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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0621
管理番号 1267154 
審判番号 不服2011-19158 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-06 
確定日 2012-11-21 
事件の表示 商願2010-93758拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「sepia」の欧文字を標準文字で表してなり、第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年12月2日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における平成23年4月4日付け及び当審における同年9月6日付けの手続補正書により、最終的に、第6類「チタン製酒用包装用ボトル」及び第21類「断熱二重構造からなる保温・保冷機能が付いたカップ・マグカップ・タンブラーその他の食器類,ステンレス製ボトルその他の水筒,携帯用魔法瓶その他の魔法瓶,真空二重断熱保冷・保温容器,家庭用ビールサーバー,チタン製携帯用酒ボトル,ワインクーラー,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,調理用ボウル,炭酸水用サイフォン,盆,シェーカー,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,ようじ入れ,ざる,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,酒かん器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,ろうそく消し,ろうそく立て,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,観賞魚用水槽及びその附属品,小鳥かご,小鳥用水盤,コッフェル」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『sepia』と標準文字であらわしてなるところ、該文字は『黒っぽい茶色』を表す英語であり、本願指定商品を取り扱う業界において、商品の色彩を表すものとして『セピア』の文字が一般に使用されていることからすれば、本願商標をその指定商品中、上記色彩の商品に使用しても、単に商品の色彩すなわち品質を普通に用いられる方法で表示したものであるといわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知の要旨
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)本願商標を構成する「sepia」の文字は色彩名を表すものであるが、非常に特殊な色彩であり、一般需要者が、この文字より「黒褐色」を直ちに想起することはできないものである。
(2)したがって、本願商標が、本願指定商品の分野において、商品の色彩を表す語として使用されている例があったとしても、「sepia」が色彩名として一般的でないことを考慮すれば、その識別力を否定する根拠とはならないものである。
(3)よって、本願商標は、単に商品の色彩(品質)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、十分自他商品識別力を発揮し、品質誤認を生じるおそれもないものである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記1のとおり、「sepia」の欧文字を標準文字で表してなるところ、別掲の証拠調べ通知のとおり、「sepia」が、「セピア色」、「暗褐色」を意味する英語であり、本願指定商品との関係において、「sepia」に通ずる「セピア」の文字が、商品の色彩を表す表示として使用され、セピア色の商品が市場に流通している実情が見られる。
そうとすれば、本願商標は、「sepia」の欧文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるにすぎないものであるから、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、単に、「セピア色(暗褐色)の商品」であることを表したものであって、当該商品の品質(色彩)を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、証拠調べ通知に対して、以下のように主張する。
ア 請求人は、「sepia」は特殊な色彩名であって、一般的ではないことから、本願指定商品の分野において、商品の色彩を表す語として使用されている例があったとしても、その識別力を否定する根拠とはならない旨主張している。
しかしながら、「sepia」の文字は、一般的な辞書類において、「セピア色」、「暗褐色」等といった色彩名として紹介されているものであり、また、「sepia」に通ずる「セピア」の文字が、本願指定商品の分野において、色彩を表す表示として一般的に使用されていることは、先に述べたとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、過去の色彩名に関する登録例を挙げて、本願商標も登録すべきである旨述べているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標とその指定商品との関係において個別具体的に判断すべきであるから、請求人の主張は採用することができない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを理由に本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 平成24年5月28日付け証拠調べ通知書

1 「sepia/セピア」について
(1)株式会社小学館「ランダムハウス英和大辞典<特装板>」の「sepia」の項において、「1 セピア:イカの墨の色素から作った褐色の絵の具。・・・3 焦茶色、暗褐色、セピア色。・・・」の記載がある。
(2)株式会社大修館書店「ジーニアス英和大辞典<背革装>」の「sepia」の項において、「1 セピア(イカの墨から作る暗褐色のインク・絵の具);セピア色・・・」の記載がある。
(3)株式会社三省堂「グランドセンチュリー英和辞典 第2版 CD付き」の「sepia」の項において、「1 (イカの墨からとった)セピア絵の具。2 セピア色、暗かっ色。」の記載がある。
(4)株式会社岩波書店「広辞苑 第六版」の「セピア」の項において、「1 有機性顔料の一種。イカの墨汁嚢中の黒褐色の液を乾かしてアルカリ液に溶解し、希塩酸で沈殿させて製する。水彩画に用いる。2 黒褐色。」の記載がある。
(5)株式会社三省堂「大辞林 第三版」の「セピア」の項において、「1 イカ・タコの墨を乾かし、アルカリ液に溶かし、希塩酸で沈殿させて作る黒茶色の絵の具。水彩画・ペン画素描に用いる。2 黒茶色。」の記載がある。
(6)株式会社小学館「大辞泉 増補・新装版」の「セピア」の項において、「1 イカの墨を原料として製する暗褐色の顔料。インクや水彩絵の具、また素描に用いる。烏賊墨。2 暗褐色。」の記載がある。
(7)株式会社三省堂「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」の「セピア」の項において、「1 黒っぽい茶色。2 イカの墨から作った黒茶色の絵の具。」の記載がある。
(8)株式会社学習研究社「大きな字のカタカナ新語辞典 第2版」の「セピア」の項において、「暗褐色。セピア色◆イカの墨が原料。」の記載がある。
(9)株式会社小学館「新版 色の手帖」の「378 セピア」の項において、「セピアはギリシア語のイカ(烏賊)に由来。イカの墨から製する絵の具の色。・・・ごく暗い赤みの黄。・・・」の記載がある。
(10)株式会社主婦の友社「色の名前507」の「セピア/[Sepia]」の項において、「烏賊が墨を出す墨汁嚢を切り取り、太陽にさらして乾燥させ、それを細かく砕いて絵の具にしたのがこの色の始まりで、甲烏賊の意味のセピアという名前も、ギリシア語からラテン語を経由して、英語でもそのまま使われるようになった。・・・」の記載がある。
(11)株式会社新紀元社「色名事典」において、「洋色名 セピア[sepia]/和色名 烏賊の墨色/系統色名 暗い灰みの茶[dark grayish brown]・・・料理にも使われるイカ(烏賊)の墨の語源はギリシャ語のセピアで、黒に近い茶色です。・・・現在では、・・・セピアは黒みが強い暗い茶色というように区別されます。」の記載がある。
(12)日本色研事業株式会社「色名事典/MANUAL of COLOR NAMES」の「107 sepia *セピア」の項において、「イカの墨からつくった絵の具で、黒みのあるごく暗い茶をいう。」の記載がある。

