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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20117489 審決 商標
不服201120614 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X35
管理番号 1265913 
審判番号 不服2011-18851 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-31 
確定日 2012-10-12 
事件の表示 商願2010- 79049拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「カーボンマネジメントサービス」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第36類、第39類、第41類及び第42類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年10月8日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同23年3月25日付け及び当審における同年8月31日付け手続補正書により、最終的に、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,ホテルの事業の管理」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『カーボンマネジメントサービス』の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の『カーボン』の文字は、『炭素』の意味を、『マネジメント』の文字は、『管理』の意味を有する語として一般に親しまれ使用されており、また、『サービス』の文字は、『役務を提供すること』あるいは、『役務』そのものを意味し、『○○サービス』のように、他の文字を冠して複合語をつくる語である。そして、インターネット記事情報によれば、『カーボンマネジメント』の文字が、『二酸化炭素(CO2)を管理する』ほどの意味合いで普通に使用されていることから、本願商標は、全体として『CO2(炭素)を管理するサービス』の意味合いを容易に認識させるにすぎず、これを本願指定商品又は指定役務中、CO2(炭素)の管理に関する商品又は役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『CO2(炭素)の管理に関する商品又は役務』であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表示したものと理解するにとどまるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「カーボンマネジメントサービス」の文字を書してなるところ、その構成中「カーボン」の文字は、「炭素」等の意味を、「マネジメント」の文字は、「マネージメント」に通じ、「管理、処理」等の意味を、また、「サービス」の文字は、「奉仕、支給、接待」等の意味(いずれも広辞苑第6版)を有するいずれも広く知られた語であり、本願商標全体からは、「炭素の管理サービス」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
ところで、近年、地球温暖化の緩和に向けて、二酸化炭素の排出が少ない社会(低炭素社会)構築することが世界的な課題となっている(2012年1月1日発行自由国民社「現代用語の基礎知識」731頁)。
そのような中、我が国の企業等における事業活動においても、低炭素社会の実現に向けた種々の取組みがなされているところである。
そして、「カーボンマネジメント」の語は、以下のア及びイのとおり、「企業経営の持続可能性を規定するCO2の排出量を管理すること」を意味するところ、本願の指定役務中、主に事業経営に関する診断、コンサルティング等を提供する業界においては、「カーボンマネジメント」に「サービス」を結合した「カーボンマネジメントサービス」の語が、「企業経営の持続可能性を規定するCO2の排出量を管理するサービス」ほどの意味合いで一般に使用されていることが、原審における拒絶の理由で掲げる証拠を含む別掲の新聞記事及びインターネット情報からも裏付けられるものである。

ア 2009年1月1日発行自由国民社「現代用語の基礎知識」274頁「ROC/炭素利益率」の項には、「・・・企業経営の持続可能性を規定するCO2の排出量を管理することをカーボンマネジメントといい・・・」の記載がある。
イ 「企業戦略に活かす!/サプライチェーンのCO2管理/『スコープ3』のカーボンマネジメント」(2011年2月18日発行日刊工業新聞社)162頁には、「【カーボンマネジメント】」の項に、「企業組織や事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を管理する仕組み。(中略)また、CO2算定のみならず、モニタリング、報告、検証までを含む幅広いマネジメントの概念になりつつある。」の記載がある。

してみれば、「カーボンマネジメントサービス」の文字からなる本願商標は、その指定役務との関係において、全体として、「企業経営の持続可能性を規定するCO2の排出量を管理するサービス」程の意味合いを容易に認識させるものである。
したがって、本願商標は、これをその指定役務中「経営の診断又は経営に関する助言」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「企業経営の持続可能性を規定するCO2の排出量を管理するサービス」であることを理解するにとどまるものであるから、単に役務の質、内容を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「『カーボンマネジメント』は、一般的な用語とはいえず、需要者が『炭素管理』という意味を暗喩する造語とは把握されるものの、本願の指定商品・役務の需要者が『二酸化炭素の管理』を表すと認識するのは困難である。」旨主張する。
確かに、「カーボンマネジメント」の語は、「カーボン」及び「マネジメント」それぞれの意味からすると、「炭素管理」の意味合いを認識し得るものである。
しかしながら、近年、低炭素社会の実現に向け、二酸化炭素の排出量を減らすための取り組み、或いはその考え方として、例えば、「カーボンオフセット」(《Offsetは、相殺するもの、埋め合わせ、の意》日常生活や経済活動によって排出される二酸化炭素を、何か別の手段を用いて相殺しようとする考え方)(デジタル大辞泉)(http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=21784900)や「炭素税」(使用する化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)中の炭素含有量に応じて税を課すことで、CO2の排出を抑制しようとするもの。前掲2012年1月1日発行「現代用語の基礎知識」730頁)のように、「カーボン」又は「炭素」の文字は、「二酸化炭素(CO2)」を指称する語又は密接な関連性を有する語として、一般に使用されているところである。
また、「カーボンマネジメント」の語は、前記(1)のとおり、「企業経営の持続可能性を規定するCO2の排出量を管理すること」を意味する語として、一般の用語事典である「現代用語の基礎知識(2009年版)」にも掲載されており、さらに実際に、本願の指定役務中、主に事業経営に関する診断、コンサルティングを提供する業界において、「カーボンマネジメントサービス」の語が、前記意味合いを有するサービスを表す語として使用されているところである。
よって、「カーボンマネジメント」の語が、一般的な用語とはいえないとする請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、「カーボン」、「マネジメント」及び「サービス」の文字を含む商標について、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張するが、出願された商標の登録の適否の判断は、その案件毎に行うものであり、過去の登録等に拘束されるべき事情は存在せず、また、いずれの登録例も、商標の構成態様や指定商品又は指定役務との関係において、本願とは事案を異にするものであるから、請求人のかかる主張も採用することができない。

(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲〈「カーボンマネジメントサービス」の語が、主に事業経営に関するコンサルティング等を提供する業界において使用されている事実〉(下線は、当合議体が付したもの。)

(ア)2008年9月1日 電気新聞 3頁「ファーストエスコが関西環境取引所を創設 中小企業後押し、国内CDMを仲介」の見出しのもと、「ファーストエスコは29日、カーボンマネジメントサービス事業の一環で、中小企業の省エネ対策を支援する『関西環境取引所』(KCTX)をきょう1日に発足すると発表した。省エネ余地のある中小企業の省エネ診断と設備導入を支援し、発生した二酸化炭素(CO2)削減クレジットを大企業などと取引する仲介業務を行う。」の記事。

(イ)「テス・エンジニアリング株式会社」のサイト内「事業内容」の表題のもと、「カーボンマネジメントサービス」の項に、「テス・エンジニアリングでは、各種省エネシステムの提案・設計・施工・メンテナンスはもちろん、排出権取引・グリーン電力証書発行も行っており、総合的なカーボンマネジメントサービスをご提供致します。(前者は直接的、後者は間接的なCO2排出削減と考え、両面からお客様のCO2削減をサポート致します)」の記載。
(http://www.tess-eng.co.jp/carbon/)

(ウ)「お問合せポータル/ビジネスなんでも無料相談所」のサイト内「カーボンマネジメントサービスの会社を比較!」の表題のもと、「カーボンマネジメントサービスとは?」の項に、「カーボンマネジメントサービスとは、企業のCO2に関するデータや実態をできるだけ正確に把握した上で、将来のCO2排出量を予測し、自社の排出低減計画や社会全体の低減に貢献できる商品やサービスの提供を企画します。エネルギー価格高騰や資源枯渇化などに対する経営リスクをシステマティックに捉えることにより、戦略的経営のツールとして効果発揮が期待でき、省エネ法等のエネルギー関連法規制・条例強化への対応を含め、適確なエネルギー管理システムが構築できます。」の記載。
(http://www.otoiawase-portal.jp/company/carbonms/)

