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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X06
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X06
管理番号 1264289 
審判番号 不服2011-28077 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-27 
確定日 2012-09-10 
事件の表示 商願2011-14846拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「耐震補強金具A・K形」の文字を標準文字で表してなり、第6類「金属製管継ぎ手,金属製フランジ,金属製バルブ(機械部品を除く。),金属製金具,建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、平成23年3月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『耐震補強金具A・K形』の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中、『耐震補強』の文字は、『既存の建築物の強度や靱性を改善して、耐震性能を向上させること。』の意味を有する語(「広辞苑第六版」、株式会社岩波書店発行)として、広く一般に慣れ親しまれているものであり、本願指定商品を取り扱う業界においては、建築物や家具などの耐震性能を向上させるために用いられる金具のことを『耐震補強金具』と指称している実情がある。また、構成中の『A・K形』のように、欧文字と『形』の文字との組合せからなるものは、一般に、商品の規格などを表すものとして、商取引上類型的に採択、使用されている実情にある。そうとすれば、本願商標をその指定商品中、『耐震補強金具』の文字に照応する商品『金属製金具』などについて使用しても、これに接する需要者は、単にその商品が『建築物や家具などの耐震性能を向上させるために用いられる金具で、規格がA・K形のもの』であると理解するにとどまり、結局、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「耐震補強金具A・K形」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「耐震補強」の文字は、「既存の建築物の強度や靱性を改善して、耐震性能を向上させること。」、同じく、「金具」の文字は、「器具にとりつける金属製の付属品。」をそれぞれ意味する(いずれも「広辞苑 第六版」、株式会社岩波書店発行)ものである。
また、「imidas2007」(株式会社集英社発行)の「耐震改修(耐震補強)」(253頁)の項目の説明によれば、耐震改修の方法の一つとして「耐震壁やブレース材の増設、柱・梁など構造体の補強など地震力に抵抗する強度補強」が存在し、2006年1月に施工された改正耐震改修促進法により、住宅及び特定建築物の耐震化率を2015年までに9割にすることが目標とされている。
そして、別掲1ないし3に示すとおり、建築物の耐震補強に用いられる金属製の商品が各社から多数販売されており、これらを「耐震補強金具」と称し、取引されている実情が認められる。
一方、本願商標の構成中の「A・K形」の文字のように、欧文字と「形」の文字との組合せからなるものは、一般に、商品の規格などを表すものとして、商取引上類型的に採択、使用されているものであり、本願の指定商品の分野においても、別掲4ないし7に示すとおり、「A形金具、B形金具、C形金具、L形金具、汎用バルブY形スイングチャッキ、飾りますB形」のように使用されている。
また、別掲8ないし12に示した情報によれば、水道管などに用いられるダクタイル鋳鉄管は、本願指定商品に含まれる金属製管継ぎ手、金属製フランジ、金属製金具などを用いて接合されるものであるところ、その鋳鉄管に溶接されるフランジの形式には、A形、B形及びC形が存在し、さらに、ダクタイル鋳鉄管の接合方法の規格には、先ごろ廃止されたA形に加え、K形、B形、T形、S形、SII形及びNS形などがあり、A形やK形の規格の接合部分の耐震性能を向上させるための継ぎ手、金具も存在している。
してみれば、「耐震補強金具A・K形」の文字よりなる本願商標は、「建築物などの耐震性能を向上させるために用いられる金具で、規格がA形・K形のもの」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そうとすると、本願商標は、これをその指定商品中、「耐震補強に用いる金具」について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を有しているとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標と認める。
また、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、本願商標は、一般的に使用されていないものであるから、甲第3号証ないし甲第5号証として示す登録例と同様に自他商品の識別標識として機能するものであり、登録されるべきであると主張する。
しかしながら、出願に係る商標の認定、判断は、その指定商品との関係において、取引者、需要者がどのように理解、認識するものであるか、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るか否か等、取引の実情を勘案して個別具体的に検討すべきであって、本願商標である「耐震補強金具A・K形」の文字が請求人以外の者に使用されていないとしても、その指定商品との関係において自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであることは、前記のとおりである。
