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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1265975 
審判番号 不服2012-5416 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-22 
確定日 2012-10-18 
事件の表示 商願2011- 10903拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「おうち麺」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年2月18日に登録出願され、その後、指定商品について同年10月4日付け手続補正書により、第30類「めん類」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『おうち麺』の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中の『おうち』の文字は『家、家庭』を意味し、『麺』の文字は、『粉を練ったものを細長く切った食品。うどん・そばなどの総称。』を意味するものである。ところで、飲食料品を取り扱う分野においては、家庭で食事をするための各種商品が製造・販売されており、インターネット情報によれば、『家庭で作る料理』であることを表すものとして、『おうち麺』、『おうちパスタ』といった『おうち○○』の文字が一般に使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が『家庭で作るめん料理用の商品』であることを認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、単にその商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、「おうち麺」の文字を書してなるところ、「おうち」は「自分の家、家庭」を意味する「お家(おうち)」に通ずる文字であり、「麺」は、「うどん・そばなどの総称」を意味する語である。
ところで、最近の経済、社会情況の変化により、外食から家で食事をする傾向となってきているところ、インターネットのブログやレシピサイト等において、家で作って食べる各種料理について、例えば、「おうちカレー」「おうち中華」「おうちラーメン」「おうち焼(き)肉」「おうちパスタ」「おうちピザ」「おうち鍋」「おうち牛丼」「おうち冷麺」「おうちハンバーグ」「おうち焼きそば」などと表現したり、家で食べる食事について「おうちランチ」「おうちディナー」「おうち夕食」「おうち昼食」「おうちブランチ」などと表現することが行われており、また、食品メーカー等のウェブサイトにおいても、「おうちパスタ」(味の素株式会社 http://park.ajinomoto.co.jp/recipe/corner/season/ouchi-pasta)、「おうちチャーハン」(株式会社Jオイルミルズ http://www.j-oil.com/recipe/know/index_bk1007.html)、「おうちギョーザ」(味の素冷凍食品株式会社 http://www.ffa.ajinomoto.com/study/ajigyoza/)、「おうち焼肉」(生活協同組合コープこーべ http://cooking.coop-kobe.net/recipe/10892.php)、「おうち鍋」(キッコーマン http://www.nikkeipr.co.jp/interesse/magazine/20091130.htm)が家で作る各種の料理を表すものとして使用されているものである。
そうすると、「おうち○○」(「○○」の部分は料理名等)の表示に接する需要者は、当該文字より、「家で作る○○(料理等)」の意味合いを容易に理解、認識するというべきである。
さらに、「おうち麺」「おうちめん」についても、ヤマキ株式会社(http://www.mapion.co.jp/news/release/000000009.000002619/)、キリンMCダノンウォーターズ株式会社(http://www.alkali.jp/alkaliclub/hiroba/result034.html)、インターネットニュース「Choix」の麺料理レシピ本に関する記事 (http://www.choix.jp/getpost/4438782)、主婦と生活社「素敵な奥さん2012年8月号(http://magabon.yomiuri.co.jp/choiyomi/?zas=271&kng=7845)に「家で作るめん料理」を意味する語として使用されているものである。
そうとすれば、本願商標「おうち麺」は、「家で作るめん(料理)」の意味合いを理解、認識させるものというのが相当である。
そして、例えば、前記味の素冷凍食品株式会社のウェブサイトでは、「楽しく食べよう。おうちギョーザ」のキャッチフレーズの下、4種の冷凍餃子の商品が紹介されていることからすると、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者は、「家で作るめん料理」の意味合いを理解し、それに適した商品であると認識するにすぎない。
したがって、本願商標は、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「おうち麺」を商品「めん類」の商標として盛大に使用しているものであり、そのパターンの多くは,テレビコマーシャルに「おうち麺は、シマダヤ?。」のコピーを挿入することによって、「おうち麺」がシマダヤ製品であることを印象付けているが、めんつゆに「おうち麺」、「パスタ」に「おうちパスタ」の使用事例があるとしても、「めん類」に「おうち麺」を使用し,盛大にテレビコマーシャルを繰り返しているのは請求人(出願人)だけであるから、その結果、「おうち麺」は、請求人の識別標識として、受け止められている、旨主張し,証拠方法として、資料1ないし資料391(但し、17?100は、欠番。)を提出している。
