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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X16
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管理番号 1263146 
異議申立番号 異議2011-900220 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-06-16 
確定日 2012-09-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5398852号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5398852号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5398852号商標(以下「本件商標」という。)は、「呼吸ケア」の文字を横書きしてなり、平成22年11月16日に登録出願、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、平成23年2月7日に登録査定、同年3月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第5321669号商標(以下「引用商標」という。)は、「呼吸器ケア」及び「Respiratory Care」の文字を二段に横書きしてなり、平成21年11月12日に登録出願、第16類「新聞、雑誌」を指定商品として、同22年5月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標(使用商標)の周知・著名性
申立人は、学術用専門誌の出版事業やセミナー事業を行う企業として、1977年(昭和52年)に設立された会社である。申立人は、引用商標を別掲1に示す態様の商標(以下「使用商標」という。)で2003年1月から、呼吸ケア専門の月刊誌について継続的に使用しており、本件雑誌の使用地域(購買者層)は全国に及んでいる。その結果、引用商標及び使用商標は、少なくとも需要者である呼吸ケアの専門家の間で広く認識されるに至っている。
(2)商標法第4条第1項第11号について
引用商標は、「呼吸器ケア」と「Respiratory Care」の文字を二段に書した態様からなるところ、本件商標と引用商標中「呼吸器ケア」の部分は互いに紛らわしく,両商標を使用する商品「雑誌,新聞」が定期的な刊行物であるとしても、引用商標の使用の事実を含めて総合的に勘案すると、両商標は類似するものであって、それぞれの指定商品に使用した場合、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、別掲に示す、周知の使用商標「呼吸器ケア/Respiratory Care」(下段の欧文字は極めて小さく書されてなる。)に類似するものであり、その指定商品も使用商標が使用されている商品「雑誌」と同一・類似のものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、使用商標の態様で継続的に使用された結果、その需要者である呼吸器科・ICU等を備えた比較的大規模の病院内にて勤務する呼吸ケアに従事する医療関係者(医師、看護師等)の間において、周知・著名となっている。
本件商標は、引用商標及び使用商標と類似するものであり、仮に類似とまで言えないとしても、共通する商品「雑誌」について使用した場合は、共通する印象ないしはイメージを看取せしめ、ひいては出所の混同を生じせしめるおそれのある相紛らわしい商標であることに加え、申立人の周知・著名な引用商標が呼吸療法の分野で築き上げてきた顧客吸引力や指標力の希釈化を招くおそれのあるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号について
商標権者は、申立人が既に使用している商標の一部をわずかに変更したにすぎない商標の出願を執拗に繰り返し、申立人から警告を受けつつも、更に本件商標の出願を行っている。引用商標や使用商標と紛らわしい本件商標を敢えて出願する行為は、信義則に反すると共に公正な商取引秩序を乱すおそれがあり、申立人の引用商標や使用商標に形成された信用や顧客吸引力を利用し、あるいは希釈化させる等の不正競争の目的があったものと容易に推認される。このような経緯のもとで商標権者が本件商標を登録することは、商標法の精神に反し、商取引の秩序を乱し商道徳に反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(6)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に違反するものであるから、その登録は取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)使用商標の周知性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、学術用書籍・専門誌の出版等の事業を行う企業であって、引用商標を、別掲に示す使用商標の態様で、呼吸ケアの臨床・教育専門誌である雑誌に2003年1月から現在まで10年近くにわたって継続して使用していることが認められる(甲3、甲5)。そして、当該雑誌は、月間及び夏季・冬季の増刊を合わせ、年間5万部前後の発行部数を維持しており、また、雑誌の販売地域は全国に及んでいるものである(甲6、甲7)。
当該雑誌は、呼吸ケアに特化した専門誌であるため、その購買者たる需要者は、呼吸器科(呼吸器外科、呼吸器内科)や人工呼吸器、集中治療室(ICU)等を備えた病院内に従事する医療関係者(医師、看護師等)といえるところ、それらを備えた規模の病院数がどの程度になるかは明らかではないが、仮に全ての医療施設(病院・診療所の総数)をその対象とした場合であっても、医療施設の総数8,794(2008年:甲9)に対し、当該雑誌の同年の1回当たりの発行部数が3,771部(52,800部/年:14回)であることからして、医療施設総数に占める当該雑誌の発行部数の割合は43%に及ぶものであり、当該雑誌は、全国で想定される読者のうち相当程度の割合の者によって閲覧されてきたものであることが推認できる。
したがって、使用商標は、呼吸療法に関わる医療従事者の間において、相当程度知られていたと認めることができる。