2 本願指定商品について、色彩表示として、「sepia」「セピア」の文字が使用されている事例について
(1)「厨房機器の専門店インビス」のウェブサイトにおいて、「マーレ」の見出しの下、「・・・商品名:マーレ 段付タンブラー・・・色:クリア、セピア、ブルー・・・」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/hamaken/031-kb-111/)。
(2)「食器百貨」のウェブサイトにおいて、「・・・9-802-3 つぼみ型(小)切子セピア・・・9-802-9 つぼみ型(中)切子セピア・・・9-802-9 バスケット型切子セピア・・・」の記載がある(http://tuhan.to/pan/20155/20155-802.htm)。
(3)「アヅミ産業株式会社」のウェブサイトにおいて、「商品のご案内」の見出しの下、「業務用弁当箱」の「副食容器」の項において、「・・・F-150/副食・中仕切・・・ベースカラー/蓋:セピア、本体:セピア・・・」の記載がある(http://adumi-sangyo.co.jp/contents/guide/index02.html)。
(4)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「有田焼IH対応型 遠赤外線 ニューセラミックス 24cm鍋(セピア)」の記載がある(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001J2YSJW/hatena-gd-22/ref=nosim)。
(5)「自然館」のウェブサイトにおいて、「ニュートーセラム鍋 TSP/TSRシリーズ チャコール&セピア」の見出しの下、「■直火対応型 セピア■・・・【直火対応型】ニュートーセラム鍋26cm深型TSP-130AM-S(セピア) ・・・【直火対応型】ニュートーセラム鍋25cm浅型TSP-900AM-S(セピア)・・・【直火対応型】ニュートーセラム鍋24cm深型TSP-130BM-S(セピア)・・・【直火対応型】ニュートーセラム鍋22cm深型TSP-130CM-S(セピア)・・・【直火対応型】ニュートーセラム鍋19cm片手TSP-90D-S(セピア)・・・【直火対応型】ニュートーセラム鍋オーバルTSP-130-OPM-S(セピア)・・・」の記載がある(http://www.shizenkan.net/newtoceram/h_newtoceram.html)。
(6)「生活雑貨Life Starts」のウェブサイトにおいて、「100円均一商品」の見出しの下、「・・・【泡たて器・ウィスク】セピア 泡立・・・/・・・【野菜潰し器】セピア ポテトマッシャー・・・/・・・【おたま・杓子・レードル】セピア お玉・・・/・・・【穴開きおたま・杓子・レードル】セピア 穴あきお玉・・・/・・・【天ぷら湯豆腐用 網杓子・漉し器】セピア カス揚・・・/・・・【フライ返し・フライパン返し・スパチュラ】セピア ターナー・・・/・・・【フライ返し・フライパン返し・ターナー】セピア バタービーター・・・」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/lifestarts/4991203116048/#4991203116048)。
(7)「淑女雑貨 トゥ・ココット」のウェブサイトにおいて、「[数量限定]Sepia Cat Mug cup[Himalayan] 」の見出しの下、「・・・セピアのシックなキャットマグカップ。・・・」の記載がある(http://victorian.ocnk.net/product/1341)。


審理終結日 2012-09-24 
結審通知日 2012-09-27 
審決日 2012-10-10 
出願番号 商願2010-93758(T2010-93758) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0621)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎菅沼 結香子宗像 早穂 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 小林 正和
前山 るり子
商標の称呼 セピア 
代理人 吉井 剛 
代理人 吉井 雅栄 

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