(エ)「環境ビジネス支援サイト|エナジストワークス」のサイト内「カーボンマネジメントサービスのご案内」の表題のもと、「カーボンマネジメントサービスとは?」の項に、「排出権活用をお考えのお客様に手軽に、安全にお取引が行えるように、排出権の調達から無効化までエナジストワークスが代行する一元管理システムです。」の記載。
(http://www.green.energist.co.jp/kankyo/index.php/carbon-offset/carbon-management.html)

(オ)「UL ASG Japan,Inc.」のサイト内「コンサルティング」の表題のもと、「カーボンマネジメントサービスのご提案」の項に、「CO2・エネルギーマネジメントシステム導入支援サービス・・・・欧州や米国で開発されているエネルギーマネジメントシステム規格を活用し、CO2エネルギーマネジメントシステムの導入をご支援いたします。・・・■「カーボンマネジメント」とは/企業のCO2に関するデータや実態をできるだけ正確に把握した上で、将来のCO2排出量を予測し、自らの排出低減計画や社会全体の低減に貢献できる商品やサービスの提供を企画していくことです。」の記載。
(http://ulasg.com/consulting/carbon_management)

(カ)「株式会社ファーストエスコ」のサイト内「カーボンマネジメントの必要性」の項に、「1997年の京都議定書採択を契機に、これまでの経済活動優先社会から環境配慮型社会への転換が求められるようになりました。それに伴いCO2対策が企業経営上の新たな課題として発生し、CO2(カーボン)を管理(マネジメント)する必要が出てきました。CO2対策が重要且つ困難な経営課題に → カーボンマネジメントサービスにより解決/貴社に最適なCO2対策をご支援いたします。」の記載。
(http://www.fesco.co.jp/carbonmanage/01.html)

(キ)「有限会社アトム設計」のサイト内「TOPページ」に、「アトム設計がご提案する『アトムカーボンマネジメントサービス』/中小企業さま向けに、/CO2削減・省エネ中小企業さま向けに、CO2削減・省エネ・節電・国内クレジット・カーボンオフセット・補助金利用等の支援を行い、エネルギー費用の削減・経費削減をお手伝いするサービスを提供しております。/CO2削減することにより、地球温暖化防止に貢献します。」の記載。
(http://atom-cms.com/)

(ク)「経済産業省/近畿経済産業局」のサイト内「大企業向け国内排出削減認証制度ガイドブック」と題する資料の15頁には、「3.取組みの目的・効果等」の項に、「●カーボンマネジメントサービスに関するノウハウの蓄積/省エネ・CO2削減に対して企業の関心が高まっており、『カーボンマネジメントサービス』は有益なビジネスとなる可能性があり、ノウハウが蓄積できることが大きいです。」の記載。
(http://www.kansai.meti.go.jp/3-9enetai/cdm/daikigyo_pamphlet.pdf)

(ケ)「BUREAU VERITAS」のサイト内「システム認証事業本部/低炭素社会へ向けたて新しいビジネスの胎動」の項に、「カーボンマネジメントとは、法規制への対応やCO2データ管理体制の現状を評価し、リスクと機会を洗い出すことです。・・・・ビューローベリタスでは、数多くのデータ検証やCSRレポートの評価を通じて蓄えてきた知見を活かし、オリジナルツールとしてVeriPerf(TM)を用いたカーボンマネジメントサービスを展開しています。」の記載。
(http://www.bureauveritas.jp/newsletter/100610/newsletter.pdf)

(コ)「企業情報サイトイノベーションズアイ」のサイト内「コンサルティングサービス概要」の項に、「商品・サービス提供企業:エナジストワークス株式会社/・・・・【グリーン(環境)コンサルティングサービス】・・・/□カーボンマネジメントサービス(排出権の管理)・・・」の記載。
(http://www.innovations-i.com/is/service/5029.html)

審理終結日 2012-07-19 
結審通知日 2012-08-02 
審決日 2012-08-20 
出願番号 商願2010-79049(T2010-79049) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小川 きみえ
大橋 良成
商標の称呼 カーボンマネジメントサービス、カーボンマネジメント 
代理人 古志 達也 

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