載されている使用商品は、本件審判の請求に係る指定商品中「電池」の他、「配電用又は制御用の機械器具」の範ちゅうに含まれる「電池用充電器」とみるのが相当である。
エ 使用時期について
当該請求書は、2011年(平成23年)10月28日付けであることから、本件審判請求の登録日(平成24年6月18日)前3年以内(以下「要証期間内」という。)である。
(3)小括
以上よりすれば、被請求人は、要証期間内に我が国においてその請求に係る指定商品中「電池」の他、「配電用又は制御用の機械器具」の範ちゅうに含まれる「電池用充電器」に本件商標と社会通念上同一の商標を使用したというべきである。
(4)請求人の主張について
請求人は、「被請求人は、請求書(乙1)に、本件商標の表示をしているが、当該請求書は、電池についての広告を行うためのものではなく、展示や頒布がなされていないし、電磁的方法による提供もされていないから、被請求人が請求書に本件商標を付してその電池等の購入者に引渡す行為の証明のみでは、商標の使用の事実が立証されていない。また、被請求人と保安電子協会との間で取引の対象となる商品の特定に用いられている識別標識は、『Panasonic』という社名(あるいは商標)を示す文字と『BQ-CC08』等のコードであって、本件商標ではない。」旨を述べている。
しかしながら、当該請求書は、商品の取引に用いる書類であること明らかであり、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に当たるものであるから、商品に関する取引書類に本件商標を付して頒布したものということができる。
また、登録商標の使用は、必ずしも当該商品の製造者が商標権者等でなければならないものではなく、他人が商標を付し・製造した当該商品について流通業者が一般消費者への商品の移転(販売)をする際に限定的に付加して使用する場合も、その付加された登録商標が取消請求に係る指定商品について使用されていれば、その使用は、当該流通業者の使用にあたるというべきである。
してみれば、被請求人が、パナ社製の「電池」及び「急速充電器」に、本件商標と社会通念上同一の商標を付した取引書類(請求書)を用いて頒布することは、被請求人による本件商標の使用にあたり、この行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当するとみるのが相当である。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品中の「電池」の他、「配電用又は制御用の機械器具」の範ちゅうに含まれる「電池用充電器」について、本件商標を使用していたことを証明したものといわなければならない。
したがって、本件商標は、請求に係る商品の区分、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池」について、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)
(色彩は原本を参照されたい)





審理終結日 2012-10-22 
結審通知日 2012-10-24 
審決日 2012-11-20 
出願番号 商願2006-30634(T2006-30634) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西田 芳子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2007-01-26 
登録番号 商標登録第5020859号(T5020859) 
商標の称呼 マグマックス 
代理人 井上 春季 

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