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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2007301642 審決 商標
取消2012300112 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
管理番号 1268389 
審判番号 取消2012-300384 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-05-14 
確定日 2012-12-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第4932636号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4932636号商標の指定商品中、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4932636号商標(以下「本件商標」という。)は、「養命」の文字よりなり、平成16年1月21日に登録出願された商願2004-4390に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成17年2月7日に登録出願され、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」、第31類「生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,うるしの実,未加工のコルク,やしの葉」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、平成18年3月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成24年5月31日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、「養命酒」の要部が「養命」である旨、主張しているが、取引者、需要者間に広く認識されている商標は「養命」の語と「酒」とが結合した漢字3文字を一連一体に結合された「養命酒」であって、「養命」ではなく、また、「養命酒」を略して「養命」と称されることもない。
しかも、「養命」が著名でないことは、「養命酒」に対しては、第800892号防護第1号、第2号、第836699防護第1号ないし第6号と防護標章登録はなされているものの、「養命」については、防護標章登録はなされていないことから明らかであり(甲4)、「養命酒」といえば、観念上、薬用養命酒(お酒に「自然由来の有効成分」を溶かし込んだもの)を想起するものであり、「養命」から、直ちに、「養命酒」を認識しない(甲5ないし甲16)。
また、取引者、需要者間に広く認識されている商標「養命酒」があっても、その構成中の「養命(称呼「ヨーメイ」を含む)」が、指定商品「うどんのめん、そばのめん」についての商標「養命」(甲5)、指定商品「ふとん」についての商標「養命ふとん」(甲6)、指定商品「浴剤」についての商標「養命泉」(甲7)、指定商品「布団綿」についての商標「養命わた」(甲8)、指定商品「菓子及びパン」についての商標「ようめい」(甲9)と登録されていることからも明らかである。
更に、実際の取引の場等においては、「養命」(称呼「ヨーメイ」を含む)の語を含む医薬品について、「養命」、「養命丸」の使用(以上、甲10)、「養命散」の使用(甲11)及び「養命錠」の使用(甲12)、「もぐさ」についての「養命印」の使用(甲13)、「薬用入浴剤」についての「養命泉」の使用(甲14)、「ふとんに」ついての「養命ふとん」の使用(甲15)、「そば」についての「養命そば」の使用(甲16)、が、現実に他人に使用されているが、養命酒製造株式会社もしくは養命酒製造株式会社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者(以下「養命酒製造株式会社等」という。)との間で出所の混同を生じることはない。
加えて、使用に係る「養命酒」は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に書されているばかりでなく、「養命酒」の称呼「ヨウメイシュ」は、淀みなく一気一連に称呼し得るものであり、「養命酒」からは、薬用養命酒(お酒に「自然由来の有効成分」を溶かし込んだもの)の観念が生じるものである。
つまり、使用に係る「養命酒」は、外観上、称呼上、観念上一体として捉えられるから、酒が商品名であるとしても、「養命」の文字のみが独立して分離観察されるものではなく、「養命酒」の文字全体をもって一つの造語を形成している商標とみるべきものである。
以上、述べたことから「養命酒」の要部は、「養命」でないことは明らかであり、本件商標と使用に係る商標「養命酒」とは、社会通念上同一性を有する商標ではないものと思料する。
ア 乙第1号証ないし乙第9号証において、「養命酒」、「養命酒健康の森」、「養命酒本舗」等の記載はあるが、審判請求の予告登録(平成24年5月31日)前3年以内に日本国内において、商標「養命」について、取消請求に係る商品についての使用は何ら示されていない。
イ 乙第10号証は、本件商標「ももいちご\百壱五(登録第4323578号)」と社会通念上同一と認められる商標「ももいちご」を、指定商品「いちご」につき使用していたということができるとして審決を取り消した事例にすぎないものである。
ウ 乙第11号証は、商標の使用を開始する意思を示したにすぎないものである。
(2)まとめ
以上述べたように、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第11号証の何れにも、取消審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、商標「養命」について、取消請求に係る第30類の指定商品の使用は何ら示されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 第1答弁
(1)本件商標の特殊性について(乙1ないし乙3)
