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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X03
管理番号 1265967 
審判番号 不服2011-14506 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-05 
確定日 2012-10-18 
事件の表示 商願2010-33250拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ラブインナミスト」の片仮名を標準文字で表してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成22年4月26日に登録出願、その後、指定商品については、当審における平成23年7月12日付けの手続補正書により、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、キンポウゲ科の一年草の名称である『love-in-a-mist』の読みを片仮名で『ラブインナミスト』と標準文字で表してなるものであり、和名で『クロタネソウ』、別名『ニゲラ』とも称されているところ、該植物は、化粧品、香料等の原材料として使用されるものですから、これを、その指定商品中、例えば『ラブインナミスト(クロタネソウ、ニゲラ)を原料とするせっけん・化粧品・香料』に使用するときは、単に商品の品質、原材料について普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知の要旨
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の「証拠調べ通知」に対し、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ラブインナミスト」の片仮名を標準文字で表してなるところ、別掲の証拠調べ通知のとおり、「ラブインナミスト(Love in a mist)」が、「クロタネソウ(黒種草)」「ニゲラ」と称され、本願指定商品中「せっけん類,化粧品」との関係においては、その種子から抽出したオイルやエキスを配合した商品が市場に流通している実情が見られる。
加えて、「ラブインナミスト(Love in a mist)」「クロタネソウ(黒種草)」「ニゲラ」は、香料として使用されており、また、本願指定商品中「せっけん類,化粧品」を取り扱う業界において、香料を商品「せっけん類,化粧品」に配合することが広く行われていることからすれば、「ラブインナミスト」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、「ラブインナミスト(クロタネソウ、ニゲラ)を原材料とするせっけん類,同化粧品,同香料類」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、単に、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきものであり、かつ、前記商品以外の「せっけん類,化粧品,香料類」に使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、本件審判の請求時に、過去の審決例及び登録例を挙げて、本願商標も登録すべきである旨述べているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるから、当該主張は採用できない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】(証拠調べ通知)
1 「ラブインナミスト(Love in a mist)」が、「クロタネソウ(黒種草)」「ニゲラ」と称されていることについて
(1)「ランダムハウス英和大辞典<特装版>」(株式会社小学館:2002年1月10日第2版第5刷発行)の「love-in-a-mist」の項において、「1 クロタネソウ(黒種草)、ニゲラ:キンボウゲ科クロタネソウ属の草・・・」の記載がある(1605頁)。
(2)「ジーニアス英和大辞典<背革装>」(株式会社大修館書店:2001年4月25日初版発行)の「love-in-a-mist」の項において、「クロタネソウ・・・」の記載がある(1307頁)。
(3)「身近にある/ハーブがよーくわかる本」(株式会社 秀和システム:2007年7月1日第1版第1刷)の「ニゲラ」の項において、「英名:Nigella/和名:クロタネソウ/学名:Nigella damascena・・・和名はクロタネソウです。葉はとても細かく切れ込み、遠くから見るとまるで霧のように見えるので、ラブインナ・ミストというロマンチックな名前もあります。・・・」の記載がある(140頁)。
(4)「ヒーリング癒し辞典」のウェブサイトにおいて、「ニゲラ」の見出しの下、「ニゲラとは、・・・和名では『クロタネソウ』といい、成熟した種子が黒色で、すばらしい香りを放ちます。・・・学 名 Nigella damascena・・・別 名 ラブインナミスト・クロタネソウ・・・」の記載がある(http://www.yoides.com/iyasi/1205.shtml)。
(5)「改訂・完全版/化粧品成分用語事典2008」(中央書院:2008年2月15日発行)の「ブラッククミンエキス」の項において、「学名のニゲラ(クロタネソウ)属は、・・・和名のクロタネソウ(黒種草)や・・・その姿から英名の別名でLove in a mist(霧の中の愛)ともよばれる。・・・」の記載がある(279頁)。

