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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X35
審判 査定不服 外観類似 登録しない X35
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X35
管理番号 1263031 
審判番号 不服2010-20385 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-10 
確定日 2012-09-13 
事件の表示 商願2007-73672拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲に示すとおりの構成からなり,第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成19年7月2日に登録出願され,その後,指定役務については,同20年10月15日提出の手続補正書及び,当審における,同22年11月8日提出の手続補正書により,最終的に,第35類「ティーシャツ・ポロシャツ・スポーツシャツ・トレーニングウェア・スウェットシャツ・スウェットパンツ・スイムウェア・帽子の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サポーターその他の運動用特殊衣服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,腕時計・スポーツウォッチ・ストップウォッチの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ダンベル・鉄アレイ・エクササイズマット・腹筋台・背筋台・ベンチプレス・サンドバッグその他の運動具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,エクササイズトレーニング用運動用具・エクササイズトレーニング用機械器具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,体重計・体脂肪計・歩数計の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プロテインを主原料とした栄養補助のための粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液状の加工食品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スポーツバッグ・シューズケース・登山用ザック・デイパックその他のかばん類及び袋物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スポーツシューズその他の履物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,登山靴・トレッキングシューズその他の運動用特殊靴の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アウトドアグローブ・登山用グローブ・アイゼン・スノーシューの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テント・タープの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テント用ペグ・テント用グランドシート・テント用織物・登山用又はキャンプ用のテント用柱・テント用くい(金属製のものを除く。)・テント用プラスチック製継ぎ手・テント用金属製くい・登山用又はキャンプ用のテント用の張り綱の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ロープの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,シュラフ・寝袋・キャンプ用ウレタンマットの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アウトドア用折りたたみ椅子その他のアウトドア用家具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,屋外用調理グリル・野外用の調理用鉄板・アウトドア用プラスチック製食器類・ダッチオーブンの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガス式・石油式・ろうそく式ランタンの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アウトドア用ストーブ(加熱器)の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,登山用ナイフの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野球用具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,球技用具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,陸上競技用具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,バトミントン用具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,体操用具・新体操用具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)から(3)のとおりであり,それぞれ,現に有効に存続しているものである。
(1)登録第153376号商標(以下「引用商標1」という。)
「SPORTSMAN」の文字を横書きし,その下に「スポーツマン」の文字を縦書きした構成からなり,大正11年7月30日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同12年6月8日に設定登録され,その後,6回にわたり商標権の存続期間の更新がされ,さらに,指定商品については,平成16年9月29日,第24類「布製身の回り品」及び第25類「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服,マラソン足袋,地下足袋」に指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第665104号商標(以下「引用商標2」という。)
「SPORTSMAN」及び「スポーツマン」の文字を上下二段に横書きしてなり,昭和38年2月26日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同40年1月29日に設定登録され,その後,4回にわたり商標権の存続期間の更新がされ,さらに,指定商品については,平成16年8月25日,第25類「短靴,長靴,編上靴,雨靴,防寒靴,作業靴,木綿製靴,メリヤス製靴,サンダル靴,幼児靴,婦人靴,オーバーシューズ,地下足袋,地下足袋底,靴中敷き,かかと,半張り底,内底,げた,草履類」に指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第3332636号商標(以下「引用商標3」という。)
「SPORTS MAN」の文字を書してなり,平成6年4月27日に登録出願,第14類「時計」を指定商品として,同9年7月18日に設定登録されたものであり,商標権の存続期間の更新がされたものである。
以下,これらをまとめていうときは,「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は,別掲のとおり,上段の「SPORTS LABORATORY」の文字と下段の「Sportsman.jp」の文字からなっているが,これらの文字は,上段と下段に明確に区別して配置されている上,下段の文字は上段の文字に比して,4倍ほどの大きさで,かつ,かなり太い線で表されているから,上段の「SPORTS LABORATORY」の文字と下段の「Sportsman.jp」の文字は,取引において分離して観察され,しかも,下段の文字が上段の文字に比べてかなり目立ち,取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができるので,本願商標に接する取引者・需要者は,顕著に大書された「Sportsman.jp」に印象を留め,取引に資するものというのが相当である。
ところで,近時,インターネットが広く普及し,これを利用した商品・サービスの購入・取引が積極的に行われている実情が認められるところ,インターネット上の取引にあっては,取引者を特定するための各種文字等と日本に係る国別トップレベルドメイン(以下「ccTLD」という。)である「.jp」とを結合した各種ドメイン名が用いられる実情がある。
本願商標中「Sportsman.jp」の文字部分は,日本を表すccTLDである「.jp」と,「Sportsman」が結合したドメイン名を想起させるものである。
そして,「.jp」でドメイン名が終わる場合,「.jp」の部分は,そのドメイン名を使用した主体が日本に存在(在住)する個人,団体,法人組織等であるという以上に特定するものではないから,「Sportsman.jp」に接する取引者,需要者が出所識別機能を有するものとして認識するのは,「Sportsman」の部分であり,これより,「スポーツマン」の称呼及び「運動競技の選手。スポーツの得意な人」(「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店))の観念が生じるというべきである。
一方,引用商標は,いずれも,その構成において「SPORTSMAN」あるいは「スポーツマン」の文字を有するものであるから,これらの文字から自然に「スポーツマン」の称呼を生ずるものであり,また,当該文字から「運動競技の選手。スポーツの得意な人」の観念が生ずるものである。
そこで,本願商標と引用商標とを比較するに,本願商標の下段のうち,出所識別機能を有する部分は「Sportsman」であり,引用商標は,いずれも「SPORTSMAN」又は「SPORTS MAN」の文字を含んでいるから,外観において類似する。
また,本願商標及び引用商標からは,上記認定のとおり,いずれも「スポーツマン」の称呼及び「運動競技の選手。スポーツの得意な人」の観念が生ずるものであるから,両商標は,称呼及び観念が同一である。
そうとすれば,本願商標と引用商標とは,外観,称呼,観念のいずれの点を考慮しても,出所の混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断されるものである。