そして、請求人の挙げた登録例は、いずれも、本願商標とはその商標の構成又は指定商品、指定役務が相違し、本願とは事案を異にするものといわざるを得ないものであり、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。
以上のとおりであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 1996年3月22日付けの日刊工業新聞(28頁)に、「国元商会、木造住宅用建材の製造に進出。第1弾は耐震補強金具」の表題の下、「建設用仮設資材メーカーの国元商会(大阪市鶴見区今津北3の4の27、社長前泉正信氏、電06・962・8800)は木造住宅用建材の製造に乗り出す。第一弾として四月から木造住宅用耐震補強金具『KSコボット』を発売、今後土台下プレートの発売も計画している。」との記載がある。
2 2003年4月22日付けの日刊工業新聞(25頁)に、「インサイド・システム、木造住宅向け耐震補強金具を発売」の表題の下、「インサイド・システム(大阪市淀川区、木下秀明社長、06・6886・0188)は20種類以上の多様な使い方がミスなく簡単にできる木造住宅の振動対策用補強金具『ボルイン・ワン』を5月8日に発売する。」との記載がある。
3 2012年3月28日付けの日本経済新聞(地方経済面 新潟 22頁)に、「外山工業、耐震補強金具や免震装置、地震対策建材に参入、まず年商5000万円目標。」の表題の下、「住宅関連機器やDIY用品などを製造する外山工業(三条市、外山晴一社長)は地震対策用の建設資材の製造販売に乗り出す。ビルやマンションの耐震補強に使う金具の製造をゼネコンから請け負うほか、倉庫などに設置する免震装置の製造も始める。」との記載がある。
4 「メカニカルパーツ&システム総合サイトMEKASYS」のウェブサイト中の「TKF形フレックスケーブルベヤ」の項目中に、「A形金具 B形金具 C形金具」の記載とそれら商品の写真がある(http://www.mekasys.jp/detail.php?sid=RS_0115&type=goods)。
5 「HIDランプ・投光器・施設照明 LightShower」のウェブサイト中に、「壁付け用L形金具」の記載とその商品の写真がある(http://lightshower.jp/shopdetail/025001000007/order/)。
6 「DIY工具から工事業・製造業様向けの専門部品の通販サイト」のウェブサイト中の「汎用バルブ」の項目中に、「汎用バルブY形スイングチャッキ」の記載とその商品の写真がある(http://item.rakuten.co.jp/haikanbuhin/01300716/)。
7 「建材ステーション」のウェブサイト中の「雨どい」の項目中に、「ステンレス雨どい ビルステン 飾りますB形」の記載とその商品の図がある(http://item.rakuten.co.jp/kenzai-station/sg-312/)。
8 「配管・パイプnote」のウェブサイト中の「フランジ規格」の項目中に、「なお、上記のスリップオン溶接式フランジ(ハブフランジ)(SOH)の呼び圧力20K及び30Kの形式には、A形、B形、及びC形がある。」との記載がある(http://www.hkpnote.com/hk/hk07.html)。
9 「水道技術情報,狸の水飲み場」のウェブサイト中に、「ダクタイル鋳鉄管は主として75mm以上の中?大口径用の管で,鎖状の耐震構造と強靱な管体強度を有します。弱点は継ぎ手といったところでしょうか。」及び「印籠形継ぎ手B形継ぎ手 A形継ぎ手 K形継ぎ手 T形継ぎ手 S形継ぎ手SII形継ぎ手 NS形継ぎ手」の記載とそれら商品の写真がある(http://www.asahi-net.or.jp/~kv6t-ymgc/08material/raccoon_material_dcip.htm)。
10 株式会社クボタのウェブサイト中の「耐震継手」の項目中に、「GX形」、「NS形」、「S形」及び「US形」の記載とそれらの商品の写真がある(http://www.kubota.co.jp/tekkan/DC/tugite_1.html)。
11 コスモ工機株式会社のウェブサイト中の「離脱防止押輪」の項目中に、「上水道、工業用水道、農業用水道、下水道などに使用するダクタイル鋳鉄管のA形、K形接合形式による継手の離脱防止を確保するために使用します。」の記載とその商品の写真がある(http://www.cosmo-koki.co.jp/products/s_ring/cmb2lb_cma2lb.html)。
12 クロダイトグループのウェブサイト中に、「K形・T形継手用離脱防止金具」の記載とその商品の写真がある(http://www.kurodite.co.jp/i/prod_02.htm)。

審理終結日 2012-06-12 
結審通知日 2012-06-22 
審決日 2012-07-30 
出願番号 商願2011-14846(T2011-14846) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X06)
T 1 8・ 272- Z (X06)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石戸 拓郎 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 堀内 仁子
山田 和彦
商標の称呼 タイシンホキョーカナグエイケイガタ、タイシンホキョーカナグ、タイシンホキョー、エイケイガタ 
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所 

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