(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「呼吸ケア」の文字を横書きしてなり、その構成文字に相応して「コキュウケア」の称呼が生じ、「呼吸(そのもの)のケア」程の意味合いを認識させるものである。
一方、引用商標は、「呼吸器ケア」及び「Respiratory Care」の文字を上下二段に横書きしてなり、それぞれの文字に相応して「コキュウキケア」及び「レスピラトリーケア」の称呼が生じる。ところで、「Respiratory」の語は「呼吸(作用)の」の意味を有する英語で、「呼吸器」及び「呼吸」の両方の語を表すものとして使用されているものであるが、引用商標の構成からして下段の欧文字表記は上段の「呼吸器ケア」を英語で表したものと容易に認識されるものであるから、引用商標は全体として「呼吸器(という器官)のケア」程の意味合いを認識させるというのが相当である。
そこで両商標を比較するに、本件商標は、「呼吸ケア」の文字を横一列に書してなるのに対し、引用商標は、「呼吸器ケア」及び「Respiratory Care」の文字を二段書きしてなるものであるから、両者の外観は明らかに相違するものであり、また、漢字及び片仮名部分においても器官を意味する「器」の文字の有無の差異を有するものであるから、本件商標と引用商標とは外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「コキュウケア」の称呼と、引用商標から生ずる「コキュウキケア」の称呼とを比較するに、両称呼は中間における「キ」の音の有無の差異を有するものである。そして、ケアの対象部分として認識される両商標中の語頭の「呼吸」及び「呼吸器」の文字部分は、それぞれ「呼吸そのもの」及び「呼吸をするための器官」をイメージさせる馴染みのある語(文字)であることから、中間における「キ」の音の有無の違いの称呼全体に与える影響は大きく、それぞれを一連に称呼した場合には、十分に聴別し得るものである。なお、本件商標から生ずる「コキュウケア」の称呼と、引用商標から生ずる「レスピラトリーケア」の称呼はその構成音及び音数において明らかに相違する。
さらに、本件商標からは「呼吸(そのもの)のケア」の、引用商標からは「呼吸器(という器官)のケア」程の意味合いを認識させるものであるから、観念においても相違するものである。
してみると、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。

(3)商標法第4条第1項第10号について
別掲に示すとおりの態様からなる使用商標は、前記(1)のとおり、請求人に係る呼吸ケア専門の雑誌を表す商標として、呼吸療法に関わる医療従事者の間において相当程度知られていたものと認められる。
そして、使用商標は別掲のとおり、青色の地色(なお、地色は各号で相違する。)に「呼吸器ケア」の文字を白抜きで表し、「呼」の文字の中央及び「ケア」の文字の下に黄色の波線を配し、「ケ」の文字の波線の下に白抜きの小さな「Respiratory Care」の文字を配してなるものであるから、「コキュウキケア」及び「レスピラトリーケア」の称呼及び「呼吸器(という器官)のケア」という観念を生じるものである。
そこで、本件商標と使用商標とを比較するに、「コキュウケア」の称呼及び「呼吸(そのもの)のケア」の観念を生じる本件商標と、「コキュウキケア」及び「レスピラトリーケア」の称呼及び「呼吸器(という器官)のケア」の観念を生じる使用商標とは、前記(2)のとおり、外観、称呼及び観念において十分に区別し得るものであって、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。

(4)商標法第4条第1項第15号について
使用商標は、前記(1)のとおり、請求人に係る呼吸のケア専門の雑誌を表す商標として、需要者たる我が国の呼吸療法に関わる医療従事者の間において相当程度知られていたことは認められるとしても、上記(3)のとおり、本件商標と使用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。

(5)商標法第4条第1項第7号について
本件商標と使用商標とは、上記(3)のとおり、非類似の商標と認められるものであるから、その出願が、申立人の使用商標の知名度や信用を利用し、あるいは希釈化させる等の不正競争の目的があったものとはいえず、本件商標を登録することが、商取引の秩序を乱し商道徳に反するものということはできないものであり、また、他に本件商標が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であると認めるに足る証拠は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。

(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(使用商標)(色彩は原本参照)


異議決定日 2012-09-07 
出願番号 商願2010-92525(T2010-92525) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X16)
T 1 651・ 22- Y (X16)
T 1 651・ 261- Y (X16)
T 1 651・ 262- Y (X16)
T 1 651・ 25- Y (X16)
T 1 651・ 263- Y (X16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 堀内 仁子
内山 進
登録日 2011-03-18 
登録番号 商標登録第5398852号(T5398852) 
権利者 株式会社医学出版
商標の称呼 コキューケア、コキュー、ケア 
代理人 特許業務法人 クレイア特許事務所 
代理人 齊藤 整 

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