(2)本願の指定役務と引用商標の指定商品との類否について
商品に役務が類似するかどうかは,当該商品と当該役務に同一又は類似の商標を使用した場合に,当該役務が当該商品を製造又は販売する事業者の提供に係る役務であると誤認されるおそれがあるかどうかという観点から判断されるべき(東京地裁平成8年(ワ)第23450号)であり,商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか,商品と役務の用途が一致するかどうか,商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか,需要者の範囲が一致するかどうかなどの事情を総合的に考慮した上で,個別具体的に判断するのが相当である(東京地裁平成11年(ワ)第438号)。
そして,商品Aの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下「商品Aの小売役務」という。)と,商品Aとは,以下のとおり,類似するというのが相当である。
すなわち,商標法第2条第2項にいう「小売…の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,顧客が来店して立ち去るまでの間に小売に伴って提供される総合的なサービス活動であり,最終的に商品の販売によって収益を上げるものであるから,これは,商品を販売する者によって,商品が販売される場所において,その商品の顧客に対して提供されるものである。
一方,商品に係る商標は,「業として商品を生産…する者」のみならず,「業として商品を…譲渡する者」によっても使用されるものであるところ(商標法第2条第1項第1号),商品の販売(譲渡)は,商品を販売(譲渡)する者によって,商品が販売(譲渡)される場所において,その商品の顧客に対して行われるものである。
そこで,商品Aの小売役務が提供される場面と,商品Aが販売される場面を比較すると,いずれも,商品Aを販売(譲渡)する者によって,商品が販売(譲渡)される場所において,その商品の顧客に対して行われるものである。
そうすると,商品Aの小売役務と商品Aとは,役務の提供と商品の販売が同一事業者によって行われることが明らかであり,商品Aの小売役務が提供される場所と商品Aが販売される場所が一致し,需要者(顧客)の範囲も一致するものといえる。
したがって,両者に同一又は類似する商標が使用された場合,商品Aの小売役務は,商品Aを販売(譲渡)する事業者の提供に係る役務であると誤認されるおそれがあるというのが相当であるから,両者は,類似するというべきである。
そこで,本願の指定役務と引用商標の指定商品について検討するに,以下のとおり,本願指定役務の取扱商品の一部と,引用商標の指定商品の一部が一致することから,本願の指定役務の一部と引用商標の指定商品の一部とは,「商品Aの小売役務」と「商品A」という関係にあると認められる。
ア 引用商標1
本願指定役務には,「被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サポーターその他の運動用特殊衣服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれているところ,この取扱商品である「被服」及び「サポーターその他の運動用特殊衣服」は,引用商標1の指定商品である「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服」を包含するものと認められる。
イ 引用商標2
本願指定役務には,「スポーツシューズその他の履物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれているところ,この取扱商品である「スポーツシューズその他の履物」は,引用商標2の指定商品を包含するものと認められる。
ウ 引用商標3
本願指定役務には,「腕時計・スポーツウォッチ・ストップウォッチの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれているところ,この取扱商品である「腕時計・スポーツウォッチ・ストップウォッチ」は,引用商標3の指定商品に包含されるものと認められる。

