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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X09 |
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管理番号 | 1267216 |
異議申立番号 | 異議2011-900456 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-12-21 |
確定日 | 2012-11-26 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5442894号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5442894号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5442894号商標(以下「本件商標」という。)は、「デコメパーク」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年4月18日に登録出願、第9類「業務用テレビゲーム機,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,コンピュータソフトウェア,コンピュータゲームソフトウェア,携帯電話機用コンピュータプログラム,携帯電話機用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,その他のレコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,ダウンロード可能な画像及び映像,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な業務用テレビゲーム機用ゲームプログラム,ダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,ダウンロード可能な音楽,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,ダウンロード可能な電子出版物」を指定商品として、同年8月22日に登録査定、同年10月7日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4728342号商標(以下「引用商標」という。)は、「デコメ」の片仮名を標準文字で表してなり、第9類「携帯用通信機械器具,携帯電話端末用ストラップ,カーナビゲーション装置及びその部品,その他の電気通信機械器具,電子計算機端末装置,電子計算機端末による通信を通じてダウンロード可能な電子応用機械器具用コンピュータプログラム,移動体電話による通信を通じてダウンロード可能な移動体電話機用コンピュータプログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,携帯情報端末,携帯用通信機械器具・電話機・携帯情報端末・電子計算機端末装置・カメラその他の写真機械器具・コンピュータプログラムに関する印刷物の文字データ・画像データ等を記録したフロッピーディスク・CD-ROM等の記録媒体,携帯用通信機械器具・電話機・携帯情報端末・電子計算機端末装置・カメラその他の写真機械器具・コンピュータプログラム等の技術に関する印刷物の文字データ・画像データ等を記録したフロッピーディスク・CD-ROM等の記録媒体,ダウンロード可能な電子出版物,カメラその他の写真機械器具」、第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,無線呼出し,インターネットによる通信ネットワークへの接続の提供,その他の通信ネットワークへの接続の提供(移動体電話・電子計算機端末によるものを含む。),無線LANによる通信ネットワークへの接続の提供,電子メールその他の電子計算機端末による通信,電子掲示板通信,付加価値通信網による通信,電子計算機によるメッセージ・音声・画像・データの伝送交換,その他の電気通信(放送を除く。),電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,インターネットによる映像及びそれに伴う音声その他の音響を送る放送」のほか、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同15年11月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、取り消されるべきであるとして、申立ての理由の要点を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標の構成要素中の「デコメ」の部分が著名登録商標である引用商標を構成する「デコメ」と同一であることから、本件商標は引用商標と類似する。そして、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 本件商標の構成要素中に著名登録商標「デコメ」と同一の構成要素から成る「デコメ」が含まれており、本件商標の指定商品が属する分野の需要者と著名登録商標「デコメ」で提供される「装飾メールサービス」の需要者とが一致することから、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ぜしめるおそれのある商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 取消理由通知 当審において、平成24年6月19日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。 (1)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「ドコモ」という場合がある。)の引用商標「デコメ」の著名性について ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、「デコメ」の著名性について、以下の事実が認められる。なお、甲号証のうち、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略する。 (ア)「デコメ」とは、携帯端末によるメールサービスにおいて、ドコモがiモードメールの追加サービスの一つとして、2001年から提供を開始しているサービス名であって、絵文字や背景文字色など様々な装飾をメールに付加できることを内容とするものであり、同時に「デコメール」ともいわれているものである(以下「装飾メールサービス」という。甲3の1及び2)。 (イ)また、該「デコメ」の文字は、現在においては、「装飾メールサービス」のみならず「装飾メール素材」の意味合いをも理解させるものとなっている(甲7)。 (ウ)そして、ドコモによる装飾メールサービスの提供時から女子高生を中心とした若者の間で瞬く間に人気を博すこととなったことは、2006年12月7日付けの日経産業新聞記事の以下の内容からうかがい知ることができる。 「iモード2000億市場」の表題の下、「動きのあるイラストを添付したり、色つきの文字でメールを作成したりできる『デコメール』の素材を販売するサイト。情報料は月額五億円強だが、女子高生を中心とした若者に圧倒的な人気を誇っている。デコメールはすでに月に1億通以上送受信されている。」の記載がある(甲4)。 (エ)さらに、ドコモは、「デコメ」の表示について、各サイトの管理者との間で、ウェブサイトでの登録商標「デコメ」を使用することを許諾すると共に、その取り扱いについて、2010年4月1日付けのガイドラインを定めている(「ドコモの登録商標・商標の取り扱いについて【iモードCP様向け商標利用ガイドライン】」、甲6)。 そして、このガイドラインに沿って、各ウェブサイトでは、「デコメ」等の表示について、登録商標であることを示す記号(○の中にRを表示)を付けて記載し、また、「『デコメ』『デコメール』は株式会社NTTドコモの登録商標です。」等の表示を行っていることが認められる(甲7、甲9及び甲10)。 (オ)加えて、今やiモード及びspモード利用者は、2011年12月末時点で、5,900万件を越える膨大な契約数となっており(甲8)、これは、登録査定後わずか4月経過のものであるので、登録査定時においても、上記利用者の携帯端末に標準装備されている「デコメ」は、広く需要者に認識されて知られているものということができる。 イ 以上によれば、引用商標「デコメ」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「ドコモの携帯端末によるメールサービスの名称」として使用されており、これを表示するものとして需要者に広く知られているものといえる。 それゆえ、該「デコメ」の語は、「ドコモの携帯端末によるメールサービスの名称」の観念を生ずる。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標は、「デコメパーク」の片仮名よりなるものであるところ、その構成中、「デコメ」文字は、「ドコモの携帯端末によるメールサービスの名称」として、需要者に広く知られているものであり、また、「パーク」の文字は、「公園、遊園地」等を意味する一般に親しまれた語であるから、「デコメ」の文字と「パーク」の文字を結合してなるものと容易に理解されるものである。 そうすると、本件商標からは、構成全体として一つの公園等の名称としてとらえられる場合もあるから、「デコメパーク」の称呼を生ずるものといえるとしても、前記のとおり、引用商標が周知著名であることから、「デコメ」の文字部分よりは、「ドコモの携帯端末によるメールサービスの名称」の観念を生じ得るものというのが相当である。 してみれば、本件商標は、引用商標「デコメ」とは、同文字部分を共通にする点において、上記観念を共通にし得るものというべきであるから、本件商標と引用商標とは、観念の点では、関連性があることは否定できないが、これらの観念も全く同一のものではなく、上記のとおり、外観や称呼の点で相違するものであることに照らすと、本件商標と引用商標とが全体として類似する商標であるとまでいうことはできない。 (3)本件商標の指定商品と引用商標に係る商品及び役務の関連性の程度、需要者の共通性等 申立人は、一般消費者を需要者とする「移動体電話による通信」の役務を中心に、これに関連する商品及び役務について幅広く事業を行っていることが認められ、また、本件商標の指定商品(電気通信機械器具,携帯電話機用コンピュータプログラム,携帯電話機用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム等)も、関連商品として取り扱われるものであるから、本件商標の指定商品と引用商標を使用する商品及び役務とは、需要者を共通にし、関連性を有するものと認められる。 (4)出所の混同のおそれ 本件商標は、「デコメパーク」の片仮名よりなるものであるところ、その構成中、「デコメ」の文字部分は、前記認定のとおり、「ドコモの携帯端末によるメールサービスの名称」に使用される商標を表すものとして、本件商標の登録出願時はもとより、登録査定時においても、既に、我が国の携帯電話による通信の分野及びその関連商品の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていた「デコメ」と同一の文字よりなるものである。 また、本件商標の指定商品は、電気通信機械器具の関連商品であって、申立人に係る携帯電話サービス及び商品群とその需要者層を共通にするものである。 そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、たとえ、本件商標と引用商標とが全体として類似する商標であるとまでいうことはできないとしても、「デコメ」の語が、「ドコモの携帯端末によるメールサービスの名称」に由来する造語であることは明らかである。そして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「デコメ」の文字部分に強く印象づけられ、周知著名な商標である引用商標である「デコメ」を連想、想起して、該商品が、例えば、申立人から引用商標についての使用許諾を受けた者など、申立人に係る商品又は同人と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 5 商標権者の意見 商標権者は、上記4の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。 6 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2012-09-24 |
出願番号 | 商願2011-27231(T2011-27231) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(X09)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 山本 敦子 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2011-10-07 |
登録番号 | 商標登録第5442894号(T5442894) |
権利者 | 株式会社ニジボックス |
商標の称呼 | デコメパーク |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 浜田 廣士 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |