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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y33
管理番号 1264462 
審判番号 取消2011-670022 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-11-14 
確定日 2012-08-09 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第0812087号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件国際登録第812087号商標(以下「本件商標」という。)は、「Fuego」の欧文字を横書きしてなり、2003(平成15)年8月20日に国際商標登録出願、第32類「Beers;mineral and aerated waters and non-alcoholic drinks;fruit drinks and fruit juices;syrups and other preparations for making beverages.」及び第33類「Alcoholic beverages(except beers).」を指定商品として、平成16年3月15日に登録査定、同年6月25日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求の登録日は、同23年11月22日である。
2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第33類「全指定商品」について登録を取り消す、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、第33類「全指定商品」について使用された事実がない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録が取り消されるべきものである。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第32号証を提出した。
本件商標は、被請求人から、「ワイン」について、その通常使用権を許諾されているWEINKELLEREI HECHTSHEIM GmbH(以下「HECHTSHEIM社」という。)を通じて、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用されていたものである。
(1)被請求人及びHECHTSHEIM社について
被請求人及びHECHTSHEIM社は、フランスのワインメーカーLes Grands Chais de Franceのドイツにおける100%子会社である。また、被請求人は、スペインワイン「Fuego」の製造及び販売についてHECHTSHEIM社に対しライセンスを許諾している(乙1)。
(2)HECHTSHEIM社による「FUEGO」ワインの販売行為について
HECHTSHEIM社は、本件商標を使用した「ワイン」(以下「本件商品」という。)を遅くとも2010年ごろから三陽物産株式会社(以下「三陽物産」という。)に販売していたものである。
乙第2号証ないし乙第14号証は、HECHTSHEIM社から三陽物産宛てに発行された請求書である。
当該請求書には、請求書の日付として、2010年3月1日ないし2011年7月12日の日付が記載されている。また、仕向け地の記載中に、「FUEGO TEMPRANILLO JAPON」、「FUEGO GARNA JAPON」、「FUEGO MOSCATEL JAPON」等の記載がある。
乙第15号証は、カルベジャパン株式会社(以下「カルベジャパン」という。)の商品パンフレット「カルベジャパン/ワインリスト」である。本パンフレットには、「三陽物産のワイン スペイン ワイン FUEGOフェーゴ」のタイトルの下で、「モスカテル/MOSCATEL」、「テンプラーニョ/TEMPRANILLO」、「ガルナッチャ/GARNACHA」の名称の3種類のワインの写真が掲載されている。これらのワインボトルのラベルには、本件商標と同じ文字からなる「FUEGO」の標章が使用されている。
乙第2号証ないし乙第15号証の内容に照らせば、HECHTSHEIM社から三陽物産には、遅くとも2010年から2011年7月頃の間に、「モスカテル/MOSCATEL」、「テンプラーニョ/TEMPRANILLO」、「ガルナッチャ/GARNACHA」の3種類の本件商品が販売されていたというべきである。
乙第16号証は、三陽物産の発行したパンフレットである。本パンフレットには、「モスカテル/MOSCATEL」、「テンプラーニョ/TEMPRANILLO」、「ガルナッチャ/GARNACHA」の2010年の「FUEGO」ワインが掲載されていることから、遅くとも2011年11月18日までには、三陽物産が本件商品を輸入していたことは容易に推測できる。
(3)まとめ
乙第1号証ないし乙第16号証に記載の内容に照らせば、本件商標について通常使用権を有するHECHTSHEIM社は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件取消審判の請求に係る商品中「洋酒」に包含される「ワイン」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたというべきである。
4 答弁に対する弁駁
請求人は、上記3の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
5 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証及び乙第30号証について
乙第1号証は、その和訳によれば、2008年1月14日付けの被請求人とHECHTSHEIM社との間の、商標「Fuego」を含む被請求人所有商標のライセンス契約書である。契約期間は、2013年1月31日までであり、その解約が行われない場合は、2015年12月31日まで延長されるものである。
イ 乙第2号証ないし乙第14号証、乙第17号証ないし乙第29号証について
乙第2号証ないし乙第14号証は、HECHTSHEIM社から三陽物産に宛てた、2010年3月1日、同年6月8日、同年10月5日、2011年1月6日、同年4月12日、同年6月20日、同年6月21日、同年7月11日、同年7月12日を請求日とする「請求書」である。
そして、「Designation」(仕向地)欄には、「FUEGO TEMPRANILLO」、「FUEGO GARNA」、「FUEGO MOSCATEL」等の文字を含む商品名の記載がある。
また、「EANbt/EANcase」(EANボトル/EANケース)の欄には、「4049366000466、4049366000398、4049366000978」等の数字の記載がある。