以上のことからすれば,本願指定役務の取扱商品の一部は,引用商標の指定商品の一部と一致することとなるから,本願指定役務の一部と引用商標の指定商品の一部とは,商品Aの小売役務と商品Aという関係にあることが認められる。
してみれば,先に検討したとおり,両者に同一又は類似する商標が使用された場合には,本願商標の当該指定役務は,引用商標中の当該指定商品を販売(譲渡)する事業者の提供に係る役務であると誤認されるおそれがあるというのが相当である。
したがって,当該指定役務と当該指定商品は,類似するというべきである。

(3)小括
以上からすると,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品と類似の役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(4)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標からは「スポーツマンジェーピー」又は「スポーツマンドットジェーピー」の称呼が生じ,「スポーツ工房・スポーツマン(ドット)ジェーピー」の如き意味合いが生じるが,「スポーツマン」の称呼又は「スポーツマン,スポーツの得意な者」の意味合いは生じない旨主張し,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第20号証及び甲第22号証ないし甲第25号証を提出している。
しかしながら,本願商標中「Sportsman.jp」に接する取引者,需要者が出所識別機能を有するものとして認識するのは,「Sportsman」の部分であり,これより「スポーツマン」の称呼及び「運動競技の選手。スポーツの得意なひと」の観念が生ずることは,既に述べたとおりである。
また,請求人が提出した上記証拠によれば,本願指定役務に関連する一定程度の取引者が,本願商標が名称として使用された,インターネット上の「スポーツに関する総合コミュニティ通販サイト」のことを「スポーツマンジェーピー」又は「スポーツマンドットジェーピー」と読むが,これを「スポーツマン」ということはない旨述べていることが認められる。
しかし,商標の類否を判断する際は,一般需要者の認識が重要であることは請求人も述べるとおりであるところ,当該証拠は,一般の需要者がどのように本願商標を称呼しているかを示すものではないから,本願商標が,需要者に,常に「スポーツマンジェーピー」あるいは「スポーツマンドットジェーピー」とのみ称呼されるということはできず,その他,請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。
したがって,請求人の上記主張は採用することができない。

イ 請求人は,本願商標と引用商標が類似であるというためには,本願商標の表示されたショッピングサイトでスポーツ用品等が小売りされている場面に接した需要者が,引用商標の使用された時計,被服,履物などに関する記憶を惹起できる必要があり,あるいは,引用商標の使用された時計,被服,履物に接する需要者が,直ちに本願商標の表象するウェブサイトを思い浮かべる必要があるが,それほどまでに両者のいずれかが広く認識されている実情はないから,本願商標は引用商標との間に混同が生じるおそれはない旨,主張する。
しかしながら,商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは,その指定役務,指定商品全般についての一般的,恒常的なものをいうのであって,単に当該商標が現在使用されている商品,役務についての特殊的,限定的なものを指すのではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)。
そして,本願の指定役務及び引用商標の指定商品の一般的,恒常的な取引の実情を考慮した結果,上記のとおり判断すべきであるから,請求人の上記主張は採用することができない。

ウ 請求人は,「本件審判請求に係る事例とよく似た案件」として,平成22年(行ケ)第10171号審決取消請求事件を挙げ(請求人は,「平成22年(行ケ)第10172号…」と表記しているが,「平成22年(行ケ)10171号…」の誤記と思われる。),同事件において示された考え方を踏まえて,本願も登録されるべきである旨,主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは,当該商標の構成態様と,指定役務の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるものであるところ,同事件に係る商標と本願商標とはその構成態様を異にするものであり,また,同事件における原告の商標について,インターネットの検索エンジンにおけるポップアップの状況だけでなく,原告が,平成8年に設立されて以来,様々なタイプの宿泊施設情報を提供し,掲載ホテルの数は89か国10万件以上であり,グループ会社全体で1600人以上のスタッフがいること等を踏まえて,一定の信用が形成されていたものと推測されている点や,同事件における引用登録商標(登録第4558717号)の一部指定役務が,不使用取消審判の取り消す旨の審決の確定により取り消されていることなど,本願商標とはその実情を異にするものであるから,同事件が,本願商標についての判断を左右するものではない。
したがって,請求人の上記主張は採用することができない。

(5)結語
以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原審の判断は妥当であるから,原査定を取消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)
(色彩についての詳細は原本を参照されたい。)




審理終結日 2011-05-30 
結審通知日 2011-06-17 
審決日 2011-06-29 
出願番号 商願2007-73672(T2007-73672) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (X35)
T 1 8・ 262- Z (X35)
T 1 8・ 263- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 三男大森 健司 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 守屋 友宏
田中 亨子
商標の称呼 スポーツラボラトリー、ラボラトリー、スポーツマンドットジェイピイ、スポーツマンジェイピイ、スポーツマン 
代理人 香原 修也 
代理人 藤田 雅彦 

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