被請求人は、以下のとおり本件商標が被請求人「養命酒製造株式会社」の著名商標「養命酒」の要部が「養命」であると認識されている。
被請求人の「養命酒」は著名商標としてすでに認識されているが、これは、被請求人の業務に係る商品「薬用酒、薬味酒」について400年の永きにわたって使用している商標「養命酒」の構成中「酒」の文字がその商品との関係において自他商品識別力の弱いものであり、要部は「養命」であると言える。
つまり、「酒」について「養命酒」と命名されていることから、「養命酒」と言えば、一般需要者にとって、要部は「養命」であると認識されているものと考えられるからである。
また、因みに「養命」の語は、日本や中国で常用されている辞書中にも載っていない、まさに被請求人による造語であることも本件商標の特殊性である。
「養命酒」及び「養命」の語は、1602年に被請求人の創始者である塩沢宋閑により創造され、採択された商標であり、以来400年にわたり使用されている著名な商標である。
被請求人は、1923年に長野県上伊那郡に前身となる株式会社天龍館を設立、塩沢家より養命酒の事業を継承したが、1951年に、今では「養命酒」を製造販売している会社として誰もが知っている「養命酒製造株式会社」に改称し、「養命酒」は、400年の伝統を守り、伝統の製法にもとづいて造り続けている。その後、社会全体に多角的な経営が叫ばれる中で、例えば、2002年に「ミネラルウォーター」を「養命水」として発売している。
このように、被請求人は「薬味酒、酒」以外の飲食品についても、その品目を広げ、「生活者の信頼に応え、豊かな健康生活に貢献する」とした理念を基本として事業の多角化に取り組み、幅広い飲食品についても製造販売を継続して行っている。これらの事実は、被請求人の会社案内に詳細に記載されている(乙1)。
「養命酒」については、1969年(昭和44年)以来、「養命」については、1998年以来「日本有名商標集」にも掲載され、商品「薬用酒、酒」に関して著名商標として認知されるに至っている(乙2)。
被請求人の企業努力は特許庁においても認められ、防護標章としても登録され、その評価においても、客観的な評価が出されている。
つまり、商標「養命酒」及び「養命」の著名性が認められている(乙3)。
さらに、商願昭45-76809「養命茶」の異議決定における理由において、「『養命』の次に書された『茶』及び『酒』の文字が、それぞれ商品の普通名称を表示する部分であるから、両商標はいずれも『養命』の文字部分が自他商品を識別する機能を果たす重要な部分といわざるを得ない。」と認定されている。
したがって、審理においては、著名な商標「養命酒」の要部は「養命」であり、「養命」と言えば、著名な商標「養命酒」の要部であるとの客観的な認識を十分ご考慮の上、本件商標の使用について審理してもらいたい。
(2)本件商標の使用について(乙4ないし乙11)
被請求人は、本件商標を、取消請求に係る商品についても使用があることを以下に証明する。
2005年(平成17年)に被請求人の事業のひとつである「養命酒健康の森」を開設し、店内において、商品「茶」(健康ブレンド茶)を販売している(乙4)。
さらに、オンライン上では、「養命酒オンライン@Amazon.co.jp:健康の森」として、商品「茶、コーヒー(豆)、ソース、味噌、」をネット販売している(乙5)。
2006年(平成18年)にインターネットの通信販売サイト「養命酒本舗」を開設し、「養命酒オンライン@Amazon.co.jp:養命酒本舗」として、商品「はちみつ、みりん」を販売している(乙6)。
2010年(平成22年)に被請求人の事業のひとつである健康生活提案型複合施設「くらすわ」を開業し、店内において、商品「ドレッシング、ハーブティ、米、味噌」を販売している(乙7)。
さらに、オンライン上では、「養命酒オンライン@Amazon.co.jp:CLASUWA」として、商品「ドレッシング、味噌、浅漬けの素」を販売している(乙8)。
これらの使用は、乙第9号証に示した被請求人のホームページからもわかるように、「養命酒健康の森」が被請求人の行っている事業、「養命酒本舗」が被請求人の行っている通信販売のサイト名、「くらすわ」が被請求人が行っている施設であり、被請求人が多角的な経営を行っていることは一般需要者に十分認知されている。
したがって、ネット上からでも「養命酒健康の森」、「養命酒本舗」、「くらすわ」が取り扱っている商品が一目瞭然であり、これらの商品について本件商標が使用されているものと理解されるべきであると言える。
このように上記(1)で述べた本件商標の特殊性により、各証拠が「養命酒」のもとでの使用であったとしても、「養命酒」の要部は「養命」であるとの一般認識が前提にあることから、著名商標である「養命酒」と本件商標が観念上同一の出所に由来するものであることは認められるものと思料する。
裁判においても、「不使用商標登録取消審判における商標の使用とは、商標法50条1項が明示するように、必ずしも登録された商標と同一の商標の使用でなくても社会通念上同一と認められる商標の使用であれば足りると解されている。」としている(乙10)。
さらに、被請求人は、本件商標の使用を、乙第4号証ないし乙第8号証で述べた商品以外の商品についての使用も順次予定している(乙11)。
したがって、被請求人は、本件商標を、第30類の商品に本件審判請求の登録前3年以内に使用していると言える。
これらの事実に鑑みれば、本件商標が商標法第50条第1項の取消要件に該当しないことは明白である。
2 第2答弁
(1)被請求人がその業務に係る商品「薬用酒、薬味酒」について1602年の創業以来使用してきた商標「養命酒」もその構成中「酒」の文字はその商品との関係において自他識別力の弱いものとされている。
一般人が商標「養命酒」を見、聞きしたときその外観、称呼、観念のいずれかの点からも「酒」の部分から当然お酒を観念すると考えるのが自然であるから「養命」の「酒」と観念し、必然的に「養命酒」の識別機能をもつ部分(要部)は「養命」であると認識するのが自然であり、これが取引者、需要者の自然な受け取り方である。
因みに、需要者、取引者は「養命茶」を被請求人のお茶の商標と認識し、「養命水」を同じく水の商標と認識するのが自然であり当然であろう。