ウ 乙第15号証は、カルベジャパンの商品パンフレット「カルベジャパン・ワインリスト」である。このパンフレットには、「三陽物産株式会社のワイン スペインワイン - Fuegoフェーゴ」のタイトルの下、「モスカテル/MOSCATEL」、「テンプラニーリョ/TEMPRANILLO」、「ガルナツチャ/GARNACHA」の名称及び3種類のワインの写真が掲載されており、これらワインボトルのラベルには、「FUeGO」(「e」は他の文字と同じ大きさ。以下同じ)の文字が表示されている。また、その下には、「価格は、消費税別 希望小売価格です。2012年1月現在。」の記載がある。
エ 乙第16号証は、「Fuego」、「フェーゴ」及び「輸入元 三陽物産株式会社」の記載があるワインの「ちらし」である。このちらしには、「MOSCATEL/モスカテル 2010」及び「JAN/4049366000978」、「TEMPRANILLO/テンプラニーリョ 2010」及び「JAN/4049366000466」、「GARNACHA/ガルナツチャ 2010」及び「JAN/4049366000398」の商品名、品番と共にそれぞれのワインの写真が掲載されており、これらワインボトルのラベルには、「FUeGO」の文字が表示されている。
そして、品番中に認められる前記数字は、上記「請求書」の「EANbt/EANcase」(EANボトル/EANケース)欄の数字と同一のものである。
(2)上記事実のとおり、三陽物産宛ての「請求書」及び同社の「ちらし」によれば、HECHTSHEIM社は、2010年3月頃から2011年7月頃に、三陽物産に対し、ワインボトルのラベルに「FUeGO」の文字が表示されたワインを販売しているものである。そして、三陽物産が輸入したワインをカルベジャパンが販売していることが認められるものである。
(3)本件使用商標について
本件商標は、「Fuego」の欧文字よりなるものであるところ、該文字は、スペイン語で「火,熱」の意味を有するものであるが、一般に慣れ親しんでいる語ではないから、これよりは特定の観念は生じないものである。そして、本件商標は、その構成文字に相応して、「フェーゴ」の称呼を生じるものというのが相当である。
HECHTSHEIM社は、三陽物産に対し、ワインを販売しており、そのワインボトルのラベルには、「FUeGO」の標章(以下「使用商標」という。)が表示されている。
そうとすれば、該「FUeGO」の文字は、綴り字において、大文字と小文字の表記の違いはあるものの、本件商標とは同じ綴りであって、これよりは、「フェーゴ」の称呼を生ずるから、本件商標と使用商標は、同一の称呼を生ずるものである。
そして、観念においては、本件商標と使用商標とは、特定の観念が生じないものの、同じ綴りの文字よりなるから、相違する点はないものである。
してみれば、本件商標と使用商標とは、構成文字においてローマ字の大文字と小文字の差異を有するものの、同じ綴りの文字よりなり、称呼においては、同一の称呼を生じ、観念において相違のない商標であるから、社会通念上同一の商標であるといい得るものである。
(4)本件商標の使用権者とその販売行為について
「HECHTSHEIM社」は、商標のライセンス契約書によれば、商標権者から本件商標の使用の許諾を受けた通常使用権者であると認められるものである。
そして、HECHTSHEIM社は、三陽物産に対し、ワインを販売しているものである。
ところで、商標法第2条第3項が同法上の標章の「使用」の定義を規定した趣旨は、商品に標章が表示される場合において、それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念に委ねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを「使用」であると定義することにより、同法上の「使用」としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される。そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから、その商品が実際に何人によって所有、占有されているとを問わず、同法第2条第3項に該当する行為が行われる限り、その行為は、当初、商品に商標を付した者による商標の「使用」行為であるというべきである。これを本件のような我が国で商標登録を有する外国法人との関係についてみれば、商標権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、属地主義の原則に支配され、その効力は当該国の領域内においてのみ認められるところから、当該外国法人が商標を付した商品が我が国外において流通している限りは、我が国の商標法の効力は及ばない結果、我が国の商標法上の「使用」として認めることはできないものの、その商品がいったん日本に輸入された場合には、当該輸入行為をとらえ、当該外国法人による同法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為として、同法上の「使用」としての法的効果を認めるのが相当である。(東京高裁 平成15年6月2日判決言渡 平成14年(行ケ)第346号)
そうとすれば、本件においては、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標の通常使用権者である「HECHTSHEIM社」が製造又は販売する「ワイン」について、日本の輸入元である「三陽物産」を通じて、これを販売していた事実、及び販売を推認できるから、その販売行為をもって、商標法第50条に規定する通常使用権者による本件商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。
(5)まとめ
以上によれば、本件商標は、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、その請求に係る指定商品中「ワイン」について使用されたものであって、商標法第2条第3項第2号の商品に標章を付したものを譲渡する行為があったものと認め得るものである。
したがって、本件商標の指定商品中、本件取消の請求に係る第33類「全指定商品」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-06-19 
結審通知日 2012-06-21 
審決日 2012-07-03 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2003-08-20 
商標の称呼 フエゴ、フユーエゴ、ヒューエゴ 
代理人 六川 浩明 
代理人 田中 景子 
代理人 田中 克郎 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 稲葉 良幸 

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