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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
管理番号 1267184 
審判番号 不服2011-21388 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-04 
確定日 2012-11-28 
事件の表示 商願2009-96508拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年12月21日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同22年12月6日付けの手続補正書によって、第9類「多数のLEDを用いたスリム型のテレビジョン受信機,多数のLEDを用いたスリム型のコンピュータ用モニター」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、近時のレタリング技法の多様等を考慮すると、未だ普通に用いられる域を脱しない方法で表示してなるものといい得るものであり、また、その指定商品との関係において、その構成中の「LED」の文字部分が「発光ダイオード」等を、「Contrast Ratio」の文字部分が「コントラスト比」をそれぞれ意味する語として親しまれるものであって、また、「3,000,000:1」の数字部分は、上記コントラスト比を表したものと看取されるものであるから、本願商標は、全体として「LEDを用いたものであって、コントラスト比が300万:1である」程の意味合いを容易に想起させるものである。そして、「テレビジョン受信機」等においては、省電力や高速応答性等を向上させるために、バックライトにLED(発光ダイオード)を用いた商品が広く開発、販売されている実情が見受けられることからすれば、本願商標をその指定商品中、「テレビジョン受信機」等に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「LEDを用いたコントラスト比が300万:1であるテレビジョン受信機」であること、すなわち、単に商品の品質(機能)を表示したものとして理解するにとどまり、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、ドットで描かれ、かつ、横一筋に濃淡を加えた「LED」の欧文字を左方に、その右方に大きな空白に続き、横長矩形を配し、該矩形は、その上部に「3,000,000:1」の文字を配し、下部には黒塗り部分を設けて「Contrast Ratio」の欧文字を白抜きした構成からなるものである。
ところで、ドットによって描かれた文字態様は、レタリング辞典にも同種の書体の掲載が認められるように、書体として普通に用いられる態様といえる(別掲2)。
また、本願の指定商品であるテレビジョン受信機やコンピュータ用モニターを取り扱う国内各社の商品カタログによれば、該商品の品質、機能等を表示するにあたっては、一般的な書体の文字だけでなく、ややレタリングを施した書体の文字や、矩形内に白抜き文字で表された背景色に濃淡あるいはグラデーションを施す技法が普通に使用されている実情がある(別掲3(1)ないし(4))。
そうとすれば、本願商標の構成中のドットで描かれ、かつ、印象の薄い横一筋に濃淡を加えた「LED」の欧文字についても、その指定商品における取引者、需要者をして、該商品の取引において通常用いられる程度の書体として看取されるものといえるから、該文字部分は、普通に用いられる方法の域を脱しないものとみるのが相当である。
次に、構成各文字の語義について検討すると、その構成中の「LED」の文字は「発光ダイオード」の意味を有する語(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)として親しまれているものであり、原審説示のとおり、「テレビジョン受信機」等においては、省電力や高速応答性等を向上させるために、バックライトなどにLED(発光ダイオード)を用いた商品が広く開発、販売されている実情がある。
また、「Contrast Ratio」の文字部分は、「ディスプレイやプロジェクターなどの性能を示す指標の一つ。白を表示したときと黒を表示したときの輝度を測定し、2つの輝度の比で表す。」(「日経パソコン用語辞典2009年版」日経BP社 2008年10月20日発行)を意味する語として知られ、本願の指定商品との関係からすれば、「コントラスト比」と称されるものであるから、該文字と上段の「3,000,000:1」の文字との組み合わせからは、「コントラスト比が300万:1」の意味を容易に理解させるものである。
そうとすれば、「LED」の文字は、「商品がLEDを使用しているこ
と」を、「Contrast Ratio」の文字及び「3,000,000:1」文字は、「商品がコントラスト比が300万:1であること」を容易に理解させるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、「LEDを使用し、コントラスト比が300万:1の商品」であること、すなわち、単に商品の品質、機能を表示するものとして認識し理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質、機能の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標



別掲2 ドットによって描かれた書体の事例

「フォントスタイルブック2009」(株式会社ワークスコーポレーション発行)


別掲3 「テレビジョン受信機」のカタログにおいて、レタリングを施した様々な書体が使用されている事例
(1)パナソニック株式会社 AVCマーケッティング ジャパン本部「カラーテレビ総合カタログ 2012/6-8」
(色彩については、原本を参照。)



(2)ソニー株式会社 ソニーマーケティング株式会社「液晶テレビ総合カタログ 2012.6」
(色彩については、原本を参照。)



(3)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社「プラズマ/液晶テレビ 総合カタログ2011 11-12」
(色彩については、原本を参照。)



(4)株式会社アイ・オー・データ機器のウェブサイトにおいて、「LEDバックライト採用 超解像技術搭載27型ワイド液晶ディスプレイLCD-MF274XBR」の見出しの下、以下の記述がある。
(http://www.iodata.jp/product/lcd/wide/lcd-mf274xbr/)



審理終結日 2012-06-21 
結審通知日 2012-06-26 
審決日 2012-07-19 
出願番号 商願2009-96508(T2009-96508) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X09)
T 1 8・ 13- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎中島 光冨澤 美加大房 真弓 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 梶原 良子
吉野 晃弘
商標の称呼 エルイイデイ、レッド、コントラストレシオ、コントラストラティオ、コントラスト、レシオ、ラティオ 
代理人 田島 壽 
代理人 山口 現 
代理人 青木 篤 

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