(2)特許庁においては、商標「養命酒」及び「養命」の著名性を認めている(乙3)。
さらに商願昭45-76589「養命茶」の異議決定と理由において、「『養命』の次に書された『茶』及び『酒』の文字がそれぞれ商品の普通名称を表示する部分であることから、両商標はいずれも『養命』の文字部分が自他商品を識別する機能を果たす重要な部分といわざるを得ない」と認定されている。
要するに、著名な商標「養命酒」の要部は「養命」であり、「養命」といえば著名な商標「養命酒」の要部であるとの客観的な認識に基づくものであると確信させる判断であるということができる。
(3)請求人は、弁駁書において5件の登録商標(甲5ないし甲9)を引用しているが、これらの登録査定は、引用した登録第4269580号商標に関する無効審判事件の審決日(平成15年12月24日付け審決)より以前のものである。
つまり、本審決による判断が上記5件の先例の査定日より後のものであり、裁判所における第一審に相当する審査部による判断であるに対して、上記引用の審決は、審査部の上級審である審判部の審決であるから、これに反する前記5件の登録の判断が実体的に適切なものとは考え難いと思われる。
(4)「養命」の語は、日本語、中国語の辞書には出ていない語であるから、日本では被請求人の周知著名商標の存在によって「養命」の語の存在を初めて知り得たものと考えるのが自然である。
したがって、論理的には、登録された「養命」の語を合む他人の商標のほとんどが上記に該当するものではないかと考えられる。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定し、登録商標の使用と認められる範囲を「社会通念上同一の商標と認められる商標を含む」と規定している。
これに対し、被請求人は、前記第3のとおり、本件商標「養老」についての使用を主張、立証することなく、「養命酒」の使用をもって、これが本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である旨主張する。
そして、被請求人の提出に係る証拠によれば、被請求人の主張のとおり、いずれの証拠にも「養命」のみの表示はなく、被請求人(商標権者)が本件審判の請求の登録前3年以内に「養命酒」の表示の下で、取消請求に係る指定商品に含まれる「茶、コーヒー豆、ソース」等の商品の販売を行っていたことが認められる(乙4、乙5等)。
そこで、被請求人の使用する「養命酒」が、前記の商標法第50条第1項に規定する本件商標と社会通念上同一と認められる商標か否かについて検討する。
「養命酒」は、同書、同大、等間隔にまとまりよく一体に書され、これから生ずる「ヨウメイシュ」の称呼も淀みなく一連に称呼し得るものである。また、これは、被請求人がその業務に係る商品「薬用酒、薬味酒」について長年使用し、著名となっているものといえるから,被請求人の「薬用酒、薬味酒」のブランドである養命酒の観念を生ずるものである。
よって、「養命酒」は、外観、称呼及び観念のいずれからみても一体のものとしてのみ認識されるとみるのが相当である。
これに対し、本件商標は、「養命」の文字からなるものであり、「ヨウメイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるから、「養命酒」と本件商標とは、その綴りにおいて「酒」の有無の相違を有することにより、同一の文字からなる商標とも、同一の称呼及び観念を生ずる商標ともいえない。
したがって、「養命酒」は、前記の商標法第50条第1項に規定する本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえず、その使用をもって、商標権者(被請求人)が取消請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていたということはできない。
その他、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていたものと認めるに足る証拠はない。
2 被請求人の主張について
被請求人は、「『養命酒』は、被請求人の業務に係る商品『薬用酒、薬味酒』について長年使用し著名となっているものであるが、その構成中『酒』がその商品との関係において自他商品識別力の弱いものであるから、一般需要者にとって要部は「養命」であると認識されているものといえ、「養命酒」のもとでの使用であったとしても、これを本件商標と観念上同一の出所に由来するものみて差し支えない」旨主張する。
しかしながら、前記のとおり、「養命酒」は、一体のものとしてのみ認識されるものであり、これを「養命」と「酒」に分離して観察すべきものではない。また、商標法第50条第1項は、「登録商標(…略…)の使用をしていないときは」と規定しているのであるから、登録商標に類似する商標を使用しても同項の適用を免れることはできない(工業所有権法)逐条解説[第17版])。
さらに、被請求人は、「本件商標の指定商品中『茶』については本件商標を付した商品を製造する予定である」旨主張しているが、前記の商標法第50条第1項の規定のとおり、使用を予定していることをもって本件商標の使用といえないのは当然である。
よって、請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」ついての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-10-22 
結審通知日 2012-10-24 
審決日 2012-11-08 
出願番号 商願2005-9491(T2005-9491) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 水落 洋 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
田中 亨子
登録日 2006-03-03 
登録番号 商標登録第4932636号(T4932636) 
商標の称呼 ヨーメー 
代理人 入江 一郎 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 

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