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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1264494 
異議申立番号 異議2012-900084 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-04-06 
確定日 2012-10-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5460467号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5460467号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5460467号商標(以下「本件商標」という。)は、「幸せの花急便」の文字を横書きしてなり、平成23年3月24日に登録出願、第35類「花及び木の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供,花及び木の販売に関する情報の提供」を指定役務として同年11月4日に登録査定、同24年1月6日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第3120265号商標(以下「引用商標」という。)は、「花急便」の文字を横書きしてなり、平成5年3月11日に登録出願、第31類「木,草,芝,ドライフラワ?,苗,苗木,花,盆栽」を指定商品として、同8年2月29日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
2 具体的な理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、「幸せの花急便」の文字を書してなるものであり、その構成中「幸せの」と「花急便」とは意味合いにおいて強固に連結するものではなく、また、全体として「シアワセノハナキュウビン」の称呼を生じ、その音数は11音であり、長い称呼を生ずる商標であるから、本件商標は「幸せの」と「花急便」とのいずれかに簡略化される可能性がある。
そして、本件商標の「幸せの」の部分については、自他商品、役務の識別標識としての機能を有しない。また、「花急便」の部分については、申立人が長年にわたり使用したことにより、需要者に一定の知名度を有することとなったものであるから、本件商標の指定役務の取引者や需要者に対し引用商標の商標権者が、本件商標の指定役務の提供者である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであったといえる。
イ 引用商標は、「花急便」の漢字からなるものであり、「ハナキュウビン」の称呼を生ずるものである。
ウ してみれば、本件商標と引用商標は、ともに「ハナキュウビン」の称呼を生ずること明らかであるから、その称呼において類似の商標である。
さらに、本件商標の構成中「花急便」と引用商標とは、同一の漢字を用いており、その外観においても類似の商標である。また、両商標から生じる観念は「花及び木の小売サービスにおけるそれらの迅速な配送」といった意味内容を生じる。
エ また、引用商標の指定商品、第31類「木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,盆栽」と、本件商標の指定役務、第35類「花及び木の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供,花及び木の販売に関する情報の提供」とは、互いに類似するものである。
オ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標の使用の事実
申立人は、昭和41年7月1日から本件商標の指定役務を業として行っており(甲第9号証)、平成2年ごろから当該役務について商標「花急便」を使用している。そして、甲第10号証に示す、平成6年10月26日発行の著書において、その使用の事実が記載されている。また、甲第11号証に示すように、平成14年からは楽天にてインターネットを通じた通販を開始し、平成18年以後、売上が高まり、その後、インターネット通販サイト「花急便」においても、年商1億2千万円を超える規模に拡大した。
さらに、甲第14号証及び甲第15号証に示すように、直近の平成21年、平成23年においても、取引量に大幅な変更はない。また、甲第12号証によれば、申立人は「生花等の販売」を行うショップサイト「花急便.com」の宣伝広告も行っており、当該広告による閲覧数も多数ある。
イ 以上から、本件商標に係る出願日、及び登録査定日の時点において、申立人が使用する商標「花急便」が、本件商標の指定役務の取引者や需要者に対し広く認識されていたということができる。
ウ さらに、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは同一又は類似のものであり、かつ、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものである。
エ したがって、本願商標と引用商標は、その出所につき誤認混同を生ずるおそれを有する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

第3 当審の判断
1 「花急便」の周知性について
(1)申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、1966年(昭和41年)から、生花の販売及び小売りを業務として行っており、遅くとも1995年(平成7年)には「花急便」という受注センターを有していた(甲第9号証及び甲第10号証)。
イ 申立人は、2002年(平成14年)に同人のネットショップとして「花急便」なるサイトを設立した(甲第11号証)。
ウ 申立人は、「花急便」をキーワードとし、「花急便のお花当日配達」などの広告文を表示するリスティング広告をし、その表示回数はスポンサードサーチにおいては、2011年(平成23年)3月が5,376回、同年11月が423回であり、「アドワーズ」では、2011年3月が202回、同年11月が106回であった(甲第12号証)。
エ 「花急便.com」による2011年(平成23年)1月ないし12月の毎月の注文件数は635件ないし1476件で、月平均約800件である(甲第14号証-1及び2)。
オ 申立人は、生花の販売及び小売りの業務において、平成23年11月ないし12月に「花急便」の文字が表示された「花急便FAX注文用紙」を用いて注文を受けていた(甲第15号証)。