2 「ラブインナミスト(Love in a mist)」「クロタネソウ(黒種草)」「ニゲラ」が、香料等として用いられることについて
(1)「原色牧野和漢薬草大図鑑」(株式会社北隆館:昭和63年10月31日初版発行)の「188.クロタネソウ/[クロタネソウ属](きんぽうげ科)/Nigella damascena L./(黒種子草)(英)Love in a Mist」の項において、「・・・ダマセニン、ニゲルエールは芳香があるため、香料、矯臭薬として用いられる。・・・・」の記載がある(99頁)。
(2)「日本ハーブ図鑑」(社団法人家の光協会:平成10年4月1日第1版発行)の「クロタネソウ」の項において、「英名:Love in a Mist/学名:Nigella damascena/別名:ニゲラ/・・・種子に芳香があるため、香料、矯臭薬として用いる。・・・」の記載がある(208頁)。
(3)「駿河木の家日記」のウェブサイトにおいて、「Nigella damascena L.」の見出しの下、「『ニゲラ』?Nigella damascena L.?和名はクロタネソウ(黒種草)・・・英名をLove-in-a-mist『霧の中の恋人』・・・用途:利尿薬、矯臭薬、香料に・・・」の記載がある(http://surugaki.exblog.jp/8032448/)。
(4)「チクタクボンボン」のウェブサイトにおいて、「Nigella damascena」の見出しの下、「英名 Love in a mist・・・和名 クロタネソウ(黒種草)、ニゲラ・・・芳香があるので、香料として用いられます。・・・」の記載がある(http://ticktick3.exblog.jp/9072590/)。
(5)「日だまり仔猫-園芸専科-」のウェブサイトにおいて、「ニゲラ・ダマスケナ」の見出しの下、「・・・学名 Nigella damascena L./英名 Love-in-a-mist・・・/和名 クロタネソウ(黒種草)・・・種子に香りがありますが、これは種子に含まれているダマセニンというアルカロイドや、ニゲルエールという揮発性油によるものだそうで、香料として用いられているようです。」の記載がある(http://www2.tky.3web.ne.jp/~hidamari/photo114.html)。
(6)「植物」のウェブサイトにおいて、「花 ニゲラ」の見出しの下、「・・・別名は『黒種草』といいます。・・・種には香りがあり香料になります。・・・英名で『ラブ・イン・ア・ミスト(霧の中の愛)』・・・と呼ばれています。・・・」の記載がある(http://syokubutu1.seesaa.net/article/30485920.html)。
(7)「原色園芸植物図鑑[I]奥付」(株式会社保育社:昭和43年5月1日七刷発行)の「2.くろたねそう(N.damascena L.)」の項において、「・・・英名には、Love-in-a-mist、・・・なお、本種の種子には、ダマセニンというアルカロイドと、ニゲルエールという揮発油が含まれていて芳香があるので、臭気消しに用いられる。・・・」の記載がある(90頁)。

3 「ニゲラ」「クロタネソウ」が、本願指定商品との関係において、原材料を表す語として使用されている事例について
(1)「@cosme」のウェブサイトにおいて、「メルヴィータ ビオソープ ミントグリーンティ クリームソープ」の見出しの下、「・・・商品説明 ニゲラオイル(クロタネソウ)配合のさっぱりとした洗い上がりのソープです。・・・」の記載がある(http://www.cosme.net/product/product_id/10018666/top)。
(2)「カラメル」のウェブサイトにおいて、「ヌビアンヘリテージ シアバター★ハニー&ブラックシードオイル」の見出しの下、「・・・成分:*ブチロスパーマムパーキー(シアバター)ニゲラの黒種子オイル、蜂蜜、トコフェロール(ビタミンE)、エッセンシャルオイルのブレンド。・・・」の記載がある(http://calamel.jp/go/item/36847672?afid=khap)。
(3)「アクサス」のウェブサイトにおいて、「イヴ サンローラン YSL ゴールデングロス(カラー:リップ:1)」の見出しの下、「・・・ニゲラオイル、カメリーナオイル配合。・・・」の記載がある(http://store.axas.co.jp/goods/3365440305663)。
(4)「楽天市場」の「生活の木」のウェブサイトにおいて、「アーユルヴェーダ スカルプケア ヘッドオイル パンチャカルマオイル 50ml」の見出しの下、「・・・アーユルヴェーダで最も一般的なヘッドマッサージオイル。。・・・成 分・・・ニゲラエキス・・・」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/ka-clover/148023030/)。
(5)「ヘルシンキ・フォーミュラ」の「HAIR CARE ROOM」のウェブサイトにおいて、「シローダーラー用オイル」の見出しの下、「●ニーラオイル/シローダーラーで使用するニーラオイルは、ココナッツオイルをベースの、緑色ハーブエキスを多く含み、頭部の鎮静効果の高いオイルです。・・・●内容成分・・・ニゲラ キンポウゲ科のハーブ。気持ちを安定させる効果がある。利尿作用も強く、バランスを取れる力がある。・・・」の記載がある(http://www.haircareroom.com/sd/index.html)。
(6)「Riche」のウェブサイトにおいて、「ユイルニジェル(マッサージオイル)30mL」の見出しの下、「ブラックシード(ニゲラ)オイルのほか、さまざまな植物オイルとエッセンシャルオイルを配合した100%ナチュラルなオイル。/植物オイル(ニゲラ、アーモンド、ホホバ、オリーブ、ヒマワリ)・・・配合。・・・ブラックシード(ニゲラ)オイル/中近東では化粧品のほか、薬用にも使われている、ニゲラ(=クロタネソウ)の種子から抽出したオイルです。・・・肌に栄養を与え、鎮静するはたらきが知られています。」の記載がある(http://salondebeauteriche.com/spa/cosme.html)。


審理終結日 2012-08-13 
結審通知日 2012-08-17 
審決日 2012-08-28 
出願番号 商願2010-33250(T2010-33250) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X03)
T 1 8・ 13- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中束 としえ 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 前山 るり子
小林 正和
商標の称呼 ラブインナミスト 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 

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