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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X2324
審判 全部申立て  登録を維持 X2324
管理番号 1266131 
異議申立番号 異議2012-900144 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-05-28 
確定日 2012-11-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5473934号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5473934号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5473934号商標(以下「本件商標」という。)は、「KURA-LOFT」の欧文字と「クラロフト」の片仮名とを二段に横書きしてなり、平成23年9月5日に登録出願、第23類「糸(「脱脂屑糸」を除く)」及び第24類「織物(「畳べり地」を除く),メリヤス地,布製身の回り品,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,敷布,かや」を指定商品として、同24年1月13日に登録査定がなされ、同年2月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人という。)の名称である「株式会社ロフト」の著名な略称及びその英名「THE LOFT CO.,LTD」の著名な略称と認められる「LOFT」の文字、又は申立人の経営する雑貨専門店の店舗名称若しくはビルの名称の著名な略称「ロフト」及び「LoFT」の文字を含んでいる。しかも本件商標の出願書類には申立人の承諾書が提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標中の「ロフト」及び「LOFT」の文字部分は、申立人の業務(いわゆる小売り)に係る商標として広く一般に知られている。しかも本件商標は、「LOFT」の部分のみを単独で認識できる態様で出願し登録されている。
よって、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人と何らかの関係がある者の提供に係る商品であるかのごとく、商品の提供主体等について混同を生じるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当し、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)「LOFT」「ロフト」の周知性について
ア 申立人の提出した証拠によれば以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、西武百貨店のロフト事業として1987年に「渋谷ロフト」が雑貨専門店としてスタートし、その後、1996年8月に西武百貨店のロフト事業を独立分社化して設立されたものである。
(イ)申立人の2010年度の売上高は、約844億円であり、同年度の小売業売上高ランキングにおいて113位であることが認められ(平成23年6月29日付け日経MJ新聞 甲6)、専門店調査では、生活雑貨部門で第2位であることが認められ(平成23年7月13日付け日経MJ新聞 甲7)、2011年2月期の総売上高は981億円である。そして、2011年5月には、都市部に69店舗を有し、店舗名は、いずれも地名等と「ロフト」の文字からなるものである(甲2、甲4、甲5)。
(ウ)申立人のパンフレットには、各ページの上部に、別掲のとおりの「LoFT」の文字を図案化した商標(以下「申立人ロゴ商標」という。)が記載されている。
(エ)マイボイスコムが2009年8月21日に行った、インテリアに関する調査結果では、「ロフト」について知っていると回答した者が有効回答数1万3752人中、74.4%であった(甲12)。
(オ)NetIB-NEWSの福岡市の「天神ロフト」開業に関する2007年12月13日付けニュースに、出足が好調であることの要因について「ロフトの知名度と商品が九州で浸透していること」などが記載されている(甲11)。
また、当該記事中の天神ロフト店の写真によると、店舗ビルの壁面に申立人ロゴ商標が大きく表示されていることが認められる。
(カ)申立人ロゴ商標は、AIPPI・JAPANが2004年ころに発行した「日本有名商標集」に掲載されている(甲3)。
(キ)提出された証拠中、申立人の略称として「ロフト」が使用されていると認められるものは、小売業界(生活雑貨業界を含む。)に関する記事(甲6及び甲7)及び天神ロフトの開業に関連した申立人の経営計画に関する記事(甲11)のみであり、「LOFT」の文字が同人の略称として使用されている証拠はない。
イ そこで、まず、申立人の略称の著名性についてみるに、「ロフト」の文字が、企業動向、経営等に関する記事において使用されていることは認められるのは、上記ア(オ)のとおり、わずか3件にすぎず、また、提出された証拠には、「LOFT」の文字が、請求人の略称として使用されている事実は認められない。したがって、「LOFT」及び「ロフト」が申立人の略称として著名であるとは認めることができない。
ウ 次に申立人の使用する商標についてみるに、申立人は、地名等とロフトからなる店舗名を長年使用し、相当の売上げがあり、また、「ロフト」の部分が店名の要部であり、各店舗を総称して「ロフト」と称していることが認められることからすると、「ロフト」は、生活雑貨用品の小売り分野において申立人の業務に係る役務を表示する商標として相当程度知られているものということができ、別掲に表示するロゴ商標は、申立人の経営する店舗を表示するものとして店舗に使用しているものと認められ、その店舗数、売上高からすると、需要者の間で広く認識されているものと認めることができる。しかしながら、一般の書体で表された欧文字「LOFT」(「Loft」を含む。以下同じ。)については、それが申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして広く認識されていると認め得る証拠の提出がなく、また、申立人ロゴ商標とは態様が大きく異なること、「LOFT(ロフト)」の語が「屋根裏部屋」などの意味を有する成語であることからすれば、一般の書体で表された欧文字「LOFT」は、申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
前記(1)イのとおり、「ロフト」及び「LOFT」は、いずれも申立人の略称として著名なものとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
申立人は、申立人が経営する専門店ビルの名称及び申立人の店舗名称の略称についても、商標法第4条第1項第8号にいう「他人」と解すべきであると主張している。
しかしながら、同号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標」と規定されており、店舗の名称やビルの名称が上記規定の範ちゅうに入るものと解することができない。なお、仮に店舗名で商取引上の取引が行われることがあるとしても、その場合は、営業を行う主体のごとく使用されているものであり、店舗自体に同号で保護すべき人格権を有しているものではない。したがって、申立人の主張は採用できない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「KURA-LOFT」の文字と「クラロフト」の文字を一般的な書体で二段に書してなるところ、上段の「KURA-LOFT」の文字は、「KURA」と「LOFT」よりなるものと容易に認識できるものであるが、下段の「クラロフト」の文字は、同一の書体・同一の色・同一の大きさ・同一の間隔で表され、外観上一体として把握されるとみるのが自然であり、かつ、上段の読みを特定したものといえるものであるから、本件商標からは、「クラロフト」の称呼を生じ、観念上も特段の意味を有しない一体的な造語として認識されるものである。
そして、前記(1)のとおり、「ロフト」及び申立人ロゴ商標は、需要者の間に広く認識されているということができても、一般的な書体で書された「LOFT」が申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとはいえず、加えて、「LOFT」の語が「屋根裏部屋」などの意味を有する成語であることを総合して考慮するならば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲


異議決定日 2012-10-22 
出願番号 商願2011-63582(T2011-63582) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X2324)
T 1 651・ 271- Y (X2324)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡辺 潤 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2012-02-24 
登録番号 商標登録第5473934号(T5473934) 
権利者 倉敷紡績株式会社
商標の称呼 クラロフト、クラ、ロフト 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 一永 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 正次 

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