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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X03 審判 一部申立て 登録を維持 X03 |
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管理番号 | 1266149 |
異議申立番号 | 異議2012-900186 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-07-11 |
確定日 | 2012-11-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5484513号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5484513号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5484513号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナノフリー」の片仮名を横書きしてなり、平成23年10月27日に登録出願され、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第5類「薬剤」を指定商品として、同24年3月13日に登録査定、同年4月6日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。 (1)本件商標は、片仮名で「ナノフリー」と横書きしてなるものである。本件商標を構成する「ナノ」の語は、「10億分の1」の意味を有する語であるが、近年においてはナノテクノロジーの技術によって生産された「ナノマテリアル」の語の略語として使用し、認識されていることは逐一証拠等を添付して説明するまでもなく明白なところである。また、「フリー」の語は、特に他の語句の語尾につく場合は「?がない」の意味を有する語として認識されるものであることは、明白なところである(甲1)。 (2)しかるに、本件指定商品である化粧品の原材料として、酸化チタン、酸化亜鉛やカーボンブラック等の「ナノマテリアル」が使用されていることは明白なところであり、さらに、「ナノマテリアル」については、厚生労働省や経済産業省においてその安全性について議論が行われており、安全性上の懸念を持たれているものであることも明白なところである(甲2及び甲3)。 (3)一方、化粧品等においては、例えば「パラベンフリー」、「アルコールフリー」、「オイルフリー」のように、どちらかといえば安全性に懸念を持たれている特定の原材料の名称あるいは総称に、「フリー」の語を付した語が商品に普通に使用されており、商品にこれらの表示をすることによって、それらの原材料を使用していないことを強調し、需要者に認識させているものである(甲4ないし甲14)。 (4)すなわち、本件商標「ナノフリー」を、その指定商品に使用するときは、「ナノマテリアルを原材料としない商品」を直感させ、単に商品の原材料、品質を表す標章にすぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。 (5)また、万一本件商標「ナノフリー」を、「ナノマテリアルを原材料としない商品」以外の本件指定商品に使用するときは、あたかもその商品が「ナノマテリアルを原材料としない商品」であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれのあることは明白であって、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。 3 当審の判断 (1)本件商標は、上記1のとおり、「ナノフリー」の文字よりなるところ、各文字は同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に表されており、全体として特定の意味合いを看取し得ない一種の造語よりなるものと認識されるものである。 (2)ところで、申立人は、本件商標を「ナノ」と「フリー」の語に分断し、全体として「ナノマテリアルを原材料としない商品」を直感させるものであると主張しているところ、申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、本件商標構成中の「ナノ」の語は「10億分の1」の意味を、また、「フリー」の語は「自由なさま。無料。(・・・の)ない」等の意味を有し、近年、化粧品業界などにおいては、ある種の原材料が含まれていないことを示すものとして、「オイルフリー」、「アルコールフリー」のように使用されている実情が認められるものである(甲1、甲4?甲14)。 しかしながら、「ナノ」の語が、「ナノマテリアル」の略語であると認め得る事実及び「ナノマテリアル」の語が「ナノ」と省略されて使用されている事実は、職権による調査によっても発見できず、また、申立人も、それを裏付ける証拠を提出していない。 そうとすれば、仮に、本件商標を「ナノ」と「フリー」の語に分断したとしても、全体として「10億分の1の自由」、「10億分の1が含まれていない」などの意味合いとなり、ここからは、本件指定商品との関係において、何ら具体的意味合いは把握することはできないものである。 なお、甲第11号証及び甲第12号証の化粧品の広告及びブログに、「ナノフリー」の文字が表示されているが、この各号証からでは、「ナノフリー」の意味合いや内容を把握することはできない。 (3)そうとすれば、本件商標は、その指定商品との関係において、直ちに特定の商品の品質を直接的、かつ、具体的に表示するものとして一般に認識、把握されているものではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。 してみれば、本件商標は、いずれの指定商品に使用しても商品の品質を表示するものではなく、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないものである。 (4)以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2012-11-07 |
出願番号 | 商願2011-77094(T2011-77094) |
審決分類 |
T
1
652・
13-
Y
(X03)
T 1 652・ 272- Y (X03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内山 進 |
登録日 | 2012-04-06 |
登録番号 | 商標登録第5484513号(T5484513) |
権利者 | クラシエホームプロダクツ株式会社 |
商標の称呼 | ナノフリー |