請求人の提出した証拠によれば、請求人の「家庭用チルド 商品カタログ 2010秋冬」(資料1)及び「家庭用冷凍 商品カタログ 2010秋冬」(資料2)の表紙に「“おうち麺”でみんな笑顔」と記載されていることが認められる。
また、請求人のテレビコマーシャル中、「焼きそばは、鉄板麺」篇(資料16の資料一及び資料101 以下「CM1」という。)及び鉄板麺「縁日ソース味」篇(資料16の資料二及び資料188 以下「CM2」という。)は、いずれも焼きそばを調理する画面の後、4人がテーブルを囲んで焼きそばを食べ、「おうち」と表示された画面及び2種類の鉄板麺と「おうち麺は シマダヤ」の文字が表示された画面が映し出され、上記2つの画面の間に「おうち麺は シマダヤ?」のナレーションがあるものであり、お値打ち太鼓判「太鼓判シリーズ」新登場篇(資料16の資料四及び資料215 以下「CM3」という。)は、男女二人がラーメンを食べ終えた画面に続き、太鼓判と表示された5つの商品と「おうち麺は シマダヤ」の文字が表示された画面が映し出され、上記2つの画面の間に「おうち麺は シマダヤ?」のナレーションがあるものであり、流水麺ロゴトーク篇(資料16の資料五及び資料226 以下「CM4」という。)は、ザルそばを調理する画面の後、4人がテーブルを囲んでザルそばを食べ、「おうち麺はシマダヤ」と表示された画面及び4種類の商品と「おうち麺は シマダヤ」の文字が表示された画面が映し出され、上記2つの画面の間に「おうち麺は シマダヤ?」のナレーションがあるものであり、ざる麺ロゴトーク篇(資料16の資料六及び資料227 以下「CM5」という。)は、ザルそばを調理する画面の後、4人がテーブルを囲んでザルそばを食べ、「おうち」と表示された画面及び3種類の商品と「おうち麺は シマダヤ」の文字が表示された画面が映し出され、上記2つの画面の間に「おうち麺は シマダヤ?」のナレーションがあるものである。そして、CM1については、2009年2月及び3月にそれぞれ関東、中京、関西圏を含む43テレビ局で2か月合計1749本放映され(資料16別表1及び資料102?資料187)、CM2については、2010年3月に関東圏を含む26テレビ局で687本放映され(資料16別表2及び資料189?資料214)、CM3については、2009年10月及び12月に関東圏の5テレビ局で合計218本放映され(資料16別表3及び資料216?資料225)、CM4及びCM5については、2009年4月、5月、7月、8月に関東圏(8月を除く。)、中京圏(8月を除く。)、関西圏(8月を除く。)を含む東日本の各テレビ局で合計2528本放映された(資料16別表4、同別表5及び資料228?資料391)ことが認められる。
また、「おうち麺は、シマダヤ?」の前記テレビコマーシャルのフレーズを書き込んだブログがあり(資料3?資料12)、請求人の開設したウェブサイトには、「うどん、そば、中華めんなど『おうち麺』のエキスパートメーカー『シマダヤ』のウェブサイトです。『流水麺』『鉄板麺』ブランドなどのチルド商品や冷凍商品の情報をはじめ、ご家庭で美味しく召し上がれるオリジナルレシピや・・・」の記載がされている(資料14)。
なお、提出された証拠には、本願商標が特定の商品名等として、例えば包装に表示されているとか、カタログ中に表示されているというような事実は見当たらない。
以上によれば、請求人は、「おうち麺は、シマダヤ?」のフレーズを使用し、旺盛にテレビコマーシャルを行っていることは認められる。しかしながら、「おうち麺」の文字自体は前記のとおり、「家で作るめん料理」の意味合いを容易に認識させるものであり、またコマーシャルおける当該フレーズは、家庭で作ることを暗示させる場面において使用されているものである。そして、一般に「チョコレートは明治」「カレーはハウス」「酒は黄桜」などのようにして当該商品の一番手のメーカーであることをキャッチフレーズとすることが行われていることからすると、上記コマーシャルフレーズに接した需要者は、そのフレーズ全体として「シマダヤがおうち麺(家で作る麺料理)に係る一番手のメーカー」であることを表したキャッチフレーズのように認識し、「おうち麺」の文字部分が、請求人の商品の出所を示すものとして認識するものといえない。
同様に、「”おうち麺”でみんな笑顔」が家庭用チルド商品及び家庭用冷凍商品のカタログに使用されていることは認められるものの、いずれも家庭用の商品であって、めん料理の写真と共に使用されていることからすると、上記カタログに接した需要者は、そのフレーズ全体として「おうち麺(家で作るめん料理)でみんな笑顔になる」というような意味合いの販売促進のためのキャッチフレーズのように認識し、「おうち麺」の文字部分が、請求人の商品の出所を示すものとして認識するものといえない。
さらに、請求人ウェブサイトに「『おうち麺』のエキスパートメーカー『シマダヤ』の表示が認められるものの、一般にエキスパートメーカーとしてアピールする場合は、商品ジャンルや商品の一般名称と結びつけて行われるから、上記表示中の「おうち麺」は、商品ジャンルないしは商品の一般名称としてとらえられるというのが自然である。したがって、当該表示においても「おうち麺」が請求人の業務に係る商品を表示するものとしてとらえ、理解、認識するものとはいえない。
以上のとおりであるから、「おうち麺」の文字が請求人の宣伝広告に使用され、「おうち麺はシマダヤ?」のフレーズが需要者にある程度は知られていると認めることができるとしても、「おうち麺」が請求人の業務に係る商品を表示するものとして、理解、認識されると認めることができない。
よって、請求人の主張は採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-08-21 
結審通知日 2012-08-22 
審決日 2012-09-05 
出願番号 商願2011-10903(T2011-10903) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄豊田 緋呂子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 堀内 仁子
豊瀬 京太郎
商標の称呼 オウチメン、オウチ 
代理人 三宅 始 

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