カ 「花急便.com」による売上げは、その商品及び時期などを含め必ずしも明らかではないが、平成21年12月に受けたとするインタビューにおいて通販部門で年商1億2,000万円超である旨回答していること(甲第11号証)及び「花急便.com」の管理画面において2011年(平成23年)1月ないし12月の販売額が約8,000万円である(甲第14号証-1及び2)ことからすれば、本件商標の登録出願の日前の平成21年ないし登録査定日ころの平成23年の年間の販売額は、1億2,000万円ないし8,000万円程度と推認することができる。
(2)以上からすれば、申立人は、1966年から、生花の販売及び小売りを業務として行っていること、及びその業務において、本件商標の登録出願日の日前からリスティング広告及びインターネット通販サイト名に「花急便」の文字(以下「使用商標」という。)を使用していることが認められ、FAX注文用紙にも「花急便」の文字を使用していたことがうかがえる。
しかしながら、生花業界の市場規模が5,000億円ほどとされる(甲第11号証)のに対し、「花急便.com」における売上金額は、1億2,000万円ないし8,000万円程度と市場規模の0.1パーセントにも満たないものであること、2011年3月及び11月のリスティング広告の表示回数は、最多でも3月の5,376回であって、インターネットが不特定多数の者により利用されることを考慮すれば、けっして多いとはいえず、11月には表示回数も減少していること、及び「花急便.com」の2011年の月平均注文件数も約800件(なお、この件数は甲第15号証の2011年11月期の注文数744件と合致している。)と多いものということはできないことをあわせみれば、使用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとは認められないと判断するのが相当である。
また、使用商標が付された封筒、広告用のはがき及び広告用のマグネット(甲第16号証ないし甲第18号証)についてはその使用期間及び使用量等は不明であり、その他、使用商標が需要者の間に広く認識されていると認め得る証拠は見いだせない。
そうすると、使用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、上記第1のとおり、「幸せの花急便」の文字からなり、その構成文字は同じ書体、同じ大きさ、等間隔で一体に表されているものであって、構成文字全体から生じる「シアワセノハナキュウビン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、「幸せの」又は「花急便」のいずれかの文字が出所識別標識としての称呼、観念が生じない、又は強く支配的な印象を与えるということはできないものである。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「シアワセノハナキュウビン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
イ 他方、引用商標は、上記第2 1のとおり、「花急便」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「ハナキュウビン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、語頭における「幸せの」の文字の有無という明らかな差異を有するから、外観上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標の称呼「シアワセノハナキュウビン」と引用商標の称呼「ハナキュウビン」との比較において、両者は語頭における「シアワセノ」の有無という明らかな差異を有するから、称呼において明確に区別し得るものであり、さらに、観念においては、両者はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
エ してみると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
オ なお、申立人は、本件商標の構成中「幸せの」の文字について、過去の審決・審査例を挙げ(甲第5号証ないし甲第7号証)、また、生花等の小売業者などが商標に「幸せ」「幸」「幸福」「ハッピー」「HAPPY」などを用いていることが多いこと(甲第8号証)から、自他商品・役務の識別標識としての機能を有しないものであり、さらに、「花急便」は一定の知名度を有するから、本願商標は、その構成中「花急便」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を与えるものであると主張している。
確かに、生花等の小売業者のウェブページにおいて、「幸せの○○花店」、「Happy Flower」、「Happy Flower Gift」、「ハッピーフラワー」などの使用例があるが、これらをもって「幸せの花急便」と一体に表された本件商標の構成中「幸せの」の文字部分が、自他商品・役務識別標識としての機能を有しないとはいい難く、また、提出された審決・審査例は、本件商標の指定役務と異なるものであり、さらに、「花急便」(使用商標)が需要者の間に広く認識されているものと認められないこと、上記(2)のとおりであるから、申立人の主張は採用することができない。
カ したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第10号について
使用商標は、上記(2)のとおり、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
さらに、本件商標と使用商標とは、上記(3)のとおり、非類似の商標といわざるを得ないものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-09-28 
出願番号 商願2011-20579(T2011-20579) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X35)
T 1 651・ 26- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 百宇池田 光治 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 梶原 良子
堀内 仁子
登録日 2012-01-06 
登録番号 商標登録第5460467号(T5460467) 
権利者 有限会社松村農園
商標の称呼 シアワセノハナキュービン、ハナキュービン 
代理人 特許業務法人三澤特許事務所 
代理人 穴見 健策 

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